2012年12月15日号Last updated on December 1, 2012
特報
 ナムコは「ダークエスケープ4D」でIAAPA賞を受賞した。

 三精輸送機はS&Sワールドワイド社を子会社化した。

海外
 イタリアのザンペルラ社は中国のコピー業者に勝訴した。

 ロイター通信はユニバーサル疑惑をスクープ報道した。

国内

 「DS」用「マジコン」が輸入禁止品目に指定された。

 犬山市の「ゲーム博物館」はリニューアルオープンに。


2012年12月15日号のニュースダイジェスト
写真は愛知県犬山市にある「ゲーム博物館」の内部のようす。上の写真は左から「カーニバル」、「サッポロ」、「エキスプローラー」、「サーフィン」とセガエレメカ式フリッパーが続く。下は2階から見たようす。


20年前の主なニュース

 セガ社は米国マグナボックス社による特許訴訟を和解金17億円の支払いで終えた。米国IAAPAショーでVRゲーム機も紹介された。中山隼雄科学技術文化財団が設立された。SNKはメダルゲーム機を設置しない、風営対象外の大型店「ネオジオランド」をオープンした。(1992年12月15日号)

30年前の主なニュース

 米国アタリ社は同社家庭用本体用にポルノゲームを開発したメーカーを提訴した。AMOAエキスポ82は会場をハイアットに移し、165社が出展し一段と盛り上げた。JAMMAは新聞協会にコピー品の広告中止を申し入れた。タイトーは新作展で「フロントライン」など披露した。(1982年12月15日号) )



【ニユースダイジェスト】

 .米国IAAPAエキスポ12(11月13−16日、オーランド)には、102ヵ国から1,167社(前年は1,106社)が屋外展示の5,300uを含む46,000uに出展、世界各国から15,800人(15,167人)のバイヤーを含む26,500人(25,403人)の登録業者が入場した。家庭用「E3」や業務用アミューズメントエキスポと同様、業者でない一般客は入場できない。会場は硬貨作動式など6つの区画に区分されており、日系の会社ではナムコアメリカ社、セガ・アミューズメンツ・ヨーロッパ社、BLDオリエンタル、そして三精輸送機の子会社になったS&Sワールドワイド社がいずれも継続出展した(BLDは2年ぶり)。新製品に与えられるIAAPA賞は、アーケードビデオゲーム部門でナムコアメリカ社の「ダークエスケープ4D」が受賞した。IAAPAは今年から知的所有権保護を強調しており、指摘されたコピー品を撤去している。

 .【米国IAAPAエキスポ2012の続き】この他注目された主な新ゲームは、セガ社の「ドリームレイダーズ」、「KOドライブ」、「パイレーツ・オブ・モンスターアイランド」、ナムコの「デッドストームパイレーツ4D」、「パックマンスマッシュ」(ビッグバンスマッシュの海外版)、米国ロースリルズ社の「(ウィンターXゲームス)スノクロス」、グローバルVR社の「ザ・スワーム」、コースタルアミューズメント社の「シーウルフ55」(55インチ画面)、韓国アンダミロ社の野球ゲーム「ホームランヒーロー」など。中国からはUNIS(ユニバーサル・スペース・アミューズメント)がホラーガンゲーム「アフターダーク」、ワーラップ社(華立電子)が「スピードドライバー4」など出品した。フリッパーはスターン社が「Xメンプロ」、「AC/DC」を出品したほか、ジャージージャックピンボール社が第1作の「ウィザード・オブ・オズ」を披露し注目された。

 .イタリアの遊園施設・乗物機メーカー、ザンペルラ社とその米国子会社ザンペルラIncは11月14日、米国フロリダ州オレンジカウンティにある連邦地裁で、同社商標を侵害した中国のコピー業者に対し合計1億3千8百万ドルの損害賠償を命じる判決を獲得した、と発表した。判決によると、ゴールデンホース・アミューズメント・イクィップメント(金馬科技)、ベイジントングンヴェイダ(北京同君)プレイ・イクィップメント社、ベイジンジウファ(北京九華)アミューズメントライドという中国のメーカー3社が、合計183台のコピー品を製造・販売したことが確認され、米国商標法とフロリダ州の不正競争防止法などに基づき損害賠償額を算定、ザンペルラ社に支払うよう命じたもの。これらの事実からIAAPAは連邦保安官を介して、IAAPAショー12の初日、展示会場からこれらの出品機械を撤去した。

 .三精輸送機(大阪府吹田市、中川実社長)は11月5日、米国のS&Sワールドワイド社(ユタ州ノースローガン、リチャード・アレン社長兼CEO)を子会社にしたと発表した。三精輸送機は6月19日に、第三者割当増資に応じる形でS&S社と資本提携することで合意、7月27日に実施してS&S社の14.2%の株主になったが、このほど持株会社のS&SワールドワイドHDから株式を追加取得し、77.3%の株式を持つ親会社になった。7月の割当増資に伴う投資額は2百万ドルで48,438株取得し、11月には1株38.05ドルの価格で226,379株取得、7月の取得株式はS&S社が買入消却した。取り引きに際して三精輸送機の米国子会社、サンセイ・テクノロジーズ社が間に入る形をとっている。三精輸送機は世界市場に向けて遊園施設を展開しているS&S社を子会社にすることにより、海外部門での事業拡大を図ることができると説明している。

