2009年3月1日号Last updated on February 15 2009
特報
 9ヵ月業績不振で、セガ社はリストラ、不振のゲーム場閉鎖へ。

 バンナムHDは減収大幅減益だが、通期予想は変更なし。
海外
 中国でメリット社製品のコピーヤーが起訴されることになった。

 米国ICE社のあるクラレンスにコンチネンタル航空機が墜落した。

国内

 アトラスは3月末までで業務用から撤退すると表明した。

 タイトーは2ウェイ硬貨投入で料金値上げの実験を開始した。


2009年3月1日号のニュースダイジェスト
写真は英国ATEI09で、上は米国グローバルVR社「ジャスティス・リーグ・ヒーローズ・ユナイテッド」、下はセガ・アミューズメンツ・ヨーロッパ社が出品した「セガラリー3」を試しているようす。

20年前の主なニュース

 米国任天堂がセキュリティチップ特許侵害で、アタリゲームズ社は独禁法違反でそれぞれ追加提訴した。JAMMAは法人格取得手続きのスケジュールを決めた。「大阪AMショー」を担当する委員会が発足した。バンダイがコアランドを買収した。アイレムが再統合した。テクモは新作展で「忍者龍剣伝」を披露した。(1989年3月1日号)

30年前の主なニュース

 メダルゲーム場に未成年者を立ち入らせない、改正青少年条例を和歌山県が施行。JAAが定めるメダルゲーム場運営基準、を青少年育成兵庫県民会議が配布した。JOUは特別優秀機に「スペースインベーダー」を選定した。ユニバーサルは米欧に拠点を設けた。「神風」のフジ・エンタープライズが倒産した。(1979年3月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.オリエンタルランド(OLC)は今期最高益の見通しになった。2月5日に4−12月業績を発表、売上高は13%増の3,004億円、経常利益は21%増の417億円、純利益は15%増の238億円とそれぞれ過去最高だった。特に25周年を迎えた東京ディズニーリゾートのテーマパーク事業が好調で、売上高は10%増の2,360億円で、営業利益は17%増の369億円だった。シルク・ドゥ・ソレイユシアター東京もオープンした。これらがすでに昨年11月の前回予想を上回るペースで推移していることから、通期(09年3月期)業績予想は売上高3,852億円(前回予想は3,750億円)、経常利益は359億円(298億円)、最終利益は208億円(174億円)とさらに上方修正した。

 2.セガサミーホールディングスは2月10日に4−12月期業績を発表、売上高は9.7%減の3,090億円、経常損失は50億円(前年同期14億円)、純損失108億円(157億円)だった。部門別で七号遊技機の売上高は14%減の1,069億円で、営業利益は56%減の52億円、業務用AM機の売上高は5%減の527.9億円で、営業利益は14%増の62億円、ゲーム場の売上高は21%減の544億円で、営業損失は49億円、家庭用の売上高は8%増の962億円で、営業損失は56億円。ゲーム場は6増22減の347店。通期予想は売上高4,350億円(5月の前回予想では4,700億円)、経常利益5億円(130億円)、最終損失215億円(50億円の利益)と大幅下方修正した。これに伴い研究開発費20%削減、ゲーム場110店閉鎖、人員削減(全従業員3,127名のうち約560名の希望退職を募る)などの対策を打ち出した。

 3.バンダイナムコホールディングスは2月12日に4−12月期業績を発表、売上高は6%減の3,156億円、経常利益は23%減の216億円、純利益は39%減の90億円と減収で大幅減益だった。部門別でトイホビーの売上高は9%減の1,199億円で、営業利益は10%減の104億円、ゲームコンテンツの売上高は2%増の1,061億円で、営業利益は2%増の101億円、ゲーム場の売上高は12%減の590億円で、営業利益は95%減の4千8百万円、映像音楽コンテンツの売上高は11%減の237億円で、営業利益は96%減の1.6億円など。ゲームコンテンツ売上高のうち、家庭用は23%増の593億円、業務用は21%減の381億円。ゲーム場のうち国内直営店は10増45減の258店(前年同期308店)。業績予想は修正しなかった。

 4.コナミは2月5日に4−12月業績(米国会計基準)を発表、売上高は5%増の2,340億円、営業利益は26%増の347億円、純利益は17%増の178億円と好調だった。部門別売上高はデジタルエンタテインメント(家庭用、業務用、カードゲームなど)が11%増の1,487億円、健康サービスが4%増の677億円、ゲーミングが5%増の132億円といずれも順調。しかしながら昨今の急激な世界経済の失速などにより、経営環境が厳しくなったとして、通期業績予想を売上高3,070億円(08年5月の前回予想では3,300億円)、営業利益390億円(450億円)、純利益185億円(260億円)と下方修正した。

