2002年9月1日号

Last updated on August 28, 2002

特報

 選手個人の肖像権使用許諾を巡り、日本プロ野球選手会は野球機構とコナミを提訴した。

 コナミと韓国アンダミロ社が和解し、米韓での訴訟を取り下げた。

海外

 シンガポールに移ったアジアAMエキスポ02はさらに規模を縮小した。
 
 米国スターンピンボール社はPCゲームに基づく新作フリッパーを出荷した。

国内

 メディアカイトがネットを通じ、PCで懐かしの業務用TVゲームを有料配信すると発表した。

 三井グリーンランドの中間決算で、遊園地部門は回復した。


2002年9月1日号のニュースダイジェスト

写真はシンガポールで開催されたAAE2002で、上は会場入り口のようす。下はアトラスのシンガポール子会社、アトラス・エンタテインメント社の小間のようす。

10年前の主なニュース

 台湾法務部は、カプコン「ストリートファイター U」シリーズの無断コピー基板を販売していた7社を商標権侵害などで捜査し、4社から約1,500枚の基板を押収した。米国連邦地裁は「ゲームジーニー」事件で、任天堂がルイス・ガルーブトイ社に15百万ドルの補償をするよう命じた。城島後楽園ゆうえんちで日本初の木製ローラーコースター「ジュピター」が完成した。(1992年9月1日号)。

20年前の主なニュース

 TVゲームのヒットで、ついにナムコ/ミッドウェー社「パックマン」のキャラクターが米国の連続テレビアニメの主人公になった。任天堂は新作「ドンキーコング・ジュニア」を披露し、今後一切他社に許諾をしない、本体売りだけで基板販売はしないなどの方針を発表した。JAMMAは3協会共催のAMショー出展予定社のうち、NAOからの4社がコピーヤーだとしてNAOに申し入れることにした。(1982年9月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.日本プロ野球選手会(古田敦也会長)は8月26日、選手個人の氏名や肖像などを無断で使用されたとして、コナミと社団法人日本野球機構(JBO)を東京地裁に提訴した。コナミは1999年にJBOから、実名などを使用した野球ゲームソフトの独占的販売権と他社にも許諾する権利について許諾を受けた。しかし訴えによるとJBOは選手会から許諾を得ていないし、コナミは2000年以来他社へ許諾を事実上拒否しているとのこと。選手会は00年11月以降、話し合いによる解決に努力したが、コナミからの明確な回答がなく、またJBOは選手が自分の肖像権を持つことを否定するに及んだ。このため選手の実名など使用したコナミの野球ゲームの販売差止めと、コナミとJBOに使用許諾の権限がないことの確認を求める訴えを起こした。JBOは選手の肖像権の価値は球団の投資のうえに築かれたものとするコメントを発表。コナミは「まことに遺憾。円満かつ迅速な解決を希望する」としている。

 2.コナミと韓国アンダミロ社は8月19日、両社が韓国と米国で争ってきた知的所有権訴訟について、アンダミロ社が和解金を支払いそれぞれ訴訟を取り下げることで和解した、と発表した。和解金の金額などは公表しない条件になっている。コナミは2000年3月、アンダミロ社が「パンプ・イット・アップ」でコナミ「DDR」の意匠を侵害したとして韓国で訴訟を起こし、01年6月に地裁で勝訴したが、アンダミロ社が控訴していた。一方アンダミロ社は01年9月、韓国の特許裁判所が「アンダミロ社はコナミの意匠権を侵害していない」ことを確認した、として勝利宣言していた。またアンダミロ社は入手した米国特許をコナミが侵害しているとして2000年8月米国で訴訟を起こし、今年9月にもトライアル(審理)が始まることになっていた。

