2007年11月15日号Last updated on November 1, 2007
特報
 最先端プロセッサー「セル」の生産はソニーから東芝へと重点を移した。

 家庭用中間決算でソニーは伸び悩みを、任天堂は絶好調ぶりを示した。

海外
 米国「カリフォルニア・アドベンチャー」のてこ入れ計画が発表された。

 米国家庭用の「イーフォーオール」が初めて開催された。

国内

 カプコンは新作展で「ガンダムvsガンダム」を披露した。

 仙台の日本パイオニアが破産手続きを開始した。


2007年11月15日号のニュースダイジェスト
写真は10月初めに開かれたカプコンの新作展(大阪会場)で、プレイできる状態で披露された「機動戦士ガンダム−ガンダムvsガンダム」を試しているようす。08年3月の出荷予定で、10月30日に予約を締め切った。

10年前の主なニュース

 台湾で新たに遊技場営業管理条例が施行され、ゲーム機は教育用、大人用、パチンコ機の三種類に分類された。米国AMOAエキスポで、ウィンドウズPCの業務用化は進まなかった。AOUは少額景品の上限を800円に値上げすると発表した。プレビの株式が12月に公開される予定になった。(1997年11月15日号)

20年前の主なニュース

 長野地検はタイトー「アルカノイド」の無断コピー基板を販売した共和レジャーシステムを著作権侵害で起訴した。AMショーに伴い明昌、セガ社、カプコンがそれぞれ招待会を開いた。セガ社は国内家庭用「マスターシステム」発売を発表した。大阪サービスゲームスの松居章社長が死去した。(1987年11月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.ソニーは家庭用TVゲーム機「PS3」で使う最先端プロセッサ「セル・ブロードバンドエンジン」と画像処理LSI「RSX」を、東芝との合弁会社を通じ共同生産してきたが、08年4月から東芝を中心とした協業生産に切り替え、ソニーが持つ製造設備を東芝に売却することにした。生産を担当する新会社の出資比率は東芝60%、ソニー20%、SCE20%。10月18日に両社が正式発表した。ソニーはゲーム用CPUなどを自前調達する方向で進めてきたが、投資負担がかさむため、方向転換を迫られていた。東芝はより高度なプロセッサ生産に意欲的で、これをLSI生産事業の中核にする予定。

 2.ソニーは10月25日に第2・四半期(7−9月、米国基準)と中間期連結業績を発表、SCEが担当するゲーム部門は、第2・四半期の売上高が前年同期比42.9%増の2,434億円と伸ばしたが、営業損失は967億円(前年同期435億円)と増加した。「PS2」は13万台減の328万台、「PS3」は131万台、携帯型の「PSP」は56万台増の258万台、またゲームソフトはPS2用が920万枚減の3,800万枚、PS3用が1,030万枚、PSP用が60万枚減の1,260万枚を販売した。中間期では売上高が約50%増の4,400億円、営業損失が1,259億円だった。「PS3」は戦略的価格設定にもかかわらず伸び悩んでおり、「通期での黒字化は無理」と見られている。

 3.任天堂は10月25日、9月中間期の連結業績も好調だったので、通期業績予想をさらに上方修正した。中間期で携帯型「ニンテンドーDS」を1,335万台(累計5,364万台)、据置型「Wii」を733万台(累計1,317万台)販売しており、勢いがついている。これらのゲームソフトウェア販売も好調で、連結売上高は約133%増の約6,948億円、経常利益は128%増の2,154億円、中間利益は144%増の1,324億円だった。このため通期予想は売上高1兆5,500億円(7月の前回予想では1兆4,000億円)、経常利益4,600億円(4,100億円)、最終利益2,750億円(2,450億円)と修正した。

 4.米国ウォルトディズニー社は10月17日、カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・リゾートのうち、01年2月に開園した「カリフォルニア・アドベンチャー」の大幅な拡張計画を発表した。隣接するディズニーランドの入園者年間1,500万人に対し、600万人(計画では700万人)と伸び悩んでおり、今後5年間で11億ドルを投資して、内容を充実させるとしている。この計画には、ピクサー社制作のアニメ映画「カーズ」に基づくアトラクション「ラジエーター・スプリング・レーサーズ」を含むエリア「カーズランド」の新設、パラダイス・ピアでの「リトル・マーメイド」や「トイ・ストーリー」に基づくアトラクションの追加が含まれている。

