2015年10月1日号 Last updated on September 15, 2015
特報
 米国ネバダ州が16年にも、スキルを要するスロットマシン導入。

 アドアーズの三吉社長が辞任し、代わって上原聖司氏が就任。

海外
 ロシア極東のウラジオストクに、10月カジノオープン。

 シーザーズ社が資金洗浄で、FinCENに罰金8百万ドル。

国内
 埼玉・川口で10月から、プレイ可能なデジタルゲーム機展。

 浜松のブルーノアが破産手続き開始決定。


2015年10月1日号のニュースダイジェスト
 写真は9月12日に開園10周年を迎えた「香港ディズニーランド」のやや小さい「眠れる森の美女の城」(上)と、香港ディズニーリゾートの正面入り口付近(下)。


30年前の主なニュース

 タイトーの中西昭雄社長が取締役相談役に退き、社外から末角要次郎氏が社長に就任した。都道府県のオペレーター協会の「連合会」設立に向け、準備委員会が詰めの段階に入った。JAMMA、JAPEA共催のAMショーが東京流通センターで開かれる。(1985年10月1日号)

40年前の主なニュース

 2年ぶりに開催される、AMショーが「木馬からコンピューターまで」を基本テーマとして東京・晴海の貿易センタービルで開催される。「ゲーム場紳士録」の第1回は、滋賀・大津の「ホテル紅葉パラダイス」の遊戯場を経営するニチオンの朝日正治氏。(1975年10月1日号)



【ニユースダイジェスト】


 1.米国シカゴに住むネットワーク技師、ジェイソン・キャンベリ氏(44歳)が、巨大なアップライトのTVゲーム汎用キャビット「アーケードデラックス」を作って、2016年版の「ギネスブック世界記録・ゲーム編」に掲載されることになった。ゲーム機の大きさに関しては、多人数用の「ギャラクシアン3」などの先例があるが、これはゲームソフトを切り替えできる汎用キャビネットなので、特殊な操作盤を必要とするものは別として、たいていのゲームはこれでプレイすることができる。110(12月4日訂正=80インチ)インチの液晶画面を使用しており、操作ボタン、レバーなども大きいが作動する。基板はキャンベリ氏好みの「パックマン」などのほか、MAMEによるソフトウェアも使用できる。ただしキャビネットの大きさは、高さ4.4m、横幅1.8mとかなりあるので、プレイするには梯子(はしご)のようなものが必要になる。2007年にG4TVが「世界最大のアーケードマシン」を作ったという記録があるそうだが、それより大きいという。

 .気にはなるが(言語の違いなどにより)その実態の把握が容易でない、ロシア極東のカジノ可能地域のウラジオストクに、ようやくカジノリゾート「ティグレ・デ・クリスタル」が今秋オープンの見込みになった。メルコ・インターナショナル開発のオーナー、ローレンス・ホー親子が65%保有する、GIエンタテインメント社(旧ファーストギャンブリング・イースト社)が開発・運営するもので、初期投資として7億ドルかけて、ウラジオストクのプリモリエにある、600haの用地に建設を進めてきた。計画ではとりあえず119室の客室、カジノテーブル65台、スロット・ポーカーマシン800台など備え、従業員約700人規模でスタートする予定で、目下従業員教育など進めているとのこと。昨年までオープン予定はたびたび延期され、今年に入ってからもソフトオープンは8月28日の予定が、10月8日に延期され、グランドオープンは10月後半の予定。立地は中国東北部、韓国、日本から飛行機で2時間半以内と近く、成功する確率が高いと見られている。

 .ラスベガスのある米国ネバダ州で、5月21日に「勝つためにはスキルを要する」スロットマシンの導入が合法化され、その具体的な規則は州のGCBなど賭博規制機関で9月17日にも決定される予定で、16年の前半にも実施される見込みとなった。導入される「スキルを要する」スロットマシンとは、日本のパチスロのような「技術介入性」のある機械ではなく、シューティングやレーシングのゲームにあるようなスキルが高ければ、還元率(通常88-98%)が高くなる機械を意味するとのこと。勝ち負けの偶然性は変わらないし、また偶然でなければカジノ用機器として認められない。ネバダ州のカジノでは近年若者のスロットマシン離れが顕著で、これを防止するため、若者が好むビデオゲーム様式を採用し、スロットマシン離れを少しでも止めようとするもの。ゲーミング機器製造協会(GEMA)は、カジノ用機器業界はまったく新しい時代を迎えようとしている、と歓迎の姿勢を示している。9月19日速報=ネバダ州GCBは17日、この施行規則を承認した。

