2016年6月15日号 Last updated on June 1, 2016
特報
 TEA調べで世界のテーマパーク、10位内8割はディズニー系。

 日本のUSJは沖縄での開発計画を白紙に戻す。

海外
 米国EFOフィルムズ社、「ミサイルコマンド」など映画に。

 ウォルトディズニー社1-3月期、映画伸ばし好調。

国内
 ユニバーサル、フィリピンカジノ12月オープンに。

 アドアーズの副社長にオリーブスパ創業の山根氏。


2016年6月15日号のニュースダイジェスト
 写真は米国アミューズメントエキスポ16で、上はスターンピンボール社の小間で新作フリッパー「ゴーストバスターズ」など、下は英国のセガアミューズメンツ社の小間で、新作TVゲーム「2016リオ・オリンピックゲームス」など紹介しているようす。
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30年前の主なニュース

 米国ニューヨーク州、財物と交換可能なクレジット式TVゲームを禁止。JAPEAは役員改選で、山田三郎会長を再選した。SNKは「怒」を海外市場にそれぞれ許諾。テクモは新作展で「アルゴスの戦士」を披露した。(1986年6月15日号)

40年前の主なニュース

 第14回AMショーの規模は、昨年を上回る見込みだ。フジ・エンタープライズから、「EVRレース」ならぬ「ビデオレース」が発売される。バリージャパンのJ・ルックリン社長所有の豪華ヨットが日本に停泊中だ。1976年6月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.AOUは3月23日の理事会で、「AOU体制の見直し」について事務局が説明し、再確認した、と5月20日付機関紙「AOUニュース」5月号は伝えた。しかしながら残念なことに、再確認した内容が明示されておらず、不完全な記事にとどまっている。例えば、2016年度「正会員」は都道府県協会と「加盟施設事業者」の2種類で構成するとあるが、それなら議決権を有する会員について規定する「定款の一部改正」手続きが示される必要があるが、それもない。ましてや正会員の都道府県協会の解散を促すというのは、自分の足を食べる蛸のような話で、都道府県協会が概ね解散すれば、AOUはこれまで支えてくれた正会員を失い、解散せざるをえないという自己矛盾に陥るほかない。6月7日、東京でAOUは通常総会を開く予定だが、すでに解散したとされる都道府県協会は参加資格を失っているはずだから、成立するかどうかも注目される。

 .米国テーマエンタテインメント協会(TEA)が5月26日発表した、2015年で入場者数の多い世界のテーマパーク上位10ヵ所は、1位マジックキングダム(フロリダ州オーランド)、2位ディズニーランド(カリフォルニア州アナハイム)、3位東京ディズニーランド(TDL)、4位ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、5位東京ディズニーシー(TDS)、6位エブコット(オーランド)、7位アニマルキングダム(同)、8位ハリウッドスタジオ(同)、9位ディズニーランドパリ、10位ユニバーサルスタジオ(オーランド)の順だった。うちディズニー系は8ヵ所も占めている。USJは「ハリポッター」エリアを加えて初めてTDSを追い抜き、オーランドのユニバーサルスタジオもティズニーのカリフォルニアアドベンチャーを追い抜いた。これらを経営する企業グループ別ではウォルトディズニー社、マーリン社、ユニバーサルパークの順だった。

 .米国ハリウッドの映画制作会社、エメット/ファーラ/オアシス・フィルムズ社(EFOフィルムズ)がこのほど、アタリ社のTVゲーム、「ミサイルコマンド」(1980年)と「センチピード」(1981年)を映画に採用することで、家庭用TVゲームメーカーの米国アタリ社(ニューヨーク、フレッド・チェスネス社長兼CEO)と契約したことが、米国で話題になっている。二つのゲームはもともと業務用として開発された名作で、「2600」(VCS)など家庭用ゲームソフトにもなった。米国アタリ社は、フランスの家庭用ゲームメーカーのインフォグラム社が2000年に、アタリの家庭用を引き継ぐ会社を取得し、インフォグラムの米国子会社をアタリ社に改称しており、後にフランス本社もアタリ社に改称した。映画化されることにより、これらのゲームに込められた思想、構成、技術などがどのように表現されるか見ものだと、早くもこの話題で持ちきりとされている。

 .米国ウォルトディズニー社は5月10日、第2・四半期(1-3月)決算を発表、売上高は4%増の129億6千9百万ドル、純利益は2%増の21億4千3百万ドルと好調だった。分野別では、メディアネットワークス(ケーブルTV)の売上高が微減の57億ドル、営業利益が9%増の22億ドル、パークス&リゾーツ(テーマパーク)の売上高が4%増の39億ドル、営業利益が10%増の6億ドル、スタジオエンタテインメント(映画)の売上高が22%増の20億ドル、営業利益が27%増の5億ドル、消費者向け製品とインタラクティブメディアの売上高が2%減の11億ドル、営業利益が8%減の3億ドル。新作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「ズートピア」がヒットし、映画部門が伸ばしたが、テレビ部門は不調だった。テーマパークは順調だった。