 5.オリエンタルランド(OLC)は10月23日、中間期と通期の連結業績予想を上方修正した。テーマパーク事業で入園客が計画を上回り、経費が減少したのと、リテイル事業も改善したため。結果として中間期は前年同期比で大幅増収増益となる見通しだ。9月中間期の売上高は1,631億円(5月の前回予想では1,620億円9千万円)、経常利益は150億円(103億円)、中間利益は84億円(59億4千万円)を、また08年3月期は売上高3,444億円(3,421億6千万円)、経常利益275億円(246億9千万円)、当期利益160億円(146億5千万円)を見込んでいる。

 6.アドアーズは10月22日、主力のゲーム場運営で効率的な組織運営を進めた結果、既存店で前年を大幅に上回る好調を維持したため、中間期と通期の業績予想を大幅上方修正した。9月中間期は売上高115億円(7月の前回予想では111億2千万円)、経常利益13億4千万円(8億5千万円)、中間利益6億4千万円(3億8千万円)に、08年3月期は売上高230億円(修正なし)、経常利益18億8千万円(11億5千万円)、当期利益8億2千万円(3億5千万円)にそれぞれ予想を修正した。アドアーズは8月初めにアルゼの資本から離れている。 

 7.カプコンは10月3日東京支店で(5日に大阪本社で)新作展を開き、TVゲーム「機動戦士ガンダム−ガンダムvsガンダム」を初めて(プレイできる状態で)披露した。シリーズ7作目の今回は、映像化された15作のガンダム作品に登場する30機以上のモビルスーツ(MS)を選んでから、ゲームを進める。システム256用。新作展では販売計画が未定だったが、10月下旬に判明したところでは、「4枚セット」でPCBが税込み241.5万円で08年3月上旬、ROMは199.5万円で3月下旬発売の予定。なお新作展では「戦国バサラ・クロス」、クレーン機「ベルサークルスパークリングブルー」、メダルゲーム機「ワンタメハッピーチャンネル」も紹介された。

 8.セガ社はシステムプロ(本社福岡)が企画・開発した360度ハイビジョンシアター「メガ3D−360」を10月30日、埼玉の「イオンモール羽生」にテスト導入し、08年1月から本格展開する、と18日に発表した。この施設は全周スクリーンに継ぎ目なく映し出される高画質映像と、6.1チャンネルサラウンドを備え、観客は偏向メガネを使って立体映像を楽しむというもの。プロジェクターを通じて投影される映像ソフトは、世界遺産などをテーマにして年4本をレンタル供給する予定。1回6−10分間。同時に20−25人が楽しめる。本体(施設)サイズは直径6.5m、高さ3.6m。本体価格は6,500万円。9月のAMショーでセガ社小間に出品された。

 9.日本パイオニア(仙台市若林区鶴代町、佐久間正則社長)に対し仙台地裁は10月15日、破産手続き開始を決定した。70年2月創業、74年2月設立のゲーム機・遊技機・カラオケ機器の販売・運営業者で、03年7月期の売上高は5億円だったという。負債総額など詳細は不明。電子機器メーカーのパイオニアとは関係がない。なお、創業社長の佐久間正則氏はAOUの副会長、理事を務めたことがある。

 10.米国でもうひとつの家庭用展示会、「E For All」(イーフォーオール)が10月18−21日、ロサンゼルスのコンベンションセンターで初めて開催された。これはプレイヤー向けの展示会兼イベントで、米国任天堂や米国EA社をはじめコナミやナムコの子会社も参加し、新作ソフトを遊べる状態で出品したが、SCEとマイクロソフト社は「様子を見るために」参加しなかった。入場者は約1万8千人だった(入場券はいろいろあり2日間では50ドル)。トレードオンリーだった「E3」は今年から事実上、トレードオンリーで小規模な「E3メディア&ビジネスサミット」と、入場料さえ払えばだれでも入ることのできるプレイヤー向けイベントの「イーフォーオール」という二つに分かれたことになる。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。