2011年8月15日号Last updated on August 1, 2011
特報
 任天堂は「3DS」を大幅値下げ、通期予想も大幅下方修正した。

 セガ社第1・四半期は全般に振るわず、連続赤字になった。

海外
 業務用セガUSA社は欧州子会社の下で再編、縮小する。

 米国最大手DBのベトソン社の創業者が死亡した。

国内

 バンダイナムコゲームス、タイトーが相次ぎ新作展を開いた。
 
 オリエンタルランドは年末、シルク・ドゥ・ソレイユ公演を終了する。


2011年8月15日号のニュースダイジェスト
写真はバンダイナムコゲームスの新作展(大阪会場)で「湾岸ミッドナイトマキシマムチューン4」の説明を受けているようす。下はタイトーの新作展(大阪会場)で「キックスルーレーサーズ」を試しているようす。


20年前の主なニュース

 米国ウィリアムズ社は新作フリッパー「ターミネーター2」を出荷した。セガ社は英国ヴァージン社傘下の家庭用TVゲーム販売会社を買い取った。ナムコはCGを応用したTVゲーム「スターブレード」を発表した。セガ社は米国製立体TVゲーム「ホログラム」を発表した。(1991年8月15日号)

30年前の主なニュース

 AMショーには71社が出展することになった。セガ社は新作展でカラーXYモニターの「スペースフューリー」など披露した。「ジャンピュータ」商標権問題はサンリツ技研が買い取り収拾した。コナミ工業「フロッガー」はセガ社が独占的に販売する。昭和鉄工の森周一氏、日興精機の山口松太郎氏が相次ぎ死去した。(1981年8月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .任天堂は7月28日、第1・四半期(4―6月)業績を発表、売上高は50%減の939億円、経常損失は425億円(前年同期は460億円)、純損失は255億円(252億円)と2年連続して振るわなかった。「3DS」と「Wii」の本体、ゲームソフトともに苦戦した上、外国為替損により赤字を広げ、13年度に発売予定の「WiiU」開発費用も負担になった。今年2月以来の販売台数が計画を大幅に下回っている「3DS」本体については、希望小売価格(現行2万5千円)を8月11日から1万5千円に大幅値下げして、てこ入れする。12年3月期(4―3月)業績予想は売上高9千億円(4月の前回予想は1兆千億円)、経常利益350億円(1,850億円)、最終利益2百億円(千百億円)に大幅下方修正、3期連続で減収減益になる見通しになった。

 .セガサミーHDは7月29日、第1・四半期業績を発表、売上高は29%減の653億円、経常利益は78%減の32億円、純損失は22億円(前年同期は70億円の利益)と赤字だった。遊技機の売上高は39%減の299億円、営業利益は53%減の71億円、業務用の売上高は22%減の81億円、営業利益は89%減の1億円、ゲーム場(国内は3増3減の248店)の売上高は1%減の109億円、営業利益は3.5倍の6億円、家庭用の売上高は22%減の162億円、営業損失は38億円(前年同期は6億円)。遊技機子会社のサミーが収益拡大を目指し、新工場と新流通センター(いずれも埼玉県川越市南台1丁目)の建設を決め、取得済み土地は別にして、工場に135億円、流通センターに27億円投資して今年10月に着工、来年6月に完成、9月から操業開始する予定。

 .カプコンは7月28日、第1・四半期業績を発表、売上高は37%減の119億5千3百万円、経常利益は153%増の5億4千6百万円、純利益は58%増の3億3千8百万円だった。家庭用・PCオンライン用の売上高は57%減の64億円、営業利益は77%減の4億円、モバイル向けの売上高は80%増の12億円、営業利益は4.6倍の4億円、ゲーム場の売上高は8%増の28億円、営業利益は192%増の5億円、業務用の売上高は245%増の8億円、営業利益は6百万円(前年同期は1億円の損失)、許諾料その他の売上高は18%増の5億円、営業利益は8倍の2億円だった。ゲーム場は増減なしの37店で、3月の東日本大震災で10店が一時休業したが、4月までにすべて営業再開した。

 .アドアーズは7月26日、9月中間期の純利益を4億2千万円(5月の前回予想では2億5千万円)、12年3月期の純利益を6億2千万円(4億5千万円)と業績予想を一部上方修正した。売上高、経常利益などの予想値は修正していない。同社によると、第三者割当増資を経てネクストジャパンが筆頭株主になり、代表取締役も異動する中、より一層企業競争力を高める必要があるところから、人事面で成果性を採用、年俸制へ切り替えた結果、賞与積立金等1億6千7百万円を取り崩し、特別利益として計上することにしたため。しかしその後も、横浜店や蒲田東口店などが8月末に閉店する予定になっており、売上高と経常利益を予想どおり確保できるのか、注目されている。

