2014年6月1号 Last updated on May 15, 2014
特報
 規制改革会議が、「クラブ」を風俗営業から外す方向で提言。

 バンナム、セガサミーの3月期決算、増収減益に。
海外
 米国の小さい町のTVゲーム禁止令、32年ぶりに撤回される。

 ユニバーサル対ウィン訴訟、証拠開示再延長を退ける。
国内

 スクエニは黒字回復、カプコンは好調だが、デジタルモバイルは不振。

 ラウンドワンは特損計上で大幅赤字、アドアーズは黒字回復。


2014年6月1日号のニュースダイジェスト
写真はAOU/JAMMAの第2回JAEPOで、上は加賀アミューズメントの小間で「ミニドライブ」型の「ポリスアカデミー」(今夏予定、メーカー不明)、下はバンダイナムコゲームスの小間でメダルゲーム仕様の魚釣りゲーム「エースアングラー」。


20年前の主なニュース

 近鉄のテーマパーク「志摩スペイン村」がオープンした。ナムコ「ワンダーエッグ」隣に「たまご帝国」が開園する。景品を提供できる機種についての基準案について、JAMMAは試案を差し戻した。AOUは顧問に元警察庁の桜井健雄氏を迎えた。SNKの子会社、ナスカが設立された。(1994年6月1日号)

30年前の主なニュース

 JAMMAは風営法改正案に、罪刑法定主義に反する違憲立法だと猛烈に反対。警察は賭博機を許可しないと説明した。CSKは米国G&W社からセガ社を4千万ドルで買収した。ユニバーサルは米国ネバダ州で賭博機供給免許を得た。任天堂は「VSベースボール」を披露。(1984年6月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.政府の規制改革会議(議長は岡素之住友商事相談役)は5月12日の会合で、若者がダンスや音楽を楽しむ「クラブ」やダンス教室などの営業を、「風俗営業」として規制する風営法の規制対象から外すよう、提言をまとめた。「クラブ」は深夜飲食店に準じた扱いにする方向で調整、警察庁と協議し、6月にまとめる答申に盛り込む考えだ。一方、超党派の国会議員による「ダンス文化推進議員連盟」(会長は小坂憲次元文部科学相)は同様に、クラブなどダンス飲食店を風俗営業として規制している風営法の改正案をまとめ、5月中にも議員立法案として国会に提出する構え。これらの動きは、大阪の「クラブ」を風営法違反(無許可営業)だとして大阪地検が起訴した事件に関し、大阪地裁が4月25日に「性風俗を乱すおそれのある享楽的なダンス」をさせる営業ではなく、風営法の規制対象に該当しないと判断、無罪判決を出したことに、勢いづいたもの。大阪地検は、地裁判決は「法令解釈の誤りがある」として5月7日、大阪高裁に控訴した。

 .任天堂は5月7日、14年3月期決算を発表、売上高は10%減の5,717億2千6百万円、経常利益は42%減の60億8千6百万円、最終損失は232億2千2百万円(前年は70億9千9百万円の利益)と、12年3月期に次ぐ大幅赤字決算となった。海外売上高比率は69%で、円安により外貨建て資産の価値が増したが、経費が売上総利益を上回り、黒字に至らなかった。携帯型「DS」では「ポケットモンスターX・Y」が1,226万本のヒットとなり、本体は1,224万台、ゲームソフトは計6,789万本販売した。しかし、据置型「Wii U」では本体が272万台、ゲームソフトが計1,886万本にとどまった。こうした欧米での「Wii U」の伸び悩みで、3年連続の営業赤字となった。今期は「Wii U」活性化のため、ゲームパッドの特徴を生かしたゲームソフトの開発などを進めるとのこと。15年3月期の業績予想は、売上高5,900億円、経常利益350億円、最終利益200億円と黒字回復を予想している。

