2003年2月15日号

Last updated on February 10, 2003

特報

 英国ATEI03にセガ社、ナムコ、コナミ、サミー、旭精工の欧州子会社が出展、新製品を披露した。

 アルゼに対する追徴課税の取り消しをめぐる東京国税局の控訴は棄却された。

海外

 米国シグマゲーム社はミズーリー州でのゲーミング機販売のライセンス更新ができなかった。
 
 05年‐06年開業を目指し「香港ディズニーランド」の起工式が行なわれた。

国内

 熱海市などの「カジノ特区」提案に対し、法務省と警察庁は「不可能」と回答した。

 シチエが02年12月期決算を発表した。オムロンは7月にも、AM事業を子会社に分社化する方針。


2003年2月15日号のニュースダイジェスト

写真は英国ATEI03会場にて、上はセガAMヨーロッパ社の小間で(左から)「ダービーオーナーズクラブ」を背にしたセガ社の永井明専務、上原武執行役員。下は英国エレクトロコイン社の小間に出品された「バトルギア 3」を説明するタイトーの堀井建治氏、飯沢幸雄常務。

10年前の主なニュース

 松下興産は和歌山マリーナシティの中核となるテーマパーク「ポルト・ヨーロッパ」の計画内容を発表した。警察庁は92年中に「遊技機賭博」が減少したとの調査結果を明らかにした。米国のティム・ディズニー氏が「バトルテック」のVWE社を買収した。タイトーから小型映像シミュレーター「IDYA」が出荷された。AOUエキスポ93には59社が962小間に出展することになった。(1993年2月15日号)。

20年前の主なニュース

 任天堂「ドンキーコング・ジュニア」などのコピー基板を製造販売していたとして大阪府警は1月28日までに、ファルコンなど3社を著作権法違反などで家宅捜査し、同社の井上治雄社長ら3名を逮捕した。ナムコは「ゼビウス」を出荷、米国ではアタリ社に許諾したと発表した。東京都生活文化局からの要請に応じ、NAOは青少年非行化防止のための自主規制強化を回答した(1983年2月15日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.欧州最大の遊技機総合展、英国ATEI/ICE03(1月21‐23日、ロンドン)は、AWP機を中心としたATEIとカジノ用ゲーミング機器のICEとが同時開催されており、ATEIには前年比2.2%増の273社が約11,500uに出展し、1.5%減の14,312人が登録入場した。ICEには8.9%増の147社が7,500uに出展し、26.0%増の6,388人が登録入場した。登録入場者の合計は5.6%増の20,700人で、ATEIの登録入場者でICE会場を訪れたのは8,582人だった(ICEの実質入場者は計14,970人となる)。登録は無料で、業者しか登録できない、というシステムはかなり合理的なものと言える。展示会の運営は大変良くできている。世界的に見ればATEIの規模は日本のパチンコ・パチスロ展に、またICEは米国のゲーミングエキスポにそれぞれ続くものと見ることができる。

 2.ATEI03は英国の射幸遊技機、AWP機が主役となっているが、国際的な展示会でもあり、TVゲーム機やフリッパーなどのAM機も出品される。日系の出展社ではセガAMヨーロッパ社が「クレージータクシー・ハイローラー」など、ナムコ・ヨーロッパ社とブレントセールス社が「タイムクライシス 3」など、コナミ・マーケティング・ヨーロッパ社が「ウォーゼイド」(ワールドコンバット)など、サミー・ヨーロッパ社が「アトミスウェーブ」システムと「スシバー」(とれとれ!寿司)までのゲームソフトを、それぞれ出品した。またコインメック関係でアサヒセイコー・ヨーロッパ社、中古機関係でOMI、KNT、トーヨーが出展した。AM機を扱う英国エレクトロコイン社の小間では、タイトー「バトルギア3」や米国スターン社のフリッパー「ピンボールパーティー」が出品された。スペインのガエルコ社は新作TVゲーム機「東京コップ」を披露した。タイトーは改めて業務用の輸出に力を入れているのが注目される。

