2016年6月1日号 Last updated on May 15, 2016
特報
 レトロゲームに関する初の総合シンポジウム開催される。

 エイティングはTOBにより、コロプラの完全子会社に。

海外
 米国ストロング博物館に殿堂入りしたTVゲーム。

 ラスベガスでゲンティング社が、今秋にも大型カジノの本格工事入り。

国内
 バンナム3月期決算は増収減益、セガサミーは減収黒字回復。

 コナミ、カプコンは増収増益、R1は減収だが黒字回復。


2016年6月1日号のニュースダイジェスト
 写真はシンポジウム「レトロゲーム・アラカルト」のうち、「幻の名作、スペースサイクロンを遊ぶ」の会場から、(上は左から)OBSのおにたま氏、タイトーアドバイザーの西角友宏氏、高井商会の高井一美氏。
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30年前の主なニュース

 米国AAMAが無断コピー基板退治に、元FBI捜査官のフェイ氏を採用した。JAMMA会長でナムコ社長の中村雅哉氏の藍綬褒章受章が決まった。日本初のインタミン社「フリーフォール」が姫路と秋川の遊園地に導入された。(1986年6月1日号)

40年前の主なニュース

 セガ社は東京と大阪で新作展を開催、フリッパー「ロデオ」、TVゲーム「スパークリングコーナー」、6人用メダルゲーム「ブラックジャック」など紹介した。フジ・エンタープライズの上山武夫社長が退任、鈴木芳光氏が社長に就任した。(1976年6月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.業務用・家庭用・PC用などのレトロゲームに関する、初の総合的シンポジウム「レトロゲーム・アラカルト」が4月16-17日、静岡県沼津市のプラザヴェルデで、SF大会を目指す「はるこん」(Mintomo主催)と会場を分け合い、おにたま放送局(obs)などの協力を得て、参加無料で催された。このシンポジウムの内容は歴史的、地理的にも多岐にわたっており、業務用に関するものだけでも「スペースインベーダーの歴史的意味」、「海外アーケード事情、ゲームセンターの今」、「ピンボール実機を持つには」、「幻の名作、スペースサイクロンを遊ぶ」、「データイーストの歴史、アーケード黎明期の前衛家」など、10タイトルを越えるトークショーがあり、国内外から熱心な研究者が詰めかけた。日本では昨年から、「あそぶゲーム展」、「ゲームオン」などのレトロゲーム機展が本格的にスタートしていることもあり、こうしたゲームについての研究を深める催しが続いている。

 .バンダイナムコHDは5月11日、16年3月期決算を発表、売上高は2%増の5,755億4百万円、経常利益は15%減の507億7千4百万円、最終利益は8%減の345億8千3百万円と増収で大幅減益だった。分野別でトイーホビーの売上高は11%減の2,064億円、営業利益は2%減の166億円、ネットワークエンターの売上高は8%増の3,209億円、営業利益は18%減の239億円、映像音楽プロデュースの売上高は19%増の519億円、営業利益は16%増の116億円、その他の売上高は2%増の274億円、営業利益は23%減の11億円。ネットワークエンター売上高のうち業務用ゲーム機は20%減の579億円、ゲーム場は6%増の586億円だった(ゲーム場は期末国内直営店205、海外35の計240店)。17年3月期は売上高5,800億円、経常利益510億円、最終利益350億円を予想している。

 .セガサミーHDは5月13日、16年3月期決算を発表、売上高は5%減の3,479億8千百万円、経常利益は3%減の164億9百万円、最終利益は53億6千9百万円(前年は113億7千5百万円の赤字)と減収だが黒字回復した。部門別で、遊技機の売上高は13%減の1,334億7百万円、営業利益は16%減の215億4千8百万円、エンタテイメントコンテンツの売上高は1%減の1,997億2千万円、営業利益は36億5千3百万円(前年は6千3百万円)、リゾートの売上高は9%増の164億5千万円、営業損失は18億2千5百万円(前年は23億3千6百万円)。AM機器は売上高が7%増の419億円で、1億円の赤字、ゲーム場は売上高が6%増の380億円で、利益は倍増の18億円だった。17年3月期は売上高3,800億円、経常利益200億円、最終利益100億円を見込んでいる。

