2015年3月15日号 Last updated on March 1, 2015
特報
  セガサミーHD、4月1日付でセガ社グルーを再編決める。

 タイトー、セガ社がそれぞれ電子マネー対応端末の普及めざす。 
海外
 上海ディズニーランドの開業、来年春の予定に。

 米国フロリダ州の観覧車「オーランドアイ」は5月オープンに。
国内
 元アタリ社開発者、スティーブ・ブリストー氏が死去。

 開発メーカーのアルュメが負債2億で破産手続きに。


2015年3月15日号のニュースダイジェスト
 写真はJAEPO2015にて、上はバンナムゲームスの2人協力音ゲ―「シンクロニカ」を試しているようす。下はセガ社のブラウザゲームを元にした「艦これアーケード」の展示ブース。


30年前の主なニュース

 フランスのゲーム場は大型間接税(消費税)が18%に達し、業界は瀕死になっている。第4回NAOショーはギャンブル化傾向強まる。SCロケOPの協会(NSA)が発足、風営法適用除外を陳情。家庭用のアタリ・ファーイースト(ジャパン)が閉鎖した。(1985年3月15日号
40年前の主なニュース

 日本娯楽機械オペレーター協同組合(JOU)は不法営業一掃を決議した。物品税問題と賭博遊技機問題で、JAAは説明会開催の予定。札幌のサービスマシンは10周年記念に、12社のメーカー協力を得て展示会を開いた。(1975年3月10日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.「ジャパンアミューズメントエキスポ(JAEPO)2015」(2月13-14日、幕張メッセ)は大雪の影響を受けた昨年の第2回ショーと比べると、天候はまずまずで入場者数など回復したが、出展規模は一段と縮小し、14年4月に実施された消費増税の影響を大きく受け、困難になったアミューズメントゲーム・乗物機市場の、生き残る可能性を問いかけるものとなり、それを克服するための新製品の紹介や開発予告が相次いだ。しかし、ゲーム場が風営法による規制を受けるようになって、ちょうど30年になるショー初日においても、規制そのものから脱却するための動きが、どこにもまったく見られなかった。タイトー、セガ社はすでに普及している鉄道・流通系の電子プリペイドカードを利用して、ゲーム機に取り付けた端末を介した「カード・オペレーション」をすることを提案、自社ロケで実施、拡大するとしているが、それがうまく行ったところで、プレイヤーがゲーム・乗物機の利用料を支払う積極的な理由に結びつくとは考え難い、と見る向きもある。

 .【JAEPO15の続き】これまで未発表で新たに披露されたTVゲームは次のとおり。バンダイナムコゲームスはドーム型画面の「スターウォーズ・バトルポッド」(7月発売予定)、ポケモン対戦の「ポッ拳 トーナメント」(7月)、音ゲ―の「シンクロニカ」(6月)、「タイムクライシス5」(3月)、「なれるんだー!仮面ライダーライブ」(同)、「妖怪ウォッチ・ジバニャンといっしょ」(同)、「鉄拳7」(2月)。セガ社はブラウザゲームに基づく「艦これアーケード」(7月)、音ゲ―「チュウニズム」(同)、カプコンの「3DS」ゲームに基づく「ルイージマンション・アーケード」(6月)、カードゲーム「新甲虫王者ムシキング」(夏)、「ワンダーランドウォーズ」(2月)。スクウェア・エニックス/タイトーはネットワーク対戦の「スクール・オブ・ラグナロク」(夏)、「ディシディア・ファイナルファンタジー」(制作発表のみ)、PCゲームの業務用版「ウィズローグ・彷徨える冥王」(参考)、「レフト4デッド-生存者たち」(3月)。

 .【JAEPO15の続き】カプコンは音ゲ―「クロスビーツ・レヴ」(7月)、もうひとつの音ゲ―「サイタス・オメガ」(台湾レイアーク社からの許諾、発表のみ)、「進撃の巨人」(アタック・オン・タイタン、制作発表のみ)。コナミデジタルエンタテインメントはスマホゲームに基づく「ディズニーツムツム」(3月)、「クイズマジックアカデミー暁の鐘」(映像のみ)、音ゲー「ユービートプロップ」(2月)ほかを紹介した。また中国の世宇科技(UNIS)、華立科技(ワーラップ)、希力科技(キーリー)がそれぞれの製品を紹介した。

