2015年8月1日号 Last updated on July 15, 2015
特報
 ユー・エス・ジェイの3月決算は連続して過去最高に。

 セガサミーは中国・青島に合弁で「ジョイポリス」オープン。

海外
 遊園地関係のアジア展、「AAE」が着実に発展してきている。

 「ディズニークエスト」は失敗、代わりにNBAバスケットボール。

国内
 ゲームを愛した任天堂の岩田聡社長、55歳で死去。

 ナガシマスパーランドに「アクロバット」が完成。


2015年8月1日号のニュースダイジェスト
 写真はAAE2015(香港、6月17-19日)にて、上は岡本製作所の小間で(左から)垂井祐介氏と岡本典之社長。下はバンダイナムコエンターテインメントの小間で、最新の「スターウォーズ・バトルポッド」を紹介しているところ。


30年前の主なニュース

 タイトーは3人代表制から、中西昭雄社長による単独代表に戻した。セガ社は新作展でライドオン型バイクゲーム「ハングオン」を披露した。任天堂は米国仕様の「ファミコン」、「NES」の9月発売を明らかにした。(1985年8月1日号)

40年前の主なニュース

 2年ぶりのAMショーに,メダルゲーム機関係の出展申込みが大幅に増加中。エスコ貿易は閉鎖していた大阪営業所に代わり、大阪エスコを発足させた。実質的な本社を東京に置くパブコは、登記上の本社を大阪に移した。(1975年8月1日号)



【ニユースダイジェスト】


 1.遊園地関係の国際的な業者協会である米国IAAPAの東南アジア向け展示会、「エイシァン・アトラクション・エキスポ」(AAE)2015が6月17-19日、香港コンベンションセンター(HKCEC)で開催され、40ヵ国(前年33ヵ国)から353社(325社)が9,462㎡に出展、74ヵ国から約8,500人(9,000人)の業者が登録入場した。うち購入決定権のあるバイヤーは6,100人(6,500人)訪れたと見られている。日本からはバンダイナムコエンターテインメントが大きなブースで、「スターウォーズ・バトルポッド」を含む業務用TVゲーム機などを出品した。岡本製作所は同社扱いの遊園施設を幅広くアピールした。米国S&S社と親会社の三精テクノロジーズは「エルロココースター」などスリルライドを含む遊園施設を紹介した。中国広東省を拠点にするUNIS(世宇)、シーリー(希力)、ワーラップ(華立)、G-ルック社や、台湾のテックウェイ、カナダのトリオテック社らが出展した。

 .「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営するユー・エス・ジェイの15年3月期決算は、売上高が前年の1.4倍の1,385億円、営業利益が1.6倍の390億円、純利益が3.4倍の222億円と、2年連続して過去最高になったことが分かった。入場者数は4年連続して増加して過去最高の1,270万人に達し、1人当たり売上高も3年前の1.3倍の10,905円と伸ばした。入場料とアトラクション利用料がセットになっている1日スタジオパスは2010年以降、7回値上げしており、昨年も実施した。だが、「ユニバーサル・ワンダーランド」や後ろ向きコースターの「バックドロップ」などアトラクション導入に続いて、昨年夏に「ハリーポッター」テーマゾーンをオープンして人気を集め、入場料値上げにもかかわらず、入場者を増やしているのが強みで、16年3月期の入場者も1,300万人を超えると予想している。同社は株式の再上場を目指しており、9月にも申請する見通しだ。

 .遊園地「ナガシマスパーランド」(三重県桑名市長島町)に大型フライングローラーコースター「アクロバット」が完成、7月18日に営業運転を開始することになった。このフライングコースターについては、欧米のメーカー3社が展開しているが、これはスイスのボリガー&マニラード社(B&M)製。スタートすると座席が傾き、乗客が腹這い(うつぶせ)状態になったまま(安全バーで抱えられている)、宙返り、ループなど変化に富むコースを走行するコースターで、海外では米国フロリダの「シーワールド」などに導入例があるが、日本では初めて。長島では開業50周年になることから、世界最大級の仕様で導入した。コース全長1,021m、最高速度毎時90km、最高部高さ43m、最大勾配360度、走行時間約180秒、最大4.09Gの重力がかかる。車両は32人乗り(4人×8両)。利用料1,000円で、乗物パスポートが使える。身長制限がある。

