2002年11月1日号

Last updated on October 25, 2002

特報

 アルゼが出資している米国ウィンリゾート社の株式公開が迫っているが、条件が厳しく、予定通り行なわれるかどうか注目されている。

 マーベラスエンターテイメントの株式が11月18日にもジャスダック(店頭市場)に公開されることになった。

海外

米国AMOAエキスポ02はファンエキスポと同時開催で、密度を高めた。
 
 コナミの米国業務用販売拠点は9月末で閉鎖されたが、後を引き継ぐ代理店はまだ決まっていない。

国内

 テクモは家庭用ゲームソフトが好調だとして、9月中間期業績予想を上方修正した。

 イオンファンタジーは8月中間決算を発表、10店舗増やして業績を伸ばした。


2002年11月1日号のニュースダイジェスト

上の写真は米国AMOAエキスポ2002の会場で、ナムコ・アメリカ社の(左から)久恒健嗣副社長、ケビン・ヘイズ社長、フランク・コーゼンチーノ副社長と「プレイプール」。下はマネートロニクス社の小間で、静間智一氏(左)と同社スタッフ。

10年前の主なニュース

 米国ナッシュビルで開催されたAMOAエキスポ92は、「ストリートファイターU」などの人気で活発化した。東京ディズニーランドに「スプラッシュマウンテン」が完成した。セガ社、コナミ、ダイエーレジャーランドのゲーム場を含む「神戸ハーバーランド」がオープンした。セガ社は「六本木GIGO」、テクスメックスは渋谷に「NFLエクスピアリアンス」を開設した(1992年11月1日号)。

20年前の主なニュース

 AMショーではゲーミング機の出品禁止を徹底して健全性をアピールするとともに、出展社は最後の三協会共催ショーとして華やかさを競った。太東商亊がセガ社に謝罪し、両社間のコピー紛争は解決した。データイーストは「ハンバーガー」を米国ミッドウェー社に許諾した。セガ社から「ペンゴ」が、タイトーから「ミスタードゥ」が出荷された。NHKの「ニュースセンター9時」が違法なポーカーゲームを特集した(1982年11月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.アルゼが現在47%出資している米国ウィンリゾーツ社(本社ラスベガス、スチーブ・ウィン会長)の株式が、10月26日米国ナスダック市場に上場される見通しになった。10月7日に新株売出し申請を明らかにしたもので、アルゼも18日に概要を発表した。申請時点では1株21‐23ドルで2,045万株を新規発行することで、約4億5千万ドルを調達し、05年4月完成予定のカジノホテル「ラ・レーブ」建設費用とマカオでのカジノ開発費用に当てるとしていた。しかし少なくとも3年間は赤字見込みで、また株式市場が低迷しているため、売出し価格は1株15‐16ドルまで下げ、新株発行を2,370万株に増やすなど調整が続いており、26日上場も怪しくなっている。なお同社は上場申請書で、もしアルゼが抱える日本での脱税問題が「ラ・レーブ」カジノ運営許可の障害になった場合は、ウィンリゾーツ社がアルゼの持ち株を約束手形で買い取ってクリアする、と説明している。

 2.潟}ーベラスエンターテイメント(本社東京、中山晴喜社長)の株式が11月18日、ジャスダック(店頭)市場に上場されることになった。証券業協会が10月15日に発表した。マーベラスエンターテイメントの02年3月期の連結売上高は3,208百万円、経常利益は410百万円、最終利益195百万円。売上高構成比率はゲーム音楽やアニメ主題歌などの音楽・映像61%、家庭用ゲームソフトとCG制作18%、ゲーム場運営21%。ゲーム場はamueつくば店、仙台利府店、オーロラモール東戸塚店、ゲームガレージ大宮店の4ヵ所となっている。子会社にマーベラス音楽出版がある。公開前の大株主は中山晴喜氏(28.4%)、潟Aミューズキャピタル(23.2%)など。中山社長は中山隼雄氏の長男で、89年にバンダイ、93年にセガ社に入社、97年6月にマーベラスを設立して独立した。38歳。

