2014年12月15日号 Last updated on December 1, 2014
特報
 衆議院解散でカジノIR法案、風営法改正案、ともに廃案。

 大阪府警がスクエニを、キャラクター無断使用で送検。
海外
 韓国IR「パラダイスシティ」の本格建設が開始に。

 中国で「ハローキティパーク」の完成式。年明けに部分開業。
国内

 ロボットアームでカード出し、常習賭博で摘発。

 SDエンター、9月中間決算は減収経常減益。


2014年12月15日号のニュースダイジェスト
写真は韓国・仁川に建設される「パラダイスシティ」の着工式で、上は里見治セガサミーホールデイングス会長兼社長(中央左)、田必立(チュン・ピルリップ)パラダイス社会長兼CEO(同右)ら関係者代表、下は完成予想図から。


20年前の主なニュース

 9月中間決算は、海外家庭用の値崩れにより軒並み不振だった。ニチイはファミリー客向け「ダイナレックス」を展開するための子会社マイカルクリエイトを設立した。セガ社新作展、CG基板に基づく「バーチャファイター2」など、ナムコ新作展はCG基板の「鉄拳」など披露した。(1994年12月15日号)

30年前の主なニュース

 米国ゲーム機業界の立役者、サム・スターン氏が死去した。参議院の風営関連小委員会で社会党の志苫裕議員が意見書を提出した。都道府県は年少者入場の施行条例案を提示へ。タイトーは、本物の楽器で演奏するAMロボットを発表した。新日本企画はTVゲーム新作展を開いた。(1984年12月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .韓国・仁川(インチョン)の松宗島で11月20日、外国人専用のカジノを含む統合型リゾート(IR)「パラダイスシティ」の着工式が行われ、建設が開始された。韓国カジノ運営最大手のパラダイスグループと日本のセガサミーHDの合弁会社である、パラダイスセガサミー社(出資比率は55%と45%)が2017年上半期の開業を目指し、1兆3千ウォン(約1380億円)投資して、建設する計画。インチョン空港に隣接する20万㎡の土地に、韓国最大のカジノ(1万㎡以上)、7百室規模の高級ホテル、公演会場、ショッピングモール、展示場、国際会議場などが出来る予定だ。合弁会社はパラダイスカジノを吸収し、そのカジノライセンスを引き継いでいるので、新たに取得する必要はないとのこと。カジノの利用客は、仁川空港を利用する外国人観光客など、一日当たり16万人(うち5-6割が中国人)と予想している。セガサミーHDは日本でカジノが解禁された場合に備え、カジノ運営のノウハウなどを蓄積するほか、これまで以上に賭博用のゲーミング機を開発、世界市場に展開する考えだ。

 .中国・上海に近い浙江省安吉県で「ハローキティ」の正式ライセンスを受けたテーマパーク「ハローキティパーク」の完成式が11月28日、開かれた。とは言えすべて完成したわけではなく、1月1日に部分開業する予定。サンリオが海外で許諾した本格的な「ハローキティパーク」はこれが初めて。中国ではコピー商品の横行が常態化しているが、本物志向も近年強くなっており、特に現地の共産党が今回のテーマパーク建設を重要プロジェクトに指定したことが幸いした。サンリオは11年5月、現地不動産会社の「浙江銀潤閑旅遊(リゾーツ)開発」に出資せず、直接許諾し、便宜を図った。中国側も計画どおり9万5千㎡の敷地で建設を進め、キャラクターのしぐさなども日本に来て研修した。全部で6つのテーマエリアがあり、観覧車など遊園施設のほか人気キャラクターによるパレードなどもある。サンリオでは中国市場での事業拡大を図るとしている。マレーシアにも同様にサンリオが許諾した「ハローキティタウン」(2千㎡)があるが、中規模以上のテーマパークは今回初めて。