 3.「香港ディズニーランド」の正式起工式が1月12日、香港西部のランタオ島の建設地で行なわれた。米国ウォルトディズニー社のマイケル・アイズナー会長兼CEOと香港特別行政区の董建華行政長官らが参加したもので、2005年ないし06年の開業を目指し本格的な建設が始まった。ウォルトデイズニー社と香港特別行政府は99年11月に「香港ディズニーランド」建設、運営について合意していた。「香港ディズニーランド」の内容は米国のディズニーランドとほぼ同じで、二つのホテルと商業施設を付帯する予定で、香港国際空港とは鉄道と高速道路で結ばれている。中国本土から三分の一程度の入園を当て込んでおり、初年度少なくとも560万人の入園を、またその後は毎年一千万人ほどの入園を見込んでいる。中国・上海ではユニバーサルスタジオが早くて06年に完成する予定だが、2010年まで無理だろうと香港ディズニーランド側では見ている。

 4.東京国税局がアルゼに対し00年12月に重加算税など約16億6千万円の追徴課税をしたのに対して、その取り消しを求める訴えをアルゼが起こし、02年4月に東京地裁はアルゼの訴えを認める判決を出したが、国税局は控訴していた。これに対し東京高裁は1月29日、控訴を棄却する判決を言い渡したが、国税局は上告を検討している。高裁判決はアルゼの主張をさらに全面的に容認するもので、実質的には明立のパチスロ基板がアルゼを通じて潟Gレクトロコイン(取り引き後アルゼが完全買収)に販売されたが、アルゼの代わりに米国のユニバーサル・ディストリビューティング・オブ・ネバダ社(UDN、アルゼ岡田和生社長が代表)が仲介したように仮装取り引きが行なわれていた、とする国税局の主張に対し、UDNとの輸出入は当時の日電協によるパチスロ市場の規制に基づくものだったし、「中古基板のダミー輸出入があったが、だからといって虚偽の取り引きとはならない」として高裁は仮装取り引き説を全面的に退けた。
 東京国税局は2月13日までに上告を断念したため、この判決は確定した。(2月14日に追加)

 5.元シグマ/アドアーズの真鍋勝紀氏が所有する米国シグマゲーム社が、ミズーリー州でスロットマシンなどゲーミング機を販売するためのライセンスの更新を同州ゲーミングコミッションに申請していたが承認されなかった。このため同社は提訴すると説明しているが、問題はアルゼにまで及んでいる。同州ゲーミングコミッションは真鍋氏が数年前アルゼの岡田和生社長から20百万ドルを借り入れ、返済していないという事実があるため、岡田氏の素行調査を求めたが、岡田氏がそれを拒否したことから、更新しないことを1月22日に決定した。同州でのライセンスは、ネバダ州と異なり、更新制となっている。なお、アルゼはシグマゲーム社を買い取ることについて承認するよう、2年ほど前にネバダ州ゲーミングコミッションに申請しているが、これは審理がストップしたままとなっている。ネバダ州ゲーミングコミッションではミズーリー州での問題に関心を持っていると言われている。

 6.政府の内閣官房・構造改革特区推進室は1月28日、熱海市などが提案した「カジノ特区」について警察庁などが「刑法に関するものは特区制度の対象外」として「不可能」の回答をしたことを明らかにした。第2次募集で「カジノ特区」を提案したのは熱海市、鳥羽市など4団体で、法務省は「刑法第23章の罪の適用を特定地域で排除することはできず、またカジノのみを構成要件から外すこともできない」として「不可能」とした。警察庁もこうした刑法関連の事案は特区制度の対象外として門前払いした。しかし賭博行為が他の凶悪犯罪を誘発するおそれがあるなどとして、刑法で賭博罪を定めているとする説明(最高裁判決昭和二十五年十一月二十二日)までは踏み込んでいないのが注目される。不況克服の手段として「カジノ特区」を主張する向きはあるが、カジノにつきまとうさまざまな犯罪をどう克服することができるかなど、その実現性に疑問を投げかける声は少なくない。

