2003年8月1日号

Last updated on July 26, 2003

特報

 セガ社の小口社長が、開発子会社再編など経営方針を説明した。

 ソニーの第1・四半期でゲーム部門は大幅な減収減益となった。

海外

 米国フロリダのエプコットセンターで、「ミッション・スペース」がオープン間近となった。

 米国ワシントン州でも、家庭用家庭用業者側が予備的禁止命令を勝ち取った。

国内

 ナムコは応用範囲の広い「遠山式立体表示法」の開発を発表した。

 セガ社は新作展を開催し、「激闘プロ野球」などを披露した。


2003年8月1日号のニュースダイジェスト

真はセガ社新作発表会(大阪会場)で、「激闘プロ野球」を試しにプレイしているようす(大阪会場では会場側の都合で、「サイクラフト」は展示されなかった)


10年前の主なニュース

 米国AAMAの働きかけでメキシコの捜査当局が初めて、TVゲーム機の無断コピー基板取り扱い業者5社を摘発、800枚以上押収した。米国で許諾台数の10倍近い「カプコンボウリング」を販売したペルグリーニ氏が謝罪金の130万ドルを支払い、訴えていたIT社と法廷和解した。AOUとNSAはパチンコ/パチスロ機で景品を払い出すよう改造したものを使用しない方針を固めた。サミーは米国プリミア社製フリッパーの販売を開始した。(1993年8月1日号)。

20年前の主なニュース

 米国G&W社傘下にある日本のセガ社で、デビッド・ローゼン社長が会長に、中山隼雄副社長が社長に就任した。サン電子が「カンガルー」の無断コピーで訴えていたグローバルAMが謝罪したため、法廷和解した。米国アタリ社はカラーXY方式の「スターウォーズ」を出荷した。タイトーは新作展で「エレベーターアクション」を紹介した。データイーストは初めてLDを使用した「幻魔大戦」を披露した。(1983年8月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ社は7月23日、東京の新高輪プリンスホテルで小口久雄新社長が経営方針を説明するという経営戦略説明会を開催した。小口氏はセガ社経営の全般について語り、このところセガ社に欠けていた強力なリーダーシップを発揮したいと決意を述べた。セガ社が開発するゲームについては、「コアユーザー寄りになりすぎており、もう一度原点に帰り間口を広げたい。今までだれも見たことのない、経験したこともないエキサイトメントを提供たい」と語った。開発子会社の再編では既報のほか、セガ本社と開発子会社の中間に開発子会社の持株会社を設けること、新開発子会社はそれぞれ「バーチャサッカー」などスポーツゲーム分野を専門に担当する会社、鈴木裕執行役員による新規のプロジェクト会社とすること、などが明らかになった。セガ社役員については、取締役が意思決定し監督するという経営を担当、執行役員がそれぞれの業務執行を担当すると責任を明らかにした。これらの内容はネット上でも公開されている(http://www.irwebcasting.com/030723/01/index.html)。

 2.ソニーは7月24日、第1・四半期(4−6月期)連結決算を発表。ゲーム部門は本体、ソフトともに前年同期に比べ売り上げがダウンして18.2%減の125,246百万円となり、半導体など将来に向けての研究開発費が増えて営業利益は31.6%減の1,761百万円となった。期間中「PS2」の出荷台数は前年同期比194万台少ない265万台、「PS」は16万台多い83万台。ゲームソフトは「PS2」用が400万本多い3,100万本、「PS」用が500万本少ない800万本。「PS2」本体の販売は、前年同期が値下げで増加した米国でダウンし、欧州でも減少したが、日本では増加した。ゲームソフトの販売について同社は、欧州で他社製が伸ばし増収となったが、日米では販売数量が減少したため減収だった、と説明している。ソニー全体の第1・四半期業績も、売上高が6.9%減で、営業利益が67.9減と厳しいが、赤字だった前年の第4・四半期に比べると大幅に改善したとしている

