2012年6月1日号Last updated on May 15, 2012
特報
 「ハリポタ」テーマゾーン、14年後半にも大阪USJへ。

 バンダイナムコの12年3月期決算は大幅な増収増益に。

海外
 フィリピンでユニバーサル岡田和生会長、改めてウィン氏打倒の姿勢。

 米国CEC社がリデムプション限度額について州議会と秘密協定?

国内

 SNSゲームで問題視された「コンプガチャ」自粛へ。

 京都のOKファースト、八尾嘉宥社長が死去した。


2012年6月1日号のニュースダイジェスト
写真は米国アミューズメントエキスポ2012で、上はコースト・ツー・コースト・エンタテインメント社の小間でタッチスクリーン式の「リレイブ」をプレイしているようす、下はインクレディブル・テクノロジーズ社(IT)の小間でシリーズ最新作の「ビッグバックHD」について説明を聞いているようす。


20年前の主なニュース

 フランスで「ユーロディズニーリゾート」がオープンした。コナミ社長に西村靖雄氏が内定した。タカラは日本ユニカに50%出資し、タカラアミューズメントと社名変更、AM事業に進出した。バンプレストがゲーム場運営部門を新設した。ホープは新社屋に移った。東亜プランの清本吉行社長が辞任した。(1992年6月1日号)

30年前の主なニュース

 データイーストのカセット式についても無断コピー品に対して、東京地裁が販売差し止め決定。コナミの申請で大阪地裁がコピー基板の仮差し押えを決定した。データイーストが「プロテニス」などデコカセ新作ソフト展を開催した。英国の有力ディストリビューター、ロンドンコイン社が業務を閉鎖した。(1982年6月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .無料ゲームを売り物にするSNSゲームが、アイテムをえさに利用者から利用料を徴収する仕組みのひとつに、待ったがかかった。携帯電話やスマートフォンを使いソーシャルネットワークを利用するSNSゲームで、くじ引きのような仮想「ガチャ」を有料で利用して絵柄を揃えると、特典カードを手に入る「コンプリートガチャ」(コンプガチャ)という誘導手法が未成年者の乱費を招き、特定アイテムがネット上で高額取引されるなど、景品表示法違反に触れるおそれがあるとして5月9日、消費者庁が問題視することを表明した。このため、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会が自粛を決め、グリーやDeNAなど加盟6社は、「コンプガチャ」を5月末までに廃止すると発表した。SNSゲームを配信するバンダイナムコゲームス、コナミなども10日、廃止すると発表しており、「コンプガチャ」は5月末までに姿を消す見込みになった。

 .米国で人気を集めているユニバーサルスタジオ・テーマパークのテーマゾーン「ハリー・ポッターの魔法の世界」が、日本でも建設されることが5月9日米国で明らかになった。フロリダ州オーランドの「ユニバーサル・オーランド・リゾート」の中の「アイランズ・オブ・アドベンチャー」で10年6月オープンし、大人気となっていることから、カリフォルニア州ハリウッドにある「ユニバーサルスタジオ・ハリウッド」でも建設することが11年12月に決まっており、さらに日本での建設が10日に正式発表されたもの。大阪にある「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」では駐車場の一部を用地として、約300億円を投資してオーランドタイプのものを建設、14年後半にもオープンする予定。ユニバーサルスタジオは10年3月にオープンしたシンガポールにもあるが、ハリー・ポッターのテーマゾーン建設は未定。テーマゾーンの設計には作者、J・K・ローリングさんの小説に基づき、映画を製作したワーナーブラザーズ社が協力している。

 .バンダイナムコHDは5月8日、12年3月期決算を発表、売上高は前年比15%増の4,542億円、経常利益は113%増の349億円、最終利益は約10倍の193億円と大幅な増収増益だった。部門別ではトイホビーの売上高が12%増の1,779億円、営業利益が17%増の161億円、コンテンツ(業務用と家庭用)の売上高が25%増の2,255億円、営業利益が約5倍の170億円、ゲーム場の売上高が2%減の610億円、営業利益が34%増の23億円、その他の売上高が49%増の274億円、営業利益が153%増の20億円といずれも好調だった。コンテンツ売上高の内訳は業務用734億円、家庭用860億円、ネットワーク336億円。ゲーム場は日米欧の直営店が12増25減で255店となった。13年3月期業績は売上高4,400億円、経常利益300億円、最終利益175億円を見込んでいる。高須武男取締役は6月18日の定時総会で相談役に退く予定。

 .セガサミーHDは5月11日、12年3月期決算を発表、売上高は0.3%減の3,955億円、経常利益は15%減の581億円、最終利益は47%減の218億円だった。特別利益33億円を計上したが、事業再編損など特別損失185億円を計上した。遊技機の売上高は2,123億円で変わらず、営業利益は11%増の710億円、業務用の売上高は5%増の530億円、営業利益は1%増の74億円、ゲーム場の売上高は2%減の446億円、営業利益は4%増の3億円、家庭用の売上高は4%減の864億円、営業損失は151億円(前年は19億円の利益)だった。国内ゲーム場は8減の241店で、米国では店舗を売却した。家庭用事業は改善のために合理化を進め、減損損失3億円、再編損失63億円を特別損失に計上した。13年3月期は売上高4,700億円、経常利益650億円、最終利益400億円と大幅な増収増益を見込んでいる。