 .大阪の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営するユー・エス・ジェイは5月11日、沖縄に新しいテーマパークを作る計画を撤回したことを明らかにした。USJのジャン・ルイ・ボニエ社長兼CEOが首相官邸を訪れ、和泉洋人首相補佐官に伝えた。同社は15年3月、国内2ヵ所目のテーマパークを沖縄に造るという考えを明らかにし、2020年ごろの開業を目指して検討してきた。しかし、NBCユニバーサルを傘下に持つ米国メディア大手のコムキャストが15年11月にゴールドマン・サックス系投資ファンドからUSJを買収した後、沖縄への投資計画を検討した結果、「大阪のUSJに投資を集中し、沖縄進出は見送る」ことにしたもの。沖縄への進出計画には政府も前向きに検討するなどしてきたが、計画自体に対する冷めた見方も以前からあったのも事実。

 .ユニバーサルエンターテインメントは5月13日、16年3月期決算を発表、売上高は4%増の917億9百万円、経常利益は1%増の223億4千3百万円、最終利益は54%増の156億6千百万円と増収で大幅増益だった。分野別では遊技機の売上高が4%増の882億9千万円、営業利益は11%減の318億5千百万円、その他の売上高が2%増の34億4千4百万円、営業損失が41億3千2百万円(前年は31億8百万円)。遊技機分野では自主規制とパチンコ釘に関する業界内の問題から不安感が蔓延し、パチンコ店による買い控えなど全体的に混沌とした状況だった、とのこと。フィリピンで開発しているカジノリゾートプロジェクト「マニラベイリゾーツ」は、ホテルタワーの外装工事がほぼ完了、内装工事に入り、またガラスドームなどの躯体工事も進んでおり、12月にオープンする予定。17年3月期は売上高1,100億円、経常利益168億円、最終利益92億円を予想している。

 .サンリオの16年3月期決算は、売上高が3%減の724億7千6百万円、経常利益が29%減の131億7千8百万円、最終利益が25%減の96億9百万円と減収で大幅減益だった。うち連結消去前で国内は売上高が22%増の513億円(ライセンス105億円、物販223億円、テーマパーク77億円、その他106億円)、営業利益が4億円、海外は売上高が18%減の346億円、営業利益が13%減の53億円で、海外の大幅減益を国内全部門の増益でカバーしたことになる。テーマパーク事業は多摩市のサンリオピューロランドの入場者が25%増の105万人、大分のハーモニーランドの入場者が19%増の46万人で、合わせて売上高が18%増の72億円、営業損失が3億円(同4億円改善)と損益が好転した。引き続きライセンス、物販、テーマパークに力を入れ、17年3月期は売上高719億円、経常利益127億円、最終利益100億円を見込んでいる。

 .SDエンターテイメントは5月13日、16年3月期決算を発表、売上高は81億9千8百万円、経常損失は3千4百万円、最終損失は9千4百万円と赤字だった。前年までは単独決算のため、前年比はできない。同社グループには、通信サービスのエムシーツーグループ、介護事業のフォー・ユーグループが含まれている。分野別売上高は、ゲーム場が2増1減の17店で22億7千4百万円、フィットネスが22億7百万円、ボウリング場が11億8千6百万円、施設管理が映画館9億千2百万円、不動産賃貸2億7千6百万円の計11億8千9百万円、カフェなどその他が13億4千百万円。ゲーム場部門では1月に「ネットキャッチャー」事業を「ぽちっとクレーン」という名前で開始しており、早期黒字化を目指している。利益面では、固定資産除去損(特別損失4千4百万円)と減損損失(同3千4百万円)を計上した。

 .アドアーズは5月25日、定時株主総会で、資本準備金の取り崩しとともに、定款の一部変更を通じて、社長と副社長の2人代表制にすることを諮ることにしたと発表した。資本準備金の取り崩しは財務内容の健全化と早期配当回復を目的とするもので、これまで43億5千9百万円余りだった資本準備金を40億9千4百万円余りに減少するもの。もうひとつの定款一部改正は副社長ポストを新設、インタースバ(現オリーブスパ)創業者で現顧問の山根敬氏を代表権付きの副社長に選任するというもの。このため二人代表制になる。山根氏は2004年8月インタースバ(現オリーブスパ)取締役、08年8月社長。今年3月にアドアーズ顧問、4月にオリーブスパ顧問兼任。46歳。

 10.米国で幅広くリデムプションゲームを製造しているベイテック・ゲームズ社(本社ウィスコン州プラスキ)は2月23日、古典的なゲーム機「スキーボール」のメーカーであるスキーボール社(本社ペンシルバニア州チャルホント)を買収した後、今夏までにスキーボール社の工場をベイテック社本社に移転させる予定。「スキーボール」というのはボウリング用より小さなボールを転がして、ゴール前で段に当たって跳ね上がったボールを斜面の入賞穴に入れるゲームである。大きなロケーションでは今も、必ず何台も並べて設置しているものだが、元はJ・D・エスティーズという人物が1909年に特許を取得して、製造したヒット作。サイズは初めもっと大きかったが半分に収まり、ワーリッツアー社が製品の権利を買い取るなどしたこともあったが、77年までにスキーボール社の手に戻った。ベイテック社は97年から04年にかけてコインコンセプト社など4社を買収しており、それに続くもの。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015