 3.ナムコは7月16日、自然な立体画像を再生する「遠山式立体表示法」を開発したと発表した。開発担当者である遠山茂樹氏の名前をつけたこの立体表示法は、@赤青メガネを使うアナグリフ方式、A細かいかまぼこ型レンズを使うレンチキュラ方式、B交互に映像を与える時分割シャッター方式のいずれにも対応するもの。立体的に感じとるには奥行きを感じ取る輻輳(ふくそう)、焦点距離、視野角のズレという三つの関係が必要だが、これらを工夫することで、見る者が疲れることなく自然な立体表示を得ることができるとしており、その技術は現在特許として出願中。まず7月17日発行の「大人の科学マガジン」(学習研究社)02号で、印刷物としてアナグリフ方式の実物見本が掲載された。応用範囲は広く、パソコン画面でも可能だが、ナムコでは当面、自社の印刷物や映像などあらゆるコンテンツで展開すべく検討を進めるほか、出版社など社外への技術協力も行なうとしている。

 4.米国オーランドのウォルトディズニーワールド内のエプコットセンターがオープンしたのは1982年10月だが、開園21年目に巨大なパビリオンが完成することになった。5年かけて計画し建設を進めてきた「ミッション・スペース」がこのほど完成、8月15日からソフトオープン、10月には本格オープンすることになったのである。これはエプコットセンターにあった「ホライズン」の跡地に、宇宙旅行を体験できるパビリオンとして計画されたもので、これまでの最高の1億ドルを投資して建設された。メインのアトラクションは火星探査の旅で、NASAが全面協力し、実際の宇宙への旅をできるだけ忠実に再現し、経験させてくれるとしており、遠心力を利用したものなどこれまでにない強力なシミュレーションの仕掛けが用意されている。「ミッション・スペース」のスポンサーはヒューレット・パッカード社(HP)で、アトラクション後のエリアにはハイテクのTVゲーム機とパソコンゲームが用意されている。

 5.米国で暴力シーンを含む家庭用TVゲーム機に対する規制の動きはなくならないが、17歳以下の年少者に販売又は貸与した場合5百ドルの罰金を課すというワシントン州法に対して、メーカー団体であるIDSAや販売業者の団体であるVSDAなどが提訴している。シアトルにある連邦地裁は7月10日、この州法の施行を予備的に禁止する決定を下した。この州法は7月27日に施行される予定だったが、そもそも規定があいまいな上、合衆国憲法に定める表現の自由を制限している、として業者側は撤回を求めているので、連邦地裁は憲法とのバランスを考慮しなければならなくなったからである。しかし、ワシントン州議会側は今回の決定は予備的禁止命令にすぎず、訴訟自体についての判断が示されたわけではない、と長期戦の構えを示している。だが連邦裁判所は最近、インディアナポリス市条例、セントルイス・カウンティ条例のどちらも合衆国憲法に違反している、との判決を出しており、業者側が勝訴している。

 6.セガ社は7月11日、東京で新作展を開催(大阪は15日、福岡は17日)。「アウトラン2」(仮称)の映像を紹介したほか、新製品としてTVゲーム「激闘プロ野球」、「WCCF2002−2003」などを披露した。「アウトラン2」はチヒロ基板に基づくCGドライブゲームでこの冬にも登場する見込み。「激闘プロ野球」は水島真司の野球漫画に基づくもので、トライフォース基板を使用し、漫画のキャラクターがポリゴン画像となっている点が注目される。東京と福岡会場では、韓国シミュライン社が開発したモーションベース「サイクラフト」が、セガ社の「F−Zero AC」などを組み込んで紹介された。これは業務用TVゲームの操作に従い、上から吊り下げられたコックピットが上下左右に傾き、臨場感を高めるというもの。三軸モーションシステムを採用している。シミュライン社のモーションベースでは前作の「VRレーサー」を、タイトーが01年のAMショーで紹介したことがある。

 7.オリエンタルランド(OLC)は7月22日、ディーワンダーランドに第三者割当増資を通じて15億円を出資、25.1%の株式を取得することになったと発表した。ジャスダックに株式を上場している家庭用ゲームソフトメーカーのディーワンダーランド(本社東京、青木千栄子社長)は、筆頭株主がスクウェアの創業者である宮本雅史氏でこれまで71.0%所有してきたが、今回の合意により9月下旬に実施される資本異動で53.1%に下がり、2位の株主はOLCとなる。2位の株主だったスクウェア・エニックスの持分は11.6%から8.7%に下がり、3位となる。ディーワンダーランドはOLCと提携して、7月22日から配信を開始したNTTのフレッツユーザー向けインターネットサービス「ディズニーBBonフレッツ」で、有料コンテンツ「ディズニーワンダーランド」を運営しており、これを機会にOLCとしてもブロードバンドサービスという新分野にも積極的に参加することにしたもの。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。