 .経済産業省は11月22日、任天堂「DS」で海賊版ゲームソフトを使用できる機器、いわゆる「マジコン」を21日付で輸入禁止措置にしたと発表した。「マジコン」は正規でないゲームソフトを使用できなくする機能を解除する装置で、11年12月施行の不正競争防止法改正によりその販売行為も罰則の対象となり、また輸入差し止め対象にすることができるようになったが、輸入差し止め対象物品にまだ指定されていなかった。そのため任天堂は経産省の同意を得る手続きを進め、税関法に基づき税関長に「マジコン」の輸入差し止めを申請、これが21日に受理され、全国の税関で差し止め対象物品に追加されたもの。「マジコン」による被害額は年間1,300億円に上るとの試算もあり、インターネットを介した個別取引を含め国内流入を防ぐ必要があるとされている。

 .世界的な通信社のロイターは11月16日、アルゼUSA社の親会社であるユニバーサルエンターテインメント社が2010年5月にフィリピンのカジノ監督局(PAGCOR)へ不正な資金調達をした疑いがあることから米国ネバダ州賭博規制委員会(NGCB)が調査中だ、とスクープ報道した。ABS−CBNなどフィリピンの地元メディアは翌日、PAGCORが調査に乗り出したと一斉に報じた。これらの報道を総合すると、ユニバーサルはフィリピンのマニラで建設中のカジノ許可の権限のあるPAGCORの、当時の会長の側近で顧問のロドルフォ・ソリアーニ氏に対し、ユニバーサルの子会社やソリアーニ氏のダミー会社を通じて、4千万米ドル(80円換算で32億円)支払ったことが送金記録などから判明した。米企業による海外での贈賄は連邦法で禁止されており、事実であれば有罪となるほか、ラスベガスでのカジノ許可取り消しの可能性まで出てくるとのこと。

 .米国ウィンリゾーツ社の役員会がユニバーサルエンターテインメントの所有するウィンリゾーツ社の30%株式を買い戻し、それに対して、買戻しは無効だとして訴えた岡田和生会長による訴訟には18点の訴因があるが、ネバダ州裁判所のクラークカウンティ地裁エリザベス・ゴンザレス判事は11月13日の口頭弁論で、1点だけ却下し、17点について14年4月にトライアル(審理)を設定した。却下されたのは、マフィア対策のRICO法に違反したという主張で、民事訴訟には当てはまらないとして退けた。ウィンリゾーツ社は、岡田氏がフィリピンのマニラで計画中のカジノ建設に関し当局に違法な贈与をしたとして、自社株式の買い戻しをした上で、提訴したと説明している。岡田氏は、ウィンリゾーツ社がマカオ大学に1.35億ドルの寄付をしたことを問題にしたことに対する、一方的な報復であり、不当だと主張している。

 .世界的にも珍しい日本のセガ社製フリッパー(8機種)などを揃えた「ゲーム博物館」が11月23日、愛知県犬山市今井山神洞でリニューアルオープンする。これまでの「日本ピンボール博物館」(昭和レトロ館)を一段と充実させたもので、1階にセガ社「クレイジークロック」、ゴットリーブ社「ジャックスオープン」などフリッパー約130台(うち50台はプレイ可能)、セガ社「ガンファイト」などエレメカアーケードゲームとメダルゲーム(20台)、テーブル型TVゲーム(10台)、2階にジュークボックス(50台)、ミュージックボックス(10台)、その他アンチークの時計や蓄音機、旧式ラジオなど電化製品を揃えている。体験可能とあるものはすべてフリープレイできるのが大きな特徴。金、土、日、祝日の10−17時のみ入場可能で、入館料は高校生以上1時間千円、3時間2千円、一日3千円(小・中学生は6百円、千2百円、千8百円)。詳しくはウェッブサイト参照。http://www.one-more-time.jp/

 .バンダイナムコゲームスは11月29日、環境に配慮して製造された業務用ゲーム機への認定マーク「エコアミューズメント」の表示を12月上旬に開始すると発表した。同社では05年以来、含有化学物質の管理基準「BNGグリーン調達基準」を設定、改訂しており、これをクリアしたうえで「省エネルギー」、「省資源」、「リサイクルしやすい設計」の3点を満たすと、環境に配慮したことを示す「エコマーク」をゲーム機に貼付、表示することになった。すでにクレーン機、音楽ゲーム機、TVゲーム機などの製品で省エネ設計を進めてきたが、このほど環境に配慮した認定マークを表示する段階になった。キッズ向けキャラクター探しゲーム「新幹線はどーこだ?」から実施する。このゲームは、画面内の多数の乗物から目的の乗物を探し、触れることにより進めるもので、ゲーム終了時にキャラクターカードが払い出される。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。