 7.シチエは1月31日、02年12月期決算を発表、ビデオレンタルは後退したがゲーム場が伸ばして増収増益となった。売上高は前年比1.7%増の9,946百万円、経常利益は10.0%増の1,834百万円、当期利益は10.5%増の928百万円だった。部門別売上高はレンタル部門で01年3月から02年4月までの間に4店閉鎖ないし譲渡したため3.8%減の6,045百万円、AM施設部門(ゲーム場とボウリング場)で11.6%増の3,901百万円だった。うちゲーム場は12.2%増の3,736百万円で、既存の8店が2.1%増になったのに加え、02年7月開店した岩槻店による増加が9.5%あった。同社では02年度下期に予定していた市川店の開店を、03年4月に延期している。

 8.オムロンは1月28日、写真シール機やゲーム機用景品などのAM事業を子会社として分社化する方針を発表した。これはAM事業が同社の、制御機器や電子部品など主幹事業と明らかに性格が異なるためで、AM事業向け専門の100%子会社にすることに決めた。社名は未定で、本社は東京に置く予定。5月上旬に分割計画を承認し、7月に実施する予定となっている。
 1.セガ社の米国家庭用子会社、セガ・オブ・アメリカ社(SOA、本社サンフランシスコ)で社長兼COOを勤めてきたピーター・ムーア氏が1月17日に退任、セガ本社の香山哲COOが直ちにセガ・オブ・アメリカ社の社長兼COOを兼任することになった。ムーア氏は米国リーボック社の上級副社長を経てSOAの上級副社長に転じ、2000年4月からSOAの社長兼COOとして「ドリームキャスト」の米国での立ち上げと撤退、ゲームソフト事業への特化を指揮してきた。SOAは「ムーア氏の4年間の業績に感謝し今後の活躍を望む」とする香山氏のコメントを発表しているが、セガ本社は特にコメントは発表していない。なお米国マイクロソフト社は20日、ピーター・ムーア氏を本社でのXboxの販売・マーケティング担当副社長として迎えたと発表した。マイクロソフト社はムーア氏のリーボック社、セガ社家庭用での経営手腕を高く評価していると説明している。

 2.セガ社は1月17日、東京の大田区産業プラザで業務用新作展を開催(大阪は20日、福岡は22日に)、「バーチャコップ3」、「クレイジータクシー・ハイローラー」、「甲虫王者ムシキング」を披露した。「バーチャコップ3」はXbox互換の「チヒロ」基板を使用、前作から8年ぶりとあって武器チェンジなど盛り込んだプレイ内容となっている(4月末出荷予定)。「クレイジータクシー・ハイローラー」も「チヒロ」基板によるもので、99年の前作を元にジャンプ機能などが加わった。Xbox用「クレージータクシー3」をもとに表現を細かくした(3月末出荷予定)。「甲虫王者ムシキング」はムシカードと呼ばれる「甲虫カード」と「技カード」を組み合わせてじゃんけんするという子ども用カードゲーム(1月下旬出荷予定)。また、「F−Zero AC」(2月に披露予定)、「セガ四人打ち麻雀MJ」新バージョン、「WCCFA2001−2002 Ver.2.0」(2月出荷予定)を映像紹介した。

 3.遊園地関係の国際的な業者団体、IAAPAは1月16日、エイシャン・アミューズメント・エキスポ(AAE)の単独オーナーになったと発表した。94年以来東南アジア地区で毎年夏前に開催され、遊園施設から業務用ゲーム機などまで紹介してきているAAEはここ数年、シンガポールの展示会社であるテラピン社と、IAAPA、そして米国業務用ゲーム機メーカー団体のAAMAの共催で開かれてきたが、IAAPAがテラピン社とAAMAの持分を買い取ったもの。94年当時はAAMAの単独主催だったが、後にIAAPAが加わっていた。今後もテラピン社は展示会運営に携わり、AAMAはショー運営に協力するとのこと。開催地は香港かシンガポールで、昨年からはシンガポールに移している。東南アジアを中心とした市場開発が業界発展に重要との観点で、IAAPAはさらにAAEに力を入れることになる。

