2014年8月15日号 Last updated on August 1, 2014
特報
 サイパン島カジノ、ベストサンシャイン社の開発に内定

 20世紀フォックス社、韓国・釜山にテーマパーク、カジノホテル計画。
海外
 イタリアのジーテック社が米国IGT社買収で合意した。

 ブランズウィック社がボウリング場事業をAMF社に売却した。
国内

 オリエンタルランド4-6月決算は、3%減収でも、純利益は最高。

 エキスポランド跡地の複合施設、15年秋完成予定だが内容は未定。


2014年8月15日号のニュースダイジェスト
写真は7月15日にオープンしたユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハリーポッターエリアにて、上は「ホグワーツ城」の外観。下は「ホグワーツ城」の中にあるアトラクション「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」のライド座席部分の見本。


20年前の主なニュース

 米国アタリゲームズ社の中島英行社長が64歳で病死した。AMショーに65社、1393小間の出展申込み。米国AAMAは初のアジア展、AAEを香港で開催した。韓国のTVゲームメーカー、KAMMAを結成。タイトーは新作展で「リアルパンチャー」を発表した。(1994年8月15日号)

30年前の主なニュース

 「8号営業」新設の疑問点を残したまま、衆参両院で付帯決議、参議院では小委員会設置して、風営法改正法案を可決。セガ社新作展で、「ウォーターマッチ」など披露。アイレム新作展で、「ロードランナー」公開。米国のスターン・エレクトロニクス社が倒産した(1984年8月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .オリエンタルランドは7月29日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は3%減の1,042億3千6百万円、経常利益は3%減の253億9千6百万円、純利益は5%増の171億3千8百万円とまずまずだった。内訳はテーマパークの売上高が2%減の861億5千3百万円、営業利益が2%減の218億4千8百万円、ホテルの売上高は7%減の139億5百万円、営業利益が24%減の25億4千百万円、その他の売上高が3%増の41億7千7百万円、営業利益が10%増の3億5千4百万円だった。テーマパーク入場者数はスペシャルイベントや映像アトラクション「ワンス・アポン・ア・タイム」などで増加したものの、前年の30周年イベントの反動で、わずか上回ったのにとどまり、売上高、営業利益が前年を下回ったが、純利益は過去最高となった。また業績予想からすると、テーマパークの売上高と営業利益は上回り、ホテル事業なども増収増益になったと説明している。

 .任天堂は7月30日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は8%減の746億9千5百万円、経常損失は99億6千4百万円(前年同期は148億千7百万円の利益)、純損失は99億2千4百万円(86億2千4百万円の利益)と赤字に転落した。海外売上高は580億円で、海外売上高比率は77.8%。5月に発売して、ミリオンセラーとなった「マリオカート8」Wii U用(本体との同梱とダウンロード版を含む)は国内で59万個、海外で224万個販売、計283万個となった。毎回約千万個の販売が期待される人気シリーズのゲームソフトで、海外での「Wii U」販売台数を前年の6倍の45万台に押し上げた(世界全体では本体が3倍の51万台、ゲームソフトが4倍の439万個)。しかし、これまで好調だった「3DS」本体の売れ行きは、41%減の82万台にとどまり、ゲームソフトも22%減の857万個だった。業績予想は変更していない。

 .コーエーテクモHDは7月28日、第1・四半期(4-6月)決算を発表、売上高は3%減の63億2千万円、経常利益は27%増の21億2千7百万円、純利益は45%増の13億6千百万円と少し回復した。事業別ではゲームソフトの売上高が35億円、営業利益が1億円、オンライン・モバイルの売上高が16億円、営業利益が3億円、メディア・ライツの売上高が3億円、営業損失が千万円、PS(パチスロ)液晶の売上高が3億円、営業利益が1億円、ゲーム場運営の売上高が3億円、営業損失が8百万円、その他の売上高が1億円、営業利益が3千万円。業務用AM機事業はなく、ゲーム場については、「消費税率引き上げに対し、売上対策やコスト削減など注力したが、既存店売り上げが軟調に推移したことから、損失が発生した。今後は販促企画を中心に集客力の向上に努めるとともに、グループIPを活用した新規ビジネスを展開する」と説明するのにとどまった。

