2013年8月1日号 Last updated on Ju1y 15, 2013
特報
 東京地裁が「マジコン」の販売禁止、損害賠償を命じた。

 フェスティバルゲート跡地にマルハンが「韓流テーマパーク」を計画。

海外
 パラダイス・セガサミーが韓国・仁川のカジノ運営会社を取得した。

 世界最大級の「シンガポールフライヤー」が5月に経営破たん。

国内

 TDLの「ジャングルクルーズ」が14年にリニューアルする。

 テクモのTVゲームが13年ぶりに業務用に戻ってくる。


2013年8月1日号のニュースダイジェスト
写真はGTI2013台北にて、上は台湾IGS社の小間で42インチ画面のTVドライブゲーム「オーバーテイク」(火線狂飆)、下はセガ台湾の小間で中国ワーラップ社(華立)のTVドライブゲーム「ストームレーサー(雷動)MT」(左)と「KOドライブ」(右)を試しているようす。


20年前の主なニュース

 米国の「カプコンボウリング」事件、IT社がペレグリーニ氏に勝訴した。メキシコでもTVゲーム基板の無断コピーが大量に摘発された。タイトー3月期決算、増収だが第一物産の破産で減益に。サミー工業、米国プリミア社フリッパーの国内独占販売を決めた。(1993年8月1日号)

30年前の主なニュース

 セガ社のローゼン社長が会長に、中山隼雄副社長が社長に昇格した。任天堂「マリオブラザーズ」の家庭用海外は米国アタリ社が担当することになった。サン電子「アラビアン」の無断コピー訴訟は被告側が謝罪、法廷和解した。タイトーは新作展で「エレベーターアクション」を発表した。(1983年8月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .任天堂の「ニンテンドーDS」に取り付けてコピーソフトを使用できるようにする、いわゆる「マジコン」を輸入販売していたマジカルカンパニー(石川絹子代表)など東京にある4社と2名を訴えていた裁判で、東京地裁(高野輝久裁判長)は7月9日、任天堂とカプコンなど「DS」ソフト開発メーカー49社の訴えを認める判決を下した。マジコンの違法性については08年2月の東京地裁判決で認められているが、賠償責任などを問うためこの訴訟が09年10月、不正競争防止法に基づき起こされていた。今回の判決は被告に対しマジコンの輸入販売の差し止めと、総額9,562万円の損害賠償支払いを命じた。マジコンは技術的制限手段(セキュリティー)を回避して、ネットを通じて入手した無断コピーゲームを使用できるようにする装置だが、11年12月施行の改正不正競争防止法では、これらの装置の輸入販売行為に対する刑事罰が導入され、12年5月に初の摘発が行なわれている。

 .イオンファンタジーは7月3日、第1・四半期(3-5月)決算を発表、売上高は7%増の113億9千8百万円、経常利益は30%減の4億2千2百万円、純利益は45%減の1億4千8百万円と増収だが大幅減益だった。国内店舗は直営5店増で321店、FC1店減で2店の計323店。カードゲーム(商品物販)の売上高が25%増と大幅に伸びたが、機械による売上高は1.3%減となった。海外は中国で5-6月に大量出店しており、直営が6店増の17店、FCが4店の計21店、マレーシアは直営が1店増の28店、FCが2店の計30店、タイは2店で変わらず。これら新規出店に伴い営業原価が膨らみ、営業利益は28%減の4億6千5百万円となり、大幅減益となった。第2・四半期(6-8月)の業績予想は変更しない。なお同社の国内・海外にある店舗名は、10月末までにすべて「モーリーファンタジー」に統一される予定。

