2007年10月1日号Last updated on September 18, 2007
特報
 アトラスは「パロット」遊技機事業からの撤退を決めた。

 マカオに大型カジノホテル「ベネシアンマカオ」が完成した。

海外
 米国オハイオ州でスキル/偶然性の議論が起こっている。

 インタミン社を創業したシュピールディナー氏が死去した。

国内

 AMショーで発表されるTVゲームは年々少なくなるよう感じられている。

 ネクストジャパンHDは7月期決算でさらに業績を悪化させた。


2007年10月1日号のニュースダイジェスト
写真はAMショーで、上はバンダイナムコゲームスが披露した海外市場向けの「モトGP」(SDタイプとDXタイプ)、下はセガ社の「セガレースTV」を試しているようす。

10年前の主なニュース

 4日間開催されたAMショーでは各種AM自販機が圧倒したほか、CGゲームが幅を広げた。ナムコは全国規模でスター発掘イベントに使用する、業務用「スタアオーディション」を完成した。カプコンは家庭用制作子会社のフラッグシップを設立した。アトラスの株式公開が決まった。(1997年10月1日号)

20年前の主なニュース

 韓国政府の輸出振興機関であるコトラは、海外での韓国コピーヤーによる不当オファーについて、JAMMAに謝罪した。NECホームエレクトロニクスは家庭用「PCエンジン」の10月発売を発表した。大鵬物産は大型客船内の「オリアナランド・プレイトピア」を開設した。(1987年10月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.今年のAMショー(9月13−15日)で新作TVゲームはいよいよ少なく感じられるようになった。これは一般に、タイトル/画面だけの紹介から、プレイ可能な状態での披露−発売までの期間が長引く傾向が強まってきており、出荷時までに新鮮味が薄れることが多いためと見られる(以下☆は今回新発表)。セガ社は「ダービーオーナーズクラブ2008」(08年発売予定)、☆カーレースゲーム「セガレースTV」(2月)、「クエスト・オブ・D・ザ・バトル・キングダム」(11月)などと、☆マイルストーン「イルベロ」(未定)、☆グレフ「まもるクンは呪われてしまった」(同)を披露。バンダイナムコゲームスは「鉄拳6」(11月)と☆海外向け「モトGP」にとどまった。タイトーは☆カードゲームの「悠久の車輪」、☆カーレースの「D1GPアーケード」(未定)、「チェイスHQ2」(12月)などを紹介した。

 2.〔AMショー07出品機の続き〕カプコンはアークシステムワークス開発の「戦国バサラクロス」(12月)を出品。同社開発の☆「機動戦士ガンダム・ガンダムvsガンダム」(3月)は、タイトルと一部映像がバンプレストの小間で発表された。AMIは☆ケイブの横シューティングゲーム「デススマイルズ」と、☆ラウンドビジョンの乗馬シミュレーション「イクリップスグランプリ」を披露した。アトラスはBB弾を発射するTVガンゲーム「バルカンウォーズ」(エニーワークス開発、11月)を紹介した。なおメカトラックス開発のロボット操作式クレーンゲーム機「ロボキャッチャー」(11月)がRSなどの小間で紹介された。メダルゲーム機は相変わらず多く、セガ社「ガリレオファクトリー」やバンダイナムコゲームス「海物語ラッキーマリンシアター」などが目立った。

 3.時間制ゲーム場を手がけてきたネクストジャパンホールディングスは9月14日、07年7月期連結決算を売上高約27億8千万円、経常損失6億7千万円、最終損失21億3千百万円と発表した(連結決算は初めてで前年と比較できないが、減収が続いている)。売上高は、直営店が5店減の9店で38%減の1,988百万円、フランチャイズ店が10店減の24店で70%減の727百万円、その他が37%減の61百万円。特別損失として約14億円を計上した。なお創業者の長江芳実氏は9月5日に会長を退任している。同社は決算と同時に、南千葉ゴルフアンドリゾート(筆頭株主であるトップワンの分割会社が8月1日に改称)を8月21日に20億円で買い取り、完全子会社にしたことも明らかにした。

