2012年7月15日号Last updated on July 2, 2012
特報
 三精輸送機、米国S&Sワールドワイド社の13%株主になった。

 セガ社、「ヒョーザン!」など下半期出荷の新作をまとめて紹介。

海外
 ユニバーサルは仮処分申請したが、訴訟舞台は州裁判所に。

 TVゲームキャラクターが、ディズニー3DCG映画に登場する。

国内

 ソーシャルゲーム運営6社はガイドラインなど決定。

 コナミ、創業者上月景正氏は会長に専念、新社長に次男拓也氏。


2012年7月15日号のニュースダイジェスト
写真はセガ社の新作展(大阪会場)で、上は係員の説明を受けて「頭文字Dアーケードステージ7AAX(クロス)」を試しているようす。下は「戦国大戦−1582日輪、本能寺より出ずる」をセットアップしたようす。


20年前の主なニュース

 香港の税関がコピーヤーを摘発、7人を逮捕、コピー基板510枚を押収した。韓国ソウル警察はコボングループを摘発した。セガ社は米国ロケ運営に再参入した。米国アタリゲームス社がリビエラでDB会合を開き、アタリ設立20周年を祝った。東京おもちゃショーで家庭用TVゲームの出展が増えてきた。(1992年7月15日号)

30年前の主なニュース

 米国セガ/グレムリン社のサンディエゴ新工場が完成、関係者に披露した。AMショー実行委員会、「賭博機排除基準」に触れる出品禁止を決める。東京玩具見本市から改名した東京おもちゃショーで、それまでのEL玩具に続き、家庭用TVゲーム機が主役になった。ギャンブルマシンの展示会が東西で開かれた。(1982年7月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .セガ社は6月26日大阪(28日東京、7月5日東京)で新作展を開催、「戦国大戦―1582日輪、本能寺より出ずる」(10月出荷予定)などを披露した。TVゲームはこのほか「頭文字Dアーケードステージ7AAX(クロス)」(11月)、「WCCF2011−2012」(11月)、オールネット・プラスマルチで配信する「アンダーナイト・イン・リバース」、「ゲーセンラブ」、「ギルティギアXXアクセントコア・プラスアール」(いずれも9月)を紹介。多人数用メダルゲーム機は「ガリレオファクトリー3プラネットゼロ」(12月)、「ビンゴドロップ」(10月)、「ヒョーザーン!」(8月)、「ゲキカザーン!」(7月)など出品、子ども用AM機は「それいけ!アンパンマン・ポップコーンこうじょう3」(12月)、「そうぞうキッズ・レッツゴーサファリ」(7月)を紹介した。

 .三精輸送機(大阪府吹田市、中川実社長)は7月3日付で米国S&Sワールドワイド社(ユタ州ノースローガン、リチャード・アレンCEO)の13%株主になることが、6月20日明らかになった。S&S社は94年3月設立の比較的新しい遊園施設開発メーカーで、絶叫タイプのローラーコースター「4次元」や、タワードロップ式の「スペースショット」などを開発、日本を含む世界中の遊園地に出荷していることで知られる。11年12月期売上高は3,757万ドル。5月現在の大株主はS&Sワールドワイドホールディング55%、HSKファンディング19%。S&S社が2百万ドル相当の第三者割当増資を行い、三精輸送機がそれを引き受けることで18日に合意した。三精輸送機は遊園施設のほか、舞台装置、昇降機などの製造、メンテナンスが主業務で12年3月期の連結売上高は136億円。

 .イオンファンタジーは6月25日、第1・四半期(5月20日までの3ヵ月)決算を発表、売上高は107億7百万円、経常利益は5億9千9百万円、純利益は2億6千9百万円だった。これまで連結対象でなかった中国・北京とマレーシアの子会社の業績を加えて単独決算から連結決算になり、第2・四半期からタイの子会社も加わるので、今期については前年比が出せない。国内の売上高は104億7千万円、営業利益は6億4千7百万円、海外の売上高は2億3千7百万円、営業損失は4千3百万円。国内は直営が2増の318店、フランチャイズが増減なしの3店、海外はマレーシアが2増の22店、中国が2増1減の6店。孫と同伴のシニアにポイントを付与する「イクジー会員制度」を導入、同社キャラクター「モーリーファンタジーのなかまたち」で装飾したオリジナルゲーム機を開発した。

