2005年9月1日号

Last updated on August 24, 2005

特報

 スクウェア・エニックスがタイトーを全面買収することになった。

 ナムコの第1・四半期は業務用、ゲーム場ともやや後退した。

海外

 ベルギーのエロート社がモンディールグループのモンデュース社を買収した。

 米国プレイメカニック社開発のTVガンゲームの発売元がIT社からベトソン社に変わった。

国内

 スガイ・エンタテインメントがゲオの子会社になることが決まった。

 カプコンの第1・四半期は家庭用がさえなかったが、パチスロ機用で伸ばした。


2005年9月1日号のニュースダイジェスト
写真は8月22日夕、記者会見する壇上の(左から)タイトーの西垣保男社長とスクウェア・エニックスの和田洋一社長。

10年前の主なニュース


  群馬の2業者がアダルトビデオを景品にして、風営法違反(無承認変更・景品提供)で摘発された。米国バリー社元社長、ビル・オドンネル氏が85歳で死去した。米国ウォルトディズニー社はオーランドでの「アニマルキングダム」建設計画を発表した。SNK東京支店が第2紀尾井町ビルに移転した。(1995年9月1日号)S

20年前の主なニュース


 JAMMAセミナーを機にメーカー代表とオペレーター協会代表が、新風営法問題などで意見交換した。「少年のたまり場」ゲームセンターが首位、と警察白書が記述した。ナムコのクリエイティブセンタービルが完成、本社を移転した。カプコン「魔界村」は北米でタイトーが販売することになった。(1985年9月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.スクウェア・エニックスは8月22日、公開買い付け(TOB)によりタイトーの株式を67%以上取得し、子会社にすると発表した。1株当たりの買い取り価格は2割増の181,100円。TOBは451億6千万円を投じて、9月21日までの30日間行なわれる予定。タイトーの株式の36%を持つ京セラは、これに応じることを表明し、タイトーの取締役会も同意している。スクウェア・エニックスは商品・サービスの拡充を通じた総合力の形成を目的に、タイトーの全株取得を目指しており、タイトーとはゲームジャンルの重複が少なくシナジー効果が見込める、と説明している。スクウェア・エニックスは、75年9月設立のエニックスと86年5月設立のスクウェアが03年4月に合併したもので、RPGの家庭用ゲームソフトを主力としている。

 2.ナムコは8月8日に第1・四半期(4‐6月)決算を発表したが、売上高が前年同期比13.7%増の42,161百万円だったものの、868百万円(前年同期は662百万円)の経常損失、382百万円(515百万円)の純損失だった。部門別では、業務用の売上高が3.2%減の7,233百万円で、営業利益が4.7%減の1,762百万円、家庭用は売上高が136.0%増の12,978百万円で、営業損失が258百万円、ゲーム場運営は売上高が7.0%減の17,763百万円で、営業損失が44百万円、映画・映像は売上高が20.8%増の2,830百万円で、営業損失が3億円など。家庭用は売り上げを伸ばしたものの営業赤字で、業務用とゲーム場運営もプライズ人気の後退で全体に弱含んでいる。

 3.カプコンは8月11日に第1・四半期業績を発表、売上高が前年同期比4.1%減の11,431百万円、経常利益が16.3%増の1,073百万円、純利益が19.5%増の608百万円だった。これまで「その他」に含めていた携帯電話向け配信とパチスロ機用液晶表示装置などを「コンテンツエキスパンション」として事業区分した。主力の家庭用は売上高が34%減の5,212百万円、営業利益が93%減の45百万円とさえなかったが、業務用は売上高が116%増の1,376百万円、営業損益は105百万円の黒字となった。ゲーム場運営は1店増1店減の30店で、0.2%減収の2,526百万円、31%減益の384億円になった。コンテンツエキスパンションは液晶表示装置が伸ばして830%増収の1,843百万円、736%増益の201百万円となった。