 .バンダイナムコHDは5月8日、14年3月期決算を発表、売上高は4%増の5,076億7千9百万円、経常利益は5%減の474億5千6百万円、最終利益は23%減の250億5千4百万円と増収減益だった。分野別でトイホビーの売上高は8%増の1,863億円、営業利益は7%減の105億円、コンテンツ(家庭用、業務用など)の売上高は6%増の2,784億円、営業利益は2%増の372億円、ゲーム場の売上高は3%減の581億円、営業損失は8億円(前年は16億円の利益)、その他の売上高は6%増の273億円、営業利益は3%減の16億円。コンテンツのうち業務用の売上高は7%増の709億円で、うちTVゲームは52%増の185億円だった。ゲーム場は直営店が13増20減の期末247店舗。国内既存店の売上高は前年比で6%減だった。ゲーム場の閉鎖、使用していた機械の処分などで51億円の特別損失を計上した。15年3月期は売上高5,000億円、経常利益450億円、最終利益280億円と予想している。

 .セガサミーHDは5月9日、14年3月期決算を発表、売上高は18%増の3,780億千百万円、経常利益は94%増の405億3千百万円、最終利益は8%減の307億2千百万円だった。遊技機の収益が盛り返し、減収から一転増収に、経常減益から増益に改善した。投資有価証券売却などで特別利益158億円、欧米子会社の清算で特別損失87億円を計上した。分野別で遊技機の売上高は27%増の1,819億円、営業利益は92%増の452億円、業務用の売上高は3%増の438億円、営業損失は12億円(前年は19億円の利益)、ゲーム場の売上高は1%増の432億円、営業利益は95%減の6千万円、家庭用の売上高は19%増の1,005億円、営業利益は20億円(前年は7億円の損失)だった。ゲーム場は国内のみを集計、5増9減で期末198店舗となった。国内既存店の売上高は前年比で4%減と低調だった。15年3月期は売上高4,500億円、経常利益350億円、最終利益210億円と予想している。

 .コナミは5月8日、14年3月期決算〔米国基準〕を発表、売上高は4%減の2,175億9千5百万円、営業利益は53%減の102億5千7百万円、株主帰属純利益は53%減の62億6百万円と、減収で大幅減益になった。分野別では、デジタルエンタテインメントの売上高は10%減の1,043億円、営業利益は45%減の117億円、健康サービスの売上高は4%減の765億円、営業損失は14億円(前年は30億円の利益)、カジノ機器の売上高は26%減の316億円、営業利益は31%増の73億円、遊技機の売上高は7%増の57億円、営業損失は19億円(11億円の損失)。主力事業のデジタルエンタテインメントは家庭用、ソーシャルゲーム、トレーディングカードゲーム、業務用が含まれているが、その内訳は発表されていない。15年3月期業績予想は、売上高2,200億円、営業利益120億円、株主帰属最終利益70億円を見込んでいる。

 .スクウェア・エニックスHDは5月12日、14年3月期決算を発表、売上高は5%増の1,550億2千3百万円、経常利益は125億3千4百万円(前年は43億7千8百万円の赤字)、最終利益は65億9千8百万円(137億千4百万円の赤字)と、増収で黒字回復した。13年8月運営開始の多人数用参加型オンラインゲームソフト「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」などが好調で、円安による為替差益もあった。ゲームソフト評価損17億円の特別損失、店舗閉鎖の補償受取金3.5億円の特別利益を計上した。分野別でデジタルコンテンツの売上高は6%増の945億円、営業利益は107億円(前年は4千4百万円)、アミューズメント(業務用とゲーム場)の売上高は6%増の469億円、営業利益は45億円(3億円の損失)、出版の売上高は8%減の102億円、営業利益は8%減の22億円、ライツ・プロパティの売上高は16%増の37億円、営業利益は67%増の11億円。15年3月期は売上高1,400~1,500億円、経常利益50億円~100億円、最終利益35億円~65億円を予想している。