 .エスケイジャパンは7月12日、第1・四半期(3-5月)決算を発表、売上高は19%減の15億6千百万円、経常損失は5千3百万円(前年は8百万円)、純損失は5千8百万円(千百万円)と2年連続しての赤字だった。分野別ではキャラクター事業の売上高が23%減の8億7千6百万円、うちアミューズメント用は30%減の7億6百万円、販売促進用も30%減の1億7千万円で、営業損失は8千百万円(2千2百万円)と振るわなかった。アミューズメント用の後退は、「モケケ」など前年ヒットしたような商材がなかったのが大きな理由。キャラクター・ファンシー事業の売上高は19%増の6億8千4百万円と伸ばしたが、為替の影響など経費増加により営業利益は40%減の千2百万円だった。リテイル事業は今年2月に撤退しており、ナカヌキヤも清算手続き中。同社は第2・四半期までの累計(中間期)の業績予想も大幅な減収減益を見込んでいる。

 .パチンコ店最大手のマルハン(本社京都、韓裕社長)は7月9日、大阪・新世界の旧フェスティバルゲート跡地に、日本初の「韓流テーマパーク」(仮称)を14年秋にもオープンすると発表した。04年に倒産したフェスティバルゲートの跡地は、マルハンが09年に入札、落札し、どう再開発するか検討していた。同社の発表によると総工費100億円を投じ、今秋4階建ての建物と駐車場(総面積14,000㎡)に着工、建物の1階は韓国食品スーパーマーケット、2階は韓国の飲食物販店、3階は「K-POPホール」(仮称)などの多目的ホール、4階運営事務所など、韓国文化をテーマにした構成になる予定。隣接する「スパワールド」など観光施設にも近く、アジア各国からの集客を含め、初年度300万人の来場を見込んでいる。同社は6月27日、東京・浅草に複合施設「マルハン松竹六区タワー」を14年12月開業する予定だと発表したばかり。

 .コーエーテクモゲームスが7月6日、実に13年ぶりに業務用ゲームソフトを供給することになった。この日開かれた家庭用ゲーム大会において同社のゲームソフト開発を担当している「チームニンジャ」の早矢仕洋介プロデューサーが発表したもので、家庭用の「デッド・オア・アライブ5アルティミット」(P3用とXbox用、9月5日出荷予定)に基づき、セガ社がネット配信する業務用ゲームシステム「オールネットピーラス・マルチver.2」用に「デッド・オア・アライブ5アルティメイト・アーケード」を開発、13年冬に配信されるよう手配する。テクモは「デッド・オア・アライブ2ミレニアム」(00年1月)などを最後に業務用市場から撤退、09年4月にコーエーと経営統合後に出来た持株会社の子会社コーエーテクモゲームスで遊技機部品事業、コーエーテクモウェーブでゲーム場運営事業を継続しているが、業務用機器製造事業は途絶えたままとなっている。

 .オリエンタルランド(OLD)は7月12日、東京ディズニーランド(TDL)のアドベンチャーランドにあるアトラクション、「ジャングルクルーズ」をリニューアルし、14年秋に再オープンすると発表した。工事のため14年1月6日から閉鎖する。同アトラクションはボートに乗り込み、船長の軽妙なトークを楽しみながら、冒険と驚きに満ちたジャングルを探検するというアトラクションで、米国西海岸のディズニーランドを基に83年4月にオープンしたTDLに最初から設けられている。今回のリニューアルではイルミネーションや特殊効果などが加わるほか、照明やオリジナルの音楽で演出効果を高めるとともに、夜間だけの特別ナイトクルーズもあるなど楽しみが増える予定。クルーズの定員は32人、670mのコースを約10分かけて体験する。リニューアル投資額約16億円。

 .ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪)は7月5日、高精細の4K映像を導入した「ニュー・アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド4K3D」を一般公開した。「4K」はフルハイビジョンの4倍の解像度を持つことを表す画面解像度の規格で、アトラクション用の作品が実際に一般公開されるのはこれが初めて。04年1月に公開された3Dモーションライド「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド」の映像ソフトと機材を一新、極めてリアルな映像を体験できるとともに、光や音、炎、煙、水などを使った約100種の特殊効果を加え、立体音響をグレードアップしてこれまでにないほど臨場感を高めた。3D画面は12面あり,うちカーブしている巨大スクリーンは幅18メートル、高さ9mある。トラック全長368m、ライドは4人掛け3列の12人乗り車両で、一回約5分。約15億円かけて改造した。

