2012年11月15日号Last updated on November 1, 2012
特報
 オリエンタルランド、上半期は過去最高の収益に。

 カプコン中間決算、家庭用好調で大幅な増収増益。

海外
 米国IGT社とバリー社が和解、特許許諾手続きへ。

 ユニバーサルは決定に不満で、州最高裁に上告。

国内

 スクエニ中間期は業務用不振で、大幅な赤字見通しに。

 長野の老舗、コパルマシンが破産手続き開始。


2012年11月15日号のニュースダイジェスト
写真はイタリアのローマに出来たTVゲーム博物館「ビガムス」(VIGAMUS)の内部のようすを、現地の報道写真から。惜しくも「スペースインベーダー」の写真はなかった。展示品のうち最も多いのは家庭用コンソールとカートリッジなど。


20年前の主なニュース

 セガ社は米国総合電機のGE社と高度CG開発に関し技術提携した。カプコンはカナダのQサウンド社の立体音響技術を導入する。NES用ソフトの予備的禁止命令に関する、米国アタリゲームス社の抗告を、連邦控訴裁は却下した。SC遊園協会はスリランカのぬいぐるみ縫製工場など視察ツアーを実施した。(1992年11月15日号)

30年前の主なニュース

 東京地裁は不正競争防止法に基づき、タイトーが「インベーダー」ゲームの類似品を販売してきたウコーに損害賠償を求めていた訴えを認めた。米国連邦地裁では、TVゲームは視聴覚著作物であり、そのコピー行為は違法との判決が出た。米国AMOAエキスポ82に日本から10社が出展する。(1982年11月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .東京ディズニーリゾート(TDR)を経営するオリエンタルランド(OLC)は10月30日、第2・四半期までの中間期(4−9月)決算を発表、売上高は27%増の1,883億円、経常利益は92%増の391億円、中間利益は194%増の255億円と、上半期では83年開業以来の過去最高だった。部門別でテーマパークの売上高は28%増の1,564億円、営業利益は77%増の321億円、ホテルの売上高は44%増の238億円、営業利益は117%増の63億円、その他の売上高は13%減の80億円、営業利益は5億円。前年は大震災による休園など影響を受けたが、「トイストーリーマニア」など新規アトラクションの集客効果や、夏休み期間の雨天日が少なかったことにより、入園者数は23%増の1,325万人と盛り返し、1人あたりの売上高も5%増の10,410円になった。このため19日に、通期(13年3月期)予想は売上高3,854億円(4月の前回予想では3,694億円)、経常利益750億円(643億円)、最終利益483億円(400億円)と上方修正した。

 .任天堂は10月24日、第2・四半期までの6ヵ月(4−9月)決算を発表、売上高は7%減の2,009億円、経常損失は472億円(前年同期は1,078億円)、中間損失は279億円(702億円)と、減収減益だが赤字幅をかなり縮小した。ハンドヘルド「3DSLL」を日欧で7月、米国で8月に発売し506万台販売、また「ニュースーパーマリオブラザーズ2」などゲームソフトは1,903万個販売した。下半期はその拡販を目指すほか、「WiiU」を発売し、拡大を図る予定。外国為替相場が円高に推移したため、予想より中間期の赤字幅は拡大した。このため1ドル80円の想定レートはそのままで変えないが、1ユーロ105円は100円に見直し、通期(13年3月期)業績予想を売上高8,100億円(4月の前回予想では8,200億円)、経常利益100億円(350億円)、最終利益60億円(200億円)と大幅下方修正した。