 4.アトラスは9月7日、関連会社のアトムと組んで進めてきた「パロット」(メダルの代わりにパチンコ玉を使用するスロットマシン)遊技機事業の撤退を決めるとともに、7月期(4−7月の4ヵ月変則決算)連結業績予想を修正した。パロット事業は03年に開始、04年の施行規則改正公布に伴い05年に遊技機事業部を設け、06年3月に最初の製品「カリブの海賊」を発売したが、ほとんど売れずまた市場回復の見込みが薄いため、事業撤退を決めたもの。7月期は家庭用ゲームソフトが好調で経常黒字となるが、遊技機事業撤退による659百万円、「腕魂」回収による207百万円を含め計10億9千万円の特別損失を計上する。9月14日に発表された7月期連結決算は、売上高約79億8千万円、経常利益3億円、最終損失8億4千万円となった。 

 5.イオンの子会社であるイオンファンタジーは9月7日、8月中間期業績予想を大幅に下方修正した。これは前年好調だったカードゲームのピークアウトに加え、人気メダルゲーム機のトラブル発生/使用停止による打撃があったため。8月までにカードゲームは「ドラクエ・モンスターバトルロード」を投入、メダルゲーム機も入れ替えたが、上半期の減少分は補うことができない見通しになった。そのため中間期の売上高は238億5千万円(4月の前回予想では252億円)、経常利益は18億5千万円(26億4千万円)、中間利益は9億6千5百万円(14億5千万円)を見込むことになった。08年2月期業績予想については売上高のみ510億円(547億円)と修正した。

 6.世界第二のカジノ都市に発展したと見られている中国マカオ特別行政区(マカオ)のコタイ地区に、客室3千室の本格カジノホテル「ベネシアン・マカオ」が8月28日オープンした。米国のラスベガス・サンズ社が、3年前マカオ・フェリーターミナルに「サンズ」を開業して大成功したのに続いて開業したもので、ラスベガスの「ベネシアン」と同様屋内でゴンドラも運行されている。ウィンリゾート社の「ウィンマカオ」は6百室で昨年開業済み、またMGMグランド社の「MGMグランド」も6百室で今年中に開業予定だが、客室規模は「ベネシアン・マカオ」が突出している。ラスベガスと異なり、マカオの客はバカラなどのギャンブルに集中していて、それ以外のエンタテインメントの需要はほとんどないのが、大きな特徴とされている。

 7.TVスロットマシンによく似た「チックタックフルーツ」や「ナッジマスター」をギャンブル機とみなしてその設置運営を禁止すべきかどうか、という議論が米国オハイオ州で起こっている。同州では03年の法改正でスロットマシンを禁止したが、結果が主として偶然でなく、スキルに基づくものは許されるとしており、裁判所はスキル/偶然性の区別に関しその解釈を混乱させたままだった。州政府に属する検察当局は取締りを強め、オペレーターはスキルを理由に反発して、訴訟騒ぎとなった。このため州裁判所は8月24日、これらの機械を禁じる州知事の命令を11月20日まで停止させる一時的決定をした。州知事は、州議会が混乱を回避すべく、これらの機械を永久に禁止するよう立法上の措置を講ずるべきだとしている。

 8.ローラーコースターなど遊園施設の世界最大手メーカー、インタミン社(本社スイス)とライドトレード社(本社リヒテンシュタイン)の創業社長、ラインホールド・シュピールディーナー氏が9月4日、死去した。66歳。41年オーストリア生まれで、67年に弟のローベルト氏、仕事仲間のアルフォン・サイコ氏とともにインタミン社を創業。初めは小さなベンチャー企業にすぎなかったが、最新技術を駆使して「フリーフォール」、「フライイングアイランド」などそれまでにない遊園施設の新製品を次々と開発しながら、世界的なメーカーへと発展させていった。現在米国と東南アジアに拠点を持っている(日本には88年設立のインタミンジャパンがある)。子息のパトリック・シュピールディーナー氏が同社CEOを継いだ。

 9.米国のロースリルズ社(本社シカゴ郊外、ユージン・ジャービス社長)は8月27日、同社TVゲーム機で火災を起こす危険性が見つかった、として販売先に注意を呼びかけた。入出力基板が燃える事故があったためで、同社はこういう事故が起こらないようにする安全装置を開発、用意しており、これを取り付ければ不具合は解消されるとしている。対象となるのは米国製で、機種とシリアル番号はそれぞれ、「ファースト&フュリアス・ドリフト」が1001−3477、「スーパーバイク」が4357−6007、「ファースト&フュリアス」が7576−8275。同社ではこれによりオペレーターに迷惑をかけたことを詫びるとしている。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。