 .タイトーの親会社、スクウェア・エニックスHDは5月12日、16年3月期決算を発表、売上高は28%増の2,141億百万円、経常利益は49%増の253億2千2百万円、最終利益は102%増の198億8千4百万円と大幅な増収増益だった。分野別で、デジタルエンタの売上高は42%増の1,589億円、営業利益は59%増の274億円、アミューズメントの売上高は1%増の411億円、営業利益は10%増の39億円、出版の売上高は14%増の99億円、営業利益は30%減の22億円、その他の売上高は14%増の45億円、営業利益は15億円。業務用は「ディシディア・ファイナルファンタジ」などの販売が好調で、また効率的店舗運営により業績は順調だったとのこと。17年3月期の売上高は25~27百億円、経常利益は27~33十億円、最終利益は17~21十億円を見込んでいる。

 .コナミホールディングスは5月10日、16年3月期決算(IFRS)を発表、売上高は15%増の2,499億2百万円、営業利益は61%増の246億7千9百万円、最終利益は6%増の105億千6百万円と大幅な増収増益だった。分野別では、デジタルエンタテインメントの売上高が37%増の1,326憶円、営業利益が110%増の356億円、健康サービスの売上高が3%減の712億円、営業利益が42%増の26億円、ゲーミングシステムの売上高が1%増の342億円、営業利益が12%減の55億円、遊技機の売上高が18%減の120億円、営業損失が11億円(前年は5億円の利益)で、減損損失84億円を計上した。モバイルゲームで2,200万ダウンロードに到達した「実況パワフルプロ野球」などが好調で主力のデジタルエンタテインメントを伸ばした。17年3月期は売上高2,100億円、営業利益250億円、最終利益150億円を見込んでいる。

 .ラウンドワンは5月9日、16年3月期決算を発表、売上高は1%減の835億千6百万円、経常利益は12%減の54億2百万円、最終利益は4億4千9百万円(前年同期は45億6千8百万円の赤字)と減収ながら黒字回復した。ロケーションは国内が1増1減の113店、米国が4店増の9店の計122店舖。種別売上高はボウリング場が15%減の230億円、ゲーム場が1%増の365億円、カラオケが変わらず86億円、スボッチャが7%増の121億円、その他が3%増の30億円。為替差損など特別損失を35億円計上した。17年3月期は国内で2増7減の108店、米国で6増の14店の計122店舖へと、自社競合している国内店舗を契約満了に基づき減らし、反対に米国店舗を増やす計画。今期は売上高871億円、経常利益55億円、最終利益15億円の業績を予想している。

 .カプコンは5月9日、16年3月期決算を発表、売上高は20%増の770億2千百万円、経常利益は5%増の113億4千8百万円、最終利益は17%増の77億4千5百万円と大幅な増収増益だった。分野別でデジタルコンテンツの売上高は16%増の525億円、営業利益は19%増の121億円、ゲーム場は4増3減の34店で売上高は2%減の90億円、営業利益は26%減の6億円、パチスロ部品の売上高は77%増の133億円、営業利益は3%増の28億円、その他出版・グッズの売上高は5%減の20億円、営業利益は23%減の5億円。パチスロ部品には一割ほどAM機器が含まれているが、苦戦した。デジタルコンテンツは家庭用「モンスターハンタークロス」などが大きく寄与し、PC用、ダウンロード版、オンラインゲームも好調だった。17年3月期は売上高850億円、経常利益133億円、最終利益90億円を見込んでいる。