 .グリー、DeNAなどソーシャルゲーム運営6社は6月22日、電子くじ「ガチャ」で獲得できるアイテムなどの「ゲーム内表示等に関するガイドライン」(9月実施)、犯罪を助長する可能性があるリアルマネートレード(RMT)を禁止する「RMT対策ガイドライン」(即日実施)、タイプ別処理方法などを定めた「コンプリートガチャ等に関する事例集」(7月実施)を定めたと発表した。6社による「ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会」が消費者庁の見解を受けるとともに、各方面の意見を参考に自主的に決めたもので、利用者がゲーム中にするアイテム購入や課金支払いは温存するが、RMTなど射幸心を助長するような傾向を市場から締め出そうとするもの。だが「遊び」には固有の規則(ルール)があり、それを破ると「遊びの世界」は失われる、という見方もある。

 .バンダイナムコゲームスと交流サイト(SNS)運営のグリーは6月26日、世界市場を含む包括的な業務提携をすることで合意したと発表した。具体的には、5月23日にグリーがサービスを開始した、グローバルでシームレスなアプリケーションが可能となる「グリープラットフォーム」向けに、バンダイナムコの豊富な知的財産を用いたソーシャルゲームを提供する、というもの。その第1弾として、原作コミックが累計1億2千万部発行された人気アニメに基づくソーシャルゲーム「ナルト・忍マスターズ」を国内で6月27日から配信、海外には順次各国版を配信していく。続いて今夏「テイルズ・オブ・カード・エボルフ」、今秋「サモンナイト」シリーズ、今冬「パックマン」シリーズ、「アイドルマスター」シリーズを配信する予定。両社は提携により、ソーシャルゲーム市場でも存在感を高めたいとしている。

 .山形県上山市にある遊園地「リナワールド」で6月17日午前11時ごろ、遊園施設「急流すべり」の乗物が追突、男性(52)と男児(10)が軽傷を負う事故のあったことが、県警上山署などの発表(19日)で分かった。幅約1m、長さ2.5mの4人用乗物が全長346mの水路コースを最大時速30kmで進んでいき、終わりに急降下がある施設で、乗物が2度追突し、乗っていた親子3人のうち2人が負傷したもの。前方の乗物のゴム製タイヤ2本がパンクし、自走できず停止したためと見られている。この日の営業前の点検時、タイヤに異常はなかったが、大阪のメーカーによる3月の定期検査では、乗物を運ぶコンベアのゴム劣化が発見されていたとのこと。同園は90年に開業、同施設は92年に営業を開始しているが、今回の事故により原因調査のため、運休している。

 .東京商事が経営する遊園地「軽井沢おもちゃ王国」(群馬県嬬恋村)で6月17日午前11時ごろ、遊園施設「ドラゴンコースター」に乗っていた小学1年生の男児(6)が約1.5m下のコンクリート路面に転落、右腕骨折など3ヵ月の重傷を負う事故が発生した。94年に導入した「ドラゴンコースター」は2人がけ座席が前後2つある車両5両編成(定員20人)の子ども用ローラーコースターで、1周63mのなだらかなコースを時速約20kmで3周するもの。安全対策として乗車時2人でひとつのシートベルトで固定し、1人の場合も同じベルトで固定する。係員は発車前に確認していた。身長100cm未満では乗れないが、これもクリアしていた。東京商事では事故発生をすぐさま公表するとともに、原因究明のため当分の間この遊園施設を運休することにした。男児が安全ベルトをすり抜けた可能性は否定できない、と見られている。13年11月8日続報=前橋地検は1日、書類送検された遊園施設管理者を不起訴処分にした。

 .ユニバーサルエンターテインメントは6月14日、ウィンリゾーツ社の筆頭株主としての子会社アルゼUSA社の地位保全を求める仮処分をネバダ州にある連邦地裁に申請した、と発表した。ユニバーサルの岡田和生会長は2000年以来、スティーブ・ウィン氏が設立したウィンリゾーツ社に多額の投資をし、カジノ経営に関する州政府からの許可取得を含め、親友同士だということを絶えず強調してきたが、今年に入って激しい訴訟合戦が繰り広げられ、火に油を注ぐ様相を呈してきた。今回の仮処分申請は、ウィンリゾーツ社がマカオの大学に多額の寄付をしたことに関する経理帳簿閲覧を求めた本訴に加えるもので、岡田氏がフィリピンのカジノ規制当局(PAGCOR)高官に贈与したのは海外汚職行為防止法(FCPA)違反だとしてユニバーサルの持株を割安で買い戻したのを、いったん元に戻すよう求めるもの。

