2004年4月15日号

Last updated on April 9, 2004

特報

 バンプレストは会社更生中のトーゴから「浅草花やしき」を買い取ることになった。

 テクモ「DOA2」の同一性保持権をめぐる控訴審で、ウェストサイドは壁を打ち破れなかった。

海外

 「くまのプーさん」使用料をめぐる裁判でウォルトディズニー社が勝った。

 セガ・アミューズメントUSA社の実務上のトップ、バーバラ・ジョイエンさんが退職した。

国内

 バンプレストは伍賀槌太社長が退任し カプコンは04年3月期業績予想を大幅に下方修正し、前年に引き続き赤字見通しとなった。

 香川県のテーマパーク「ニューレオマワールド」がリニューアルオープンする。


2004年4月15日号のニュースダイジェスト

写真はAOUエキスポ04で、上はナムコが6月ごろ発売する予定の「湾岸ミッドナイト・マキシーブースト」を試しているようす。下はセガ社が参考出品した、足裏マッサージを兼ねた占い機という変わった出品機。


10年前の主なニュース


 米国連邦地裁はデータイースト「ファイターズヒストリー」について、「保護すべき表現をコピーしていない」として、カプコンが申請した予備的禁止命令を却下した。アイレムは業務用開発部門を石川県松任市に移転し、TVゲーム開発から撤退することになった。セガ社が建設を進めていた「本社1号館」が完成した。(1994年4月15日号)。

20年前の主なニュース


 警察庁がゲーム場を風俗営業として規制する方針を決めたため、NAOは「風営化に反対する」署名運動を開始しJAMMAも同調したが、NAOの判断で署名運動は中断した。メダルゲーム機を規制する福井県青少年条例が公布された。米国ASIの成功で、AOEは大きな打撃を受けた。(1984年4月15日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.バンプレストは4月8日、会社更生手続き中のトーゴから、遊園地「浅草花やしき」を取得するための優先交渉権を獲得したと発表した。2度にわたる競争入札を経て獲得したもので、4月中旬にトーゴ支援の基本契約を結び、7月下旬に裁判所の認可を得て、8月下旬に「浅草花やしき」事業の譲渡を受ける予定。バンプレストは、トーゴから切り離される「浅草花やしき」を子会社にするため、約20億円投資する予定で、バンダイグループが持つキャラクターを使って再建するとともに、「浅草花やしき」ブランドを手に入れることでバンプレストの事業を強化する。トーゴは大口債権者の整理回収機構(RCC)が1月19日に会社更生手続きを申請したため、管財人の下で更生計画案作成へ向けて作業を進めていた。「浅草花やしき」の営業は継続されており、高井初恵園長ら50人の正社員は新会社に再雇用される予定。

 2.テクモのPS2用「デッドオアアライブ2」(DOA2)のキャラクター「かすみ」を裸体にして楽しむための、メモリカードのパラメーター編集ツールについて、東京高裁の篠原勝美裁判長は3月31日、プレイヤーという他人による使用を意図して販売することにより、同一性保持権を引き起こしたものだとして、この編集ツールを収録したCD−ROM「お楽しみCD」を販売したウェストサイド(兵庫県尼崎市、湯川貴弘社長)の控訴を棄却し、200万円の損害賠償を命じた地裁判決を支持する判決を出した。コナミのPS用「ときめきメモリアル」事件に関する最高裁判決を強く意識した02年8月の東京地裁判決に対し、ウェストサイドが控訴していたもので、控訴審でもその壁を打ち破ることはできず、裸体ポリゴンを含むゲームソフト自体は改変されていないことや、同一性保持権を侵害するとされるプレイヤーが個人的に楽しむために使用しているにすぎないことなどについては、検討されなかった。

 3.カプコンは3月30日、04年3月期連結業績を大幅下方修正した。修正後の連結売上高は510億円(昨年11月の前回予想は630億円)、経常利益は7億円(73億円)で94億円の最終損失(42億円の最終利益)と、一転して2年連続の最終赤字が見込まれることになった。これは米欧での利益率低下、北米での発売予定の見直しなど、家庭用ゲームソフト部門で前回予想を大きく下回ったため。また子会社だった米国カプコンコインオップ社と日本のステイタスを解散することにしたことも発表したが、うちステイタス清算に伴いその費用35億円を含め82億円の特別損失を計上することにしたため、赤字幅が膨れ上がることになった。なおカプコンは家庭用ゲームソフト開発部門の一部を、100%子会社のクローバースタジオ梶i本社大阪、稲葉敦志社長、従業員64人)として7月に分割分社化することになった。

