2012年12月1日号Last updated on November 15, 2012
特報
 9月中間決算、バンナムは好調、セガサミー、コナミは振るわず。

 ラウンドワン、アドアーズなどは軒並み減収減益。

海外
 米国ディズニー社9月期決算はテーマパークが伸ばし快調だった。

 米国MGT社はユニバーサルなど5社相手に特許訴訟を提起。

国内

 旭精工の安部寛社長(84歳)に「旭日双光章」叙勲。

 SNKプレイモアの社長に、元TWI社の大畑政夫氏が就任。


2012年12月1日号のニュースダイジェスト
写真上は「旭日双光章」を受賞した安部寛旭精工社長、下は国立劇場大劇場において勲章を伝達する田中真紀子文部科学大臣(左)と安部寛氏。


20年前の主なニュース

 米国連邦控訴裁判所は、セガ社「ジェネシス」の互換ソフトを巡る訴訟で、リバースエンジニアリングはフェアユースであり、著作権侵害にならないとする決定を下した。セガ社は新作展で「スーパーヘビーウェイトチャンプ」など披露し、ナムコは新作展で「スウィートファクトリー」など紹介した。(1992年12月1日号)

30年前の主なニュース

 ナムコは「ポールポジション」を米国アタリ社に許諾、コナミ工業は「タイムパイロット」をセンチュリー社に許諾した。NAOエキスポ83の開催要領が発表された。JAMMA/NAO合同委員会は賭博機メーカーの除名勧告をすることになった。SNKは東三国の新本社ビルに移転した。(1982年12月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .米国ウォルトディズニー社は11月8日、第4・四半期(7−9月)決算と12年9月期決算(米国基準)を発表、「テーマパーク&リゾーツ」が伸ばして好業績となったことを示した。第4・四半期の売上高は3%増の107億ドル、営業利益は11%増の23億ドル、純利益は14%増の12億ドルで、うちテーマパークの売上高は9%増の34億ドル、営業利益は18%増の5億ドルだった。年間(通期)の売上高は3%増の422億ドル、営業利益は13%増の99億ドル、純利益は18%増の56億ドルで、うちテーマバークの売上高は10%増の129億ドル、営業利益は22%増の19億ドルだった。同社はまた10月30日、映画「スターウォーズ」の制作会社、ルーカスフィルム社を40億5千ドル(うち半分を現金、残り半分をディズニー社の株式)で取得することで合意したと発表して、注目された。

 .バンダイナムコHDは11月2日、中間(4−9月)決算を発表、売上高は15%増の2,226億円、経常利益は76%増の280億円、中間利益は116%増の173億円と盛り返した。事業別ではトイホビーの売上高が2%減の804億円、営業利益が28%減の64億円、コンテンツの売上高が35%増の1,166億円、営業利益が約3.7倍の201億円、ゲーム場の売上高は5%減の298億円、営業利益44%減の10億円、その他の売上高は12%増の128億円、営業利益は23%増の12億円。コンテンツの売上高のうち業務用は337億円(前年同期338億円)、家庭用は315億円(280億円)。ゲーム場は国内直営店が5増3減の213店だった。中間期実績と直近の業績動向により、13年3月期業績予測を、売上高4,550億円(5月の前回予想では4,550億円)、経常利益400億円(365億円)、最終利益230億円(215億円)と上方修正した。

 .セガサミーHDは11月2日、中間(4−9月)決算を発表、売上高は11%減の1,365億円、経常利益は50%減の72億円、中間利益は3%減の38億円と大幅な減収減益になった。遊技機の売上高は27%減の546億円、営業利益は50%減の104億円、業務用の売上高は4%減の198億円、営業利益は44%減の8億円、ゲーム場の売上高は7%減の217億円、営業利益は51%減の8億円、家庭用の売上高は6%増の357億円、営業損失は7億円(前年同期は60億円)、その他の売上高は約4倍の63億円、営業損失は1億円(2億円の利益)。業務用売上高のうち国内は6%減の160億円、海外は23%減の27億円。国内のゲーム場は2増5減の238店、海外は3店。遊技機を筆頭に全部門で減収減益になった(家庭用のみ増収赤字)が、利益面では半月前の業績予想を上回る結果となった。通期業績予想は修正していない。