 .エスケイジャパンは7月14日、第1・四半期(3-5月期)決算を発表、売上高は19%増の18億6千万円、経常利益は千5百万円(前年同期は5千3百万円の赤字)、純利益は千9百万円(5千8百万円の赤字)と黒字だった。主力のアミューズメント向けの売上高は38%増の9億7千5百万円と回復、セールスプロモーション(SP)向けも26%増の2億千3百万円で、これらを合わせたキャラクターエンタテインメント事業の売上高は36%増の11億8千8百万円、営業利益は2百万円(8千百万円の赤字)と回復傾向にある。またキャラクター・ファンシー事業(スマートフォン向け、コンビニストア向けなど)の売上高は2%増の6億7千百万円、営業利益は70%減の3百万円だった。

 .イタリアの政府委託宝くじを運営するジーテック(GTECH)社と、米国に拠点を置く世界的なカジノ機器メーカーのインターナショナル・ゲーム・テクノロジーズ(IGT)社は7月16日、宝くじ/賭博分野で経営統合することで合意、ジーテック社はIGT社の株式を現金と株式により47億ドルで買い取り、17億ドルの債務も引き継ぐ(計64億ドルの買収)ことになった。両社は新たに持株会社を英国に設立、米国ラスベガス、ロードアイランド州プロビデンス、イタリアのローマに事業本部を開設、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場申請する予定。IGT社は「TVポーカーの父」、「スロットマシンの王」と呼ばれるサイ・レッド氏が1975年に設立したゲーミング(賭博)機メーカー、A1サプライ社がサーコマ社を経て、81年現社名に改称したもので、世界的なリセッション(景気後退)や消費者によるスロットマシンへの支出減によりこのところ売上高は減少傾向にあり、このため自社株式の売却を模索していた。買収手続きは15年の第1・四半期に完了する予定。

 .フィリピンのマカティ地裁66支部は7月25日、センチュリー・プロパティーズ・グループ(CPG)との不動産取引を含む契約をユニバーサルエンターテインメントは終結してはならない、という命令を出した。地元メディアが伝えた。ユニバーサルは13年11月、子会社のイーグル1ランドホールディングを通じて、CPG社にイーグルの優先株を発行する契約を結ぶことにより、外国資本が40%以上フィリピン不動産を所有してはならない、とするフィリピン国内法をクリアすることになったとしていた。ユニバーサルはそれまで、ロビンソンズ社や、エムパイア・イーストランド社といったん合意したが、いずれも中途解約している。ところが今年3月、ユニバーサルが提携解消を通知してきた、とCPG社が発表、このため法的対応をすることになったが、5月にマカティ地裁はCPG社による仮処分申請を却下した、とユニバーサルが発表していた。今回の決定ではイーグル1の株式を第三者に譲渡することを禁止している。カジノ監督機関の「PAGCOR」は、このままではユニバーサルにカジノ許可を与えることはできない、と説明している。

 .ビリヤード台、ボウリング機器製造の米国ブランズウィック・ボウリング&ビリヤード社(本社シカゴ郊外)は7月17日、そのボウリング場運営事業をボウルモルAMF社(本社ニューヨーク)に1億8千7百万ドルで売却することで合意した。ボウルモルAMF社は米国で11州250ヵ所のボウリング場を運営している最大手で、88ヵ所を運営する米国第2位のブランズウィック社のボウリング経営事業を買い取る手続きを10月までに終える。創業1845年のブランズウィック社はかつて主力事業だったボウリング機器事業も年末までに売却する方針で、ビリヤード台、レジャー用船舶とフィットネス事業に経営資源を集中するとのこと。一方、創業1900年のアメリカンマシン&ファウンドリ(AMF)から発達したAMFボウリング社は2001年に連邦破産法チャプターイレブンを申請、12年に2度目のチャプターイレブンを経て、現在ボウルモルAMF社として再建中で、ボウリング場経営事業を中心に、レジャー用2輪車などに力を入れていく方針だ。