 .米国ラスベガスの高級カジノホテル「シーザーズパレス」を運営するシーザーズ・エンタテインメント社に対し、連邦財務省の金融犯罪取り締まり局(FinCEN)は9月8日、シーザーズの関連会社が中国人の富裕顧客によるマネーロンダリング(資金洗浄)行為を監視すべきなのに、監視を怠り見逃した、として同社に民事制裁金(罰金)800万ドルを支払うよう命じた。シーザーズ社はすでに事実を認めている。米国では賭博資金の出所、身元調査をするべきなのにせず、同ホテルのプライベートルームで匿名での賭博を受け入れていた事実などが、マネーロンダリングを禁止する法律(銀行秘密法、略称BSA)に違反していた、とするもの。また連邦政府とは別に、ネバダ州のゲーミングコントロールボード(賭博監視局)は、シーザーズ社は州にも150万ドルの罰金を払うことになる、と説明している。シーザーズは今年1月に破産法に基づき第11条適用申請をしており、これらは改めて優先債務に計上されるとのこと。

 .埼玉県が整備した映像制作拠点「彩の国ビジュアルプラザ」(川口市)で映像企画展「あそぶ!ゲーム展ステージ1:デジタルゲームの夜明け」が10月3日から16年2月28日まで(月曜日と年末年始は休館)開かれることになった。このゲーム機展は展示されるゲームが原則的にすべてプレイできる点が特徴で、今回の「ステージ1」では1958年から82年までのデジタルゲーム(一部はエミュレーターなどを利用して復元)を多角的に紹介し、入場者はデジタルゲームの歴史の始まりを体感できるというもの。展示機は「テニス・フォー・ツー」、「スペースウォー」、「コンピュータースペース」、「ポン」、「スピードレースDX」、「マンイーター」、「デスレース」、「ブレイクアウト」、「スペースインベーダー」、「ジービー」、「フットボール」、「スターファイアー」、「ギャラクシアン」、「平安京エイリアン」など、主に業務用ビデオゲームが中心となる。入館料は大人510円、こども250円で、常設展も楽しむことができる。

 .オリエンタルランドは9月2日、ホテル事業子会社のひとつであるミリアルリゾートホテルズを通じて、東京ディズニーリゾートに近い新浦安エリアに、日本で4番目のディズニーホテル「東京ディズニーセレブレーションホテル」を最開発すると発表した。子会社のブライトンコーポレーションが持つ「パーム&ファンテンテラスホテル」を活用して、宿泊特化型のディズニーホテルとしてオープンするというもの。2棟からなるパーム&ファンテンテラスホテルは1棟ずつ、16年2月と6月に分けて閉鎖、1棟は16年6月、もう1棟は秋にオープンする予定。「東京ディズニーランドホテル」など現在3つある(子会社を通じた)直営のディズニーホテルは、年間90%以上の宿泊稼働率で推移しており、極めて需要の高いディズニーホテルに、「一人でも多くのゲストに滞在していただきたいとの思いから、再開発を決めた」と説明している。客室は352室と350室の計702室。宿泊料金は未定。再開発費用は約30億円。

 .アドアーズでは三吉誠社長が辞任し、代わって上原聖司取締役が社長に昇格した。9月8日の取締役会で決まった。同社によると、8月11日付の連結子会社「日本介護福祉グループ」の売却および介護事業の休止による特別損失(10億円)の計上に伴い、全役員の報酬減額を決めたが、経営責任を重く受け止めた三吉社長から、社長及び取締役を辞任するとの申し出があったため、としている。アドアーズは昨年10月末に日本介護福祉グループを取得、介護事業を引き継いでいた。また三吉氏は前社長の斉藤慶氏から6月25日付で社長職を引き継いだばかりだった。新社長の上原聖司(うえはら・せいじ)氏は88年4月に京都産業大法卒、富士銀行(現みずほ銀行)に入行、2005年1月シュテルン世田谷入社、09年7月アドアーズ入社、13年4月財務経理部長、10月管理本部長、14年6月取締役管理本部長、同11月日本介護福祉グループ取締役、15年6月アドアーズ取締役。滋賀県出身。50歳。

 .信用調査会社の調べによると、ゲーム場を経営していた㈱ブルーノア(浜松市東区有玉北町、高林伸好社長)が自己破産を申請、静岡地裁浜松支部は8月31日、破産手続き開始を決定した。同系資本の不動産賃貸業の㈲エヌオーエー(浜松市中区田町、高林澄香社長)も同じ手続きをとっており、負債総額は2社合わせて約8億5千万円とされている。ブルーノアは本社所在地で、ゲーム場「ブルーノア有玉店」を運営していた。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015