 3.テクモは10月15日、9月中間期業績予想を上方修正した。いぜん家庭用ゲームソフトが内外で好調だった(海外でのDOA3や国内でのDOA2ハードコアなど)のに加え、前期に貸倒れ引き当てをした問題債権が健全化したため、戻り入れ特別利益126百万円を計上することによる。連結の中間期業績は売上高が前年同期比0.7%増の2,810百万円、経常利益は120百万円(前年同期は63百万円の損失)、中間利益は40百万円(前年同期は206百万円の損失)と予想している。下半期はさらに家庭用ゲームソフトを展開する一方、ゲーム場運営も堅調に進めるが、通期業績予想は修正していない。同社では10月10日に、子会社のテクモエイトを通じ400坪のSC内大型店「テクモピア伊丹店」をオープンしている。

 4.イオンファンタジーは10月9日、8月中間期決算を発表。期間中新たに10店を開設し、売上高は前年同期比16.2%増の9,596百万円、経常利益は26.6%増の984百万円、中間利益は70.5%増の532百万円とさらに伸ばした。同社はイオングループが86.4%所有するSC内遊戯場経営会社。期間中の閉鎖はなく、8月現在で直営144店、フランチャイズ16店の計160店を経営しているが、中期的には200店まで増やす方針。10の新規出店と既存店の活性化に約14億円を投資し、その資金に株式公開に伴う公募増資額と自己資金を充当した。ゲーム機では「太鼓の達人3」、「とめばあさんの駄菓子屋」を早くから導入するなどして業績をあげた。02年2月期の業績予想を上方修正し、売上高200億円、経常利益18億円、当期利益9億8千万円を見込んでいる。

5.米国AMOAエキスポ02(9月19‐21日、ラスベガス)は昨年同様ファンエキスポ02同じ会場で開催されたが、二つの展示会はさらに統合され小規模ながら密度を高めた。AMOAエキスポには約165社、ファンエキスポには約175社が出展し、それぞれ五千人、三千人の登録入場者を集め、伝統ある展示会を維持した。9月17‐19日、同じ展示場で大規模に開催されたゲーミングのG2Eに比べると数分の一で、重要性は低くなっている。業務用市場が縮小傾向にある上、ここ数年日本のAMショーと開催日が重なることが多く、日米ともに国際ショーの性格を弱めていることなどが、さらにに勢いを弱めているためだ。このため米国では春のASIとの統合を望む声が多く、特に今回は主な出展社のひとつ、インクレディブルテクノロジー(IT)社が展示会の統合を求めて03年のASIに出展しないことを発表し、注目された。しかしASIの主催者であるAAMAは、ASI03開催に向けて着実に作業を進めているとしている。

6.米国AMOAエキスポ02ではナムコ・アメリカ社が英国ノバ社開発の新TVビリヤードゲーム「プレイプール」を披露、「魔斬」などナムコの新作を紹介した。セガUSA社は「ハウス・オブ・ザ・デッドV」などセガ社新作を披露した。しかしコナミは米国市場から撤退するため、既存のゲームを出品するのに留まった。サミーUSA社はTVゲームの新システム「アトミスウェーブ」を日本と同時に披露して注目された。このほか日本企業では旭精工の米国営業所、マネートロニクス社がリデムプションのチケット計算機など披露した。IT社は卓上式の「タッチイット」を紹介、スターン社はIT社と同様のトーナメントプレイができるシステムを強調した。業務用ネット端末を展開してきたユーウィンク社は経営建て直しのため出展しなかった。なおAMOAの会長は毎年展示会・総会を機に交代しており、マイク・レオナルド氏からリッチ・ホリー氏に代わった。

7.米国の業界誌「リプレイ」によると、コナミの米国業務用部門は9月30日に事実上閉鎖した。同部門は米国家庭用部門のコナミ・オブ・アメリカ社(ロサンゼルス郊外)の一部として、シカゴに販売拠点を維持してきたが、販売業務を米国の適当な代理店に任せることで撤退することになったもの。しかしまだその代理店はどこに指定したのか明らかではない。コナミの業務用海外担当者は、「海外業務用は重要であり、米国向け製品も作り続けている。ただ、米国では再構築しているだけだ」と説明するに留まっている。可能性として、コナミは欧州で米国向け製品を製造し、米国に出荷することも検討しているとのこと。いずれにせよ、コナミの正式発表はないままに、シカゴの業務用販売拠点だけがなくなりつつある。


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