 .セガサミーHDは2月12日、第3・四半期までの3・四半期(4-12月)決算を発表、売上高は12%減の2,675億千2百万円、経常利益は67%減の162億2千百万円、純損失は2千4百万円(前年は443億2千9百万円の黒字)と大幅な減収赤字だった。分野別で、遊技機の売上高は28%減の1,154億円、営業利益は59%減の206億円、業務用AM機の売上高が4%増の329億円、営業利益は4億円(2億円の赤字)、ゲーム場の売上高は4%減の309憶円、営業損失は5億円(5千万円の損失)、家庭用の売上高は13%増の827億円、営業利益は17%減の22億円だった。パチスロ遊技機が前年を下回ったのが響いた。業務用機器の売上高は国内が2%減の234憶円、海外が34%増の55億円。国内ゲーム場は1減1増の198店舗。同社は4月からの構造改革に伴い、通期(16年3月期)の業績予想を売上高3,525億円(10月の前回予想では3,700億円)、経常利益150億円(170億円)、最終損失130億円(40億円の利益)と下方修正した。

 .セガサミーホールディングス(HD)は2月12日、子会社セガ社を中心とするグループ内組織再編を4月1日付で実施することを明らかにした。セガ社のエンタテインメントコンテンツ事業に関して、①AM機器の開発・生産を担当する子会社「セガ・インタラクティブ」を分割方式で新設、②コーポレート部門を担当する「セガホールディングス」を新設、③家庭用の開発・生産を担当する既存のセガが存続会社として、「セガネットワークス」を吸収し、「セガゲームス」に社名変更。セガサミーHDの子会社、セガHDの下に、今回再編されるセガ・インタラクティブ、セガゲームス、既存のセガエンタテインメントと、これまでのセガ・ロジスティックサービス、セガトイズ、トムス・エンタテインメントなどが子会社として位置づけられる。またリゾート事業に関して、エンターテインメントパーク事業を分割して、「セガ・ライブクリエイション」を新設、これもセガサミーの完全子会社となる。

 .SDエンターテイメント(本社札幌、河野正社長)は2月12日、第3・四半期までの3・四半期(4-12月)決算を発表、売上高は12%減の54億2千6百万円、経常利益は25%増の3千万円、純利益は1億2百万円だった。部門別売上高は、ゲーム場が23%減の18億2千9百万円、フィットネスが4%減の17億千4百万円、ボウリング場が10%減の7億千4百万円、映画館など施設管理が8%増の7億8千6百万円、その他が16%減の3億2千万円だった。ゲーム場は2店閉鎖、「LP(リトルパーク)資産を譲渡」したこと、消費増税分が転嫁できないことにより大きく減らした。フィットネスは10月からの店名変更が成功し、会員数が回復した。ボウリング場は1店閉鎖、業界の全国的な落ち込みに巻き込まれた。施設管理で映画「アナと雪の女王」、「妖怪ウォッチ・誕生の秘密だニャン!」がヒットして、伸ばした。その他「カフェ」店舗の店名を変更した。

 .ユニバーサルエンターテインメントは2月13日、第3・四半期までの3・四半期(4-12月)決算を発表、売上高は17%増の470億2千8百万円、経常利益は47%増の86億2千2百万円、純利益は42%増の18億4千4百万円とやや回復した。遊技機の売上高は17%増の448億9千3百万円、営業利益は17%増の170億百万円、その他の売上高は24%増の21億5千9百万円、営業損失は24億7千百万円(前年同期は19億7千9百万円の損失)。14年9月にパチスロ機型式試験の運用方法の変更があり、その影響を見極める必要から、業績予想を控えめにしてきたが、「ミリオンゴッド-神々の凱旋」が好調に推移した。しかも、保有する外貨建て債権債務を為替相場で評価替えして発生した、外国為替差益35億円を営業外収益として計上(ただし連結の為替差益は11億円を計上)した。15年3月期(通期)業績予想は変更なしで、売上高970億円、経常利益200億円、最終利益90億円を見込んでいる。

 .ゲーム場運営に「Suica」(スイカ)など既存の電子マネーを利用する試みが始まることになった。タイトーは「スイカ」、「nanaco」(ナナコ)など複数のプリペイド式電子マネーに対応する決済端末を開発中で、ゲーム機に端末を取り付けて、5月に「タイトーステーション・アリオ蘇我店」に導入、7月-16年3月の間40ヵ所の直営店に導入する、と2月13日に発表した。13年11月に行なった実験店での反応で利用すると言う客の声が多かったことから、さまざまな可能性があると判断、電子マネーの導入を決めたとのこと。一方、セガ社は同日、ユニカ(長谷川一豊社長)、TFペイメントサービス(黒羽二朗社長)と共同で、同様のゲーム場用マルチ電子マネー決済システムの取り扱いを開始する、と発表した。ゲーム機にはユニカ開発の無線端末「ゲームアカウントユニットGAUⅢ」を採用、店舗内PCを介して「シンカクラウド」で決済するとのこと。7月に導入開始、来年3月までに150店に広げるとしている。

