2019年6月15日号 Last updated on June 1, 2019
特報
 WHOは「ゲーム障害」を依存症として認定した。

 TDSの新エリア、「ファンタジースプリングス」に。

海外
 米国ディズニー社、新アトラクションが目白押し。

 中国ワンダーグループ、今年から再びテーマパーク開発に。

国内
 スクエニの業務用は増収減益、フリューは増収増益に。

 九州のトーゴJネットが自己破産の手続き。

 

2019年6月15日号のニュースダイジェスト
 写真は米国アミューズメントエキスポ2019にて、上は往年の名作フリッパーを復刻しているシカゴゲーミング社の小間、下は新作フリッパーを揃えたスターンピンボール社の小間のようす。

 1974年の創刊号から80年までの新聞「ゲームマシン」がPDFファイルでご覧いただけるようになりました。下の「アーカイブ」をご利用下さい。また単行本「それは『ポン』から始まった」は、残りわずかとなりました。小社またはアマゾンにお申し込み下さい。

30年前の主なニュース

 任天堂はNES用「テトリス」独占販売権をもとに、アタリゲームズ社を提訴。米国カプコン、データイーストが合同DB会合を開き、フリッパー「プレイボーイ」の披露も。近畿4協会共催の「大阪AMショー」の、出展44社の小間位置が決まり、準備が整った。(1989年6月15日号)

40年前の主なニュース

 「スペースインベーダー」人気の過熱化に伴い、全日本遊園協会(JAA)は、管理者のいない場所にインベーダーゲームを設置しない、保護者同伴のない15歳未満の者にインベーダーゲームをさせない、などを盛り込む「自粛宣言」を発表した。フジリースが倒産した。(1979年6月15日号)



【ニュースダイジェスト】

 .世界保健機構(WHO)は5月25日、ゲームに耽り日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな精神疾患の依存症として正式認定した。「国際疾病統計と関連する健康問題の統計的分類」(ICD-11)の第11改訂を採用することで合意したもので、22年1月から発効、世界の医療機関や保険会社などで適応される。WHOによると、ゲームをする時間や頻度を自分で制御できないなどの状態が12カ月以上続き、社会生活に重大な支障が出る場合、ゲーム障害と診断されることがあるとのこと。米国家庭用ゲーム制作業者団体などは反対してきた。

 .ソニーと米国マイクロソフト社(MS)は5月17日、ゲームや人工知能(AI)の技術分野で提携すると発表した。それぞれゲーム専用機「プレイステーション」、「Xbox」を展開する両社が、ストリーミングサービスを利用することにより、非専用端末でもゲームなどを楽しめるようにする。このためソニーのイメージセンサー技術とMS社のクラウドサービス「アジュール」技術を統合していくとした。グーグルとアップル社もクラウドゲーム参入を明らかにしており、競争が激化すると見られている。

 .オリエンタルランドは5月21日、東京ディズニーシー(TDS)に22年度開業予定の新エリアの名称を「ファンタジースプリングス」に決めたと発表、起工式を執り行った。TDSは3400億円を投資して開業したがそれに次ぐ、2500億円という大規模投資として、「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」をテーマに、「アナと雪の女王」などの世界観を体感できる4つのアトラクションを新設予定。また今年7月には新アトラクション「ソアリン」とTDLの新立体駐車場が開業する予定で、20年春にはTDLで「美女と野獣」をテーマとする新エリアもオープンする。

 .米国ウォルトディズニー社のボブ・アイガー会長兼CEOは5月14日、ニューヨークでのメディア会合で、同社は仮想現実(VR)をテーマパークに採用しない、と明言して注目された。公開間近のテーマランド「スターウォーズ・ギャラクシーエッジ」などを引き合いに出し、同社の場合ヘッドセットによる制約を採らず、テーマランドなど圧倒的なスケールと包み込むような一体感により、没入させることに成功したとしている。これは伝統的なコースター体験を好む大勢の客によって確かめられるとした。

 .米国ウォルトディズニー社が8日発表した、第2・四半期(1-3月期)の売上高は3%増の149億ドル、純利益は85%増の54億ドルと好調だった。部門別ではテーマパークの売上高が5%増の61億ドル、営業利益が15%増の15億ドルで、他の3部門を牽引している。映画「スターウォーズ」のテーマランド「ギャラクシーエッジ」として建設、アナハイムのディズニーランドで5月31日に、フロリダWDWのハリウッドスタジオで8月29日にアトラクション「ミレニアム・ファルコン」とともにオープンする。第2のアトラクション「ライズ・オブ・レジスタンス」は今年後半にオープン予定。

