2015年1月1日号 Last updated on December 15, 2014
特報
 IAAPAショーで、TVゲームの話題作集中。

 TVゲームの父、ラルフ・ベア氏が92歳で死去。
海外
 フィリップ社と任天堂が特許クロスライセンスし和解。

 サイパン島カジノに中国からの投資を募る。
国内
 国交省、遊園施設のボルト落下について報告書発表。

 USJ、子ども向け「ワンダーランド」リニューアルを実施。

2015年1月1日号のニュースダイジェスト
写真は米国IAAPAエキスポ2014で、上は最新作「スターウォーズ・バトルポッド」などをメインにしたバンダイナムコゲームス、下はカーレースの「ショーダウン」DX型(手前)をメインにしたセガ社の、いずれも大きいブースのようす。


20年前の主なニュース

 英国は射幸遊技機税の課税範囲をAMゲームに拡大する方針を発表した。電気用品取締法施行令の改正原案で、乗物機を除くTVゲーム機など業務用はおおむね乙種に移行することに。愛知県協会の展示会に22社が出展した。カプコン、バンプレストがそれぞれ新作展を開催した。(1995年1月1日号)

30年前の主なニュース

 警察庁は風営問題懇談会に、法施行規則と府令を諮問、懇談会はすべてのゲーム機を「8号営業」遊技設備に指定することに。タイトーは新作展で「忍者ハヤテ」などを紹介、任天堂は「VSシステム」キャビネットの2ゲーム一体型を披露した。カプコンは「1942」を発売した。(1985年1月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .テレビゲームを発明した米国のラルフ・ベア氏が12月6日、ニューハンプシャー州マンチェスターの自宅で死去した。92歳だった。 1922年3月ドイツ生まれのベア氏は、ナチスの迫害から逃れて38年に渡米し、ラジオとテレビの技術を学び、55年サンダーズ・アソシエーツ社(現 BAEシステム社)に入社、66年8月ニューヨークでテレビを娯楽に使える方法を思いつき、メモに残した。その後部下とともに、ロジック回路でTVゲーム を発明、68年1月に特許を申請して、試作機の「ブラウンボックス」を制作。サンダーズ社の特許を継承したマグナボックス社は、これを元に家庭用TVゲー ム「オデッセイ」を製品化し、それを見たアタリ社のノーラン・ブッシュネル氏らが業務用「ポン」を考案、大ヒットさせてTVゲームの新たな地平を切り開い た(『それは「ポン」から始まった』に詳細)。ラルフ・ベア氏は87年までサンダーズ社に留まり、ミルトン・ブラッドリー社の玩具「サイモン」など150 を超える発明をものにした。「TVゲームの父」と呼ばれ、06年には大統領から工学栄誉賞を贈られた。

 .オランダに本拠がある世界的な家電大手メーカーのフィリップス・エレクトロニクスが、任天堂を相手に起こしたビデオゲーム関連特許訴 訟について、両社は12月2日、「クロスライセンス」(それぞれの特許を互いに許諾し合うこと)により和解、フィリップス社は訴訟を取り下げた。フィリッ プス社が問題にしたのは、「Wii」本体や「DS」本体でプレイヤーの身ぶり手ぶりなどの動作を感知するシステムが、フィリップスの特許侵害に当たるとい う部分で、5月に英国高等法院に提訴した。任天堂は反論したが、高等法院のコリン・ビル裁判長は6月、3件の訴因のうち2件について任天堂が侵害したと認 めた。このため、同様に争われていた米国、ドイツ、フランスでの訴訟に影響するのは必至と見られていたが、和解に伴いいずれも取り下げられる。損害賠償金 などついては、審理に入らないままだったため、発表されない。なお、フィリップス社はかつて米国マグナボックス社を買収したことがあるので、ビデオゲーム の基本特許を持っていたことがある。

 .米国IAAPAエキスポ14(11月18-21日、オーランド)には、1,004社(前年は1,098社)が屋内の52万8千平方 フィートと屋外に出展、出展社数はやや下回ったが最大規模を維持し、これに116ヵ国から19,400人(18,200人)のバイヤー(購入決定権者)を 含む30,500人(29,000人)の登録事業者が訪れた。米国の家庭用「E3」や業務用アミューズメントエキスポと同様、登録手続きをした業者でない 一般客は入場できず、ビジネスショーに徹している。会場はオレンジカウンティ・コンベンションセンターで、遊園施設、ハイテク、硬貨作動式機械などのグ ループに分けて配置している。日系出展社はいずれも大きな小間を使って継続出展しており、米国S&Sワールドワイド/三精テクノロジーズは15年シックス フラッグス・フェスタテキサスに建設する「4Dフリースピン」コースター「バットマン」を発表、BLDオリエンタルは室内遊具を紹介した。米国バンダイナ ムコ・アミューズメント・アメリカ社と、英国セガ・アミューズメンツ社は最新の業務用ゲーム機を披露した。またフリューが2小間出展、米国市場向けフォト ブース「プリブース」を紹介した。

 .【米国IAAPAエキスポ2014の続き】注目された主な新作TVゲーム機は次のとおりで、話題作が多かったのも今回の特徴だった。 バンダイナムコゲームス「スターウォーズ・バトルポッド」、「ロストランド・アドベンチャー」、セガ社カーレース「ショーダウン」DX型とSDX型、「ト ランスフォーマーズ・ヒューマンアライアンス」SDX型、米国ロースリルズ社「ジュラシックパーク・アーケード」モーションDX型、グローバルVR社 「レッドライン・ランページ」、カナダのトリオテック社のXDダークライドとゲーム「ギガモン」、ユニットE社音楽ゲーム「ネオンFM」、韓国アンダミロ 「バンプイットアップ・プライム2015」、シミュライン社シミュレーター「ワルキューレ・プロジェクトヘッド」、中国UNIS「アームド・レジスタン ス」、華立技研「テラトマ・ザ・ラスト・レベリオン」、シーリー「フラッシュライト・オブ・ザ・イーブル」、「トップスピード」、台湾インジョイモーショ ン/米国バロンゲームズ「キディ・ダイド」モーション。

