2007年6月1日号Last updated on May 18, 2007
特報
 エキスポランドの遊園施設「風神雷神U」の事故で死傷者が出て、責任が追及されている。

 セガサミーHDの連結決算は、7号営業遊技機が後退、減収で大幅減益だった。

海外
 韓国の大宇自動車がパラマウント映画に基づくテーマパーク建設で提携した。

 インドで本格的なモール内FECブームが進行している。

国内

 バンダイナムコHD決算は増収大幅増益と好調だった。

 オリエンタルランドは3年後をめどにした都市型施設計画を発表した。


2007年6月1日号のニュースダイジェスト
写真は香港および中国・広東省でコピー品対策のための講習会などを実施する、米国メリット社のボブ・フェイ部長(下の写真左から2人目)ら

10年前の主なニュース

 遊園施設は泉陽興業が担当する、信託銀行連合運営の「フェスティバルゲート」(大阪・新世界)がまもなくオープンする。東京ゲームショー97春はさらに販促イベントの傾向を強めた。「たまごっち」類似品でバンダイが7社を提訴した。オムロンは「似テランジェロ」を機にAM分野への参入を決めた。(1997年6月1日号)

20年前の主なニュース

 ゲームセンター市場は2年連続してふた桁マイナス成長、とレジャー白書87はまとめた。セガ社とフジ・サンケイグループによるイベント「夢工場87」計画が発表された。サン電子を通じてセガ社「ファンタジーゾーン」がFC用カセットになった。コナミは新作展で「コンバットスクール」を紹介した。(1987年6月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

1. エキスポランド(大阪府吹田市)の遊園施設「風神雷神U」で5月5日、車軸が破断して車輪が脱落したまま走行、19歳の女性客が車両とガイドレールに挟まれて死亡し、19人が重軽傷を負う事故が発生した。同施設は92年3月に導入された立ち乗り式ローラーコースター(コース全長約千五十m)で、90年の花博で披露された「風神雷神」(現在三井グリーンランドに設置営業中)に次ぐもの。いずれもトーゴ(84年に東洋娯楽機から改称)と泉陽興業が共同開発したもので、トーゴは04年に会社更生法の適用を受け、地域・業務ごとに分割処分されたもよう。「風神雷神」などの保守検査を担当するのは泉陽興業の製造部門である泉陽機工。スリルライドなど遊園施設は建築基準法や日本工業規格(JIS)により定期検査などが義務付けられているが、その不備も発覚したため、エキスポランド社長兼泉陽興業会長である山田三郎氏は、全日本遊園施設協会(JAPEA)の会長を辞任した。大阪府警は16日、泉陽興業を業務上過失致傷の疑いで家宅捜査した。

 2.セガサミーホールディングスは5月11日、07年3月期連結決算を発表、売上高は前年比4.5%減の約5,282億円、経常利益は32%減の812億円、最終利益は34%減の434億円だった。七号遊技機に対する規制強化の影響によるもので、遊技機の売上高は20%減の2,137億円で、営業利益は29%減の711億円と大幅に縮小した。AM機器の売上高は3%増の796億円だったが、営業利益は4%減の116億円にとどまった。ゲーム場運営は「甲虫王者ムシキング」などブーム沈静化を受けて、売上高が2.3%減の1,038億円、営業利益は99%減の1億3千万円と急減した。ゲーム場は18店増31店減で、期末449店だった。家庭用ソフトの売上高は32%増の1,198億円だったが営業利益は11%減の17億円だった。

 3.バンダイナムコホールディングスは5月9日、07年3月期連結決算を発表、売上高は前年比約2%増の約4,591億円、経常利益は23%増の456億円、最終利益は71%増の242億円と好調だった。部門別ではトイホビーの売上高が3%増の1,855億円で営業利益が9%減の174億円、ゲーム場運営の売上高は9%増の881億円で営業利益が112%増の40億円、ゲームコンテンツの売上高は6%増の1,391億円で営業利益が19%増の115億円など。ゲームコンテンツのうち家庭用ソフトは堅調、業務用ゲーム機は「機動戦士ガンダム戦場の絆」が人気を集め、グループシナジー効果を発揮したとしている。08年3月期は売上高4,800億円、経常利益470億円、最終利益265億円を見込んでいる。

