2003年6月15日号

Last updated on June 9, 2003

特報

 セガ社は8月から、「クラブセガ大崎」に電子マネー「エディ」を実験的に導入すると発表した。

 任天堂は9月にも家庭用「FC」と「SFC」の生産を打ち切る予定だ。

海外

 業務用ネオジオソフトのコピー品を販売していた米国ダックス社に予備的禁止命令が出た。

 米国ミズーリー州はシグマゲーム社にゲーミング機販売許可を再交付した。

国内

 ソニーは年内にも、PSを兼ねるDVD/HDDレコーダーを発売すると発表した。

 コナミの連結決算で業務用は目立って後退している。


2003年6月15日号のニュースダイジェスト

上の写真はプレイモアが今夏発売を目指して開発しているネオジオ用「SNKvsカプコン−SVCカオス」のロケテストのもよう。カプコンによる「カプコンvsSNK」シリーズを受けて、SNK資産を継承したプレイモアが放つ新シリーズの一作目となる。ロケテストは6月6日、大阪・江坂のネオジオランド江坂店で始まった。業務用「ネオジオ」の販売やネオジオランドの運営はSNKネオジオ(旧・サンアミューズメント)が担当している。


10年前の主なニュース


 セガ社は米国アカレイド社を「ジェネシス」互換ソフトで著作権訴訟を続けてきたが連邦裁判所で完全に敗訴したため、和解した。ナムコはデータイーストとの資本関係を解消した。セゾングループの六甲環境計画が神戸・六甲アイランドに建設中のAM施設「AOIA」(アオイア)が7月オープンの見込みとなった。横浜・八景島の「シーパラダイス」は5月にオープンした。(1993年6月15日号)。

20年前の主なニュース


 米国ミッドウェー社は大手食品会社のゼネラルミルズ社に対して、「パックマン」の形をしたコーンシリアル「パックマン」を販売することで許諾した。83年秋のAMショーはJAMMA単独開催とせず、JAPEAとの共催に戻すことになった。前号から始まった「ゲームマシン」のチャートで、TVゲームのトップは前号に続いて「チャンピオン・ペースボール」と「アストロンベルト」だった。(1983年6月15日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ社は6月2日、ソニーの関連会社であるビットワレットが運営しているプリペイド方式電子マネー・サービス「エディ」をテストケースとして直営ゲーム場に導入することになったと発表した。「エディ」は非接触型のICカードを読み取り機にかざして料金を精算するもので、すでにコンビニエンスストアのam/pmなどに導入されている。業種を超えて利用できるのが強みで、発行枚数は現在150万枚ほど。セガ社ではゲーム料金を80円や130円など柔軟に設定できるなどのメリットがあることから、8月1日にセガ・アミューズメント直営の「クラブセガ大崎」(東京・品川)で「エディ」を実験的に導入、データを取りながら順次対象店を増やしていくとしている。また同社はタイトー、ナムコなど大手オペレーターや業界団体にも働きかけ、業界標準にすることを目指している。うちタイトーは「エディ」導入に興味を示しているが、ゲーム機単位のリーダー取り付けによるコストなどのほか、硬貨投入と併設するのか、プレイヤー自身がどう受け止めるかの研究などを含めて、研究課題も少なくないとしている。

 2.セガ社は5月30日、担当役職名を含む新執行役員体制を明らかにした。同社では部長職以上の役職者について異動があっても、これまで商法上の役員以外については発表する習慣がないため分かりにくい。しかし今回は、執行役員についてだけではあるが、役職名まで明らかにした。次のとおり3名が新任で、全員で15名となる予定だ。(6月27日付け=以下は役職異動の有無に関係なく新執行役員体制を示す)兼開発戦略本部長、社長・小口久雄▽常務執行役員アミューズメント機器事業本部長・森啓二▽同アミューズメント施設本部長・田副康夫▽同開発本部長・中祐司▽同経理財務本部長・菅野暁▽執行役員コンシューマ事業部長兼CSコンテンツ企画本部長・前田雅久▽同ソフトR&Dスタジオ社長・鈴木裕▽同社長室長・山崎昇一▽同施設開発事業部長・田端俊哉▽同コンシューマ事業部流通プロモーション担当・湯川英一▽同AM製品開発本部長・矢木博▽同開発本部副本部長・名越俊弘▽執行役員、販売事業部副事業部長・山下滋▽同、編成局長・杉野行雄▽同、総務本部長兼広報室長・曽我弘行 