 .カプコンは10月31日、第2・四半期までの6ヵ月(4−9月期)決算を発表、売上高は56%増の455億円、経常利益は219%増の60億円、中間利益は355%増の41億円と大幅な増収増益だった。家庭用(PS3、Xbox360用)新作「バイオハザード6」などが予想以上にヒットしたためで、SNS用を含めたデジタルコンテンツの売上高は69%増の349億円、営業利益は83%増の57億円だった。業務用は売上高が216%増の35億円、営業利益は13億円(前年同期は2億円の赤字)、ゲーム場の売上高は7%減の56億円、営業利益は19%減の9億円、その他の売上高は3%減の13億円、営業利益は6%減の4億円だった。業務用では「マリオパーティ・くるくる!カーニバル」など多人数用メダルゲーム機の販売と、P&S(遊技機部品)受託事業を含む。ゲーム場は2店閉鎖し35店となった。その他はキャラクター関連のライセンス料など。通期の業績予想は変更していない。

 .セガサミーホールディングスは10月15日、第2・四半期までの6ヵ月(4−9月期=中間期)業績予想を、売上高1,360億円(5月の前回予想では1,630億円)、経常利益50億円(20億円)、中間利益20億円(35億円)と修正した。パチスロ遊技機の販売予定見直しに加え、パチンコ遊技機の販売が軟調だったため、パチスロ販売が10万8千台(計画では17万9千台)、パチンコが5万7千台(10万3千台)と予想を下回ったのが大きく、家庭用ゲームソフトのパッケージ販売やオンラインRPG課金などが好調だったにもかかわらず、全体の売上高を大きく減らす見込みになった。経常利益は、家庭用開発費などの計上が下期にずれ込んだため、計画を上回る見込みになったが、中間利益は、見積もり実効税率を見直した結果、税負担が前回予想を上回るため、前回予想を下回る見込みとなったとしている。中間決算は11月2日に発表する予定。

 .スクウェア・エニックスHDは10月30日、9月中間期の業績予想と、通期(13年3月期)業績予想をいずれも大幅下方修正した。中間期で売上高は610億円(5月の前回予想では760億円)、経常損益は62億円の赤字(ゼロ)、中間損益は54億円の赤字(ゼロ)と修正した。通期業績予想は売上高1,500億円(1,650億円)、経常利益65億円(150億円)、最終利益35億円(90億円)と大幅な下方修正になった。同社によると中間期で、大型オンラインゲームのサービス開始に伴うコンテンツ制作勘定の償却、運営費用の増大などから利益ゼロを予想していたが、アミューズメント事業で発売したゲーム機がいずれも不振で、そのうえ家庭用ゲームソフト事業でも伸び悩み、目標に達しなかった。また通期についても、引き続き不確定要因が見込まれるため下方修正したとのこと。中間決算は11月6日に発表予定。

 .米国カジノ機器最大手のIGT社(インターナショナル・ゲーム・テクノロジー)とバリーテクノロジーズ社は10月25日、両社間で係争中の特許訴訟を終了させるための和解および許諾合意に向けて交渉に入った、と発表した。これはデラウェア州にある連邦地裁と連邦控訴審で判決の出た民事訴訟(地裁判決06cv00282)に関するもので、双方の和解に伴い、バリー社はIGT社の「ボーナス・ポートフォリオ」特許に関してライセンスを受けるとともに、IGT社に対する反訴を取り下げることになるが、ライセンス料を含む和解金は公表されない。IGT社と、歴史的ブランドだが、会社としては新しいバリー社との間の訴訟はこれまでも数多くあった。この訴訟は、バリー社がその製品の「パワーリウォード」機能でボーナスを支払う仕組みを使っているが、これによりIGT社が持つ特許2件を侵害しているとするIGT社の訴えを、連邦地裁に続いて昨年10月連邦控訴審が認めたもので、和解により訴訟は完全に終了する。