 4.東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は5月8日、TDR事業の強化とは別に、11年3月期をめどに「都市型エンタテイメント施設」の展開を具体化する計画を明らかにした。これは米国ウォルトディズニー社と共同開発される「ディズニーならではの演出が施された屋内施設」で、2010年以降、関東以外の大都市中心部に開設する予定でさらに検討を進める。なおOLCの07年3月期連結業績は売上高約3,440億円、経常利益301億円、最終利益163億円と好調だった。08年3月期は入園客2%減、売上高3,421億円、経常利益246億円、最終利益146億円を見込んでいる。

 5.ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイ(USJ、本社大阪)は5月10日、07年3月期単独決算を発表、売上高は前年比5.6%増の約720億円、経常利益は52億7千万円(前年は5億円の損失)、当期利益は37億9千万円(46億円の損失)で、開業以来初めて黒字となった。アトラクション強化に伴う入園客の増加によるもので、08年3月期も30億円設備投資する予定で、売上高730億円、経常利益60億円、当期利益55億円と増収増益を目指している。

 6.セガ社は5月11日に東京で新作展を開催し(15日大阪、17日福岡)、新製品を幅広く紹介した。「ワールドクラブ・チャンピオン・フットボール」(WCCF)新バージョンの「WCCFインターコンチネンタルクラブ2006−2007」は、リンドバーグ基板を搭載、欧州6ヵ国に南米チームが参戦するなど大幅にグレードアップし、今秋出荷予定。注目の「リズム天国」はハンドヘルドGBA用ソフトを元に業務用にして、2人同時プレイ可能で、9月発売。「ネットワーク対戦クイズ・アンサー×アンサー」は7月発売。「バーチャファイター5バージョンC」は映像のみ紹介。トライアングルの「シューティング・ラブ2007」は出品したが、出荷は未定。ホープのアーケード機「野球盤」、セガ・ロジスティクスサービスの「サークルピンポン」が関心を集めたほか、セガ社のメダルゲーム機もいくつか紹介された。

 7.韓国の大宇(デウ)自動車販売と米国パラマウント映画社は5月10日、大宇が所有する仁川・松島の土地に、パラマウント映画に基づくテーマパークを建設することで合意したことを明らかにした。テーマパークは約50万uの敷地に、パラマウントプラザ、ウォーターパーク、グランドホテルなど8つのゾーンとともに建設する予定で、大宇自動車販売が9,500億ウォン(約1,230億円)を投じて建設し、パラマウント映画社は保有するキャラクターなどの知的財産とノウハウを提供する。アトラクションを中心とするドライパークは09年の仁川世界都市エキスポの開催に合わせてオープン、グランドホテルやウォーターパークは10年の完成を予定。オープン初年度は5百万人以上の入園客を見込んでいる。

 8.インドは巨大な市場に発展する可能性があるにもかかわらず、長年開発が遅れていたが、二年ほど前からモール内のファミリーエンタテイメントセンター(FEC)として、アーケードゲームを含む遊戯施設が急速に増加しつつある。これはモールに来た客がFECを知って気に入り、さらにモールに客を引き寄せることになる、というショッピングモール側の考えに沿うもので、FECにはボウリング設備やバンパーカー、TVゲーム機、プールテーブルなどが備えられている。モール内でなければなかなか成功しなかったという事情もある。13ヵ所のFECを運営するギャラクシー・エンタテイメント社、6ヵ所のタイムゾーン・エンタテイメント社などのオペレーター会社は、モール内に着実にロケーションを増やしているという。

 9.米国の週刊誌「タイム」が毎年選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に、任天堂の宮本茂専務が9位で初めて選ばれた。この企画は同誌が1998年から実施しているもので、今回はネット上の人気投票結果を踏まえ、5月4日に発表された。宮本氏については「スーパーマリオブラザーズ」などのヒット作を生み出し、また「Wii」をヒットさせた、と紹介している。コンピューター関連ではアップル社のスティーブ・ジョブスCEOが3度目で11位、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長はこれまで3度選出されているが、今回は選外。日本人ではトヨタ自動車の渡辺捷昭氏が2度目、66位で入っている。宮本氏はまた今年3月、ゲーム開発者の団体であるGDCAから特別功労賞を受けている。

 10.カプコンは5月8日、学習研究社の「まんがでよくわかるシリーズ」のうち「テレビゲームのひみつ」の製作、配布に協賛したことを明らかにした。同シリーズは子どもたちが日ごろ疑問に思っていることを漫画でわかりやすく説明する書籍で、全国2万4千の小学校と2千7百の公立図書館に寄贈している(書籍自体は非売品)。これまで各分野の代表的な企業が協賛しており、5月1日発行の今回で31件目となる。カプコンでは企業の社会的責任(CSR)の一端を果たすべく協力したと説明している。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。