2016年7月15日号 Last updated on July 1, 2016
特報
 「上海ディズニーランド」オープンにアイガー会長、中国の汪洋副首相。

 ゲーム場入場規制、父兄同伴の年少者について一部緩和。

海外
 米国「E3」は「PSVR」用VRゲームソフトが競う。

 米国ディズニー社、中国の映画制作会社らを訴え。

国内
 アムリードがレンブラントホテルの傘下に入った。

 テンレジャーサービスが破産申請の準備に。


2016年7月15日号のニュースダイジェスト
 写真は中国「上海ディズニーランド」の公式ニュースレリースから、お城の前で行なわれたオープニング記念写真。Copyright Walt Disney Co.
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30年前の主なニュース

 AOU理事会は四国4県の協会加入を承認した。トーゴの新型コースター「ウルトラツイスター」の第1号機が米国で完成。ナムコの資本傘下に入った米国アタリゲームズ社は、サンフランシスコでDB会合を開いた。(1986年7月15日号)

40年前の主なニュース

 任天堂レジャーシステムは「EVRレース」を大画面にした20人用セットの「ワイドEVRレース」を披露した。沖縄独特の「オリンピアマシン」の扱いは、本土復帰に伴いあと10ヵ月間暫定のままだ。(1976年7月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.現在全国に28店のゲーム場を展開しているアムリード(本社東京都豊島区池袋3丁目、田中勉社長)が、「レンブラントホテル」などホテル事業を展開しているレンブラントホテルホールディングスに5月31日付で100%買い取られ、その投資子会社のPAM・Jの子会社として6月1日から運営を開始したことが分かった。アムリードの前身は99年に西友グループのゲーム場経営陣がMBO方式で「ザップクリエイト」を買収、現社名に改称。02年にコナミアミューズメントオペレーションから、18店(当時)経営する新会社KAOの株式を取得、そのゲーム場運営を継承した。06-07年にそれぞれエーエムHDなど持株会社と合併、いずれもアムリードとして引き継ぎ、トラスト・キャピタルが運営する投資事業組合などからこのほど、レンブラントホテルHDがアムリードの全株式を取得したもの。取得に要した金額などは公開されていない。

 .現在ゲーム場の多くは風俗営業として、未成年者はその年齢によって夜間の入場が規制されているが、6月23日以降、父兄同伴の場合は多くの都道府県で入場規制が緩和されることになった。15年6月の法改正に基づき、都道府県の施行条例の多くが改正され、施行されることに伴うもので、セガ社とナムコは制限内容を一覧表にしてネットで示した。うちセガ社によると、保護者が同伴する16歳未満の者が22時まで入場できるのは、東京都、大阪府、京都府、北海道など37都道府県、20時までは神奈川など5県、20時までだが18歳未満は22時までは福島県のみ、変更なし(16歳未満は18時、16歳以上18歳未満は22時まで)は茨城県など4県。いずれにせよ18歳未満の者が22時以降入場できないことはこれまでと同じ。この年少者入場規制の緩和にどれほど意味があるかは、今後明らかにされると期待されている。

 .家庭用TVゲームの世界的展示会である米国「E3(エレクトロニック・エンタテインメント・エキスポ)2016」は6月14-16日、例年通りロサンゼルスCCで開かれ、「PS4」用のバーチャルリアリティー(VR)ゲームが一斉に披露された。これはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、普及台数4千万台に達した「PS4」用に、VR端末セット「PSVR」を10月13日発売するのに伴い、大手ゲームソフトメーカーがVRゲームソフトで主導権を握るため技を競ったことによる。ハードウェアについては、マイクロソフト社(MS)が欧米で8月発売する4K対応小型高性能版の「Xbox One S」を披露、また「プロジェクト・スコーピオ」の17年末発売予定も明らかにした。しかし任天堂は開発中の仮称「NX」について発表していない。「E3」はトレードショーで原則的に一般公開していない。登録入場者数は業者5万3百人を含む計約7万人だった。

 .「上海ディズニーリゾート」は6月16日、米国ウォルトディズニー社のボブ・アイガー会長兼CEOと中国の経済政策担当の汪洋(ワン・ヤン)副首相らが出席して、米中協力の成果を強調し、華々しくオープンした。共同運営会社をディズニー社が70%、中国側が30%所有し、オーナー会社の上海申迪集団については各43%、57%所有。上海の浦東(プートン)新区に、米国オーランドのディズニーワールドに次ぐ広さの410haの用地を確保して、11年から建設が進んでいた。「奇幻童話城堡」(シンデレラなどすべてのディズニープリンセスの集まる城)を中心に、基本的にこれまでのテーマエリアとアトラクションで構成されるが、新エリアを含め6エリアとなり、アトラクションも最新版で構成される。「ザ・ライオン・キング」などのグランドシアター演劇、中国雑技団による伝統芸なども導入されている。初年度1千万人の入場者を見込んでいる。

