2014年9月1日号 Last updated on August 15, 2014
特報
 スクウェア・エニックスが著作権侵害容疑で捜査を受けた。

 バンナム第1・四半期は大幅な増収増益。セガサミーは減益。
海外
 ウォルトディズニー社は「アナと雪の女王」のヒットで好調。

 バリーテクノロジーズ社がサイエンティフィック社に買収される。
国内

 「オーシャンドーム」の再活用断念、解体処分へ。

 東急プラザ蒲田店の屋上観覧車、リニューアル復活決まる。


2014年9月1日号のニュースダイジェスト
写真は台湾GTI2014で、上はIGS社のガンゲーム「モンスター・アイ」のアップライト(左側)と大きなデラックス型で、クリアする場面は5ステージある。下は日本のサファリゲームスが開発した、セイントファン社(尚芳)「バトルライダー」。


20年前の主なニュース

 米国アタリ社業務用はアタリゲームズ社から、タイムワーナー・インターラクティブ社(TWI)に変身した。ナムコの都市型テーマパーク第2弾、「たまご帝国」が開園した。セガ社は横浜・山下公園に「ジョイポリス」をオープン。カプコン、本社ビルを関係者に披露。(1994年9月1日号)

30年前の主なニュース

 JAMMAの質問に対し、NAOは幹部役員が参加した警察庁の説明会について回答した。サン電子は健全なゲーム機がポーカーゲーム機に容易に改造できる、と説明するのは間違いではないかと、NAOに催告した。任天堂は新作展でMDシステムを発表した。(1984年9月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .コミック誌連載の漫画とその単行本の中で、人気ゲームのキャラクターを無断使用した疑いで、大阪府警は8月5日、発行元のスクウェア・エニックスの本社(東京都新宿区新宿)など関係先を、著作権法違反(著作権侵害)の疑いで家宅捜査した。SNKプレイモア(本社大阪府吹田市江坂町)によると、SNKが著作権を持つ多数のゲームキャラクターを無断使用されており、発行・販売の即時停止を求めていたが、誠意ある対応がなかったので、今年5月に刑事告訴していた。アニメ化を請け負ったある映像制作会社が昨年夏、SNKにキャラクターなどの使用許諾を求めたところ、SNKが許諾していないにもかかわらず、「月刊ビッグガンガン」誌に連載されている押切蓮介氏の「ハイスコアガール」という漫画で、SNKの「ザ・キング・オブ・ファイターズ」、「サムライスピリッツ」などのキャラクターが許諾なしに使用されていることが判明。その単行本には(C)マークとともにメーカー名が表記されており、あたかも許諾されているかのようにしていた。スクウェア・エニックスは捜査に全面的に協力、自主回収に踏み切ったもよう。10月9日続報=スクウェア・エニックスは10月8日、著作権侵害の事実がないことの確認を求める訴えを大阪地裁に提出した。

 .バンダイナムコHDは8月5日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は16%増の1,225億4百万円、経常利益は22%増の176億3千3百万円、純利益は22%増の116億3千2百万円と大幅な増収増益になった。部門別でトイホビーの売上高は26%増の465億4千6百万円、営業利益は106%増の39億4千5百万円、コンテンツの売上高は15%増の657億8百万円、営業利益は10%増の133億5千9百万円、ゲーム場(3増15減の235店)の売上高は0.3%減の129億7百万円、営業損失は6億千5百万円(前年同期は7億5百万円)、その他の売上高は9%増の68億3百万円、営業利益は35%増の5億7千万円。「妖怪ウォッチ」などIP(知的財産)を基軸とするコンテンツビジネスが貢献した。このため中間期(第2・四半期までの6ヵ月)業績予想を、売上高2,550億円(5月の前回予想では2,350億円)、経常利益250億円(200億円)、中間利益160億円(125億円)と上方修正した。

 .セガサミーHDは8月1日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は3%減の883億6千6百万円、経常利益は41%減の100億千百万円、純利益は57%減の55億2千万円と減収で大幅減益だった。部門別で(1億円未満は切り下げ)遊技機の売上高は9%減の474億円、営業利益は31%減の129億円、業務用ゲーム機の売上高は8%増の82億円、営業損失は6億円(前年同期は4億円)、ゲーム場の売上高は4%減の96億円、営業損失は4億円(9千万円)、家庭用の売上高は13%増の214億円、営業損失は2億円(4千万円の利益)。遊技機はパチスロが堅調に推移しているものの、パチンコが引き続き低調だとしている。業務用販売について同社は「主力タイトルがなかった」と述べている。ゲーム場は3店舗増設で、国内201店舗。既存店の売上高は前年と同期比99%だったが、4%減になった。これは消費税率引き上げによる売上高減少の影響を受けたため、としている。

