2012年4月15日号Last updated on April 2, 2012
特報
 米国アミューズメントエキスポでロースリルズ社など新作を披露した。

 セガサミーHDは12年3月期業績予想を大幅下方修正した。

海外
 ユニバーサルエンターテインメントはウィンリゾーツ社を提訴した。

 米国スミソニアン美術館が家庭用TVゲームにスポットライトを当てる。

国内

 兵庫県は分煙を義務化する受動喫煙防止条例を可決した。

 福岡の幸和文化が自己破産した。


2012年4月15日号のニュースダイジェスト
写真はタイトーが3月上旬開いた新作展(大阪会場)で、上は1-2人用カラオケブース「ちょいKARA」、下はスクウェア・エニックス開発のカードバトルゲーム「超速変形ジャイロゼッター」を業者に説明しているところ。


20年前の主なニュース

 米国AAMAは子どもに対する虐待防止を訴えるポスターを配布した。米国ACME92(サンアントニオ)に中南米の業者も訪れた。浅草花やしきの高井初恵園長の伝記出版を祝う会が開かれた。旧社名ユニバーサルプレイランドのユーピーエル(UPL)が倒産した。東横娯楽の加茂飛智男社長が死去した。(1992年4月15日号)

30年前の主なニュース

 米国アタリ社は家庭用で大躍進、サンフランシスコのケーブルカー保存に百万ドル寄付した。JAMMAはAMショー83の単独開催を確認した。セガ社は「フロッガー」の著作権侵害を理由に太東商事を提訴した。JAMMA健娯委の岡田和生委員長は賭博機の基準を倍率300倍以上とした。(1982年4月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .米国の業者団体AAMAとAMOAが共催する、今年で3回目のアミューズメントエキスポ12(3月14−16日、ラスベガス)には、131社(前年121社)が378小間(341小間)に出展、2,961人の業者が登録入場した。ちなみに登録料は会員2人まで無料から非会員の500ドルまでいろいろある。展示会としてはバルク自販機関係のNBVAが前年に引き続き会場の一角(面積で全体の1割ほど)を占め、双方の体面を保とうとしたが、結局のところそれでも展示会の規模はかなり小さく、隣接する会場で開かれた「ナイトクラブ&バーショー」に及ばない後退ぶりだった。50年以上の伝統を誇ったAMOAエキスポ時代に比べると、このところ発展や進歩の跡はなく、出展社の数は多いがその展示内容は日本より薄い。最近の中国の一連の展示会に示されるような熱気は、日米欧では見られなくなった。それでも初日の夜、近くのホテルで登録業者を招待したレセプションが開かれ、千人ほど参加した。

 .【アミューズメントエキスポ12の続き】日系出展社は前年同様2社で、セガ・アミューズメンツ社は「バーチャテニス4」、「オペレーションゴースト」、「ビジュエルド」など紹介、ナムコアメリカ社は「パックマン・バトルロイヤル」DXタイプ、42インチ版「デッドヒート」、「鉄拳タッグトーナメント2アンリミテッド」など出品した。米国ペンタビジョン社はレインエンタテインメント社の「真・恋姫夢想v1.2」を出品した。インクレディブル・テクノロジーズ社は「2012ゴールデンティーゴルフ」、「シルバーストライクライブ」などシリーズ最新版を、ベトソン/ロースリルズ社は42インチ版「ホイールオブフォーチュン」など、ロースリルズ社はデルPCを使用した高画質の「ビッグバックHD」を披露した。ICE社のリデムプション鉄槌ゲーム「リアルスティール」が注目されたほか、会場では中国製品が目立った。スターン社はフリッパーの新作「AC/DC」を披露した。

 . セガサミーHDは3月30日、12年3月期業績予想を売上高3,940億円(昨年10月の前回予想では4,400億円)、経常利益595億円(755億円)、最終利益200億円(380億円)と大幅下方修正した。その結果、12年3月期決算は前年と比べ減収減益になる見込みだ。家庭用ゲームソフト部門は欧米向けが振るわず、営業損失を出す見込みになったため、事業の構造改革に踏み切り、一部タイトルの開発中止、在庫処理などを行うことにより約71億円の特別損失を計上する。遊技機部門ではパチンコのロデオ「モンスターハンター」の販売がずれ込んで年度を越え、タイ洪水の影響も加わり販売延期となる機種も出てきたほか、パチスロも市場の弱含みにより予想をやや下回る見通しになったため。なお業務用販売、ゲーム場運営の両事業は堅調に進んでいるとしている。