 .イオンファンタジーは7月8日、第1・四半期(3-5月)決算を発表、売上高は4%増の118億5千3百万円だったが、経常利益は17%減の4億円、純利益は71%減の5千3百万円と大幅な減益になった。国内の売上高は4%減の101億千2百万円、営業利益は39%減の3億5千4百万円、海外の売上高は85%増の17億5千百万円、営業損失は1億5千7百万円(前年は5千万円)となった。国内で「光る立体遊具」を導入、6店(前年3店)を新設、2店(1店)を活性化するなど投資を実施したが、カードゲームが後退した。海外では中国、マレーシア、タイなど5か国で17店を新設するなど積極的に投資、それぞれ人気を集めた。171店を有するファンフィールド(旧ダイエーレジャーランド)を6月1日付で吸収合併し、国内は502店となり、名実ともに国内最大のオペレーター会社となった。海外は中国、マレーシアなど7ヵ国の199店で、国内と合わせると701店となる。

 .セガサミーグループは7月2日、中国・青島の大型商業施設「青島万象城」内に、世嘉(青島)娯楽有限公司を通じて、中国初の室内テーマパーク「青島ジョイポリス」を3日にオープンする、と発表した。現地で直接運営に当たる世嘉(青島)娯楽有限公司はセガサミーグループのセガ・ライブ・クリエイションと中国の青島演芸集団有限公司との合弁会社。セガ社が長年蓄積してきたデジタルエンタテインメントの開発と、ゲーム場運営のノウハウを結集した室内テーマパークの、「東京ジョイポリス」には96年の開業以来1,500万人が訪れている。「青島ジョイポリス」は「青島万象城」4-5階の8,383㎡を使用、屋内型ローラーコースターや、3D映像を駆使したバーチャルリアリティ体験空間など、20種類のアトラクションを設置、デジタルでリアルな感動体験を提供するとのこと。営業時間は10-23時、入場料大人・学生40元(1元は約20円)、小人20元。パスポート大人190元、学生170元、小人120元など。

 .米国ウォルトディズニー社が進めたバーチャルリアリティ施設「ディズニークエスト」は失敗に終わり、来年にはNBAバスケットボールのアトラクションに取って代わられることになった。「ディズニークエスト」は世界20ヵ所の大都市中心部に、都市型テーマパークを展開するという構想に基づき98年6月、ウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)内のダウンタウンディズニーに、5階建て9,000㎡の1号店をオープン、「サイバー・スペース・マウンテン」など数種類のアトラクションとゲーム機を設けて、人気を集めた。しかし99年6月にオープンしたシカゴの2号店は、業績不振により01年8月に閉鎖。3号店を予定していたフィラデルフィアでは計画中止となり、凍結された。アトラクションの多くは斬新なハイテク技術を駆使したもので、評判は良かったが、人気を持続させるのは困難な上、利用料も大人で約48ドルと決して安くないなど、バランスがとれてなかった点が指摘されている。

 .任天堂の社長、岩田聡(いわた・さとる)氏が7月11日、京都市内の病院で胆管腫瘍のため死去した。55歳。北海道出身。葬儀は17日午後1時から、岡崎別院で岩田家と任天堂の合同葬としてとり行なわれる。葬儀委員長は竹田玄洋専務。喪主は妻の佳代子さん。高校在学中にヒューレットパーッカード社(HP)の電子計算機「HP-65」を知り、プログラムを独習し始め、東京工業大在学時に「マイコン」を入手、インベーダーブームに影響されゲーム分野に進み、発足間もないソフトウェア開発会社「ハル研究所」(「HAL研究所」は通称)に入社した。ハル研究所と任天堂はゲームソフトの開発で提携しており、「ファミコン」ゲームソフト「ピンボール」、「ゴルフ」などゲームのプログラミングを担当した。92年にハル研究所が和議申請した際にその社長に就任、ヒット作をものにして経営再建を果した。それを見た任天堂山内溥社長(当時)が経営手腕を評価し、2000年任天堂に入社、6月取締役、02年5月に社長就任、14年6月からは米国任天堂社長を兼任していた。

 .日本製のTVゲームを無断コピーして裁判に敗れた、米国オム二・ビデオゲームス社の元社長、ハロルド・カウフマン氏が6月20日、93歳で死去した。同氏は太平洋戦争に従軍し、「パープルハート勲章」を受けた後の1946年、ニューヨークを中心にジュークボックスなどのシングルオペレーションを開始、伝説的なオペレーターになり、またアーケードゲーム機も幅広く扱ってきた。だが、コナミ工業がスターン社に独占的に許諾した「アストロインベーダー」(日本名「カミカゼ」、80年)の無断コピー品「ザイゴン」を販売して、スターン社に提訴され、また同様に「スクランブル」(81年)の同名無断コピー品を販売して提訴された。連邦地裁は前者に関しコピー品に対する販売禁止命令を出したが、後者についてプログラムが異なるとしてオム二社が上訴したため、連邦控訴裁判所は82年1月、ビデオゲームが著作権法上の「視覚的著作物」に該当し、その著作権を侵害していると判決で明らかにして、オム二社の主張を退けた。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015