 .ユニバーサルエンターテインメントの米国子会社、アルゼUSA社は10月19日、ユニバーサルが所有していたウィンリゾーツ社の株式20%に見合う投票権を認めるよう求めてネバダ州最高裁判所に上告したと発表した。10月2日にクラーク・カウンティ地裁のエリザベス・ゴンザレス判事が下した決定を覆すための法的手続きで、11月2日に予定されているウィンリゾーツ社株主総会に向けて2名の社外役員候補を立てていたが、これは時間的に間に合わないため断念した。地裁でウィンリゾーツ社は、ユニバーサルがフィリピンで米国の海外汚職行為防止法(FCPA)に違反し、取得済みのネバダ州カジノ許可を危うくしており、許可を守るために、ユニバーサルの持っていたウィンリゾーツ社株式2,454万株(全株の20%)を時価の3割引き、かつ10年満期の長期手形で強制的に買い戻したことを正当化したが、地裁判事はユニバーサルがこれを覆す根拠を示さなかったとして申請を却下したもの。

 .フィリピンの首都マニラのアルフレド・リム市長は10月16日、それまでに押収した約3万枚の海賊版DVDと28台の違法賭博機を公衆の面前で破壊して見せ、これらの撲滅キャンペーンに乗り出した。現地の「インクァイアー」紙などが報じた。違法賭博機はTV競馬ゲームとフルーツマシンとしか説明されていない。海賊版DVDは普通1枚20ペソ(約42円)の値段で売店や自動販売機で売られており、映画産業に深刻な打撃を与えているため、市長が自らハンマーを使って破壊して見せることにより、これら海賊版と違法賭博に対する戦いを強調した、と伝えている。英国「インターゲーム」誌(10月23日ネット速報)はこのニュースを、マニラの市長が何千もの賭博機とTV競馬ゲームを破壊した、と伝えており、フィリピンでは違法な賭博機のオーナーとオペレーターは起訴され、裁判を経て刑罰が科されると説明している。

 .遊園施設メーカーの米国チャンスライド社とオランダのベコマライド社は06年10月以来、米国市場で互いに許諾し合い、6年間順調に販売協力してきたが、10月以降は販売協力を解消、それぞれ別個に販売していくことでこのほど合意した。チャンスライド社は故ハロルド・チャンス氏が1961年に創設、豆汽車で成功し各種乗物を展開し、息子のディック・チャンス氏が持株会社、チャンス・インダストリーズ社を85年に設立して、さらに発展させ、次に孫のマイケル・チャンス氏が2001年にモーガン社を買収、チャンスモーガン社を設立した。昨年50周年を迎えたチャンスライド・マニュファクチュアリング社がチャンスグループの中心となり、ローラーコースター、観覧車など一連の遊園施設を製造、チャンスモーガン社が販売を担当している。ベコマ社は1926年創業の農機具メーカー、掘削機メーカーだったが、67年からはローラーコースターなどスリルライドの世界的メーカーとして知られている。

 10.タイトーは10月19日、イタリアの首都ローマに20日開館したTVゲーム博物館「ビガムス」(VIGAMUS)に、同社「スペースインベーダー」のキャラクター展示などで協力したと発表した。これはイタリア初のビデオゲームミュージアムとしてローマ市内の建物(延べ約千u)に、主に家庭用、PC用の本体とゲームソフトを展示し、文化としてのTVゲームについて理解を深めようとするもので、月曜日を除く毎日10時から20時まで開場、入場料は8ユーロ(6−14歳と65歳以上は5ユーロ)となっている。ゲームソフト開発者らが数年前から研究会「IVDC」を開いており、その活動の一環として博物館を実現したもの。タイトーはスポンサーの一つとなって、建物の外壁から屋内までインベーダーのデザイン使用を認め、またゲーム機自体も提供し、「最高の物語を世界中のお客様にお届けできるよう進化を続けていく」としている。

 11.潟Rパルマシン(長野県中野市小田中、保科高志社長)が自己破産を申請、長野地裁は10月24日に破産手続き開始を決定した。負債は約3億円と見られている。1960年に竃恆Pのリース部として発足、69年3月コパルマシン(保科真次社長)を現所在地に設立した。11年3月に閉鎖した「遊園ラス」(上高井郡小布施町)などのゲーム場を経営してきた。
  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。