 .主にダンスをさせる営業の規制を撤廃する風営法改正法案と、日本で初めてカジノ運営を可能にする統合型リゾート(IR)法案は、いずれも衆議院解散に伴う国会閉会により廃案になった。会期内に成立しなかった法案はすべて廃案になるのが国会の基本ルールで、2法案ともに審議未了により廃案となった。法案提出手続きは振出しに戻り、次回以降の国会への再提出の道は残されているが、法案に反対の声が強ければ再提出も危うくなる。統合型リゾート法案(正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」)は第185国会衆議院に9月29日、細田博之ほか9名の議員により共同提出され、内閣委員会に付託、審議入りしたが、実質審議に入らないまま審議未了で終わった。風営法改正案(正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案」)は10月24日、警察庁起案の政府案として内閣委員会に付託、審議入りをしないまま、これも11月21日、審議未了で会期末を迎え廃案になった。

 .大阪府警生活経済課は11月17日、他社の人気ゲームのキャラクターを漫画「ハイスコアガール」に無断で使用したとして、出版したスクウェア・エニックスと編集・出版部門の役員ら計16名と漫画家押切蓮介(本名神崎良太)を書類送検した。スクウェア・エニックス・ホールディングスと子会社スクエニのトップである松田洋祐社長は、任意聴取に対し「著作権侵害はない。裁判所で判断してもらう」と述べたとされている。府警によると、スクエニ役員らはSNKプレイモアの「ザ・キング・オブ・ファイターズ」、「サムライスピリッツ」のキャラクターなどをSNKに無断で漫画「ハイスコアガール」(スクエニの月刊雑誌と単行本)で使用、著作権を侵害した疑い。送検に際し府警は、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。作品には約20社のキャラクターが登場するが、スクエニが連載前に許諾を得たのは3社だけだった。一方、スクエニは著作権侵害がなかったとの確認を求める訴えを10月に起こしている。

 .警視庁保安課は11月7日までに、「ロボットアームのディーラー」を売り物にして、バカラ賭博営業をしていた、バカラ賭博店「アトム」(東京都新宿区歌舞伎町2丁目)の従業員2人を常習賭博の疑いで、大学生ら客の5人を賭博の疑いでそれぞれ現行犯逮捕した、と発表した。保安課によると従業員2人はアルバイトで「雇われただけ」、と容疑を否認しており、警察は実質経営者らを追っている。5日に摘発したもので、「アトム」はバカラ台1台とテレビモニター15台を設置して3月末に開業、口コミで「ロボットアームのディーラー」と伝えて、客を集めていた。調べによると、店は8階建ての雑居ビルの3階にあり、看板も出しておらず、何の店か分からない状態だった。店内中央に置かれた、千万円以上すると見られる台湾製ロボットアームが、ディーラーの役割を担って、トランプカードを一枚ずつ抜いて客に提示する仕組みで、客はタッチスクリーンを押してお金を賭けていた。ロボットを使った賭博摘発例は初めてとのこと。

 .SDエンターテイメントは11月14日、9月中間決算(第2・四半期までの6ヵ月、4-9月期)を発表、売上高は12%減の36億6千7百万円、経常利益は39%減の千7百万円、中間利益は1億2千4百万円(前年同期は3億5百万円の赤字)と減収だが黒字回復した。サービス別売上高はゲーム場が1店減で23%減の12億4千8百万円、フィットネスが3%減の11億6千3百万円、ボウリング場が12%減の4億8千8百万円、施設管理(映画館、脱出ゲーム)が10%増の4億2千6百万円、その他施設が10%増の1億2千百万円、その他(カフェなど)が18%減の2億千8百万円だった。14年1月に親会社がゲオホールディングスから健康コーポレーションに変わり、7月に旧ゲオディノスからスガイディノスに戻す現社名に変更した。また、ゲオショップ内のゲームコーナーであるリトルパーク事業を、前グループに譲渡した。なお15年3月期業績予想は売上高77億円、経常利益2億円、最終利益2億5千万円と据え置いている。




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