 3.ソニーは5月28日、エレクトロニクスゲームの商品力強化を主な内容とする経営方針を発表、「PS2」に基づく次期家電商品「PSX」を03年中に発売することを明らかにした。「PSX」はPS2のエモーションエンジンとグラフィックシンセサイザーを採用しており、PS2のゲームができるだけでなく、DVDレコーダー(DVD±RW、DVD−R)とHDDレコーダー(120GB)を兼ねる新しいカテゴリーの家電商品で、家庭用ゲーム機としてではなく「ゲームもできるDVD/HDDレコーダー」という位置付けとなり、SCEではなくソニーから発売される。TV/BSチューナー内蔵、LAN端子、USB2.0端子付き、DVDディスクは前面からのスロット方式と、一般消費者向けに開発された。価格未定。米欧では04年発売予定。ソニーは前期決算でエレクトロニクス分野が大幅に後退しており、好調なゲーム分野との融合商品で業績を盛り返すのが狙いとされている。

 4.コナミは5月22日、03年03月期連結決算(米国会計基準)を発表。売上高は前年比12.4%増の253,657百万円だったが、コナミスポーツ関係の営業権を減損処理したため営業損失が21,870百万円(前年は18,087百万円の利益)、最終損失が28,519百万円(前年は11,402百万円の利益)と大幅赤字になった。部門別では、家庭用で売上高が2.9%減の87,476百万円、営業利益が23.8%減の13,987百万円と後退、フィットネスは売上高が19.6%増の78,525百万円だが、営業損失が49,412百万円と拡大、「遊戯王」などトイ&ホビーは売上高が79.5%増の45,948百万円、営業利益が130.9%増の16,629百万円と伸ばしたが、業務用ゲーム機は売上高が9.5%減の34,305百万円、営業利益が15.5%減の7,270百万円と後退、カジノ用ゲーミング機は売上高が168.2%増の8,215百万円にもかかわらず169百万円の営業赤字だった。業務用販売では、1月に欧州子会社をコナミマーケティング・ヨーロッパ社に改称、また4月に米国子会社をコナミマーケティング社として設立した。04年3月期の売上高は2,555億円、営業利益は275億円、最終利益は145億円と黒字回復を見込んでいる。

 5.アトラスは5月23日、03年3月期連結決算を発表。売上高は前年比8.7%減の16,290百万円、経常利益は55.5%減の496百万円、最終利益は46.6%減の256百万円と大きく後退した。主に写真シール機の業務用では売上高が25.3%減の5,483百万円で営業利益は13.9%減の605百万円、家庭用ゲームソフトは売上高が9.2%減の5,221百万円で220百万円の営業赤字、ゲーム場運営は売上高が17.2%増の5,585百万円で営業利益が8.5%増の518百万円だった。ゲーム場は七月に「ゲームパニック東京」(平和島)と十二月に「ゲームパニックつくば」(茨城・土浦)の大型2店を新設したことによる。米国の業務用子会社(アトラスドリームエンタテインメント社)は03年3月持株会社に吸収され、事実上消滅した。アトラスは家庭用とゲーム場運営について大株主のタカラと事業統合を進めるとしている。04年3月期は売上高170億円、経常利益1億7千万円、最終利益2千万円を見込んでいる。