 .カプコンは5月8日、14年3月期決算を発表、売上高は9%増の1,022億円、経常利益はほぼ変わらず109億4千6百万円、最終利益は16%増の34億4千4百万円と好調だった。13年9月出荷のゲームソフト「モンスターハンター4」(PS3、Xbox360用)が400万本のヒット、シリーズ累計も2,800万本となって業績を伸ばしたためだが、モバイルコンテンツは不振で苦戦した。このため事業構造改善費など56億円の特別損失を計上した。分野別の業績について、デジタルコンテンツの売上高は3%増の658億円、営業利益は36%増の44億円、業務用(遊技機用機器が9割)の売上高は38%増の231億円、営業利益は46%増の16億円、ゲーム場の売上高は3%減の106億円、営業利益は5%減の16億円、その他(ガイドブックなど)の売上高は4%減の25億円、営業利益は35%増の10億円だった。ゲーム場は1増2減で期末33店舗。既存店売上高前年比は5%減だった。15年3月期の業績は売上高800億円、経常利益102億円、最終利益66億円を予想している。

 .ラウンドワンは5月9日、14年3月期決算を発表、売上高は2%減の842億7千2百万円、経常利益は5%減の78億千8百万円、最終損益は196億8千百万円の赤字(前年は6億円の黒字)と、減収で大幅最終赤字になった。同社は財務体質の強化を目的に、店舗資産を売却すると同時に賃借して使用する「セール&リースバック」を推進しており、そのため固定資産売却損22億円、減損損失245億円、同70億円の計316億円を特別損失として計上した。同社は単一事業であり分野別はないが、サービス別の売上高は、ゲーム場が1%増の349億円、ボウリング場が9%減の272億円、スポッチャが6%増の109億円、カラオケが1%増の84億円、その他が27億円。店舗数は1増(米国)の期末114店(うち国内は111店)。15年3月期に国内で2店、米国で5店増やす計画をしており、15年3月期の業績は売上高855憶円、経常利益90億円、最終利益50億円を予想している。

 .コーエーテクモホールディングスは5月1日、14年3月期決算を発表、売上高は9%増の375億7千6百万円、経常利益は21%増の107億2千8百万円、最終利益は23%増の69億3千6百万円と、09年の経営統合以来最高の業績になった。部門別ではゲームソフトの売上高が254億円、営業利益が60億円、オンライン・モバイルの売上高が64億円、営業利益が10億円、メディア・ライツの売上高が20億円、営業利益が2億円、SP(パチンコパチスロ遊技機関係)の売上高が22億円、営業利益が9億円、ゲーム場運営の売上高が17億円、営業利益が9千万円、その他の売上高が4億円、営業利益が7千万円。遊技機関係を除いたアミューズメント事業は、経営統合以前からずっと事実上ゲーム場運営のみになっている。同社は15年3月期の業績予想を、売上高380憶円、経常利益110億円、最終利益70億円を見込んでいる。

 10.アドアーズは5月13日、14年3月期決算を発表、売上高は15%増の230億千万円、経常利益は214%増の11億6千8百万円、最終利益は5.7倍の9億4千3百万円と業績を回復させた。このため前日の12日に前期業績の上方修正を発表した。部門別では、ゲーム場運営の売上高が1%増の166億円、営業利益が35%増の13億円、不動産の売上高が257%増の49億円、営業利益が539%増の5億円、遊技機店やカラオケ店用建築の売上高が35%減の14億円、営業利益が52%増の7千万円だった。ゲーム場は11の直営店とブレイクの1店を閉鎖、期末56店になったが、その後も閉鎖が続いている。メダル貸出料を下げたが、既存店前年比売上高は4%減となった。不動産アセット部門は流動化不動産の取り扱いを開始して大きく貢献した。完全子会社のブレイク、キーノートを持つアドアーズは、Jトラストが約43%所有する子会社でもある。15年3月期は売上高240億円、経常利益7億5千万円、最終利益5億円を見込んでいる。