 4.コナミは1月16日付けで事業区分を変更。従来のCS事業はゲームソフト事業に、H&F事業はエクサテインメント事業に、T&H事業はトイ&ホビー事業に、AC事業はアミューズメント事業に、GC事業はカジノ事業に変えた。うちカジノ事業はゲーミング機器の製造販売など。アミューズメント事業はAM機の製造販売など。近い将来に持ち株会社化を進める予定で、事業内容を明確にするのが目的とされている。なお、欧州業務用子会社のコナミ・アミューズメント・オブ・ヨーロッパ社は1月13日付でコナミ・マーケティング・ヨーロッパ社に社名変更した。欧州業務用子会社はこれまでヨーロッパ全域での業務用販売を一手に扱ってきたが、1月から英国とアイルランドでの販売のみとなり、その他のヨーロッパ市場ではフランスのアブランシェ・オートマチックス社が代理店としてコナミ製品を販売することになったとされている。

 5.セガ社は1月24日、新高輪プリンスホテルで新春賀詞交換会を開き、基調講演で佐藤秀樹社長は02年に業務用販売とゲーム場運営で「セガも市場に貢献できた」と語った。03年にゲーム場は前年同様に大・中規模店の新設を進めるとともに、不採算店の閉鎖を進めるとしている。家庭用では米国でスポーツゲームが成功したとは言えなかったとし、幅広いユーザー層へと市場を広げたいとした。香山哲COOはセガ社家庭用事業戦略について講演、「ゲーム専用機の時代は終わった」と語った。このためセガ社では、ゲームだけのビジネスから脱却、映像制作やPCオンラインビジネス、モバイル事業、またカードリーダーなど活用した新事業などを手がけていく。ゲームソフトについては、スポーツ、スタンダード、シリーズ、スペクタキュラー、アーケードの5つの種類ごとに開発を強めるとした。

 6.SNKの知的財産を継承した潟vイレモア(大阪府吹田市、外山公一社長)によると、「ネオジオ」ゲームソフトの海賊版を扱っていた米国ワールドワイドビデオ社、ネオジオフリーク社の2社に対して、米国連邦地裁は1月15日それら海賊版の販売などを予備的に禁止する命令を出した。米国では12月4日に連邦地裁が出した命令によりこれら2社に対する強制調査が行なわれており、それに続く手続きとなる。損害賠償などを求める訴訟がまもなく提起されるもようだ。一方、コピー品を生産、世界中に輸出していたと見られる台湾のEago社とその関連会社のEakia社については12月11日に刑事事件として強制捜査が行なわれており、検察による取調べが進められている。台湾では両社以外でも正有利、大豊行の2社について11月22日に強制捜査が行われている。なおプレイモアグループのうち、サンアミューズメントが昨年10月頃ブレッツァソフトを吸収合併したことが判明した。

 7.タイトーは業務用カラオケで02年中最もリクエストの多かった曲は「亜麻色の髪の乙女」だったと発表した。これは同社業務用カラオケ「X‐2000」での調査の結果で、この曲はヴィレッジシンガーズによる34年前のヒット作を島谷ひとみがカバーしたもので、歌いやすさから人気となった。2位はfragileの「Every Little Thing」だった。同社によると、家庭用カラオケ「メディアボックス」で1位は天道よしみの「春が来た」(2位は「亜麻色の髪の乙女」)、携帯コンテンツ「EZmelody」の着信メロディで1位はBoAの「奇蹟」だった(2位は浜崎あゆみの「Voyage」)。カラオケボックス、家庭での利用、携帯電話という異なる場面、ユーザー層のデータを示すもので、ランキングでも違いがはっきりと現れたとしている。


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