2009年12月15日号Last updated on December 2, 2009
特報
 米国IAAPAショーは前年並みの規模、活発さを維持した。

 スクエニHDは子会社タイトーの再編を発表した。
海外
 米国IT社はG2Eでゲーミング機展開を本格化した。

 米国ウォルトディズニー社の9月期決算は減収減益だった。

国内

 PICが事実上倒産し、アトラスは債権回収困難を表明した。

 ウェアハウス元社長の森原哲也氏がゲオ社長に内定。


2009年12月15日号のニュースダイジェスト
写真は米国IAAPA09にて、上はナムコアメリカ社の小間で「タンク!タンク!タンク!」を背に(左から)バンダイナムコゲームスの萩原仁本部長、石村繁一副社長、ナムコアメリカ社の西川豊史EVP。下はベトソン社の小間でプレイメカニックス/ロースリルズ社の最新作「ターミネーター・サルベーション・アーケード」を試しているようす。

20年前の主なニュース

 米国連邦地裁は略式判決で、任天堂による「テトリス」独占権を認めた。AOUエキスポは新設の「関連業者賛助会員」しか出展できないことになった。アイレムは米国に家庭用とは別に、製造子会社を設立した。カプコンのTV格闘ゲーム「ファイナルファイト」が出荷される。(1989年12月15日号)

30年前の主なニュース

 データイーストは「アストロファイター」を、新日本企画は「サファリラリー」を、それぞれタイトーなどに製造許諾した。米国AMOAエキスポ79(シカゴ)へは、本紙主催を含め日本から200人以上の視察団が訪れた。「SOSゲーム」など基板改造ゲームが出てきた。(1979年12月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.遊園地関係の国際的業者団体IAAPAの世界的なトレードショー、米国IAAPAショーはこれまで東部開催が多かったが、今年は11月17−20日、初めて西部のラスベガスで開かれ、1,074社(昨年はフロリダ州オーランドで1,154社)が出展、23,700人(23,800人)の業者が登録入場し、うちバイヤーは14,400人(12,200人)だった。米国で開かれる国際展はこのところ全般に3割ほど縮小している傾向からすればかなり堅実といえる。ゲーミング関係の世界的展示会であるG2Eが、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のもう一方の会場で、同時に開かれたことも多少影響した。だがIAAPAショーの出展社の一部が、カジノによって支えられるラスベガスでの開催を嫌っているのも事実。来年は再びオーランドで開催される予定。

 2.米国IAAPA09ではASIやAMOAエキスポよりも明らかにゲーム機の展示は充実したが、これは購買力のある来場者が多いためと説明されている。セガアミューズメンツUSA社は「セガラリークラシック」、ボタン式の「バスフィッシング・チャレンジ」、「テトリスジャイアンツ」(デカリス)など一連の新作を揃えたほか、家庭用(PS3/XBox360)をタイマー式で業務用化した米国カシモト社「ゲームゲート」など紹介した。ナムコアメリカ社は「タンク!タンク!タンク!」、「デッドストーム・パイレーツ」、「ニリン」(弐輪)などフルラインを披露した。このほかタイトー「パニックミュージアム」(日本名ホーンテッドミュージアム)が米国ICE社から出品された。

 3.米国IAAPA09で大手ディストリビューターのベトソン社は、プレイメカニックス/ロースリルズ社の最新作「ターミネーター・サルベーション・アーケード」(映画「ターミネーター4」に基づく業務用ガンゲーム)、ガンゲームの同「ビッグバック・ハンタープロ・オープンシーズン」、ドライブゲームのロースリルズ社「H2オーバードライブ」、コナミ/ロースリルズ社「ギターヒーロー・アーケード」などが紹介された。グローバルVR社は「ツィステッド・ニトロスタント」など出品した。インクレディブル・テクノロジーズ社(IT)は「ゴールデンティーライブ2010」、「シルバーストライクライブ」など新作を揃えた。