 .コナミは5月10日、12年3月期決算(米国基準)を発表、売上高は3%増の2,657億円、営業利益は97%増の409億円、税引前利益は110%増の400億円と快調だった。部門別でデジタルエンタテインメントの売上高は6%増の1,404億円、営業利益は94%増の330億円、ゲーミング関係の売上高は15%増の252億円、営業利益は5%増の67億円、遊技機関係の売上高は3%増の184億円、営業利益は32%減の42億円、健康関係の売上高は4%減の825億円、営業利益は28億円(前年は125億円の赤字)だった。デジタルエンタテインメント売上高のうち家庭用は23%減の504億円、SNSは132%増の367億円、eアミューズメントは10%減の255億円、カードゲームは22%増の262億円となっている。13年3月期は売上高2,700億円、営業利益411億円、税引前利益401億円を予想している。

 .カプコンは5月7日、12年3月期連結決算を発表、売上高は16%減の820億円、経常利益は8%減の118億円、最終利益は13%減の67億円と、減収減益だった。同社は家庭用大型ゲームソフトの投入が相次いだ前期の反動と、主力タイトルが次期にずれ込んだためと説明している。主力の家庭用は売上高が24%減の535億円、営業利益は16%減の105億円、モバイル用は売上高が57%増の63億円、営業利益が75%増の23億円、ゲーム場は売上高が1%増の117億円、営業利益が58%増の17億円、業務用(主にメダルゲーム機と遊技機向け機器)は売上高が3%減の76億円、営業利益が66%減の8億9千万円、その他は売上高が27%減の28億円、営業利益が20%減の8億円だった。ゲーム場は増減ゼロの37店舗。カプコンは13年3月期業績を売上高1,050億円、経常利益157億円、最終利益98億円と予想している。

 .ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生社長は5月10日、フィリピンで記者会見し、当地でのカジノ開発に20億米ドルを投資することにより、米国ウィン・リゾーツ社のスティーブ・ウィン会長兼CEOを打倒する、との対決姿勢を改めて示した。岡田氏によるとカジノの世界的中心はラスベガスからアジアに移行しつつあり、ウィン氏も07年に当地を訪れフィリピンカジノに興味を示していたが、賄賂の横行を理由に岡田氏とは離反した。だがユニバーサルはすでにマニラベイに1億米ドル投資しており、14年に「マニラベイ・リゾーツ」は完成するとのこと。一方、ユニバーサルの持株(約20%)を強制償還したウィン・リゾーツ社では、資産運営のワデル&リード社が18%の筆頭株主になった。マカオでも子会社のウィンマカオ社が「ウィン」、「アンコール」を経営しており、さらにコタイ地区にカジノを建設する許可を最近手に入れている。

 .セガサミーホールディングスは5月11日、韓国でカジノ運営、ホテル・スパ経営などを行なうパラダイスグループと、カジノを含む複合型リゾート施設の開発事業を共同で進めることで提携したと発表した。中核となるパラダイス社は仁川(インチョン)国際空港の隣接地でカジノを含む複合型リゾート施設の開発・運営を計画しており、現在その優先交渉権を得て空港公団と交渉中。そこでセガサミーはパラダイス社と合弁会社を設立、その45%を出資することで合意した。合弁会社や複合施設の詳しい計画内容については3ヵ月後にも明らかになる予定。3月にフェニックスリゾート社を子会社にして複合型リゾート分野へ参入したセガサミーが、韓国におけるカジノを含む複合型施設の開発・運営にも参加することを明らかにするもので、これまで日本にはないカジノ運営にセガサミーが乗り出すことに注目が集まっている。

 .米国48州でピザとゲームの「チャッキー・チーズ」を約500店展開しているCECエンタテインメント社は、カリフォルニア州でリデムプション用景品を10ドル以下に制限するという州議会の動きに協力することになった。「ベンディングタイムズ」が4月30日に伝えたもので、サンディエゴの2女児の母、デニス・ケラーさんによる訴えは連邦地裁で却下されたが(11年12月1日号参照)、州裁判所に再提出していた訴えをこのほど取り下げ、その際の「秘密協定」で州議会への上記協力約束が含まれているとのこと。リデムプションで提供される景品の価値を10ドル(換算すると奇しくも約800円!)に制限し、それ以下の場合は州刑法330b(スロットマシンその他の賭博機を製造販売運営などした者は禁固などの刑罰を科すという条文)に抵触しないとするもので、本質的には異なるが、実質的に日本の法的処理と似た規定。実現すれば画期的なことになるが、まだ何も決まっていない。

 10.八尾嘉宥氏(やお・よしひろ=オーケーファースト社長)が5月2日夜、肺がんのため入院先の地元病院で死去、77歳。葬儀は4日近親者のみで行われており、後日、日時・場所は未定だが、お別れの会が開かれるもよう。喪主は長男八尾肇(はじめ)氏。64年末に完成した「京都タワー」(高さ131m)を主なロケーションとして、66年からゲーム機を設置運営し、69年にオペレーター会社、オーケー興産(現オーケーファースト)を設立した。京都府のオペレーター協会会長などを歴任した。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。