 11.米国のウォルトディズニー社は5月6日、第2・四半期(1-3月)決算を発表、売上高は10%増の116億4千9百万ドル、営業利益は34%増の33億5千3百万ドル、純利益は27%増の19億千7百万ドルと好調だった。部門別では(ケーブルTVなど)メディアネットワークスの売上高が4%増の51億ドル、営業利益が15%増の21億ドル、テーマパークの売上高が8%増の35億ドル、営業利益が19%増の4億ドル、映画娯楽の売上高が35%増の18億ドル、営業利益が約4倍の4億ドル、コンシューマープロダクツの売上高が16%増の8億ドル、営業利益が37%増の2億ドル、インタラクティブの売上高が38%増の2億ドル、営業利益が千万ドル。ミュージカルアニメ「アナと雪の女王」がヒットして、特に海外での映画興行、米国でのDVD販売が好調で、映画娯楽の利益を押し上げている。テーマパーク部門では一人当たりの消費額が増え、営業利益も増加した。同社は9月末決算で、3ヵ月ごとに四半期業績と累積業績を明らかにしており、今回も好調な中間決算を併せて発表している。

 12.米国東海岸の小さな町で、硬貨作動式(業務用)のTVゲーム機の運営を禁じる条例が32年ぶりに撤回され、話題になっている。マサチューセッツ州ボストン郊外の海岸沿いの、マーシュフィールドという人口約2万5千人の町で、「パックマン」、「ドンキーコング」など業務用TVゲームが全米で圧倒的な人気を集めていた1982年、直接民主主義に近い、住民による地方議会の「タウンミーティング」で、ゲーム場のTVゲームは少年の不登校、はいかい、賭博、薬物使用を引き起こすという理由で禁止条例を可決成立、83年に施行した。これに対し反対派の住人は、それらは理由にならないとして、施行停止を求めて連邦地裁に訴え、控訴・上告したが、当時は覆すことができなかった。そのためこの条例の廃止を求める条例案が94年、2011年に提出されたが、それらも失敗していた。今回のタウンミーティングでは203対175という、住民の意思で禁止条例を廃止することになったが、それでも票差が小さいことに驚きを禁じることができない、との声がある。

 13.米国ネバダ州クラークカウンティにある州地方裁判所で5月2日、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長と米国カジノ大手のウィンリゾーツ社が争っている米国での民事訴訟で、エリザベス・ゴンザレス判事は、連邦捜査局(FBI)を含む米国司法省(DOJ)が再度求めてきた、証拠開示手続きの再延長(中断)の申請を却下した。司法省はユニバーサルに対する刑事捜査を継続するために必要だとして、これまでにも中断を求めてきており、すでに6ヵ月2回(計1年)の中断をやむなく認めてきた。判事は司法省に対しすでに十分な時間を与えたと指摘し、再延期は5日で終了することを確認した。司法省は、このまま民事訴訟の手続きを進めるなら、証人の身元情報の開示など取り返しのつかない事態になる可能性があると主張しているが、判事はこれ以上待つわけにもいかないと説明している。司法省はユニバーサルがフィリピンのカジノ開発で、カジノを監督するPAGCOR関係者に賄賂を贈った疑いがあるとして捜査を続けている。

 14.ユニバーサルエンターテインメントは4月30日、米国のウィンリゾーツ社とスティーブン・ウィンCEOを名誉棄損などにより東京地検に刑事告発し、受理されたと発表した。告発人はユニバーサルと岡田和生会長、容疑事実は名誉棄損のほか信用棄損、風説の流布。発表によると、ウィンリゾーツ社が2012年2月にユニバーサルと子会社のアルゼUSA社が株主として適格でないと判断し、ユニバーサル側が保有するウィンリゾーツ社の株式を、大幅に値引きして強制的に買い戻したのは、名誉棄損などの罪を犯したことになるというもの。ユニバーサルは同じ被疑事実に関して、12年8月ウィンリゾーツ社を相手取って東京地裁に損害賠償を求める訴えを起こしたが、地裁は13年10月に米国で書証、証人を調べる審理中であるとして訴えを却下、ユニバーサルは高裁に控訴し、なお係争中(6月30日続報=6月12日、高裁は却下した)。今回の刑事訴訟手続きはこの民事訴訟とは別ものだが、東京地検が受理しても、起訴まで進められるかどうかさえ、まったく予想がつかない。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2014