 4.スガイ・エンタテインメントは8月22日、「ゲオショップ」のゲオの子会社になることが明らかになった。ゲオはスガイの株式を約15%所有しているが、さらに1,554百万円の資金を使ってTOBを実施し、9月中旬までに約56%取得し、計約71%保有する予定。これまでスガイの株式を57%持っていた須貝富安取締役相談役はTOBに応じることを表明している。両社は〇〇年5月に資本・業務提携を開始し、スガイの大型複合施設にゲオショップを展開するなど、成果を挙げており、さらにそれを拡大するのが目的。スガイはゲオの約10店で併設店を開設する予定。

 5.世界的に知られるベルギーのクレーン機メーカーで、欧州の有名なテーマパークなどでゲーム場を経営するエロート社の米国子会社、エロートアミューズメントゲームズ社が8月22日、同様のゲーム場を米国の20以上のテーマパークで展開しているモンデュース社を買収したと発表した。モンデュース社の株式をモンディールグループのモンディール・インターナショナル社から買い取ったもので、モンデュース社のブルース・カワット氏はCEOにとどまるが、社長にエロートアミューズメントゲームズ社のニール・ローゼンバーグが兼任で就任する。1959年設立のエロート社が手がけるものは、クレーンゲーム機のほか、ノベリティ機、ゲーミング機など幅広い。

 6.米国インクレディブルテクノロジー社(IT)が発売してきたTVガンゲーム機「ビッグバックハンター」シリーズの最新作、「ビッグバックハンター・プロ」は大手ディストリビューターのベトソン社から発売されることになった。同シリーズは元ミッドウェーゲームズ社の開発者、ジョージ・ペトロ氏らが設立したプレイメカニックス社が開発したもので、IT社が製造販売してきたが、今後は同じくミッドウェーゲームズ社を退職したユージン・ジャービス氏らのロースリル社が製造を担当し、ベトソン社とその仲間が販売を担当することになった。なお、「プロ」はAMOA05(9月14−16日、ラスベガス)で披露され、11月にも出荷される。

 7.USENは4月以降、ナムコの子会社、日活の経営権取得についてナムコと交渉中だったが、白紙撤回をナムコ側に伝えたと8月15日に発表した。USENは日活が保有する多数の映像コンテンツを、USENのブロードバンド放送「GyaO」(ギャオ)で配信できるなどメリットが多いことから、またナムコは事業再編の一環となることから、両社で協議を開始していたが、日活の労働組合がUSENの子会社となることに強い抵抗を示したため、難航していた。このためUSENは日活の経営権取得を断念し、資本関係にとらわれず、ナムコグループとの協業関係を目指すことにした。USENグループのギャガ・コミュニケーションが日活撮影所で作品制作しており、これらの実績を拡大することになる。

 8.長野地裁(土屋靖之裁判長)は7月22日、吉田賢吉サミー前社長に所得税法違反で懲役1年、執行猶予4年、罰金22百万円(求刑懲役1年、罰金25百万円)の判決を言い渡した。吉田被告はサミーにパチスロ機の部品を納入していたニコー電子の高橋道夫前会長から受け取ったリベートを隠す手口で、01−03年分の所得を実際より約2億4千万円少なく申告し、所得税約9千万円を脱税したとして起訴され、7月12日の初公判で起訴事実を認めたため、即日結審となっていた。判決理由で土屋裁判官は「取引先からの裏金の取得を隠し、住宅購入資金に充てようとするなど、動機に酌むべき点はない」と指摘した上で「修正申告を行い、重加算税や延滞税を全額納付し反省している」とした。

 9.社会経済生産性本部による今年の「レジャー白書05」によると、04年の余暇市場は前年比0.5%減の約81兆円で、いぜん長期低調傾向にある。市場別では、ゲーム場が1.5%増の5,960億円で、4年連続して増加した。遊園地・レジャーランドは3.8%減の6,320億円にとどまった。一方、家庭用TVゲームは2.2%減の4,360億円で、4年連続現象のマイナス成長となっている。ゲーム場について、「小規模店は淘汰され、施設数は減っているがショッピングセンター立地の大規模店が増加し、いずれも業績が良い、既存店の売り上げは落ちているが、新規出店でそれをカバーしている」と同白書は説明している。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。