 .セガ社は3月27−28日、東京で新作展を開催、新作メダルゲーム機「ビンゴドロップ」など3機種を紹介したほか、ネット接続によりビデオゲームを配信する「オールネット・プラス(P−ras)マルチ」を9月中旬、レベニューシェア方式で実施することを明らかにした。このシステムはオペレーターが「オールネット・プラスマルチ」専用基板キットとハブルータボックス、ソフトキットを購入、セガ社がゲームソフトを配信するというもので、ゲームは販売せず、貸与するだけで、プレイ料金から1ゲームあたり30円を徴収する。オペレーターにとってゲーム導入のリスクが少ないなどのメリットがある、とされている。9月に第一弾として、エコール/フランスパン「アンダーナイト・インバース」、アークシステムワークス「ギルティギアエグゼクス・アクセントコアプラス」、トライアングルサービス「ゲーセンラブ。」の3作配信を予定している。

 .東京ドームは3月15日、12年1月期決算を発表、東日本大震災とそれに伴う電力不足、自粛ムードに加え、東京ドームシティアトラクションズの「舞姫」事故による休園により、売上高は前年比10%減、経常利益は52%減となった(最終損益は3億円の黒字回復)。部門別で東京ドーム事業(東京ドーム、アトラクションズ、ホテル、ラクーア、ミーツボート)の売上高は10%減の519億円、営業利益は28%減の88億円だった。舞姫事故と震災関係で受取保険金など特別利益に7億8千万円計上したが、舞姫事故に伴う営業補償、舞姫事故と震災関係の補修費用などを特別損失に22億円計上した。13年1月期はアトラクションズの順次営業再開、震災からの業績回復などにより、大幅な増収増益が見込まれている。

 .神奈川県に続いて2例目となる「受動喫煙の防止等に関する条例」が3月19日の兵庫県議会本会議で可決、成立、13年4月1日(罰則は10月1日)に施行されることになった。遊園地とゲームセンター、ボウリング場、カラオケボックスなどの娯楽施設には暫定措置として、「区域分煙」の義務が課され、パチンコ店、麻雀屋、キャバレーなどの風俗営業施設は喫煙防止努力義務を負うだけになった。兵庫県では飲食店など広範囲に禁煙を義務化することを目指したが、大半は分煙の義務付けにとどまるなど、規制内容は神奈川県並みになるなど大幅に後退した。条例により県内に約2万店ある飲食店のうち約4千店が分煙義務の対象となり、残りは喫煙を認めるが、喫煙の可否を店頭に掲示することが義務付けられる。条例に違反し、改善命令に従わない施設管理者は30万円以下の罰金、禁煙施設で喫煙した者は2万円以下の過料が科される。

 .セガサミーホールディングスは2月22日付け契約書に基づき3月26日、フェニックスリゾート梶i本社宮崎市大字塩路字浜山、河本和彦社長)の全株式をRHJインターナショナル社から4億円で買い取り、完全子会社にしたと発表した。従業員992人はそのまま引き継ぐ。河本社長は社長にとどまり、セガサミーHDからは里見治会長兼社長ら4人が社外取締役に就任する予定。また借入返済のため54億円余りをフェニックスリゾートに貸し付ける。89年に設立されたフェニックスリゾートは、94年に全面開業した「フェニックスリゾート・シーガイア」を運営していたが、01年に経営破たんして会社更生法適用を申請、同年6月リップルウッドHDが162億円で買収していた。屋内プールの「オーシャンドーム」は07年に閉鎖されたが、ホテル、ゴルフ場、国際会議場などの施設は営業を継続しており、今後セガサミーHDの子会社が「フェニックス・シーガイア・リゾート」の運営に当たることになる。