 .米国ウィンリゾーツ社のスティーブ・ウィンCEOとユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長との争いは6月21日、訴訟の場を連邦裁判所からネバダ州裁判所に差し戻されることになった。連邦地裁のラリー・ヒックス判事が、州裁への審理差し戻しを決定した。ユニバーサルはウィンリゾーツ社がマカオの大学に寄付したことを示す経理帳簿閲覧を求めて、1月クラークカウンティにある州裁判所に提訴。これに対しウィンリゾーツ社は2月に岡田氏側がフィリピン当局者に贈賄、連邦法に違反したとして持株を時価の2割引きで買い戻し、州裁に提訴したが、岡田氏側の申し立てにより連邦裁に移されていた。そして、岡田氏側は6月15日に株主の地位保全を求める仮処分を連邦地裁に申請していた。今回の決定は、そもそもこれらの訴訟が州管轄のカジノに伴うものなので、連邦裁には管轄権がないことを理由にしている。

 10.80年代TVゲームの黄金時代を髣髴(ほうふつ)とさせる、米国ディズニー・アニメーション・スタジオによる劇場用の3DCGアニメ映画、「レック・イット・ラルフ」(邦題はシュガー・ラッシュ)が11月2日公開されることになり(日本では来春公開予定)、その予告編が先ほどディズニー・アニメーション・スタジオのウェッブサイトを通じて公開された。この映画はアーケード(ゲーム場)を舞台に、TVゲームで30年以上悪役を演じてきた「ラルフ」が、「ドンキーコングジュニア」を模した「フィックス・イット・フェリックス・ジュニア」という業務用アップライトのTVゲーム機の中で主役になって活躍する、というもの。「パックマン」、「Qバート」、「スーパーマリオブラザーズ」、「ストリートファイター」などに登場した「クッパ」などなどのユニークなキャラクターが多数共演する。

 11.ドイツの遊技機・自動販売機展示会、「IMA」は業界を取り巻く環境が不安定だとして、主催のメーカー団体VDAIは6月14日、13年の開催予定(1月15−18日、デュッセルドルフ)を取り消した。翌14年には再び例年どおりのペースで開くとしている。今年1月のドイツIMA12ではいつもどおり回転盤式射幸遊技機が主役となったが、一度に賭ける金額の上限、一度に払い出される金額の上限を含む規制は「遊技条例」と呼ばれる連邦法などによって決められており、それが近く変更される見通しで、その決定内容いかんで業界が大きく左右されるためとされている。射幸遊技や賭博に関係のないアミューズメントマシンと自動販売機はドイツで、射幸遊技機が設置される射幸遊技場のおまけのようなもので、IMAでAM機などが話題になったとしても、例年わずかなスペースしか与えられていない。

 12.家庭用TVゲームの世界的展示会である米国「E3」(エレクトロニック・エンタテインメント・エキスポの略、Eが3つでイースリー)2012は6月5−7日、いつものロサンゼルスCCで開かれ、主催者ESAによると大小約200社が出展、専門業者や投資アナリスト、報道関係者、小売店経営者など45,700人が有料登録入場した(東京ゲームショウと違って一般客は入場できない)。プラットフォーム(本体)を展開する米国任天堂、SCE、マイクロソフトは西館に、ゲームソフトを展開するバンダイナムコ、セガ社、コナミデジタル、スクウェア・エニックス、カプコン、ディズニーIMなどと初出展のグリーは東館に陣取り、ほぼ全メーカーが出展した(ゲームショーでは任天堂がいない)。任天堂の「WiiU」が発表されるなど、大手メーカーはショー前日に市内で方針発表会を繰り広げた。

 13.コナミは6月28日、創業者の上月景正会長兼社長(71)が代表権のある会長にとどまり、その次男である上月拓也代表取締役(41)が同日付けで社長になったと発表した。このトップ異動に伴い東尾公彦代表取締役(53)は代表権のない取締役となった。同社では市場の変化に対応し、経営の若返りを進め、グループ体制を強化するため、と説明している。上月拓也氏は95年に日本大学理中退、コナミ入社。97年米国家庭用子会社のKCEA副社長、01年コナミの米国法人KCA社長、02年KCEとKCAの会長(後者は現任)。09年コナミ取締役、11年6月から代表取締役。兵庫県出身。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。