 .米国ウォルトディズニー社のボブ・アイガー会長兼CEOは2月3日までに、中国・上海で建設中の「上海ディズニーリゾート」のオープンは16年春になる、との見通しを明らかにした。世界で6ヵ所目(アジアで3ヵ所目)となる「ディズニーランド」を含む、上海ディズニーリゾートの建設は、11年4月に開始され、すでに主だった建築物は出来上がりつつあるが、当初15年末にオープンする予定としてきたことに関し、なにかと批判される厳冬を避けて、翌年の春節にオープンするよう変更したもの。すでに公式ホテルの「上海ディズニーホテル」、「トイストーリーホテル」の枠組みは14年1月に、ディズニーランド特有の「山」も14年12月に出来上がっており、また上海ディズニーランドで大きな特徴となるパイレーツランドの、最新技術を駆使した、大規模なアトラクション「カリブの海賊-沈んだ財宝をめぐる戦い」が完成しつつある。これらの建設中の主な建築物の写真も今回公開された。

 10.国際的アトラクション運営会社、英国マーリン・エンタテインメント社は2月17日、フロリダ州オーランドに建設を進めてきた、ショッピング&レジャー複合施設「アイ・ウォーク・フロリダ」付属の3アトラクションを、5月4日に正式オープンすると発表した。アトラクションは高さ122mの観覧車「オーランドアイ」(15人乗りのカプセルが20分かけて一周する、ラスベガスの「ハイローラー」より少し小さいが米国東海岸では最高)、有名人のろう人形を集めた「マダムタッソー・ワックス・ミュージアム」、魚類を集めた「シーライフ水族館」で、利用料は観覧車だけだと18-32(条件で異なる)ドル、3アトラクションセットだと35ドル。「アイ・ウォーク・フロリダ」は州間(インターステイツ)高速道路(4号線)沿いのショッピング&レジャー複合施設だから、「アイ」を頭文字にした。遊園施設では高さ128mと世界最高のチェーンタワー「スターフライヤー」もある。物販店、レストランなども充実している。

 11.ベルギーを本拠とするクレーンゲーム機の世界的メーカー、エラウト社の米国子会社である、エラウトUSA社(ニュージャージー州レイクウッド)が12月に元経営者を相手取って160万ドルの支払いを請求する訴訟を起して話題になっている。ニュージャージー州のシューペリアコート(地裁)に提出された訴えによると、エラウトUSA社のジャック・ガーネリ社長兼CEOと経理担当のマイケル・カーリーCFOは60年の業界歴を持つエラウト社から金をごまかした、とされているが、双方の主張は似た者同士の言い分と受け取る向きもある。エラウト社が米国への進出を図って08年にモンデュース社を買収、米国子会社にしてガーネリ氏を社長に任命、ガーネリ氏は元のピンボールセールス社の経営を続けた。エラウトUSA社は米国で2つ目のフリッパーメーカーとして、ワーナーブラザーズ社の映画「オズの魔法使い」に基づく同名フリッパーを開発、現在では2作目の「ホビット」に取り掛っているのも事実。この間、ガーネリ氏らはエラウトUSA社に払い込まれる金をガーネリ氏の個人口座にプール、流用していたとのこと。

 12.米国アタリ社の最古参社員の1人で、「タンク」など画期的なビデオゲームを開発したスティーブ・ブリストー氏が2月22日、死去した。単行本「アタリ社=ビジネス・イズ・ファン」の発行所であるシジギ・プレス・カンパニーが明らかにしたが、死因などは明らかにしていない。またそれによると同氏は1946年12月生まれとなっているが、65歳としている。カリフォルニア大学バークレー校にいたころ、アンペックス社の研修に参加して、ナッチング社でノーラン・ブッシュネル氏が開発する「コンピュータースペース」の組み立てを手伝い、73年6月の大学卒業とともにアタリ社に就職、「ポンダブルス」などを作った。73年9月設立のダミー会社、キーゲームス社に加わり、74年11月の「タンク」、75年4月の「インディ800」などを開発した。75年に工学担当副社長になった。家庭用コンソール「VCS=アタリ2800」の開発チームを担当、84年7月にアタリ社家庭用がトラミエル氏に売却されたのを機に、アタリ社を去った。

 13.ゲーム開発メーカーだったアルュメ㈱(東京都目黒区中央町、津行良明社長)が2月10日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債は約2億円。99年10月にも営業を停止し、当時12億2千万円の負債があったという記録もある。1978年2月設立のTVゲームソフト下請け開発メーカーで、業務用「レゾン」(91年)、「ジンジンジップ」(92年)、「ブランディア」(同)、「機動戦士ガンダム」(93年)などを手掛けていたが、後にプレイステーション(PS)用「悟空伝説」や「アイドルプロモーションすすきゆみえ」など家庭用、PCゲームに移行。それでも業績が悪化、また写真シール機の画像取り込み装置の開発などで再建を模索していたが、11年10月に事業を停止していた。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015