 .米国ラスベガスのカジノ王と、日本のパチスロ成金の争いが一段と激しさを増しつつある。ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長と10年来二人三脚で事業を進めてきた、ウインリゾーツ社のスティーブ・ウイン会長は、岡田氏がフィリピンのカジノ監督当局者に金銭を不正供与したとして2月24日、ウイン社だけでなくウインマカオ社の取締役からも解任した。岡田氏が開示を求めていたウイン社の帳簿書類については3月8日、ネバダ州地裁は岡田氏に対し2ページ程度の書類を作成するよう同社に命じ、それ以外は却下した。ユニバーサルは12日、同社が所有していたウイン社株式をウイン社が不当に低価格で償還した、として同社とその役員に損害賠償などを求める訴訟を連邦地裁に提出するとともに、岡田氏はウイン氏に対する憤懣やるかたない思いを、ネットを通じて約15分間のビデオ(字幕英語)に出演して表明した。

 .米国ワシントンDCにあるスミソニアン美術館は3月16日から9月30日まで、「芸術としてのビデオゲーム」展を開催中で、「パックマン」、「スーパーマリオブラザーズ」、「モンキーアイランドの秘密」、「ミスト」、「フラワー」の5点をプレイできる状態で展示するほか、アタリ社「VCS」からソニー「プレイステーション3」まで20種類のハードウェア用の家庭用ゲームソフト80点にスポットライトを当てる。陳列されるゲームソフトは昨年4月に175ヵ国で投票を実施した結果、選定されたものとされている。ただし「スペースインベーダー」や「ドンキーコング」など家庭用でも有名だが、その元になった業務用ゲーム機についてはあえて対象にしていないのが特徴。家庭用「オデッセイ」が発売され、業務用ビデオゲーム「ポン」が生まれた1972年から今年、40周年を迎えたのを記念する特別展で、10月以降も16年1月まで、フェニックス美術館など全米8ヵ所の博物館を巡回して開催される予定になっている。

 10.アドアーズは3月16日、KCカードとDVD/音楽CDレンタル事業について業務提携し、それに基づくレンタルショップの1号店を3月末に開設すると発表した(3月30日にオープンした)。KCカードが出資・経営し、アドアーズが運営を代行する。KCカードが持つマーケティング・顧客サービスのノウハウとアドアーズが持つブランド力と店舗開発能力を、レンタル事業において最大限に生かすことができると判断したという。「レンタル!アドアーズ」の店名で展開、1号店は地下鉄成増駅近くに開店する「成増店」で、KCカードはその運営業務をアドアーズに委託し、この事業で生じた利益は両社でシェアする。なおアドアーズで代表権のある藤沢信義会長は、KCカードの親会社のJトラストの筆頭株主であるが、今回の業務提携とは無関係としている。

 11.ユニーバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は3月7日、4−7月に期間限定アトラクション「ザ・マミー・ミュージアム〜ハムナプトラ・神々の呪い」を開設すると発表した。これはゲストをユニバーサル映画「ハムナプトラ」(原題=ザ・マミー、1999年)の世界に引き込むもので、特殊メイクなど最高のSFX技術と立体サウンドシステム、リアルなコスチューム、セットなど、ハリウッド映画制作で培われたクオリティで再現する恐怖体験アトラクション。ストーリーは、廃墟となった理由が謎に包まれたままの、博物館を巡るツアーが開催されることになり、二つあるルートから一つを選び、進んでいくというもの。所要時間は約4分間。4月28日から7月8日までの、火・水曜を除く52日間のみの期間限定。なおこれとは別に、建設中だった新エリア「ユニバーサルワンダーランド」が3月16日、オープンしており、1日スタジオパスを4月9日から200円値上げして大人6,400円とした。

 12.ゲーム場を運営してきた轄K和文化(福岡県筑紫野市廿日市北、河村美閭社長)が福岡地裁に自己破産を申請、同地裁は3月12日に破産手続き開始を決定した。負債はおよそ1億5千万円と見られている。古くからのオペレーター会社で、旧社名は幸和文化機器鰍セった。同地裁で6月7日に、報告集会が開かれる予定。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。