2012年10月15日号Last updated on October 1, 2012
特報
 GTIアジアエキスポ2012延期原因は賭博機禁止の強化?

 東京ゲームショウ12でSNS、ネット配信が大きな傾向に。

海外
 米国アリゾナ州でエイトラインとマネープッシャー摘発続く。

 米国ウィンリゾーツ社、ユニバーサルに対抗して株主に反論。

国内

 海外子会社を加えた、イオンファンタジーの連結中間決算。

 八戸の「喫茶ワシントンクラブ」を常習賭博で摘発し、17台押収。


2012年10月15日号のニュースダイジェスト
写真はスペインの総合遊技機展「FER2012」(3月26−28日、マドリード)の主催者側記録写真からの続き。上はノボマチック社、下はウニデサ社の小間のようす。いずれもスペイン市場を代表するゲーミング機メーカーで、カジノ用賭博機と射幸遊技場用AWP機を展開している。


20年前の主なニュース

 初めて幕張メッセで開かれたAMショーを機に、JAMMAと米国AAMA、AMOAの各トップが、コピー基板防止を目的にした頂上懇談会を開いた。七号営業者が8号営業では景品提供ができないはずと指摘して、警察庁で事情を調査中だと、SC遊園(NSA)宮原久常務が例会で報告した。(1992年10月15日号)

30年前の主なニュース

 米国オーランドの「ウォルトディズニーワールド」に未来社会をテーマにした「エプコットセンター」が開園した。アタリ社は映画「ET」にちなむ家庭用ゲームソフト「ET」を開発中。セガ社「ザクソン」をコピーした丸菱電子に、コナミ「ツタンカーム」をコピーしたハード電子に地裁の仮差押え決定が出た。(1982年10月15日号



【ニユースダイジェスト】

 .中国・広州の「GTTアジアエキスポ1012」延期の理由は中国の公安当局が賭博禁止の取締りを強化したため、ということが9月16日に分かった。米国業界誌「リプレイ」が説明した。この業務用AM機の展示会は200社以上が出展を予定し、4ホールにわたる会場の小間位置も決定済みで、事前の入場登録も開始されていただけに、開催20日前での延期はいかにも唐突でその理由が注目されている。「リプレイ」は中国の業者と取引のある複数の米国業者から得た情報として、中国公安当局がどのタイプのリデムプションゲーム機が許されるかはかなり不確かなまま、製造工場を取り締まり、その結果一時または永久に閉鎖することになり、特に市場に出回っている「コインイン・コインアウト」のノベリティ機は賭博に関連すると考えられ、市場から追放されるもようだとしている。中国事情は分かりにくいが、11月開催がやっと決まった中国共産党第18回全国代表大会(党大会)が開かれ、政権首脳の人事が固まれば、これらの問題点は落ち着くと見られている。

 .業務用よりはるかに大規模な家庭用TVゲーム総合展「東京ゲームショウ12」(主催CESA、9月20−23日、幕張メッセ)が開かれ、日本を含む19の国と地域から国内126社、海外83社の計209社が過去最大の1,609小間に出展した。カプコンなど大手ソフトメーカーとグリー、プロシードなどソーシャル(SNS)関係が大きなブースを運営、市場をリードする意欲を示した。任天堂は伝統的に出展せず、またマイクロソフトは今回出展しなかった。展示されたゲームソフトは従来の家庭用、ハンドヘルド用、PC用から、携帯電話用、スマートフォン用、ソーシャルゲームなど一段と幅を広げており、流通形態もゲームソフトのパッケージ販売からインターネットを利用したネット配信へと大きく変化してきている。このためバンダイナムコゲームスやカプコンなど、交流ゲームを紹介するコーナーを初めて設けたほど。業務用はアークシステムワークスが新作「ブレイブルー・クロノファンタズマ」、「ギルティギアイグゼクス・アクセントコアプラスR」を出品した。

 .家庭用TVゲームの総合展「東京ゲームショウ12」の前日(9月19日)、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は「プレイステーション3」(PS3)の機能と価格はそのまま、ハードディスク容量を一段と上げて小型化、デザインを一新した新型「PS3」を10月4日に(HDD250GB内蔵税込み価格約2万5千円、500GBは3万円で)発売する、と発表した。北米、欧州でも同様に9−10月に発売される。ハンドヘルドの「プレイステーションポータブル」(PSP)は9月20日に約2割値下げして、次世代機「PSヴィータ」との価格差をつける。またスマートフォン向けのゲーム配信サービス「PSモバイル」を10月3日から日本、米、英、豪など9ヵ国で開始する。ゲームソフトは許諾を受けたゲームソフトメーカーおよびSCEワールドワイドスタジオが制作した各タイトルを50−850円(税込み)で配信する。なお任天堂は先に「WiiU」を発表済み。