 .フリューは5月13日、16年3月期決算を発表、売上高は1%増の241億6千7百万円、経常利益は12%増の36億6千3百万円、最終利益は29%増の24億6千2百万円と増収で大幅増益だった。分野別で、プリントシールの売上高は6%減の88億5千万円、営業利益は19%減の10億2千3百万円、コンテンツメディアの売上高は5%増の74億5千6百万円、営業利益は2%増の40億7千9百万円、キャラクターマーチャンダイジングの売上高は34%増の53億9千百万円、営業利益は488%増の4億千7百万円、スマホ向けゲームの売上高は9%増の17億4千万円、営業損失は5億8千万円(前年は7億8千3百万円の損失)、その他の売上高は59%減の7億2千9百万円、営業利益は5千6百万円。アミューズメント市場の規模が縮小しており、これに伴うプリントシールの減少から、多角化など対策が示されている。17年3月期は売上高253億7千6百万円、経常利益36億9千8百万円、最終利益25億5千5百万円を見込んでいる。

 .アドアーズは5月10日、16年3月期決算を発表、売上高は4%減の223億9千6百万円、経常利益は8%減の5億7百万円、最終損失は12億5千3百万円と減収で大幅赤字だった。分野別で、ゲーム場は5増5減の50店で、売上高は2%減の147億8千9百万円、営業利益は20%減の6億9千3百万円、不動産の売上高は6%増の61億9千2百万円、営業利益は19%増の4億9千3百万円、商業施設の売上高は56%減の7億6千9百万円、営業利益は8百万円、介護事業の売上高は6億8百万円、営業損失は1億千万円。介護事業休止に伴う特別損失に加え、ゲーム場での減損処理に伴う特別損失6億円を計上した。17年3月期はオリーブスパ(オリスパ)との業務提携を活かすなどして、売上高220億円、経常利益7億円、最終利益3億円を予想している。

 10.よみうりランドは3月18日、モノづくりが体感できる日本最大の新遊園地エリア「グッジョブ!」をオープン、順調に人気を集めている。日清食品や日産自動車、コクヨなど6社の協力を得て完成したもので、5つのファクトリーに計15種のアトラクションと4業種のワークショップが用意され、体験しながらモノづくりを学べるのが特徴。例えば、「フードファクトリー」にはカップ型ボートに乗って「焼きそばU.F.O.」の製造過程を進んでいくアトラクション「スプラッシュU.F.O.」(コース全長300m、約4分、利用料900円、身長制限あり)があり、また「カーファクトリー」には自分で自動車をカスタマイズして運転することができるアトラクション「カスタムガレージ」(4名乗りライド、コース全長200m、6分、利用料900円、身長制限あり)がある。よみうりランドではこれを機にワンデーパスなど料金を値上げした。

 11.プロ野球の東北楽天は4月28日、本拠地の楽天コボスタジアム宮城(仙台市宮城野区)で観覧車の営業運転を5月3日に開始すると発表した。観覧車は岡本製作所製で、球場の左翼席後方にある「スマイルグリコパーク」(旧・楽天山パークから公募で改称した)内に建設され(本塁からの距離約170m)、高さ36メートル。4人乗りゴンドラ16台が約6分間でゆっくりと一周する。試合日は開始3時間前から営業運転を始め、観戦チケットがあれば1回400円で乗れる。照明灯よりも高い最高位置に達すると、投手がマウンドで投球したり、野手がボールを追ったりするようすを、空から観戦しているかのような感覚に陥るという。楽天の「ボールパーク」構想に基づくもので、スコアボードは全面LED化され、人工芝も天然芝に張り替えられた。プロ野球といえば昨今賭博が連想される傾向が強いが、こちらは観覧車をアトラクション、ランドマークとして導入、観客を増やそうとする、建設的な姿と言える。

 12.スマホゲームなどを手掛けるコロプラは、同業者であるエイティングの株式の公開買付け(TOB)を実施、近く完全子会社にする見込みだ。エイティングは1993年3月、藤沢知徳氏らによって設立、2000年10月にライジングと合併、05年10月マザーズに株式上場したが、コロプラの完全子会社になると上場廃止になる予定。当初業務用TVゲームを開発していたが、現在では携帯電話用コンテンツ、家庭用ゲームの下請けが主業務。コロプラはエイティングから打診を受け、今年3月30日、TOBでエイティングを取得する方針を発表、4月中の第1回買付で約68%を取得済みで、5月中の第2回買付で残りの株式を取得、完全子会社にする予定。コロプラは08年法人化し、12年にマザーズ上場、14年に東証上場した。「位置ゲー」の「コロニーな生活」を基に発足したが、現在スマホゲームが主業務となっている。