 .6月16日オープンした「上海ディズニーランド」には、これまでにないアトラクションが結構あり、それらは追って紹介するとして、東京ディズニーシー(TDS)よりも先にアジアで実現したアトラクション「ソアリン・オーバー・ザ・ホライズン」に触れないわけにいかない。元のアトラクションは米国アナハイムの「カリフォルニア・アドベンチャー」の01年開園と同時オープンした「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」で、ライドに座ったまま各地の素晴らしい、IMAX社の巨大なオムニマックス映像を楽しむもの。大変評判が良いためオーランドの「エプコット」でも、06年単に「ソアリン」の名称でオープンした。今回は全面的に撮影し直した上で、アナハイムとオーランドでソフトを入れ替えて6月10日に公開。上海では「アドベンチャーアイル」内に「ソアリン・オーバー・ザ・ホライズン」の名称で公開した。東京では19年に導入する予定。

 .米国ウォルトディズニー社は子会社を通じて、中国の3社を相手取って中国上海で著作権侵害訴訟を起こしていることが分かった。訴えているのはディズニー・エンタープライゼス社とCGアニメ映画制作のピクサー社。訴えられているのは中国北京のGポイント社、上海のPPTV社、福建省アモイのブルームTV社。ディズニー社によると、被告らはディズニー社のCGアニメ映画「カーズ」、「カーズ2」のコピー品、「オートボッツ」を制作、ウェブテレビを通じて無断上映したとして、著作権侵害、不正競争防止法違反を理由に、コピー行為の即時停止と4百万元(約60万7千米ドル)の損害賠償金の支払いを求めている。6月21日、上海にある地裁で審問が開かれ明らかになった。アナハイムにあるテーマパーク「カリフォルニア・ドベンチャー」には、映画「カーズ」に基づく「カーズランド」があり、映画とアトラクションは密接に関連し合っており、訴訟は注目される。

 .7月1日に開業する、高さ123mと国内最大級の観覧車「レッドホース・オオサカ・ホイール」が6月23日、報道関係者らに披露された。阪和興業が設計、施工し(同社が設計から担当したのは初めて)、フェリスウィールインベストメントが運営するこの観覧車は、6人乗りのゴンドラ72基が約18分かけて一周するもので、冷暖房完備、全基シースルー構造で、世界で初めて免震構造を採り入れたのも特徴。営業時間は10時から23時。料金は一人千円(3歳以下は無料。待ち時間が10分程度の優先チケットは1,500円。4人乗り革張り座席のVIP仕様2基の料金は1基8千円)。夜間点灯するイルミネーションはLEDで行なう。これまで高さ日本一の観覧車は葛西臨海公園の「ダイヤと花の大観覧車」(117m)だった。ちなみに世界一は米国ラスベガスの「ハイローラー」(約170m)、2位は「シンガポールフライヤー」(165m)などとなっている。

 .ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は6月20日、CGアニメ映画「ミニオンズ」(2015年)に登場する、バナナが大好きな謎の生物「ミニオン」をテーマとする、「ミニオンエリア」を17年にオープンすると発表した。米国ハリウッドとオーランドにある「ミニオンエリア」よりも大規模になる予定。01年4月の開業から今年5月まで6千万人以上に親しまれた映像ライドシミュレーター型アトラクション「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の跡地(約8,400㎡)に出来るアトラクションで、乗物も含まれる。映画に出てくる街を再現し、来場客と交流できるが、全体像は明らかにされていない。なお、米国テーマエンタテインメント協会(TEA)によると、USJの2015年入場者数は18%増の1,390万人で、東京ディズニーシー(TDS)の4%減で1,360万人を追い越したことになるが、年間パスポートの条件などを勘案すれば、ほぼ互角といえる。

 .ロシアの首都、モスクワ近郊のカルーガ地方に本格的なテーマパークを建設する計画があり、このほどロシアのウラジミール・プーチン大統領がその計画を承認したと米国「バラエテイ」紙らが伝えた。計画を進めているのは、米国ロサンゼルスに本拠を置く、モチャンコ・インベスティメント社(設立者シーン・モシコビッチ氏)とゴダード・グループ社(ゲアリー・ゴダード氏)で、220ヘクタールの公有地に、「ロシアの魔法の世界」というテーマパークを建設する、という当初計画を12年に発表、各方面との調整を進めてきた。予算は10億米ドルで、ロシアとその他の国々の文化を反映したものになるもよう。しかもこの計画では、政府によると、モチャンコ・インベスティメント社らが資金を調達するので、公的な資金協力は必要ないとのこと。完成予想図を見る限りかなり本格的なテーマパークになると見られるが、開業時期、料金計画など具体的なことは明らかではない。

 10.信用調査機関調べによると、㈱テンレジャーサービス(福島県郡山市西之内、天沼勝社長)が6月24日に営業を停止、事後処理を弁護士に一任して自己破産申請の準備に入った。負債は16億9千2百万円。1980年6月にゲーム機販売を目的として東京で設立、会津若松市に移転、ピーク時の2006年7月期の売上高は約16億円だったとされている。ゲーム場とファンシーショップを運営していたが、集客不足に陥った上、福島原子力発電事故の影響で大きく落ち込んでいた。店舗運営を別会社に移し、不動産賃貸業に転換したが、それまでの借り入れ負担が大きく、行き詰ったものとされている。9月30日続報=福島地裁郡山支部は9月14日に破産手続き開始を決定した。
 




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015