 .遊園地「富士急ハイランド」(山梨県富士吉田市)で12年4月29日、走行中のローラーコースター「ええじゃないか」から、鋼鉄製ボ ルトが落下、地上にいた女性客が額の上部を6cm切った事故について、国土交通省は12月2日、調査部会の報告書を発表した。ボルトは走行を重ねたことに よる「疲労破壊」で断ち切られたと推定、過去にもあった破断の検証不足が事故を招いた可能性も指摘した。「ええじゃないか」は米国S&Sパワー社(現 S&Sワールドワイド社)が車両部分、サノヤス・ヒシノ明昌が走路部分を担当して建設、05年に完成した。報告書によると、落ちたボルトは車両下部の騒音 対策用部品を固定するもので、重さ約80g。11年4月に交換していたが、部会の検証では寿命は14.05ヵ月で、07年にも落下事故を起こしていた。富 士急は事故後、ボルトを使わない構造にするなど改善、12年7月に運転を再開した。全国の遊園施設ではボルトなどの落下事故が、都道府県への報告分だけで 30件(13年9月現在)起きており、部会は国交省に抜本的な対策を求めている。

 .北マリアナ諸島連邦(CNMI)のサイパン島で政府の承認を得てカジノ建設計画を進めているのは、ベストサンシャイン・インターナ ショナル社だが、その親会社の香港インペリアル・パシフィック・ホールディングス社が、CNMI全体の統合リゾート計画「サイパン・インテグレイテッド・ リゾート・プロジェクト」(SIRP)に7億7千4百香港ドル(約1億米ドル)を投資する計画で、計71億米ドルが必要となるため、新たに株式を発行し、 6社の投資会社に引き受けてもらうことにした、と12月3日までに発表した。「SIRP」への投資に意欲を示しているのは、香港市場に最も近い、膨大な資 金を運用する中国の投資家ないし投資会社で、CNMIが米国の法制度に準拠していること、美しい海と空が目立つ自然環境などが、中国の投資家を引き付けて いると見られている。CNMIでのカジノ運営企業は毎年千5百万米ドルの許可料を政府に支払い、政府はこれを財源の乏しい年金基金や公共サービスに充てる ことになっている。計画が順調にいけば、余っている資産家の不要な資金を、カジノ運営を通じて、お金が不足している低所得者の生活資金に回すことができ る。

 .ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は12月11日、同社の家庭用「プレイステーション4」(PS4)と「プレイス テーションヴィータ」(PSヴィータ)を15年1月11日から中国で発売すると発表した。「PS4」は本体操作盤セットで約2,899元(約5万6千 円)、「PSヴィータ」は1,299元(約2万5千円)で発売、中国でのサービス網整備も進める。中国市場では2000年以降家庭用ゲームは禁じられてき たが、13年秋に上海の特区で一部企業に販売を解禁していた。だが一般に中国では、パソコン(PC)のオンラインゲームやスマートフォンゲームが中心だっ た。SCE「PS」シリーズが中国で発売されるのは初めてで、ゲームソフトの販売も同時に展開されることになる。米国のマイクロソフト社は9月末に 「Xbox One」を約3,699元で、中国での販売を開始した。任天堂は「注目している」と意欲を示しているが、具体策は明らかにしていない。中国市 場では海賊版など無断コピー品という大きな試練が待ち受けているとも言われている。

 .ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)は12月3日、小さな子ども連れの客向けエリア「ワンダーランド」を大幅 リニューアルし、15年3月オープンすると発表した。「ワンダーランド」は約3万㎡の区画にエルモ、スヌーピー、ハローキティなど世界的な人気キャラク ターの世界観で作られたアトラクション、物販店、飲食店で構成され、12年3月の登場以来ファミリー客の人気を集めているが、さらに新しいアトラクション (具体的には検討中)を複数(2ないし3種類)導入するほか、キャラクターと触れ合う新しいストリートショーも導入するとしている。リニューアルは「ワン ダーランド」の営業を続けながら進める。USJではこのところ、14年7月に新エリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」をオープ ン、また期間限定のシーズナル・イベントも並行して開催して、年間入園客1千万人以上という集客規模を拡大するのに成功している。

 .老舗デパートの「銀座三越」は12月3日、恒例の「クリスマスイルミネーション」の点灯式を実施、9階のテラスガーデンを約2万球の 電球とピンク のポインセチアの花で飾ったほか、テラスルーム前に室内用の小型メリーゴーランドを設置、25日までの期間限定で、クリスマスの雰囲気を盛り 上げている。この小型メリーゴーランドは日本に3台しかない、とされるドイツ製で高さ約3m、直径は2.5m。6人乗りで、1回で1分半かけて4周する。 利用料は1回100円。小さい子どもには大人が付き添うことも可能。また大人も乗れると言うが、少し無理があるかもしれない。設置趣旨として、銀座三越が 今年のクリスマスのテーマとしている「ノルディックテイルズ」(北欧の暮らしに学ぶ)に沿って、ヨーロッパの移動遊園地から着想したとしている。かつて都 心や地方の百貨店の屋上でメリーゴーランドはもとより、観覧車やローラーコースターまで揃えた遊園施設が全盛を極めたことを思い起こせば、こうした室内で の使用例はもっとあっても不思議ではないのだが。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2014