2004年3月1日号

Last updated on February 24, 2004

特報

 SNKプレイモアは「ネオジオ」用から「アトミスウェーブ」用にゲームソフト開発を転換することになった。

 競走馬の名前は馬主の承諾なくとも自由に使用できる、と最高裁が判断した。

海外

 ネットからダウンロードするジュークボックスが米国で盛んになりつつあり、これに伴い訴訟も活発化している。

 英国ATEI04の登録入場者は3%増、ICEは14%増だった。

国内

 アルゼはSNKプレイモアのパチスロ機販売を差し止める仮処分を申請した。  

 第3・四半期までの3四半期で、ナムコは好業績を示し、カプコンは家庭用の利益率低下を示した。


2004年3月1日号のニュースダイジェスト

上の写真は英国ATEIのサミー・ヨーロッパ社の小間で(左から)、サミーの鈴木義治常務、里見治社長、吉田賢吉研究開発室長。下はセガ・アミューズメント・ヨーロッパ社の小間のようす。


10年前の主なニュース


 関西精機製作所が業務を閉鎖し、36年の歴史を閉じた。カプコン「スト2」シリーズのコピー基板を販売したJK貿易など2業者を、韓国検察が摘発した。イタリアのコピー王と呼ばれるデヌーノ氏が、告訴してきた米国ミッドウェー社と和解した。データイーストの米国業務用子会社が、シカゴに業務を統合した。(1994年3月1日号)。

20年前の主なニュース


 タイトーのミハイル・コーガン社長が米国西海岸の病院で死去した。大阪地裁でもTVゲームのプログラム著作権を認める判決が出された。ポルノビデオボックスの追放をNAOが訴えた。米国ピザタイムシアター社の会長だったブッシュネル氏がセンテ社に専念するため辞任し、キーナン氏が会長に就任した。(1984年3月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.SNKプレイモアは01年10月にSNKの知的所有権を取得して以来、SNK「ネオジオ」用のゲームソフトを継続して展開してきたが、今春発売の「サムライスピリッツ零スペシャル」を最後として、サミー「アトミスウェーブ」(AW)用ゲームソフトの開発に移行することにした。「ネオジオ」はSNKが90年4月に出荷して以来すでに14年になるが、世界中で百万台以上も普及しており、そのため海外のコピーヤーから格好の標的にされてきた。このため技術的、法的なコピー対策を駆使してそれなりの成果を挙げてきたが、ほぼ限界に近づいたと見られている。今回の提携で「AW」用ゲームソフトとして、「キング・オブ・ファイターズNEOWAVE」、「同2004」、「サムライスピリッツAW」、「メタルスラッグ6」(いずれも仮称)を、SNKプレイモアがサミーに許諾し、サミーから委託を受けてゲームソフトを開発するという方式で、予定することになった。AOUエキスポ04のサミーの小間で両社の業務提携として発表されたが、製品自体は出品されていない。

 2.「オグリキャップ」など競争馬の名前を無断使用して、業務用と家庭用TVゲームソフト「ギャロップレーサー」などを商品化したのは、馬主が馬名を商品化する権利(パブリシティー権)の侵害だとして、6法人と13人の馬主がテクモを相手取って損害賠償など求めていた訴訟で、最高裁第2小法廷(滝井繁男裁判長)は2月13日、「法令の根拠がないのに(馬名について)パブリシティー権を認めるわけにいかない」として、1、2審判決を破棄して、馬主側の請求を退けた。同日、同小法廷はアスキー(現メディアリーヴス)の家庭用ゲームソフト「ダービースタリオン」をめぐる馬主側の訴訟についても、馬主側の上告を退けた。先発の「ダービースタリオン」については、1、2審とも競争馬のパブリシティー権を認めなかった。しかし後発の「ギャロップレーサー」については、1、2審ともパブリシティー権を認めていた。テクモは了承を得た馬主に使用料を支払っているが、これは紛争をあらかじめ回避するためのものと理解されている。今回の最高裁判決は新しい権利を認めることにためらいを見せた、と見る向きもある。いずれにせよ馬名使用は自由に行えることになった。