 .コナミは8月5日、第1・四半期(4-6月)決算〔米国基準〕を発表、売上高は7%増の486億6百万円、営業利益は114%増の31億9千百万円、株主帰属の純利益は46%増の13億6千百万円と大きく回復した。部門別でデジタルコンテンツの売上高は2%増の204億円、営業利益は2倍の34億円、健康サービスの売上高は5%減の180億円、営業損失は1億円(前年同期は3億円の利益)、カジノ機器の売上高は12%増の68億円、営業利益は8%増の13億円、遊技機の売上高は5倍の35億円、営業損失は4億円(5億円)など。デジタルコンテンツでは、スマートフォン向けサッカーゲームソフトウェア「ワールドサッカーコレクション」シリーズなどが伸ばした。業務用では「麻雀格闘倶楽部」などが堅調だった。カジノ機器は北米を中心に堅調だった。遊技機では初めてパチンコ機を出荷した。健康サービスは苦戦した。

 .スクウェア・エニックスHDは8月6日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は57%増の377億5千4百万円、経常利益は224%増の48億5千5百万円、純利益は34億8百万円(前年同期は4億9千3百万円の赤字)と大きく回復した。部門別でデジタルコンテンツの売上高は103%増の234億円(1億円未満は切り捨て)、営業利益は242%増の45億円、アミューズメント(業務用とゲーム場)の売上高は14%増の110億円、営業利益は80%増の15億円、出版の売上高は22%増の26億円、営業利益は37%増の6億円、知的所有権関係の売上高は8%増の6億円、営業利益は132%増の1億円。ゲーム場では4月に「バズドラ・バトルトーナメント」を投入、消費税の影響があったが、業績は堅調だったとしている。中間期(4-9月)業績予想を見直し、売上高680~740億円(5月の前回予想では630~690億円)、経常利益40~70億円(△20~20億円)、中間利益26~45億円(△13~13億円)に大幅上方修正した。

 .ラウンドワンは8月6日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は2%減の196億9千4百万円、経常利益は49%減の8億3千万円、純利益は23%増の7億7千8百万円だった。固定資産の売却に伴う減損損失がなかったため純損益は黒字だったが、業績回復に至らなかった。店舗は前期末から1増の114店。部門別はなく、種類別売上高は、ゲーム場が86億円(前年同期は80億円)、ボウリング場が58億円(68億円)、スボッチャが25億円(25億円)、カラオケが20億円(19億円)、その他が6億円(7億円)。ゲーム場では人気機種のバージョンアップや景品ゲームの商品構成の見直し、時間内は貸切りにする「遊び放題プラン」など実施し、増収となった。ボウリング場では「ボウリングde温泉ゲットキャンペーン」など企画したが、減収だった。業績予想は見直していない。

 .ユニバーサルエンターテインメントは8月8日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は202%増の171億7千9百万円、経常利益は25億千4百万円(前年同期は16億4千8百万円の赤字)、純利益は7億2千万円(12億5千百万円の赤字)と黒字化した。パチンコ・パチスロの遊技機の売上高は223%増の163億6千8百万円、営業利益は60億8千3百万円(3千万円)、その他の売上高は22%増の8億2千3百万円、営業損失は5億8千4百万円(3億千4百万円)。遊技機では4月にパチスロ機「緑ドンViva2」を、5月に同「B-Max」を市場に投入、期間中4万千台を販売した。米国ウィンリゾーツ社取締役会が12年2月、ユニバーサル側が所有していた約20%の株式をいわば強制的に買い取りを決めたことに端を発する、両社間の訴訟は継続されているが、裁判所命令により審理が延期されており、見通しがつかない状況にある。そのためウィンリゾーツ社株式については2期前から取得原価で評価するなど対応している。

 .カプコンは7月31日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は45%減の95億7千5百万円、経常利益は6%増の12億2千3百万円、純利益は8%減の7億6千5百万円と減収で最終減益だった。部門別ではデジタルコンテンツの売上高が56%減の55億6百万円、営業利益が168%増の11億3千百万円、ゲーム場の売上高が11%減の22億円、営業利益は42%減の2億千4百万円、パチンコ・パチスロ機器の売上高が27%減の14億9千8百万円、営業利益が5%減の6億2千7百万円、その他の売上高が22%減の3億6千9百万円、営業利益が21%減の1億7千7百万円。デジタルコンテンツでは販売が堅調ながら、有力ソフトの不足により、総じて軟調に推移したが、コスト削減により増益になった。ゲーム場の出退店はなく33店。パチンコ・パチスロは新機種がなく、リピート販売など、この部門の1割を占める業務用機器は既存商品の販売などに終始した。

 .アドアーズは8月11日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は5%増の56億8千5百万円、経常利益は26%増の3億3千百万円、純利益は10%減の2億5千万円と増収純減益だった。部門別でゲーム場の売上高は13%減の36億8千6百万円、営業利益は27%減の2億6千3百万円、不動産の売上高は163%増の18億5千百万円、営業利益は約8倍の2億4千5百万円、商業建築の売上高は70%減の1億4千6百万円、営業損失は7百万円だった。4月からの消費税増税に対し、メダル貸し出しに新価格を設定(千円でメダル500枚から600枚に変更)したりしたが、個人消費マインド減退による影響を補うに至らなかった。ゲーム場は1店減の55店。不動産販売での増収は、消費税増税に伴う駆け込み需要が年度をまたいだことによるもの。商業建築の減収は、業界の価格競争が厳しいため、としている。