 4.「くまのプーさん」(Winnie the Pooh)のキャラクター使用料をめぐって、著作権所有者側のステファン・シュレジンガー社がウォルトディズニー社を訴えた訴訟の一審判決が、3月29日米国カリフォルニア州裁判所の地裁で言い渡され、手続きミスのためステファン・シュレジンガー社が敗れた。この裁判はすでに13年にも及んでいるが、もしウォルトディズニー社が負ければ、巨額の支払い義務が課せられるところだった。ステファン・シュレジンガー社はこの訴訟で多数の書類を提出していたが、そのために同社が私立探偵を雇ってウォルトディズニー社の事務所やゴミ箱から6千枚以上の書類を盗み出していた可能性が強まったためで、チャールズ・マッコイ判事は訴訟手続きを害したことを理由に訴えを退けた。ステファン・シュレジンガー社は控訴するとの声明を出している。

 5.警察庁・生活環境課は3月25日に公表した03年1−12月の「風俗警察の現状」の中で、風営法で規制される「8号営業」(ゲームセンター等)の営業所は03年12月現在10,759ヵ所あり、遊技機は428,358台設置されており、7年連続でいずれも減少している、また遊技機を使用した賭博犯は4年連続して減少している、その半数は暴力団が関係している――などを明らかにした。賭博犯については03年中に81件検挙しており、62ヵ所の営業所で638人を検挙し、596台の遊技機と1億8千万円の賭け金を押収した。その具体例としてバカラ台を使用した自称カジノ店での賭博場開帳図利事件(03年6月埼玉、7月大阪)と、風俗営業の許可を得たゲームセンターで回胴式遊技機を使用した常習賭博事件(6月宮崎)を紹介している。警察庁では基本的にどのようなゲーム機も賭博に使用されるおそれがあると見ている。

 6.中四国最大級のテーマパーク「ニューレオマワールド」(香川県綾歌町)のリニューアルオープン式典が4月8日に行われ、11日に正式開業することになった。「だれもが低価格で楽しめる施設」をコンセプトに地元の有力企業など4社が共同で運営されるもので、69万uの敷地は遊園地、動物園、飲食&ショッピング、ホテル&温泉とそれぞれが独立運営する4つのゾーンに分かれている。おもちゃ王国が運営する遊園地の「レオマおもちゃ王国」には高さ50mの観覧車が新設された。また、露天風呂もある天然温泉も目玉となっている。飲食&ショッピングゾーンの入場や駐車場を無料にして、地元のリピーター獲得を狙う。旧レオマワールドは入場者の激減で00年8月に休園したが、冷凍食品大手の加ト吉(同観音寺市)グループなどの支援を受け、約23億円かけてリニューアルした。初年度は150万人の入場者と40億円以上の売り上げを見込んでいる。

 7.イオンファイタジーは4月7日、04年2月期単独決算とともに新社長の就任予定を発表した。決算は売上高が前年比15.5%増の23,418百万円、経常利益が19.7%増の2,355百万円、当期利益が17.3%増の1,271百万円と、極めて好調だった。イオングループの店舗内に室内遊園地を展開しており、この1年間で19店増1店減と18店増して188店となった。遊戯機械による売上高は全体の90.3%を占めている。店舗増は今後も続けられる予定。5月14日開催の株主総会を経て、辻義則社長は会長になり、イオンシネマズの中下義昭社長が社長に就任することが内定した。中下義昭氏は49年生まれで、74年に中央大経卒、イオン(旧ジャスコ)入社。02年スポーツ&レジャー事業部長を経て、03年5月からイオンシネマズ社長。

 8.バンプレストは4月4日、クレーンゲーム機などの景品「ベティズ・ブルー・スーパーDXクッション」ハート型と四角型について、中国での製造段階で手縫い針が混入していたことが判明したので、すでに出荷した約1万1千個のクッションを回収することを決めた。03年12月ゲーム場向けに出荷したもので、大きさは約40cm四方で、「31788」の製造番号が表示されている。これまでに、けがなど被害の届け出はない。同社では回収を開始し、8日から代換品を送る手配をしたほか、品質管理を強化して再発防止に努めるとしている。問合せ先はバンプレスト・お客様相談センター・クッション係=専用フリーダイヤル電話番号0120‐252‐741。

 9.セガ社の米国業務用子会社、セガ・アミューズメントUSA社(サンフランシスコ)のバーバラ・ジョイエン執行副社長兼COOが退職したことが、4月7日明らかになった。同社では昨年五月に、アラン・ストーン社長兼COO、ハウエル・アイビー社長代理らトップ3名が退職したため、ジョイエン販売担当副社長がトップを担当してきたが、今回の異動はそれに続くものとなる。ジョイエンさんは、親会社であるセガ社の筆頭株主となったサミーから、2名がセガ社の会長職を含む役員になったことと関係がある、とだけコメントした。セガ・アミューズメントUSA社の経営陣はどうなるのかについては不明で、それらに関するセガ社からの発表はない。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。