 .コナミは11月1日、第2・四半期までの中間決算(米国基準)を発表、売上高は13%減の1,066億円、営業利益は38%減の125億円、株主に帰属する純利益は40%減の69億円だった。事業別でデジタルエンタテインメントの売上高は9%減の526億円、営業利益は23%減の116億円、健康サービスの売上高は3%減の403億円、営業利益は26%増の13億円、ゲーミングの売上高は8%増の113億円、営業利益は4%増の28億円、遊技機の売上高は80%減の26億円、営業利益は94%減の2億円。なおデジタルエンタテインメントの売上高の内訳は、コンシューマゲーム(家庭用)が11%減の152億円、SNSが7%減の158億円、eアミューズメント(業務用)が10%減の111億円、カードゲームが10%減の113億円となっている。

 .スクウェア・エニックスHDは11月6日、中間(4−9月)決算を発表、売上高は6%増の610億円、経常損失は62億円(前年同期は53億円の黒字)、中間損失は54億円(37億円の黒字)と、増収ながら大幅赤字になった。部門別ではデジタルエンタテインメント(家庭用ゲームソフト)の売上高が4%増の307億円、営業損失が20億円(77億円の黒字)、アミューズメント(ゲーム場運営と業務用販売)の売上高が10%増の231億円、営業損失が2億円(18億円の黒字)、出版(単行本など)の売上高が5%減の55億円、営業利益が17%減の12億円、ライツ・プロパティ(許諾料)の売上高が48%増の16億円、営業利益が66%増の3億円。アミューズメントのうちゲーム場運営売上高は前年比99%で堅調だったが、業務用が販売・インカムともに不振で赤字になったとしている。通期業績予想は10月30日に大幅下方修正済み。

 .ラウンドワンは11月9日、9月中間決算を発表、売上高は前年同期比6%減の432億7千3百万円、経常利益は45%減の38億千百万円、中間利益は17%減の20億千9百万円と、減収で大幅減益だった。営業種目別売上高はゲーム場が13%減の176億円、ボウリング場が16%減の148億円、スポチャが4%増の52億円、カラオケが変わらずの41億円。期末店舗数は3増1減の112店。ゲーム場については、新ゲームのす早い導入に加え、「わくわくプライズキャンペーン」などの企画実施により他店との差別化を図ってきたが、堅調に推移した前年の反動を受けたとしている。同社は最近の業績動向を踏まえ、通期の業績予想は売上高868億円(5月の前回予想は900億円)、経常利益は80億円(100億円)、最終利益は10億円(10億円)と下方修正した。

 .ユニバーサルエンターテインメントは11月2日、9月中間決算を発表、売上高は3%減の404億円、経常利益は17%減の182億円、中間利益は38%減の125億円だった。部門別では遊技機の売上高が4%減の390億円、営業利益が13%減の188億円、その他の売上高が3%増の14億円、営業損失が6億円(前年同期は5百万円)。同社は米国ウィンリゾーツ社の株式の20%を所有していたが、ウィンリゾーツ社が一方的に30%の割引価格、10年間の長期約束手形で買い戻し、それに対しユニバーサルは投資保存のため買い戻しの取り消しを求める法的手続きを取っており、現時点では確定していないため、決算上は従来通りの持分法により処理している。13年3月期の業績予想は売上高959億円(5月の前回予想は959億円)、経常利益360億円(313億円)、最終利益210億円(194億円)と上方修正した。

 .アドアーズは11月7日、9月中間決算を発表、売上高は21%減の96億6千7百万円、経常利益は53%減の3億7千万円、中間利益は55%減の3億9千5百万円と大幅な減収減益だった。主力のゲーム場は1年9ヵ月ぶりに新店「秋葉原店」を開設、てこ入れ策を実施しているが、売上高は13%減の82億9千5百万円、営業利益は33%減の6億8千9百万円と振るわなかった(既存店66ヵ所)。設計・施工の売上高は59%減の9億4千4百万円、営業利益は66%減の3千6百万円、不動産の売上高は5%減の4億千9百万円、営業利益は7%減の8百万円だった。業界全体の厳しい状況が続く中、13年3月期の業績予想を、売上高200億円(5月の前回予想では207億5千万円)、経常利益3億円(9億3千5百万円)、最終利益1億3千万円(7億円)と大幅に下方修正した。

 .ユニバーサルエンターテインメントの米国法人、アルゼゲーミング・アメリカ社が11月2日、他のカジノ用ゲーミング機器メーカーとともに、特許侵害で訴えられた。米国のMGTキャピタル・インベストメント社はその子会社のMGTゲーミング社がこの日、所有する米国特許の侵害を受けたとして、シーザース・エンタテインメント社、MGMリゾーツ・インターナショナル社、WSMゲーミング社、ペン・ナショナル・ゲーミング社、アルゼゲーミング・アメリカ社の5社を相手取って、損害賠償と禁止命令を求める訴えをミシシッピー州にある連邦地裁に提出したと発表した。侵害されたという特許(7892088)は01年10月に申請、11年2月に登録されたもので、インタラクティブサイン上でのセカンドゲームが、ファーストゲームでの特定のイベントにより引き起こされる、というゲーミング機のシステムに関わるものとされている。