 .イオンファンタジーは9月27日、第2・四半期までの6ヵ月(3−8月)決算を発表、売上高は219億千2百万円、経常利益は15億8千7百万円、純利益は7億3千8百万円だった。第1・四半期から北京の中国子会社とマレーシアの子会社を、また第2・四半期からタイの子会社2社を連結決算に加えており、このため前期比が出てこない。国内有数のオペレーター会社で、店舗数は国内直営が8月で319店(前年度末の2月で316店)、フランチャイズが3店(3店)、マレーシアが23店(20店)、中国が9店(5店)で国内322店(319店)と海外32店(25店)と増加した(タイの一号店は11月に開設予定)。6ヵ月決算の内容は「ほぼ計画に沿った」ものとしており、今期(3−13年2月)業績予想は変更していない。売上高のうち遊戯機械(ゲーム機と乗物機)によるものは1%増の165億6千5百万円、物販が10%増の47億9千5百万円などとなっている。

 .青森県警の保安課と機動捜査隊、八戸署は9月20日までに、八戸市下長1丁目の「軽食喫茶ワシントンクラブ」の経営者で会社役員の谷之上茂秋(64)と妻文子(56)を常習賭博の疑いで、店員の佐藤朝子(53)と細井えり子(47)を常習賭博ほう助の疑いで逮捕し、また44歳−69歳の客男女7人を賭博の疑いで逮捕、計11人逮捕したと発表した。ゲーム機17台と賭博に使用した現金などを押収した。調べによると、経営者は共謀して、店に設置していた麻雀や花札のテーブル型TVゲーム機で、客を相手に(クレジット数と思われる)1点百円で換金するなどして、常習的に賭博をし、また店員は経営者の指示で換金や両替などして常習賭博をほう助していた疑い。押収された麻雀TVゲーム機の場合、手前に硬貨投入口、配牌を操作する数だけのスイッチが並んでいるタイプだったが、メーカー名などは分かっていない。

 .米国の連邦捜査局(FBI)とアリゾナ州の賭博取締局は9月8−9日にかけて、アリゾナ州検察局とともに州都フェニックス地域で違法な賭博機を59台押収したが、逮捕者はなかった、とアリゾナの地元紙「ノースウェストバレー」が12日に報じた。これは州当局が捜査令状を得て、実施したもので、押収機の内訳は「エイトライン」タイプ54台、マネープッシャーが5台となっている。賭客はこれらの機械に現金を投入、さまざまなカジノ遊技をして、勝った場合はクレジットを換金してもらうなどしていた。州当局は、隣のカリフォルニア州から犯罪企業がフェニックスに移動してきて、コンビニ、ガソリンスタンド、タバコ屋など小さな小売店に違法な賭博機を供給している、との情報を得て一斉取り締まりに取り掛かったとしている。アリゾナ州では現金を払い出す遊技機は違法とされており、かろうじて4ドル相当の景品のみ認められているとのこと。6月にもマネープッシャーを70台、違法な賭博機として押収している。

 .米国カジノ大手のウィンリゾーツ社は9月18日、ユニバーサルエンターテインメントが5日ウィンリゾーツ社の株主に対して配布した役員候補推薦について、それはすでに株主でもないユニバーサルが、ウィンリゾーツ社の株主でなくなった理由から注意をそらす試みにすぎない、と決めつける手紙を株主に配布した。ウィンリゾーツ社によると、ユニバーサルはフィリピンのカジノ監督当局と取引するさい、米国の海外汚職行為防止法に明らかに違反したという証拠があるため、ウィンリゾーツ社は2月18日にユニバーサルが持っていた株式を買い戻しており、株主ではなくなっている。ウィンリゾーツ社の大株主の持株情報は、法令に基づき連邦政府の証券取引委員会(SEC)に提出されるとともに、ウェッブサイトでも公表されていると説明している。スティーブ・ウィン氏と岡田和生氏という両社のトップは、ウィンカジノホテルのライセンスを取得した7年前は親密な関係だっただけに、現在の利害対立はカジノ関係者を驚かせている。

 .米国のバレー・ダイナモ社は9月1日付で、スポーツ性のあるそのゲーム機製造事業を「バレー・ダイナモLP」(VDLP、LPはリミッテッド・パートナーシップの略)というより大きな企業連合の下に展開することになった。バレー社は1947年、ミシガン州でビル・リケット氏が設立、キディー社などの株主として発展、99年にダイナモ社、トルネード社と統合、テキサス州に本社を移転した。それを1845年設立のブランズウィック社が03年に買収し、その子会社になった。さらにそれはチャンピオン・シャッフルボード社のオーナー、ケリー・スタイツ氏に買い取られている。事業は業務用と家庭用のプールテーブル(ビリヤード台など)、フースボール(欧州を起源とする、手で操作するフットボールゲーム)、エアーホッケーテーブル、キュー/ボールの製造販売で、これらの製品がバレー、ダイナモ、トルネードなどのブランドで展開されている。 

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。