 10.米国のウォルトディズニー社(ロバート・アイガー会長兼CEO)は8月5日、第3・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は8%増の124億6千6百万ドル、営業利益は15%増の38億5千7百万ドル、純利益は22%増の22億4千5百万ドルと好調を維持している。アナリスト予想を上回るもので、映画興行が特に好調だった。9ヵ月の累計では売上高が9%増の364億ドル、営業利益が24%増の102億ドル、純利益は27%増の60億ドルになる。部門別を9ヵ月累計でみると、(ケーブルTVなど)メディアネットワークの売上高が3%増の159億ドル、営業利益が9%増の58億ドル、パークス&リゾーツの売上高が7%増の111億ドル、営業利益が20%増の19億ドル、(映画娯楽の)スタジオ・エンタテインメントの売上高が23%増の55億ドル、営業利益が130%増の12億ドル、コンシューマープロダクツの売上高が14%増の29億ドル、営業利益が28%増の9億ドル。

 11.宝くじ大手で賭博機も製造する米国サイエンティフィックゲームズ社(ガビン・アイザックCEO)が、賭博機製造のバリー・テクノロジーズ社(リチャード・ハドリCEO)を買い取ることで8月1日、合意した。バリー社の発行済み普通株式を7月31日終値の38%増しの83.3ドルで買い取り、バリー社の負債18億ドルを含め計51億ドルを負担することになる。サイエンティフィックゲームズ社は84年設立だが、旧バリー・マニュファクチュアリング社(旧バリー社)の子会社だったことがある。それが13年1月にWMS社を買い取り、賭博機分野に進出してきており、さらに今回の取引により北米市場ではジーテック/IGT社よりも売上高でやや上回り、占有率でトップを占めることになる。一方のバリー・ゲーミング社は30-70年代に拡張し続けた旧バリー社が、それまで手掛けた部門をすべて売り払い、最後に残った賭博機部門を92年にアライアンス・ゲーミング社が買い取り、06年に改称したもの。

 12.リゾート法適用第1号の宮崎「フェニックスリゾート」の中核施設「シーガイア」の巨大屋内プール「オーシャンドーム」は再活用を断念、解体処分することになった。フェニックスリゾートの松永裕文社長が8月1日、口頭で発表したもので、跡地の活用策が決まり次第、解体にかかるとしている。フェニックスリゾートは第三セクターで宮崎県主導で取り組んだ巨大プロジェクトで、94年9月に全面開業したが、01年に経営破たん。引き取り手がなかなか決まらなかったが、12年3月にセガサミーHDが完全子会社にした。93年開業で07年に閉鎖した「オーシャンドーム」は当時、再活用を検討する方針だったが、施設の一部で老朽化が進み、改装費用が想定を大きく上回る見通しになったことから、再活用を断念、解体することにしたもの。ドームに隣接するホテル「シェラトン・グランドメオーシャンリゾート」などについは、100億円を投じて来春から2年半かけて全面改装する、とのこと。

 13.「東急プラザ蒲田店」(東京都大田区)の屋上遊園地の観覧車は店舗の大幅リニューアル工事に入るため、3月に営業終了した。しかし、終了直前の1週間にふだんの10倍に当たる1万2千人が訪れ、また存続を望む声が多く、強かったため、10月のリニューアルオープンとともに復活することを決めた。東急プラザ蒲田店は東急不動産初の全館店舗ビル「蒲田東急ビル」として68年に開業、その後都市型商業施設として現名称に改称した。都内で最後となった屋上観覧車は高さ12.7m(地上から43m)で、3分半で1周するもので、中村製作所/ナムコが委託を受けて営業してきた。68年からの初代(通称「お城観覧車」)、89年からの2代目「グレ太の観覧車フラワーホイール」に続き、リューアル後の10月から3代目となる。そこで3代目の名前を8月7日から9月7日まで、幅広く募集することになった。インターネットを通じてだれでも応募でき、入賞者にはこの観覧車の「生涯無料IDカード」などが贈られる予定。10月1日続報=3代目の名前は「幸せの観覧車」に決まった。

 14.「子どもたちが毎日短時間(1時間以内)ビデオゲームで遊ぶと、長時間(3時間以上)に比べて、心理社会学的な適合が進み、課題にうまく順応し、生活に大いに役立つ」。しかし、「3時間以上遊ぶ子どもたちは、生活への満足感が低い」。英国オックスフォード大学での最新の研究結果として8月4日に、英国の学術論文雑誌「小児科学」で発表されたもので、実験心理学者のアンドルー・プシビルスキ博士は、10-15歳の子どもたち5千人を対象とした、調査結果をこのように明らかにした。「うまく順応する」というのは、生活の満足感、友人らとの相互作用、困っている人を支えようとする気持ち、などを指すとのこと。同博士はこれまで、「(ファースト・パーソン・シューター(FPS)ゲームなどの)暴力ゲームが攻撃性を強めたりしない、ゲームの難しさは生活への満足感を低下させる」など興味深い研究結果を発表している。日本で、似たような研究がなされているのか、は不明。




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