 4.米国ウォルトディズニー社は11月12日、第4・四半期(7−9月)決算と09年9月期決算を発表、第4・四半期決算は前年同期比増収増益と持ち直したが、通期では売上高が4%減の361億ドル、純利益は25%減の33億ドルと減収で大幅減益だった。CATV(メディアネットワーク)事業の売上高が2%増の162億ドル、営業利益が4%減の47億ドルと全体を下支えしたが、テーマパーク事業は売上高が7%減の106億ドル、営業利益が25%減の14億ドル、映画事業は売上高が16%減の61億ドル、営業利益が84%減の1億7千万ドルと低迷した。シニア執行副社長兼CFOとパーク&リゾーツ部門会長が入れ替わり、それぞれジェームズ・ラズロ氏とトマス・スタッグ氏が年末付けで異動することになった。

 5.米国インクレディブル・テクノロジーズ社(IT)は08年11月に、ネバダ州当局による製造ライセンスを得て、TVゲーミング(賭博)機分野に参入したが、今年11月には同社「マジックタッチ」シリーズ製品について、GLI(ゲーミング・ラボラトリーズ・インターナショナル)から性能評定も取得、本格的に展開することになった。IT社は85年にシカゴ郊外で設立、88年に業務用AMゲーム「カプコンボウリング」を発売して以来、業務用の大手アミューズメントTVメーカーへと成長したが、2年前からゲーミング分野での開発を始め、昨年以来必要なライセンスも着実に取得してきた。ゲーミング機の世界的展示会、G2Eには昨年から出展、今年は2回目の出展となった。G2E09に出展した日系企業には、アルゼゲーミング社、コナミゲーミング社、マツイアメリカ社がある。

 6.スクウェア・エニックスHDは11月27日、子会社のタイトー(和田洋一社長、従業員2,520名)およびES1(菊地保社長、250名)のAM事業を来年2月1日付で集約することを決めたと発表した。タイトーのゲーム場運営および業務用機器事業はES1が継承した上、「タイトー」(和田社長、2,500名)に社名変更、また家庭用ゲームソフト事業だけが残ったタイトーは「タイトーソフト」(和田社長、10名)に社名変更する、というもの。スクエニはこれに伴いES1について初めて子会社だと説明、タイトー再編に先立ち、スクエニ子会社のSPC1が、6月ごろセガ社から買収したES1と改めてES1として統合する予定だとした。今回のタイトー再編により従業員は260人減ることになる。

 7.ゲオは11月26日、10年1月1日付けで吉川恭史社長が取締役に退くとともに、ウェアハウスで11年間社長を勤めた実績のある森原哲也取締役が社長に就任する、とのトップ異動を内定した。森原哲也氏は83年創価大経営卒、アーサー・アンダーセン会計事務所入所、85年公認会計士登録。95年にシチエ(現ウェアハウス)に入社し取締役、98年社長、09年1月取締役相談役、3月退任。6月からゲオ社外取締役となっている。神奈川県出身。48歳。ゲオは89年設立の映画DVDやゲームソフトなど複合メディアショップの運営会社で、05年にスガイ・エンタテインメント(現ゲオディノス)を取得、子会社にした。直営店は9月現在で、ゲオショップ787店、ゲオディノス38店、その他260店ある。

 8.潟sーアイシー(PIC、大阪府池田市神田、坂本博志社長)は11月20日、同社によると「取引銀行が普通預金残高を当座預金へ移動することを拒否したため、支払手形の決済ができず」事実上倒産した。81年9月にパサデナインターナショナルとして設立、93年6月現社名に改称した業務用ゲーム機の中堅販売業者で、82年6月からゲーム場運営も開始、03年からは滋賀県下の平和堂各店に進出した。創業社長は細井久平氏だが、00年3月から坂本氏に社長を交代した。倒産の具体的内容など詳細はまだ不明。なおPIC倒産に関しアトラスは11月25日、PICに対する約1億5千万円の債権が回収困難になったことを明らかにした。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。