2013年10月15日号 Last updated on October 1, 2013
特報
 任天堂三代目社長、山内溥氏が85歳で死去。家庭用で貢献。

 「TGS13」にネットを利用した「ネッチ」も出品。 

海外
 米国IAAPAの欧州地方版、「EAS」も支持されて定着。

 ベガスの観覧車建設、「ハイローラー」が先行。


国内

 セガサミー、140億円でインデックス事業買い取り合意。

 下関に泉陽興業運営の「はい!からっと」オープン。 


2013年10月15日号のニュースダイジェスト
写真上はセガ社新作展(大阪会場)で、「初音ミク・プロジェクトディーヴァ・アーケード・フューチャートーン」(右)と「ピーラスマルチ」用ゲームソフト「デッド・オア・アライブ5アルティメイトアーケード」を紹介した画面(左)。下はセガ社「オービィ横浜」で9月18日、田井村勉館長(左端)と10万人目の来館者、北原久子さんらの一行。


20年前の主なニュース

 台湾の遊技場規制を検討している立法院議員団がAMショー視察を兼ねて訪日した。任天堂の展示会で山内溥社長が、ゲーム場に興味はないと講演した。愛知県のオペレーター協会はミニ地方展を企画している。セガヨーロッパ社は、英国内にゲーム場を2ヵ所開設した。(1993年10月15日号)

30年前の主なニュース

 埼玉県警は「Qバート」などTVゲームの無断コピー品を製造、販売していた河西秀孝TWT社社長らを著作権法違反の疑いで逮捕した。岡本製作所の明三郎氏が会長、昌明氏が社長になり、新本社ビルも披露した。9月下旬のAMショーに伴い、コピー対策の国際会議、招待会が催される。(1983年10月15日号)



【ニユースダイジェスト】  

 .IAAPAの地域版はアジア向けの「AAE」(アジアン・アミューズメント・エキスポ)と欧州・中東向けの「EAS」(ユーロ・アトラクションズ・ショー)の二つあり、7月のAAEに次いでEASも、本家の米国IAAPAショーと同様、遊園施設から業務用ゲーム機まで幅広くカバーする国際見本市として定着し、業者に支持されていることが確認された。EAS13(9月18-20日、パリのポート・デ・ベルサイユ)にはIAAPAによると、前年の8%増の展示会場の9,917㎡に6%増の393社が出展、8,584人の業者が登録入場した。主な出展社はAAEと同様、遊園施設、映像シミュレーター、業務用乗物機、ゲーム機、プリペイド・カードシステムなどのメーカー(三精輸送機の子会社である米国S&Sワールドワイド社を含む)で、日系のセガ・アミューズンツ・ヨーロッパ社とナムコヨーロッパ社がそれぞれアトラクション、ゲーム機を紹介した。また中国UNIS(世宇)も香港子会社を通じて出展した。次回EAS14はオランダのアムステルダムに会場を変える。

 .家庭用TVゲーム総合展「東京ゲームショウ13」(TGS、主催CESA、9月19-22日)が開かれ、日本を含む33(前年19)ヵ国から国内190社、海外162社の計352(209)社が、幕張メッセの棟続きの1-8ホールと近くの第9ホールに出展、過去最大の規模となった。主な出展社はハードウェアではSCE、日本マイクロソフト(前年出展せず)で、任天堂は伝統的に出展していない。ソフトウェアではセガ社、バンダイナムコゲームス、カプコン、スクウェア・エニックス、エレクトロニック・アーツ(EA)とガンホー、グリーなどで、スマートフォン用やソーシャルゲーム関係が大きなブースを構え、市場奪取の意欲を示した。今回はSCE「PS4」、MS「Xbox One」と久しぶりに家庭用次世代ハードウェアの実物が披露され、関心を引いた。しかし、スマートフォン用などが家庭用市場に進出しており、業界は大きな曲がり角にさしかかっているもようだ。なお変り種として、ネッチ(東京・池袋、西村大社長)がインターネットを通じて利用者がクレーンゲームをし、景品を送ってもらうネットキャッチャー「ネッチ」を出品、実際に操作して見せた。

 .任天堂前社長の山内溥(やまうち・ひろし)氏が9月19日午前、肺炎のため京都市内の病院で死去した。85歳。通夜は21日午後6時、葬儀は社葬として22日午後1時から任天堂本社で。葬儀委員長は現社長の岩田聡氏、喪主は長男の克仁(かつひと)氏。1927年京都府生まれ。49年、家業を継ぐため22歳で早大法を中退、家業のかるた製造の丸福(現任天堂)三代目社長に就任。同社は70年代、始まったばかりのTVゲームに参入、家庭用、業務用の両分野で業績を伸ばし、83年からは家庭用「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)のビジネスモデルを構築、後継機を含め事業の中心に据え、世界的ビジネスへと成長させてきた。その間、山内氏は一貫してトップに立ち、揺るぎない信念を持って決断してきた。02年に社長を退任、取締役相談役となり、05年に取締役も退任した。今年8月、京都大学から「名誉フェロー」の称号を受けたが、授与式には高齢を理由に出席しなかった。