 5.カプコンは2月5日、4−12月業績決算を発表、売上高は9%減の472億円、経常利益は68%減の21億円、純利益は95%減の1.79億円と大幅な減収減益になった。部門別では家庭用の売上高が13%減の267億円で、営業利益は27%減の44億円と減らしたが、業務用の売上高は121%増の48億円と伸ばし、営業利益は3.8億円(前年7億円の赤字)と黒字化した。ゲーム場運営の売上高は5%増の100億円だったが、営業利益は80%減の1億円だった。ゲーム場は3増2減で44店となった。コンテンツエキスパンションの売上高は46%減の38億円で、営業利益は92%減の1.9億円だった。その他事業の売上高は9%減の18億円で、営業利益は73%増の6億円だった。

 6.スクウェア・エニックスHDは2月12日に4−12月期業績を発表、売上高は9%減の1,034億円、経常利益は39%減の106億円、純利益は42%減の52億円と減収で大幅減益だった。部門別業績のうち、完全子会社のタイトーが担当するAM事業の売上高は15%減の437億円で、営業損失は8.7億円(前年同期は16億円の利益)、ただしこれは「のれん」の償却を含んでいる。「ロードオブヴァーミリオン」を含むその他事業の売上高は46%増の96.7億円で、営業利益は5%増の25億円。同社は通期業績予想を、売上高1,330億円(11月の前回予想では1,600億円)、経常利益100億円(200億円)、最終利益45億円(120億円)に大幅下方修正した。

 7.ラウンドワンは2月6日、4−12月期業績を発表、売上高は0.8%増の566.8億円、経常利益は29%減の72.5億円、純利益は48%減の31.1億円だった。店舗数は実質5増の87店。分野別売上高はゲーム場が1.4%(既存店だけでは9.8%)減の240億円、ボウリング場が0.3%(7.6%)減の200億円など。これに伴い同社は通期業績予想を、売上高780億円(11月の前回予想では800億円)、経常利益105億円(120億円)、最終利益50億円(59億円)と大幅に下方修正した。

 8.アドアーズは2月10日、4−12月期業績を発表、店舗が増えて売上高は14%増の193億円となったが、経常利益は78%減の3.4億円、純利益は77%減の1.7億円と大幅減益だった。ゲーム場の数は18増6減の84店以上で、その売上高は8%増の155億円、営業利益は73%減の5.3億円。ゲーム場以外の部門の売上高は設計・施工が99%増の32億円、機器レンタルが61%減の2.8億円、不動産その他が4%減の3.7億円。これに伴い通期(09年3月期)業績予想を売上高260億円(08年5月の前回予想では250億円)、経常利益5.6億円(16.25億円)、当期利益3.3億円(8.3億円)と大幅修正した。

 9.アトラスは3月末に業務用機器事業から撤退する、と2月6日発表した。86年4月設立の同社は業務用から開始、家庭用、ゲーム場運営と事業を拡大し、セガ社と共同開発した写真シール機「プリント倶楽部」(95年7月)のヒットを機に、97年10月株式を公開した。しかし、その後の業績は低迷し、タカラの関連会社化(03年3月)を経て、06年11月からインデックス・ホールディングスの子会社となっている。同社によると、特に業務用機器事業は黒字転換の可能性が乏しいとの判断に至り、廃止を決めた。家庭用に経営資源を集中するほか、ゲーム場運営でも改革を進める。これに伴い在庫処分など8億2千5百万円の特別損失を計上するほか、早期退職者優遇措置も予定している。

 10.遊園地「エキスポランド」を経営するエキスポランド(大阪府吹田市、清水忠一社長)は2月9日の取締役会で再建を断念した。同社の申し立てに基づき大阪地裁は10日、民事再生手続き廃止を決定しており、約1ヵ月後に破産手続きに移行する。同社は70年の日本万国博覧会付属の遊園地を引き継ぐため71年10月に設立、72年3月から遊園地を委託運営してきたが、07年5月に直営「風神雷神U」で人身事故を起こしてから深刻なトラブルが続き、同12月から休園していた。08年10月に民事再生手続き開始を申請、支援企業を探していたが不調に終わり、自力での再建も困難と判断した。従業員26人は解雇される。特殊法人の日本万国博記念機構は敷地の用途を「白紙」としている。