 3.アルゼは2月6日、SNKプレイモアのパチスロ機「メタルスラッグ」の製造販売差し止めを求める仮処分を申請したと発表した。アルゼによるとこれはアルゼの特許、3056742号に基づくもので、アルゼはSNKプレイモアの「前身である」SNKに多額の資金援助をし、かつパチンコ・パチスロ開発のノウハウを伝授したが、それにもかかわらずアルゼ特許を無断で実施した、としている。これに対しSNKプレイモアは2月7日、アルゼおよび裁判所からの通知はないが、アルゼ特許を侵害したことはなく法的に対処する、仮処分申請はSNKプレイモアが提訴した著作権・商標権侵害訴訟の中間判決でアルゼが全面敗訴した報復ないし「メタルスラッグ」発売に対する嫌がらせと考えられる、SNKプレイモアは裁判所の許可を得てSNKから知的所有権の譲渡を受けたにすぎない、とのコメントを発表した。ちなみにユニバーサルはアルゼの前身であり、新日本企画は破産させられたSNKの旧社名であるが、SNKとSNKプレイモアは資本関係もなく明らかに別法人であることが見落とされている。

 4.ナムコは2月12日、第3・四半期と第3・四半期までの3四半期(4−12月期)の連結業績を発表した。前年同四半期決算はないため比較できないが、4−12月期の売上高は134,649百万円、経常利益は13,860百万円、純利益は6,617百万円で、全般的に順調に進めていることになる。部門別では、業務用販売が「ドラゴンクロニクル」など好調で、売上高22,331百万円、営業利益6,467百万円、家庭用およびコンテンツは海外での好調が国内の低調を補って、売上高37,530百万円、営業利益6,688百万円、ゲーム場運営は国内既存店が好調で、売上高59,443百万円、営業利益5,487百万円、飲食店は売上高3,220百万円で営業利益112百万円、映画事業は売上高7,737百万円で営業利益44百万円などとなっている。

 5.カプコンは2月13日、第3・四半期までの3四半期(4−12月期)の連結業績を発表。売上高は前年同期比3.9%減の39,130百万円、経常利益は9.2%増の2,805百万円、純利益は1,472百万円で、減収ながら不動産の評価損による前期の赤字から黒字へ回復した。部門別では前年同期比がないが、家庭用の売上高は25,678百万円で営業利益は1,234百万円、業務用販売は売上高が3,925百万円で営業利益が1,466百万円、ゲーム場運営は売上高が7,156百万円で営業利益が1,674百万円、ロイヤリティ収入などその他の売上高は2,370百万円で営業利益は507百万円。中間決算に引き続き、主力の家庭用の利益率低下が目立つことになった。海外のゲーム場は最後の米国1店がなくなり、撤収が完了した。国内のゲーム場は31店となった。

 6.演奏する曲をネットからダウンロードするジュークボックスが米国で新たなビジネスとして注目されているが、その特許をめぐってタッチチューン・ミュージック社とイーキャスト社が訴訟中で、12月18日には連邦地裁が、イーキャスト社がタッチチューン社の特許を侵害したとするサマリージャジメント(略式判決)を出したが、イーキャスト社は提携先の英国NSMミュージックグループ社が持つ特許を盾にタッチチューン社を訴えており、まだ当分両社の闘いは続きそうである。タッチチューン・ミュージック社はネットジュークビジネスで先行しており、イーキャスト社は後発ながら技術を改良して追い上げつつある。一方ロッコーラ社は、イーキャスト社の技術を得てネット・ジューク「イーロック」を開発しており、これも市場に投入される。こうした事情を背景に、両社の特許訴訟は華々しく繰り広げられることになった。

 7.英国ATEI/ICE04の登録入場者数は、ATEIが3.2%増の14,777人、同時開催のICEが14.6%増の7,322人で、合計6.8%増の22,099人だったと主催者が発表した。これらの種類別のデータもあるが、国別では英国が58.9%を占め、以下スペイン、オランダ、イタリア、ドイツ、米国、オーストリア、アイルランドなどとなっている。日本からは昨年の70人から82人に増えたが、順位は28位となっている。なお展示会初日に世界的な業者団体のサミット会合が開催された。カジノ機器関係のICEに出展した日系企業は、アサヒセイコー・ヨーロッパ社、コナミ・オーストラリア社、マツイゲーミング社、ユニバーサル・ディストリビューティング・オブ・ネバダ社など。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。