 .バンダイナムコゲームスは7月11−12日東京(15日福岡、20―21日大阪)で新作展を開き、新キャビネットを使用する「太鼓の達人」(11月出荷予定)など披露した。初代発売から10年を迎えた「太鼓の達人」を省電力、性能アップ、ネットワーク化するもので、切り替えを進めるため旧「太鼓の達人1―14」の下取りも行なう。10年目を迎えるもうひとつのシリーズで最新版の「湾岸ミッドナイトマキシマムチューン4」(12−1月)は全国の〈分身〉との対戦を可能にした。バナパスポートを使用、「3DXプラス」からカードデータを引き継げる。ターミナル1台と本体4台のDXセット(OP価格598万円)、ターミナル1台と本体2台のSDセット(328万円)の2通りある。コンテンツ利用料は1プレイ10円。「ポケモンメダルワールド」(1月)は6ステーション24人用のメダルゲーム機。

 .タイトーは7月15日、大阪(19日福岡、22日東京)で新作展を開き、ペダル式キックボードをシミュレートする体感アクションゲーム「キックスルーレーサーズ」(9月出荷予定)など披露した。1−2人用だが、2台を接続すると1―4人用となり、4人で競争することもできる。これは同社「NO考ゲーム」のひとつとしてSCロケ向けに開発された(OP価格78万円)。「ホッピングロード」を子どもサイズにした「ホッピングロードキッス」(出荷中)や、有力キャラクターを導入した「超・ちゃぶ台返し!巨人の星ド根性編」(12月)を紹介した。またすべてLED照明にした、省電力型クレーン機「ネイルステージ」(10月)も出品。プレイヤーの好みに合わせて衣装などカスタマイズできる、テークアートのゲームソフト「3Dコスプレ麻雀」(仮称、秋)など「ネシカクロスライブ」向けタイトルも紹介した。

 .セガ社の米国業務用子会社であるセガ・アミューズメンツUSA社(ピート・ガスタフソン総支配人)は7月14日に同社の再編計画を発表、セガ社の欧州業務用子会社であるセガ・アミューズメンツ・ヨーロッパ社(ポール・ウィリアムズ社長兼COO)の下で8月1日以後、セガ社製品とセガ社扱いの製品を南北米市場で販売し続けるが、南北米市場向けパーツとサービスについては新会社のプレイイット・アミューズメンツ社(ハイラム・ゴンザレス現CFOが責任者)が担当することになり、製品は生産地から直接出荷されることになった。例えばTVレーシングゲームの「グリッド」は英国から米国に出荷され、リデムプションゲームは下請工場のあるウィスコンシン州から出荷される。これらに伴い、製品販売チームとプレイイット・アミューズメンツ社はシカゴ郊外のイリノイ州エルクグローブの事務所から、より小さいウッドデールの事務所に移転する。

 .米国のAM業界で最大のディストリビューター会社である、ベトソン・エンタープライゼス社グループを率いるH・ベティ・インダストリーズ社の、創業者で名誉会長のハンバート・ベティ氏が7月24日、心臓麻痺によりマサチューセッツ州にある自宅近くの病院で死亡した。92歳だった。父親の故ハンバート・バート・シニア氏が1930年代にニューヨーク市でジュークボックスのオペレーターを開始、その長男のハンバート・ベティ氏が戦後兄弟とともに事業を拡大、78年にディストリビューター会社を買収して、子会社のベトソン・エンタープライゼス社を確立、ディストリビューター事業を全米に拡大した。90年代以降は第三世代のピーター・ベティ現会長らがベトソングループを経営しており、今日では「ターミネーターサルベイション」や「F&Fスーパーカーズ」などTVゲーム機の製造販売まで業務を広げている。

 .オリエンタルランドは7月25日、東京ディズニーリゾートにある専用劇場「シルク・ドゥ・ソレイユシアター東京」で08年10月以来公演している「ZED」(ゼッド)を12月末で終了すると発表した。世界的に有名なカナダのサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」と提携、日本初の導入となった公演で、ひとつの劇場でロングラン公演としては日本興行史上最速で観客百万人を突破するなど、新たな楽しみ方を提案してきた。しかし、もともと事業として赤字続きだった上、東日本大震災の影響で、観客の4割を占めてきた団体客が激減するなど環境が急速に悪化したため、黒字化は困難と判断し、年内で公演を終えることにしたもの。シルク・ドゥ・ソレイユ社との業務提携も解消することになる。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。