 .セガサミーホールディングスは9月20日、9月中間期(4-9月期)の業績予想を売上高1,610億円(5月の前回予想では1,980億円)、経常利益110億円(170億円)、中間利益90億円(修正なし)と大幅に下方修正した。パチスロ機など遊技機事業で販売数量を最大化するのが目的で、一部製品の販売予定を下期に変更したことから、中間期の販売台数はパチスロ機が146千台(188千台)、パチンコ機が54千台(127千台)と大きく下回ることになったため。家庭用ゲームソフト事業のうちオンラインRPG「ファンシースターオンライン2」の課金収入が好調だったが、遊技機事業の計画未達分を補うに至らないと見られている。中間利益については、税金費用の見込み額を見直したところ、前回見込みとほぼ同じになる。前年実績と比べると増収増益になる見込みだ。なお14年3月期(通期)業績予想は、現段階で変更はないとのこと。

 .米国ラスベガスでどちらの観覧車が先に完成するか、という「チキンレース」が続いているが、シーザース・エンタテインメント社が大通りの中心部に建設中の「ハイローラー」が先にホイールを取り付け、14年上半期に完成する見通しとなり、大通りを挟んでマンダレーベイカジノホテルの向かい側の「スカイビュー」は2本の支柱を立てたまま止まっており、早くも勝負は見えてきた模様だ。「ハイローラー」(仮称)の位置はフラミンゴラスベガス、クワァド(旧インペリアルパレス)カジノホテルの裏側で、モノレールの軌道に近く、便利はいいが目立たないのではないかと資金計画が危ぶまれていたが、見事に観覧車の形になってきた。おまけにベラージオカジノホテルより高い(167m)ので、結構遠くからでも見えることも分かった。40人乗りのカプセルが28台で、1周30分で回転する。土台は「リンク」という名の複合商業施設でこの建設も進む。もうひとつの「スカイビュー」は大通りの外れという立地に難があり、資金が続かなかったようだ。

 .関門海峡に面した山口県下関市の埋め立て市有地「あるかぽーと」に遊園地「はい!からっと横丁」(約8千㎡)が9月14日、オープンした。市が公募し、泉陽興業(本社大阪、山田勇作社長)が建設、運営を担当するもので、下関では99年の台風で被害を受け閉鎖した「マリンランド」以来の遊園地誕生となる。入園は無料で、各遊園施設は有料(100-700円)。最大の施設は直径57m、高さ約60mの観覧車で、6人乗りカプセル36台(うち4台はシースルー)がゆっくり回る。このほかローラーコースター「ファミリー・バナナ・コースター」、シューティングライド「バトル・オブ・アビス」、海洋生物にちなんだメリーゴーランド「シーゴーランド」など11機種があり、夜間(翌日午前2時までの大晦日を除き、午後8時か9時まで)はLEDでライトアップする。対岸の北九州市側から見た夜景も素晴らしいと評判になっている。

 .タイトーはこのほどSCRAP(本社京都)に協力して、東西2ヵ所のロケーションを舞台に、常設型リアル脱出ゲーム「リアル脱出ゲームセンター」を開始することを明らかにした。リアル脱出ゲームは廃校、閉鎖病棟、著名ビルなどを舞台に、参加者が体を使って謎を解き、実際に脱出するゲームイベントのことで、主催者のSCRAPによると、世界的に注目されている体験型エンタテインメントだという。今回は10月18日に横浜はじめて物語店、11月2日にキャナルシティ博多店で開始され(これを公演開始という)、参加者は500円のチケットを購入、業務用ゲーム機を使って暗号を解いたりして、すべての謎を解いて、制限時間内に脱出しなければならないが、脱出できなくても閉じ込められるわけではない。「伝説のゲームセンター」、「閉ざされた」、「箱×鍵」などのキーワードがヒントになるとのこと。原則的に1人で参加するが、複数の人数でも参加できる。

 .民事再生手続き中のインデックス(落合善美社長)は9月18日、再建スポンサーにセガサミーホールディングスを選定したと発表。セガサミーは同日付で新設した完全子会社のセガドリームス(鶴見尚也社長)を通じて、インデックスの事業を買い取ることで契約したと発表した。セガサミーは11月1日に実施するが、負債は継承しないとしている。買収価格は未発表だが約140億円と見られる。インデックスは6月27日に245億円の負債を抱えて民事再生手続き開始を申請、8月にかけて第一次スポンサー選定手続きを進めていた。セガサミーは家庭用ゲームソフト部門が再び2期連続の営業赤字に陥るなど、低迷状態を脱していないが、買収により「アトラス」ブランドのゲームソフトを入手、業務用で活用するほか、遊技機用液晶基板、PCオンライン、スマートフォンなどで活用していけると見ている。インデックスは事業を継続しているが、民事再生手続きが一段落すれば落合社長らは退任する見通し。

 .インターネットを前提とするビジネスを行なうグーグルなど7社は9月25日、「アジアインターネット日本連盟」(AICJ)を設立、インターネットにおける自由で公正な情報の流通を支え、インターネット産業の持続的成長に役立つ政策や制度の在り方を提言することになった。参加企業の内訳は幹事会長会社のグーグル、幹事会副会長会社のヤフーのほか、オークション大手のイーベイ、ソーシャルのフェイスブック、物販のアマゾンジャパン、ソーシャルゲームのグリー、ディー・エヌ・エー。09年に香港で設立され、シンガポールを本拠とするAIC(アジア・インターネット連盟)の日本支部として設立されたもので、インターネット業界、とりわけ上位レイヤーに携わる事業者の声を集約し、革新的なビジネスの創出支援、知的財産の適切な保護と活用の推進、自由で公正な情報の流通の確保、ユーザー本位のインターネットサービスの提供実現などを目指していくとしている。http://aicj.jp/



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2013