 6.プレイモアはこのほど、米国で業務用「ネオジオ」ソフトのコピー品を販売していたダックス・テクノロジー社に対して、連邦地裁が5月16日に「ネオジオ」ソフトのコピー品を販売することを禁止する予備的禁止命令を出したと発表した。サンフランシスコ郊外にあるダックス社に対しては、プレイモアの申請で一時的緊急差止め命令が出て、4月15日に強制捜査が行なわれ、コピー品が多数押収された。予備的禁止命令はさらに、ダックス社に対する禁止対象を拡大するものと解されている。なおこれとは別に、プレイモアのグループ会社で販売を担当しているサンアミューズメントが6月2日付けで「SNKネオジオ」に社名を変更し、また社長交代により総務部長だった中村善隆氏が新社長に就任したことを明らかにした。プレイモアグループでは、開発会社のノイズファクトリーを除いて米国のSNKネオジオUSA社、東南アジアのSNKネオジオ香港などすべて「SNKネオジオ」の付く社名に統一されることになった。

 7.米国ミズーリー州のゲーミングコミッションは6月3日、シグマゲーム社と和解し、同州でのゲーミング機販売のライセンスを元通り与えることになった。同州ではネバダ州と異なりゲーミング関係の許可は毎年更新される必要があり、シグマゲーム社を所有する真鍋勝紀氏が3年前にアルゼの岡田和生社長から2千万ドル借り入れていることが昨年判明したため、ゲーミングコミッションは岡田氏の素性調査を求めたが、岡田氏がそれを拒否したことから03年1月、許可更新を認めないと決めた。このためシグマゲーム社は2月にミズーリー州ゲーミングコミッションを相手取って訴訟を起こしたため、とりあえず90日間の許可を出していたが、このほど和解し許可を再発行することになったもの。和解に関しシグマゲーム社は、同社はアルゼによる支配下にないことがコミッションに理解してもらえた、と説明している。しかし日本では、アルゼがシグマゲーム社を買い取ることで契約が交わされており、その契約不履行で真鍋氏側がアルゼを相手取って訴えているという事実もあり、事態は容易ではない。

 8.アルゼとサミーで争われているパチスロに関する訴訟で、まったく別の判決が二つ東京高裁から出された。一つはアルゼのいわゆる「前段判定特許」に関するもので、サミーは無効審判を求めたが、特許庁が02年3月「審判請求は成り立たない」との審決をしたため、サミーはその審決取り消しを求めて訴えていたが、東京高裁は5月29日、審決で「先願発明と同一でないと判断したことに誤りはない」としてこの訴えを却下した。この訴訟結果についてサミーは見解を発表していない。もう一つはサミーのパチスロ機「カメンライダーV3」でアルゼの「前段判定特許」が侵害されたとしてアルゼが訴えたもので、東京地裁が02年6月に却下したため、アルゼは控訴していたが、東京高裁は6月4日、サミーは特許管理会社(日本遊技機特許連盟株式会社)を通じて許諾を得ていることが認められ、アルゼの主張には理由がないとして、控訴を却下した。この訴訟についてアルゼは最高裁に上告すると説明している。

 9.任天堂は5月30日、部品の調達が難しくなってきたため家庭用ゲーム機(ファミリーコンピュータ)(FC)と「スーパーファミコン」(SFC)の生産を9月に打ち切ると発表した。FCは83年7月の発売以来世界出荷累計が6,188万台に達するが、中古ソフトがあるため注文に応じて生産し、02年度でも6万台出荷した。SFCも90年11月以来の出荷累計が4,900万台以上で、02年度1万台出荷した。生産終了とともに、部品交換や修理にも応じることができなくなる。だが新作だけがゲームであるはずもなく、数多くある名作ゲームをしたいと思う人も少なくない。しかし、本体がなくなればゲームもできなくなるわけで、そこに疑問を感じる人もいる。これはなにもFC、SFCに限ったことではないが、普及台数が圧倒的に多いこの2機種には名作が特に多いことから、ゲーム資産を生かす方法が望まれている。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。