2012年8月15日号Last updated on August 1, 2012
特報
 カプコン第1・四半期は家庭用好調で大幅な増収増益に。

 任天堂は円高による為替差損で3年連続赤字になった。

海外
 ドイツ「IMA13」の代わりに「ALEX」を開催予定。

 米国ロースリルズ社がベイリープ社の決済システムを採用した。 

国内

 大阪府警は「マジコン」販売の業者を逮捕した。

 アドアーズが本社移転、フリーアドレス化を全面実施した。


2012年8月15日号のニュースダイジェスト
写真はセガ社の新作展(大阪会場)から、「オールネット・プラスマルチ」に基づき9月に配信予定のフランスパン/エコール開発「アンダーナイト・イン・リバース」(上)、トライアングルサービス開発「ゲーセンラブ。」(下)=これは「ペンゴ」、「コンバットジール」、「アクション技能検定」、「シューティング技能検定」の4ゲームを内蔵している。そしてアークシステムワークス開発の「ギルティギアXXアクセントコア・プラスアール」も同時配信の予定。


20年前の主なニュース

 豪州連邦控訴裁がLAI社の控訴を却下、製品の並行輸入を認めた。東京ドームの後楽園ゆうえんち地下1−2階に遊園地「ジオポリス」が加わった。セガ社欧州子会社がDB会合で「バーチャレーシング」を披露した。JAMMAは新ポスト、名誉会長に中村雅哉前会長を選んだ。(1992年8月15日号)

30年前の主なニュース

 英国高等裁判所が、TVゲームの著作権を認め、コピー品の製販禁止を命じた。米国任天堂の申請に基づき、連邦地裁は「ドンキーコング」コピー品差し押さえ命令を出している。京都地裁がファルコンに対し「クレージーコング」製販禁止の仮処分を出した。福岡県協が発足した。(1982年8月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .任天堂は7月24日、第1・四半期(4−6月)決算を発表、売上高は10%減の848億円、経常損失は297億円(前年同期は425億円)、純損失は172億円(255億円)と、第1・四半期では3年連続の赤字になったが、昨年よりは純損失は少なくなった。61%と海外比率の高い任天堂の外国為替差損は、2年前の第1・四半期が705億円と大きく、昨年は50億円と急減したが、今年は211億円と再び増加に転じて、悪影響を与えている。「3DS」は国内で92万台販売し順調だが、海外で伸び悩み計186万台にとどまった。その他の「DS」は54万台販売、累計1億5千2百万台になった。「Wii」は71万台販売し、累計9,656万台になった。外国為替相場はいぜん円高基調で推移しているが、13年3月期の業績予想は変更せず、200億円の最終黒字を見込んでいる。

 .カプコンは7月30日、第1・四半期(4−6月)決算を発表、売上高は56%増の186億2千万円、経常利益は304%増の22億円、純利益は290%増の13億円と大幅増収増益になった。部門別ではデジタルコンテンツ(家庭用ゲームソフトなど)の売上高が79%増の137億4千万円、営業利益が176%増の24億円、業務用ゲーム機の売上高が97%増の17億千万円、営業利益が6億9千万円(前年同期は6百万円)、ゲーム場の売上高が9%減の25億7千万円、営業利益が26%減の3億8千万円、その他の売上高が5%増の5億9千万円、営業利益が10%減の2億3千万円。ゲーム場は不採算1店を閉鎖し、36店となった。業務用には7号遊技機用関連機器が含まれている。

 .アドアーズは7月20日、本社事務所を日本橋馬喰町から港区虎ノ門に移転すると同時に、社員がそれぞれの机を持たないオフィスシステムの「全席フリーアドレス化」を実現したと発表した。事務所自体は7月17日に移転、業務エリアではノートパソコンを広げた時の高さまでに高さ制限し、どの席からも全社員が見渡せる「オープンレイアウト」も実現した。机と椅子だけの業務エリアに社員が携帯電話、無線IP電話、ノートパソコンを持って、空いている机で仕事をするもので、個人の私物は入り口にあるプライベートロッカーに保管する。アドアーズの場合設計・施工部門があるためこの部門が担当、設計・施工のためのデザインルームも設けた。このフリーアドレス化により、ストックヤードや執務フロアの専用面積を約20%削減でき、賃貸コストも移転前とほぼ同水準に保つことができた、と同社では説明している。

 .カプコンは36店ある自社ロケ(直営店)で7月21日から9月2日まで、「豪華賞品の当たる」プレゼントキャンペーンを開始する、と7月20日発表した。消費者はまず、@対象ゲーム機で店員立会いの下で500円を投入するか(1枚)、Aメダル貸機で千円以上メダルを手にする(2枚)ことにより「応募券」を手に入れ、カウンターにある応募はがきに必要な枚数の応募券を貼り、応募するというもので、スチームオーブンレンジ(パナソニック製当たり5本)と羽根のない扇風機(ダイソン製5本)なら応募券が4枚必要。1万円の旅行券(JTB5本)なら3枚必要、体重体組成計(オムロン製10本)などは2枚必要となっている。応募者には抽選で当たるとのことだが、抽選の方法などは不明。なお、これらに外れた場合でも、抽選で200名に500円分のクオカードがプレゼントされるとしている。