 .米国のゲーム場でよく見かけるアーケードゲーム機、「スキーボール」はミニボウリングレーンのようなレーンでボールを転がし、標的の手前でボールが飛び上がり、標的のポケットに入ると得点になるというものだが、日本ではまず見かけない。その元祖に当たるメーカー、スキーボール社が2011年に、似たような製品を製造、トーナメント大会も展開してきたフルサークル・ユナイテッド社を訴えていた商標侵害訴訟について、6月に和解して解消、許諾したことが分かった。「スキーボール」は1909年、フィラデルフィアのデクソン・エステ氏が発明、製品は1914年に遊園地に販売されたのが始まりで、ちょうど100年目に当たる。その権利はワーリッツアー社を経て、45年にフィラデルフィア・トボガン社が獲得、トボガン社は77年に専門の子会社としてスキーボール社を設立した。なお、スキーボールを使用したトーナメント大会は32年から催されている。和解に伴い、フルサークル社はスキーボール社から許諾を得て、製品を販売、トーナメントを開催し続けることになる。

 .北マリアナ諸島連邦のサイパン島でカジノ開設が可能になったのに伴い、カジノ開発を申請した2社のうち、ベストサンシャイン・インターナショナル社が承認される見通しになった。しかし計画されるカジノ建設には、巨大な労働力など必要なものが多く、また今秋実施予定の住民投票もクリアしなければならないなど、ハードルは決して低くない、と地元報道は伝えている。カジノ開設を申請したのはベストサンシャイン社、マリアナスター社といずれも香港資本の子会社で、7月15日サイパン政府ラタリー委員会が満場一致でベストサンシャイン社を選んだ。同社は20億ドルを投じて40年間のサイパンでのカジノ運営権を獲得、連邦政府はカジノ運営から生じる運営益を、財源の乏しい年金基金や公共サービスに充てることになった。改めてカジノ法を住民投票にかけるための運動は、必要以上に署名が集まり、9月にも実施される予定になった。以上とは別に小規模なゲーミング機運営を認める「Eゲーミング」法も施行されており、事態をさらに複雑にしている。

 10.大阪府吹田市の万博記念公園南側のエキスポランド跡地に出来る、ショッピング施設や教育施設、エンタテインメント施設などを収容する複合施設(名称未定)の工事が7月17日始まった。15年秋の開業を予定している。再開発を承認された三井不動産が発表したもので、新たなランドマークとなる建物は3階建て、延べ床面積223,000㎡で、うち店舗は88,000㎡、ここに約300のエンタテインメント施設と店舗を誘致する。エンタテインメント施設はまず大阪市港区の水族館「海遊館」が運営する、新タイプの水族館(名称未定、延べ床面積7,200㎡)が入るほか、シネマコンプレックスが入る予定。また建物に付属する形で、「日本最大級の」観覧車(名称未定、業者未発表)が建設される。企画書のひとつの核となる「エデュテイメント」施設の説明は、エンタテインメント空間の中で英語を学べる日本初の施設、人気キャラクターをテーマにした体験型施設とあるだけで、具体的には完成まで待たねばならない。

 11.米国の映画会社の子会社、20世紀フォックス・コンシューマープロダクツ社(ジェフリー・ゴドシク社長)と韓国・慶尚南道(ホン・ジュンビョ知事)は7月16日、釜山・鎮海経済自由区域に20世紀フォックスの映画に基づくテーマパークを建設、18年までにオープンすると発表した。面積は2.85平方キロメートルで、近くの国際空港から20分の距離にある。20世紀フォックスはマレーシアの首都クアラルンプールの郊外にも、同内容のテーマパークを建設中(16年オープン予定)。韓国では35億ドル(約3,500億円)投資してテーマパークとこれに付随するリゾートホテル、カジノ、スポーツと商業施設を建設する予定。合意発表には両者の代表と、オーストラリアを拠点とするテーマパーク専門の運営会社、ビレッジロードショー・テーマパーク社(VRTP)が参加した。20世紀フォックス社のテーマパークには氷河期を楽しめるアトラクション「アイスエイジ」が設けられるが、インドネシアの遊園地「アンクール」で今年4月「アイスエイジ」を開設、先に人気を集めている。




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