 3.インターネットを通じて一般のPCに業務用TVゲームを有料配信するサービスが、8月27日に発表された。PC用と家庭用ゲームソフトを手がける潟<fィアカイト(本社東京・五反田、飼沼憲泰社長)が9月11日に開始する「ネットゲーセン」で、香港ビリーバダ社開発の配信システム「OAGC」、凸版印刷の課金システム「ビットウェイ」を利用する。メディアカイトによると、すでにサン電子、タイトー、データイースト、日本物産、PCCWJ(旧ジャレコ)から懐かしい54タイトルのゲームソフト供給が予定されている。プレイヤーがログインなどすれば、エミュレーターで動くソフトがダウンロードされる。ただし1ゲーム1回50円の料金を支払わないとプレイできないというのがこの配信システムの特徴。料金支払いのためプレイヤーはまず登録手続きをする必要があし、操作盤ではシリアル接続のゲームパッドを用意する必要がある。

 4.東南アジアAM展のAAE(エイシャン・アミューズメント・エキスポ)2002は、前回までの香港からシンガポールへ会場を移し、7月17−19日、約140社が出展して開催された。しかし米欧からの出展は減少傾向にあり、このためAAEを訪れる業者の数も減少しており、主催者発表では3千人以上となっているが、実際は千人以下と推測される。現地のテラピン社主催で、IAAPAと米国AAMAが後援しているが、日本からはJAMMAを含めまったく業者団体の交流はない。日本からは今回も岡本製作所、北日本通信工業、オーエムアイの3社が出展した。東南アジアのAMビジネスは、市場再建中のインドネシア、飽和状態のマレーシア、困難の続くインド、ほとんど参加者のないフィリピンなど難しい国が多く、最大市場が見込める中国については不満が多いというのが現状だ。

 5.世界的には唯一のフリッパーメーカーとなってしまったスターンピンボール社は8月、新作「ローラーコースター・タイクーン2」の出荷を開始した。これはアンフォグラム社の同名のPC用ゲームソフトをもとにしたフリッパーで、コースターのコースに見立てた長いレーンを特徴としている。有名なローラーコースターに乗って楽しむというPC用ゲームソフト「ローラーコースター・タイクーン」は1999年に出荷され、5百万枚を超えるヒット作となっており、その続編の「2」では6ヶ所のシックスフラッグス系のテーマパークにある25の有名なローラーコースターが収録された。ウィリアムズ社で「アダムスファミリー」などのヒット作を開発したパット・ローラー氏が開発を担当しており、期待されている。

 6.三井グリーンランド(熊本県荒尾市)を運営する三井グリーンランド鰍ヘ6月中間決算を8月27日に発表、連結売上高は前年同期比2.0%減の4,959百万円、経常利益は4.5%増の212百万円、中間利益は120百万円(前年同期は4百万円)だった。うち遊園地部門は売上高が4.0%増の1,279百万円、営業利益が10.1パーセント増の205百万円で、今年3月に事業を開始した九州わんわん王国によりかなり回復した。北海道の三井グリーンランドは4月から子会社の空知リゾートシティが運営するなど再編している。九州の三井グリーンランドだけを単独決算で見れば売上高は0.3%増の1,935百万円と横ばいだった。なおゴルフ場部門は売上高が6.6%減の1,120百万円、営業利益が20.2%減の93百万円と後退した。

 7.「姫路セントラルパーク」などを運営するセントラルパーク鰍ニ親会社の土井不動産梶i兵庫県尼崎市、土井康浩社長)、関係会社のセントラルパーク山口鰍フ3社について、債権者の整理回収機構(RCC)は神戸地裁尼崎支部に民事再生手続きを申請、8月5日に保全命令を受けた。負債総額はそれぞれ335億円、160億円、43億円の計335億円。これは民事再手続きのなかでも珍しい、それまでの経営陣の退陣を求めるというもので、保全命令により保全管理人が選任され、保全管理人の下で事業の譲渡先などを探すことになった。土井不動産は1959年設立で、84年に姫路セントラルパークをオープン、91年に山口県美祢市にMINEサーキットとセントラルパークゴルフクラブをオープンした。うち美祢市に作ったサーキット場とゴルフ場の経営不振により、グループ全体の経営が行き詰まった。姫路セントラルパークの入場者はピーク時の半分に落ちているが、存続する見込みだ。


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