 10.旭精工の安部寛社長(84歳)が、今年の「秋の叙勲」で旭日双光章を受章したことが分かった。小型で高性能の硬貨選別装置や硬貨払い出し装置の開発、工業化に尽力して硬貨機器業界の発展に貢献した功績を称えるもので、11月9日、国立劇場大劇場で田中真紀子文部科学大臣による勲章の伝達式が行われた。安部寛氏は東京都出身、1969年11月に台東区竜泉で旭精工を設立、84年8月に港区青山に本社を移転し、硬貨処理装置の専業メーカーとして開発、製造を進めるとともに、特許などの知的所有権の確立、普及に努めてきたことが知られている。これまで受章・受賞した主なものに、科学技術庁長官賞(92年4月)、黄綬褒章(03年4月)、知財功労賞(10年10月)がある。

 11.SNKプレイモアは11月1日付で新社長に大畑政夫氏(53歳)が就任したことを明らかにした。大畑氏は中央大学経済卒で、米国のジャレコUSA社部長を経て、95年にタイムワーナーインターラクティブ(TWI=旧アタリゲームス社の後継会社)国際担当、ミッドウェー・アミューズメント副社長、01年バンダイアメリカ社副社長、09年アクロディアアメリカ社社長兼CEOと業界歴は長い。SNKプレイモアでは2001年8月設立時の社長は外山幸一氏だったが、08年10月に細谷壮一郎氏、10年9月に水船亮氏に交代、このほど大畑氏が4人目の社長就任となった。SNKプレイモアは設立後の01年10月、大阪地裁の許可を得て、旧SNKの知的財産権など一括して譲渡を受けている。

 12.スクウェア・エニックスは11月8日、業務用オンライン対戦ゲーム「ガンスリンガー・ストラトス」(7月、タイトーから発売)のバージョンアップを実施するとともに、公式ゲーム大会の開催要領を明らかにした。新バージョン「ver1.30」では新たにキャラクター「真加部主水」とステージ「広島・新天地」を追加した。公式大会「ガンスリンガーズ・バトルアリーナ」の第1回東京大会は13年1月13日、東京ビッグサイトで開催する予定で、優勝チームには300万円、2位に150万円、3位に50万円の賞金とトロフィーなどが贈られる予定。同大会への参加手続きは4名1チーム単位で所定の様式に基づき11月22日から受け付け、12月5日から登録開始、25日以降に登録が完了する予定(詳しい手続きなどはネット上の公式サイトを参照)。同社では来年夏、インテックス大阪でも公式大会を開催、東京と大阪の賞金総額は1千万円になる、としている。

 13.コナミは10月5日、子会社コナミデジタルエンタテインメントの業務用「クイズマジックアカデミー賢者の扉」が197,429問の問題を収録する、「世界で最も出題数の多いトリビアビデオゲーム」として、1日にギネスワールドレコーズから世界記録認定を受けた、と発表した。「クイズマジックアカデミー賢者の扉」(12年3月出荷)は、03年7月からシリーズ化されている「クイズマジックアカデミー」(QMA)の9作目の最新版でタッチパネル使用、「eアミューズメント」サービスを通じてクイズ問題も更新され、時事問題など最新情報にちなむクイズが出題されることや、最大16人とのオンライン対戦が楽しめることなどが特徴となっている。「QMA」シリーズは業務用以外に「DS」など家庭用、「mobile」など携帯電話向け、「SP」などスマートフォン向けもある。

 14.カプコンはTVゲームソフト「戦国BASARA(バサラ)」シリーズに基づく、宝塚歌劇団のミュージカル「戦国BASARA」が、13年6−7月に東京・渋谷の東急シアターで公演されることになったことを明らかにした。「戦国BASARA」は家庭用ゲームソフトとして05年7月に出荷され、その後シリーズ化されたアクションゲームで、プレイヤーは有名な戦国武将を操作して敵を倒していくもの。業務用は「戦国BASARA X(クロス)」(08年4月出荷、アークシステムワークスが開発)があるだけ。なおカプコンタイトルの舞台化は家庭用の「逆転裁判」シリーズに基づく宝塚歌劇「逆転裁判−蘇る真実」(09年7月)、「同2」が先行しており、「同3」の公演が13年1月に予定されている。カプコンでは所有する豊富なコンテンツの多面展開を推進していくとしている。
  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。