 .セガサミーホールディングスは7月1日、韓国のパラダイスグループが韓国・仁川(インチョン)で先行運営しているカジノ施設「パラダイスカジノ・インチョン」を、同社とパラダイスグループとの合弁会社「パラダイス・セガサミー」が取得した、と発表した。セガサミーグループは12年5月、韓国でカジノ、ホテル、スパなどリゾート施設を開発、運営するパラダイスグループと提携、合弁会社が中心となって、インチョン国際空港に隣接する国際業務地域「IBC-1」で、韓国初のカジノ施設を含む複合型リゾート施設の開発を進めている。合弁会社がIBC-1での先行カジノ施設を取得したことから、セガサミーグループはパラダイス・セガサミーに役員と社員を派遣、カジノ運営のノウハウを習得するとともに、釜山広域市での複合リゾート開発や日本のフェニックスリゾート運営に活かすための体制を構築するとしている。

 .「シニアアーケード」は文字通り解すると「高齢者用ゲーム場」となるが、低料金でTVゲーミング機を運営しているものらしく、賭博ゲーム場対策でやり玉に挙げられ問題になっている。米国のフロリダ州では既報(5月15日号)のとおり、TVギャンブル営業を一掃するための新法によって、ゲーミングタイプの機器を設けた遊技場が確かに廃業に追い込まれたが、それらと一線を画す「シニアアーケード」までもが次々と閉鎖に追い込まれているのは不当だ、として「アーケード&ビンゴ協会」(ゲール・フォンティーン会長)が、ファミリー客を対象にしているファミリーエンタテイメントセンター(FEC)を相手に次々と訴訟を起こす活動に出てまた注目されている。同協会は4月、州に対し施行停止を求める訴えを起こしたが裁判所で却下されたため、今度は「ディブ&バスターズ」(D&B)や「チャッキーチーズ」(CEC、ともに上場企業)、ブーマーズ、ディズニーなどのFECが、新法の禁じる遊技機を設置して営業しているとして訴えを起こしたもの。

 10.世界最大規模の観覧車「シンガポールフライヤー」(高さ165m)を運営する、現地のシンガポールフライヤー社が5月28日に経営破たんしていることが分かった。この国際都市で有名な観光地のマリーナベイエリアに、5年前の08年4月に完成した「シンガポールフライヤー」は、構造など英国の「ロンドンアイ」と同じで、28人乗りカプセルが28個あり、日本の三菱重工などがカプセルを設計、製作したことで知られているが、1周約30分間で33シンガポールドル(約2,500円)という料金がネックとなって、利用客数が予想より伸びず、11年度でも1,140万人にとどまったため、ついに債務超過に陥り、再建手続きをとることになったもの。負債は不明だが、資金を大量に貸し付けている銀行が大口債権者として、管財人を指名、管財人の下で再建を図るもようだ。開業当初は運転が止まる事故が起こったりしたが、観覧車自体は今も通常通り日夜を問わず(8時半から22時半まで)運転を続けている。

 11.アドアーズは7月3日、アドアーズのカプセル自動販売機(いわゆる「ガチャガチャ」)の設置・運営事業をゲオに売却することで合意したと発表した。アドアーズは11年5月からゲオが運営する760ヵ所の店舗にカプセル自販機7,690台を設置、ゲオに運営を委託していたが、このほどゲオから自社で運営したいとの申し出があり、既存のカプセル自販機と付随する専用景品をゲオに売却することについて協議を開始、このほど合意に到達したもの。アドアーズは主力のゲーム場運営と建築事業、不動産事業に経営資源を集中することにし、7月末までに自販機と景品をゲオに引き渡すことになった。カプセル自販機に関する業務のすべてを解消するアドアーズには、特別利益1億8百万円が生じるが、事業収益についての影響は軽微になる見通しとしている。。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2013