2006年9月1日号

Last updated on August 25, 2006

特報

 岡山を拠点とするエムエーエスグループの経営が破綻した。

 コナミデジタルエンタテインメントは韓国地裁で敗訴したが、控訴した。

海外

 米国ロースリル社とプレイメカニック社が経営統合した。

 米国イリノイ州政府は敗訴した上、訴訟費を負担することになった。

国内

 バンダイナムコの第1・四半期は各部門とも順調だった。

 カプコンの第1・四半期業績は減収増益だった。


2006年9月1日号のニュースダイジェスト
写真はロシアのEELEX05(モスクワ、12月)で、リデムプションゲーム機を得意とする米国ベンチマーク社が出展、新作の「スラム・ア・ウィナー」(上の右側)などを紹介しているようす。


10年前の主なニュース


 米国WMSインダストリーズ社は子会社を再編、業務用と家庭用TVゲームメーカーを独立させることにした。カプコンは新作展でCD−ROMを使用する「CPシステムV」を発表した。富士急ハイランドは世界一のローラーコースター「フジヤマ」をオープンした。スガイ・エンタテインメントの株式が公開された。(1996年9月1日号)

20年前の主なニュース


 米国任天堂は一部地域で先行販売してきた家庭用8ビット機「NES」を、9月から全米で本格展開することになった。テクモが実施したゲーム場での「ハイスコアプレゼント」に対し、警察当局は法令違反になると注意を促した。カプコンは開発用ビルで3周年記念を催した。SNKは新作展で「名人戦」を紹介した。(1986年9月1日号)


  Copyright ©Amusement Press Inc. 2006    ゲームマシン、アミューズメントプレス、アミューズメント通信は登録商標です。無断で本紙記事を転載したり、その他アミューズメント通信社の知的所有権を侵害することは違法です。


【ニユースダイジェスト】

 1.「ビッグバックハンタープロ」(05年11月)の成功を背景に、米国業務用TVゲーム開発メーカーのロースリル社とプレイメカニック社が経営統合することになった。いずれもミッドウェーゲームズ社にいた開発者が設立した会社で、ユージン・ジャービスらのプレイメカニック社はガンゲームの「ビッグバックハンター」シリーズで、ジョージ・ペトロらのロースリル社は「ターゲット・テラー」などで知られている。「ビッグバックハンター」シリーズはインクレディブルテクノロジー(IT)社を通じて発売されたが、最新作の「プロ」はロースリル社を通じて、ベトソン社が発売し成功したことから、このパターンを続けることに決めたもの。

 2.大正商事(旧社名エム・エー・エス、大阪市淀川区宮原、松田次雄清算人)とそのグループ会社13社が7月7日に破産手続き開始を申請、同20日に大阪地裁が開始を決定していることが判明した。負債は大正商事の123億円を含め、グループ全体で約260億円。エム・エー・エスは79年4月に岡山市に設立された不動産会社で、パチンコ店やカプセルホテル、ゲーム場などの経営へと拡げ、90年3月期の売上高は52億円、93年3月期は104億円と拡大した。しかしバブル経済崩壊で危機に直面し、十年ほど前から各事業を分社化し、次々と社名変更するなど再建策を模索していた。松田次雄氏は岡山県アミューズメント施設営業者協会の会長。

 3.バンダイナムコホールディングスは8月8日、第2・四半期(4−6月)業績を発表、経営統合前の前年同期合算分と比べ、やや減収ながら経常利益は倍増で、各主要部門とも順調な結果を示した。ゲーム場運営は直営458店を含む1,669店で、売上高が約203億円、営業利益は7億円。ゲームコンテンツは業務用が伸ばして家庭用の落ち込みを補い、売上高が258億円、営業利益が8億円。「たまごっちプラス」シリーズがヒットしたトイホビーの売上高は424億円、営業利益は49億円、携帯電話向けなどネットワークは売上高が29億円、営業利益が3億円、DVDソフトなど映像音楽の売上高は92億円、営業利益は20億円だった。

 4.カプコンは8月10日、第1・四半期(4−6月)業績を発表、売上高は前年同期比7.5%減の約105億7千万円、経常利益は31%増の14億円、純利益は33%増の8億円だった。部門別では家庭用が13%減収の45億円で営業利益は8億円、業務用は55%増収の21億円で営業利益は5億円。ゲーム場運営は3店増の33店で、14%増収の29億円で営業利益は4億円、コンテンツエキスパンション(携帯電話用、遊技機用)は72%減収の5億円で営業利益は1億円、その他(ライセンス事業)は6%増収の5億円で営業利益は1億円。業務用は「機動戦士ガンダムシードデスティニー連合vsZAFTU」が貢献した。

 5.コナミデジタルエンタテインメント(KDE)は、家庭用「実況パワフルプロ野球」のキャラクターが盗用されたとして起こした韓国訴訟の第一審で敗訴したが、8月9日に控訴したことを明らかにした。コナミ(現KDE)は韓国のネオプル社が開発し、ハンビットソフト社が運営しているオンラインゲーム「新野球」のキャラクターが「実況パワフルプロ野球」に酷似しているとして、配信差止めを求める訴えを05年8月25にソウル中央地裁に提出していた。しかし中央地裁は今年7月20日、これらのキャラクターは「実質的に類似していない」として、コナミの訴えを退ける判決を出した。KDEは、全体としての類似性を見過ごすのは許せないとしており、ソウル高裁に控訴したもの。

 6.米国家庭用TVゲームソフト業者団体のESAは8月10日、シカゴにある連邦地裁(マチュー・ケネリー判事)が9日、ESAなど業者側が支払った訴訟費用、約51万ドルをイリノイ州政府が負担するよう命じる決定を下したと発表した。これはイリノイ州政府が暴力的内容のTVゲームを販売禁止にしたのに対し、業者側が合衆国憲法違反を理由に訴えていた裁判で、05年12月に業者側の主張を容認する判決が出たことに伴うもの。今回の決定についてESAのダグラス・ローエンスタイン会長は、違憲が明らかな販売禁止法の施行を強行した結果、州政府は訴訟に敗れただけでなく、多額の税金を浪費した、と指摘している。

 7.アルゼの第1・四半期(4−6月)業績は概略しか明らかではないが、売上高が前年同期比約12%減の約101億円で、経常損失は3億円と赤字を減らした。アルゼは所有しているウィンリゾーツ社の株式(簿価460億円)の時価が、現在2,100億円に値上がっていると説明している。なお関連会社、アドアーズの第1・四半期業績は、売上高が前年同期比1.6%増の42億52百万円だったが、経常利益は93%減の25百万円とさえなかった。売上高の内訳は、主力のゲーム場運営が既存店の競争激化で、3.6%減の38億21百万円、パチスロレンタルは2億53百万円、設計施工などは1億77百万円。減益は主にゲーム施設に追加投資して売上原価が増加したことによる。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。