 11.米国メリット・インダストリーズ社は2月11日、中国広東省の公安部(警察)が、同省番禺(パンユー)市内のチェンタイ・エレクトロニクス(承泰電気)のオーナーであるヤン・シャンツェンを1月4日、商標権侵害の容疑で逮捕した、と発表した。チェンタイ・エレクトロニクス社がメリット社のTVゲーム機「メガタッチ」の無断コピー品を製造販売していたため、メリット社が08年2月に告訴、地元警察が3月に家宅捜査し、大量のコピー品を押収していたもので、改めて公安部がシャンツェン代表を逮捕、起訴することにした。公判まで拘留中で、有罪なら7年以下の禁固刑が言い渡されるとのこと。

 12.米国ニューヨーク州で2月12日午後10時20分(現地時間)、コンチネンタル航空のボンバルディア社製双発プロペラ機が墜落、乗客と乗員、巻き添えになった住民の計50名が死亡した事故は、「チェックス」などで知られるイノベイティブ・コンセプツ・イン・エンタテインメント(ICE)社の本社がある、クラレンスというバッファロー市郊外で起こったことが分かった。飛行機はニューヨーク市の近くにあるニュージャージー州ニューアーク空港から飛んで来て、バッファロー空港に着陸する直前だった。仕事でこの便をよく利用しているICE社の経営陣は、会社からせいぜい3kmほどしかない事故現場のようすを語った、と伝えられている。

 13.タイトーは2月2日、直営店の「タイトーステーション」渋谷店でゲーム料金の値上げを試験的に開始、続いて6日に海老名店で、9日に国分寺店でも始めた。あくまでも実験であり、いつまで実施するか、他の店でも実施するか、など具体的な計画は不明。同社説明では、「プライズゲーム、ガン・ドライブゲーム、音楽ゲーム、ビデオゲーム、ネットワークカードゲーム、プリントシール機など」を対象にゲーム料金を、原則的に100円を120円に(400円を480円に)改定。それぞれ100円硬貨と10円硬貨の硬貨投入口を併設、120円分の信号で1クレジット上がる仕組み。プリペイドカード制でも、トークン(メダル)制でもなく、自動販売機と同じ複数硬貨対応にした点で、最も現実的な値上げ方法と言える。だが、1ゲーム50円を100円にしたときのような劇的な状況変化は、今のところ見当たらない。

 14.東京都日野市にある遊園地「多摩テック」の営業を9月末で終える、と運営会社のモビリティランド(三重県鈴鹿市、本田技研工業の完全子会社)が2月7日に発表した。多摩テックは61年にバイクが自由に走れる広場「オートゲレンデ」として開園、以後今日の「ゆうえんちモートピア」へと発展し、02年の入園者は約100万人に達したが、07年には約62万人に落ち込んだ。その理念は同社が別に運営する「鈴鹿サーキット」と「ツインリンクもてぎ」(栃木県茂木町)に引き継がれており、「多摩テック」自体は役割を果たし終えたと判断し、閉鎖を決めたもの。97年に加わった温浴施設「天然温泉クア・ガーデン」も同時に営業を終える。閉園後の跡地活用については今後検討する。

 15.家庭用ゲームソフトメーカーの買収が2月12日、相次いで発表された。バンダイナムコHDは、子会社のバンダイナムコゲームスがTOB(株式の公開買い付け)を通じてディースリーの全株を取得する、と発表した。最大で14億円要する。ディースリーは92年2月設立、05年3月からフィールズの子会社になった、携帯電話と海外向けゲームソフトのメーカー。一方、スクウェア・エニックスHDは英国のアイドス社の全株を約108億円で取得することで、同社と合意したと発表した。アイドス社は古典的な「トゥームレイダー」などPC・家庭用ゲームソフト開発で知られる有名メーカー、世界各地に開発拠点を持っている。

 16.セガ社は2月6日、2010年カナダのバンクーバーで開催される第21回オリンピック冬季大会を題材にしたゲームソフトを販売する権利を獲得した、と発表した。国際オリンピック委員会(IOC)の独占的ライセンシー、インターナショナル・スポーツ・マルチメディア(ISM、米国ジョージア州、レイモンド・ゴールドスミス会長兼CEO)から許諾を得たもので、セガ社は08年の北京オリンピックに続いて、家庭用、携帯用、PC用、携帯電話用、業務用に公式ゲームソフトを開発し、世界各地で独占的にマーケティングすることができることになった。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。