 13.スマートフォン(スマホ)などインターネットを介して提供されるゲーム(スマホゲーム)分野で、利用客が過大な料金を支払わされることのないよう、利用環境を整備する必要が高まったとして、コンピュータエンタテインメント協会(CESA)は4月27日、ランダム型アイテム提供運営に関する新指針を公表した。これは有料くじ形式でアイテムを当てる「ガチャ」に関して、当たる確率を個別に明記させることなどを主な内容とするもので、ゲームを有利に進めるための新アイテムを登場させたり、それが出る確率を調整したりする場合、詳細な確立を明示することにより、透明化を図るという。しかし、課金自体の上限設定などは、ゲーム提供会社の売り上げ減につながるという懸念から見送られており、対策は不十分ではないかとも言われている。セガ、コナミ、カプコンなどは今回の指針に賛同を表明している。

 14.米国ニューヨーク州ロチェスターにあるストロング博物館は5月5日、その一部分の「遊び博物館」で今年殿堂入りしたビデオゲーム6点を発表した。長期にわたり人気を集め、文化と社会に影響を与えたとして、今年殿堂入りしたのは、「グランド・シフト・オートⅢ」2001年、「ゼルダの伝説」1986年、「オレゴン・トレイル」1971年、「シムズ」2000年、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」1991年、「スペースインベーダー」1978年。ちなみに昨年殿堂入りしたのは、「ポン」1972年、「パックマン」1980年、「テトリス」1984年、「スーパーマリオブラザーズ」1985年、「ドゥーム」1993年、「ワールド・オブ・ウォークラフト」の6点。うち最初業務用で出荷されたのは「ポン」、「スペースインベーダー」、「パックマン」と意外に少なく、家庭用ゲームとパソコンのオンラインゲームが健闘しているのに気付かされる。

 15.米国ラスベガスの大通り(ストリップ)北部に10年ぶりの大がかりなカジノホテル計画が、19年前半の開業を目指し、今秋にも本格工事が始まる見込みとなった。これは「スターダスト・カジノホテル」の跡地で、07年に地元ボイド・ゲーミング社が「エシュロン」計画として08年に着工したが、09年に中止となり、それをマレーシアのゲンティング・グループが買い取って、新たに「リゾート・ワールド・ラスベガス」(RWLV)計画として、15年5月に着工したもの。ネバダ・ゲーミング・コミッションに今春提出された計画によると、今年第4・四半期(10-12月)にも本格工事に入ることが明らかになった。中国をテーマとしたカジノリゾートで、客室は3~6.5千室、総投資額は40億ドルに達するとのこと。大通りではまた、ウィンリゾート社が、第3のカジノホテル棟「パラダイスパーク」の建設計画を発表している。

 16.米国フロリダ州中部のリースバーグ市で4月25日、硬貨作動式の定置型乗物機を盗もうとした27歳の男が地元警察に逮捕、拘留される事件が起こった。シーザー・アレックス・ディアスという男が、商店の店先に置いてあった、子象の小型乗物のコードを電源から抜いて、数ブロック運んだところで、街の不良に脅されて、そこで乗物機のキャッシュボックスを壊して、40ドル分の硬貨(25セント貨)巻き上げられた。警察は自動販売機からの少額窃盗と、悪質ないたずらで逮捕したが、この男は4,500ドルの保釈金を払えないため、レイクカウンティの刑務所に拘留されているとのこと。犯行の一部始終は、街中に設置されている監視ビデオカメラに撮られており、容疑者が目立つ「スーパーマン」のTシャツを着ていたので、本人とすぐに特定できたという。とんだ「スーパーマン」である。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015