 .スクウェア・エニックスHDは5月13日、19年3月期決算を発表、売上高は8%増の2710億4千8百万円、経常利益は22%減の283億千2百万円、最終利益は29%減の184億6千3百万円と増収減益だった。デジタルエンタテインメントの売上高は7%増の2045億円、利益は33%減の290億円、アミューズメント(業務用、ゲーム場)の売上高は11%増の462億円、利益は19%減の19億円、出版の売上高は27%増の140億円、利益は61%増の39億円、その他の売上高は2%減の73億円、利益は51%減の9億円。20年3月期の売上高は2700億円、経常利益は240億円、最終利益は168億円を見込んでいる。

 .フリューは5月14日、19年3月期決算を発表、売上高は7%増の271億3千4百万円、経常利益は43%増の35億3千百万円、最終利益は9%増の18億8千2百万円と減益から回復した。部門別のプリントシールの売上高は6%増の96億円、利益は36%増の14億円、コンテンツメディアの売上高は3%増の86億円、利益は2%減の40億円、キャラクターマーチャンダイジングの売上高は9%増の52億円、利益は185%増の3億円などとなっている。関連会社コアエッジを子会社にしたのに続き、子会社ウィーヴを吸収合併する。20年3月期は売上高276億円、経常利益36億円、最終利益24億円を見込んでいる。

 .共和コーポレーションは5月14日、19年3月期決算〔非連結〕を発表、売上高は17%増の121億6千8百万円、経常利益は5%増の4億8千5百万円、当期利益は185%増の7億4千7百万円だった。部門別ではゲーム場が「ゲームスクエア三芳」など6店増設、合計53店舗になり、売上高は76億円、利益は8億円となった。業務用機器販売の売上高は40億円、利益は1億円、その他広告の売上高は5億円、利益は1億円だった。なお20年3月期は売上高150億円、経常利益5億8千8百万円、当期利益3億3千6百万円を予想している。

 .中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダグループ)は16年に本格参入したテーマパーク事業からこれまで撤退、売却処分を進めてきたが、財務状況が改善したとして、再び今年からテーマパーク開発に乗り出すことになった。4月18日、「革命の聖地」延安で中国の歴史や文化を学ぶ、劇場などを含む「紅色のテーマパーク」の建設に着工した。開業予定の21年は中国共産党の設立100周年に当たる。だが明らかな成功を収めている上海ディズニーランドを軽視し、容易に対抗できるとしていたワンダグループが成功するには課題は多いとされている。

 10.セガサミーグループのカジノ用機器メーカー、セガサミークリエイション(本社横浜、小口久雄社長)は、5月21-23日、べネシアン・マカオで開催されるギャンブル機器展「G2Eアジア2019」に出展、セガグループのIP(知的所有権)を使用したTVスロットマシンを出品することを明らかにした。スロットマシンは当局の承認を得てカジノで使用されることになるが、今回披露するのは「バーチャファイター」、「ハウス・オブ・ザ・デッド」の2タイトルで、オリジナルゲームとしてさまざまな特色があるとのこと。

 11.バンダイナムコアミューズメントは5月21日、マカオでのVR事業「VRゾーンマカオ」を進めると発表した。マカオでカジノリゾート・ショッピングモールを手掛ける、マカオ・フィッシャーマンズワーフ・インターナショナル・インベストメント社(MFWII)の「フィッシャーマンズワーフ」の大規模改装に合わせて、「VRゾーンマカオ」のフランチャイズ契約を締結したもの。「極限度胸試し高所恐怖Show」、「急滑降体感機スキーロデオ」などのVRアクティビティを設けて、今秋にも開業する予定。

 12.福岡地裁は5月10日、㈱トーゴJネット(福岡市南区塩原1丁目、中野高志代表)の破産手続きを開始する決定を出した。1935年創業、49年法人化した東洋娯楽機(85年にトーゴと改称)が2004年1月に破綻する前の、02年8月に設立、トーゴ九州支店の業務を引き継いだもので、ローラーコースターなど遊園施設とアミューズメント機器を供給、メンテナンス、運営してきた。負債総額などは不明。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2019