 .大阪府警浪速署は7月16日、ハンドヘルド機「ニンテンドーDS」用の無断コピーソフトを使用できるようにする装置「マジコン」を日本橋にある部品店「まじぱら」で販売していた同店経営、西村雅之容疑者(35)=大阪市天王寺区=を不正競争防止法違反(技術的制限回避装置の提供)の疑いで逮捕した。正規のゲームソフト以外のソフトでは使えないようにするセキュリティ機能を解除する装置の販売などについては、11年12月施行の改正法で刑事罰が設けられていた。警察によると容疑者は、6月20日に「マジコン」基板とケースなど3セットを計4,800円で販売した疑い。コンピュータソフト著作権協会から4月に通報があり、捜査していた。容疑者は組み立て前の装置であり、それだけでは制限を解除できないので逮捕は不当、と主張しているとのこと。

 .埼玉県警は7月3日、無断コピーされたゲームソフトを任天堂「Wii」上で起動できるようにするコンピュータープログラムを、インターネット上の自分のウェッブサイトを通じて提供したとして、京都府向日市の大学生(19)を不正競争防止法違反(技術解除装置等の販売)容疑で逮捕、さいたま地検川越支部に送検した、と発表した。県警によると、サイトを通じてのプロクラム提供の立件は初めて。調べで大学生は海外のサイトでプログラムを入手し、2月28日に自分が運営するサイト「カスタマイズWii」を通じて、不特定多数の利用者に改造プログラムを無料でダウンロードできるようにした。3ヵ月で約6,500回ダウンロードされていた。サイト上の広告収入を得るためで、10年12から今年5月までに約26万円稼いだとのこと。県警のサイバーパトロールで昨年12月発覚した。

 .ドイツ遊技機業界の伝統的展示会、「IMA」は13年1月開催をキャンセルし、次回は14年1月開催の予定だが、その代りとして13年1月15−17日デュッセルドルフ展示会場を使用し、射幸遊技機を展示しない展示会「アミューズメント&レジャー・エキスポ」(ALEX)を開催することにした。ドイツの射幸遊技機メーカー団体であるVDAIは6月、連邦各州連合が遊技機業界に対して非常に厳しい規制を実施しようとしているとして、13年のIMA開催中止を決めたが、この時期に展示会がないと射幸遊技機以外の娯楽機・自販機分野に大きな損害を与えることになるとして、展示会運営会社のリード社がこのほど、13年だけのALEX開催を決めたもので、名称が決まるまでにひと月かかった。出展内容は、規制対象の射幸遊技機を除いた、スポーツ賭博、スポーツ遊技、ボウリング、アミューズメントの製品やサービスなどとしている。

 .ユニバーサル・エンターテインメントは7月13日、フィリピンのマニラベイ・カジノリゾーツ計画に関し、大手不動産開発のロビンソンズ・ランド社(ジョン・ゴゴンウェイ・ジュニア会長)らと交渉を開始したと発表した。フィリピンの報道機関が一斉に交渉開始を報じたため発表したもので、ロビンソンズ・ランド社も同日ユニバーサルとの交渉開始を同様に発表した。またエンパイアイースト社(アンドリュー・タン会長)も交渉中だったが、16日に岡田氏傘下のタイガーリゾーツ社と、マニラベイでのコンドミニアム建設について合意したと発表した。地元報道機関は、ユニバーサルが出資している米国ウィンリゾーツ社に関し、深刻な裁判が始まっており、マニラベイリゾーツ開発計画に影を落としていると指摘しており、これに対しユニバーサルの岡田和生会長は(マニラでの)「カジノプロジェクトが挫折することはない」とコメントしたとしている。

 .米国ロースリルズ社とその開発部門のプレイメカニックス社(シカゴ郊外、ジョージ・ペトロ社長)はこのほど、ペイリープ社の電子カードシステムをTVガンゲーム「ビッグバックハンターHD」から導入していることを明らかにした。ペイリープ社はクレジットカード機能を持つ、遠隔地間の支払い・決済カードシステム「ペイリープシステム」を展開している。一方、ロースリルズ社は「ビッグバックハンター」シリーズを2000年から北米市場で2万ヵ所のロケーション(主に酒場など)に出荷、北米のプレイヤーを対象としたトーナメント大会も運営してきており、そのためゲームの成果と料金決済に伴うデータ処理のネットワークを築いてきているが、このほどベイリープ社の決済システムに統一することにしたもの。クレジットカードによるゲーム料金決済はこれが初めてになると見られている。

 10.米国大手のインクレディブル・テクノロジーズ社(IT、シカゴ郊外)の共同創業者兼執行副社長(EVP)であるリチャード・ディットン氏が8月中旬、ラスベガスに隣接するヘンダーソンにバーを2か所開設すべく改装中だ、と地方紙「ラスベガスサン」が7月16日報じた。IT社を始める前はNASAで「スペースシャトル」発射装置のためのソフトウェアを担当したことがあるディットン氏は、長年の仲間でありIT社の元開発者のリーフ・マーウェード氏を運営責任者にして、ちょっと変わったバーの経営に乗り出すことにした。2ヵ所のバーとは同じ商業ビルにある、80年代のTVゲームを備えた「ハイスコア」と、フリッパーやエアーホッケーなどを備えた「プレイヤーズクラブ」で、いずれもこれらのアーケードゲーム機のほか、卓上式のギャンブル機を当局の許可を得て設置しているという。18歳未満の者は入場できない。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。