2006年8月15日号

Last updated on August 5, 2006

特報

 ソニーのゲーム部門は大赤字だが、セガ社の業務用は増収増益だ。

 バンプレストは新作展でTVゲームを2作披露した。

海外

 米国家庭用「E3」が来年から大幅縮小される見通しだ。

 メリット社は中国のコピーヤーに対し本格追及を開始した。

国内

 近鉄はレジャー部門を近鉄レジャーサービスに集約することになった。

 ネクストジャパンの長江社長は会長に、渡辺副社長が社長になる。


2006年8月15日号のニュースダイジェスト
写真は富士急ハイランドで完成した遊園施設「ええじゃないか」のコース全景(上)と、コース上にある車両部分(下)。コースをはみ出した形の座席が回転しながら、車両全体がコースに沿って上昇下降していく。


10年前の主なニュース


 「ゴットリーブ」ブランドを持つ米国プリミア社は清算された。JAMMAとジェトロは香港AMショー(11月)の出展社を発表した。セガ社ATP(アミューズメントテーマパーク)の基本モデルとなる「東京ジョイポリス」がオープンした。セガ社は新作展で「バーチャファイター3」など紹介した。(1996年8月15日号)

20年前の主なニュース


 セガ社申請により韓国ソウル地裁は、フィルコ社などコピーヤーの証拠品を押収した。JAMMAは「賭博機械の基準」を「健全化を阻害する娯楽機械の基準」に改称、子ども用も容認した。新作展でセガ社は「エンデューロレーサー」などを、SNKは「アテナ」を披露した。岡田商会の岡田稔氏が死去した。(1986年8月15日号)


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【ニユースダイジェスト】

 1.米国家庭用総合展、「E3」が来年から大きく規模を縮小することがほぼ確実となった。95年以来「E3」を主催してきたゲームソフトウェア協会のESAは7月31日、「E3」はこれまでの大規模な展示会を特徴とするものから、世界中のメディア、開発者、小売業者などこの産業を支える重要な人びととの、より親密な会合を目的としたものへと変更することを決めた、と正式に発表した。理由として、単独の巨大な展示会というのが必要でも十分でもなくなったことを挙げているが、大手ソフトメーカーの多くがコスト増に耐えられなくなったためと見られている。来年の詳しい「E3」計画は数ヵ月後に明らかにするとしているが、会場面積・来場者数も1割以下に縮小すると予想されている。

 2.セガサミーホールディングスは7月28日、第1・四半期(4−6月)業績を発表、七号遊技機事業がヒット作のあった前年から大幅に後退したため、全体に減収減益となっているが、8号営業関係は増収増益だった。うちゲーム機の売上高は約180億円(前年同期は127億円)、営業利益は40.5億円(4億円)で、ゲーム場運営の売上高は約253億円(210億円)、営業利益は20億円(7億円)。ゲーム場は4店増6店減の460店となった。これらは7月から出荷の「バーチャファイター5」により、さらに拡大するもようだ。しかし家庭用ゲームソフトは売上高を165億円(116億円)と伸ばしたものの、開発費用を先行させているので、営業損失は40.6億円(20.5億円)と増えた。

 3.ソニーは7月27日、第1・四半期(4−6月)業績を発表(米国会計基準)。液晶テレビ「ブラビア」などエレクトロニクス部門が急速に回復して、270億円の営業黒字となったが、ゲーム部門は売上高が29%減の1,225億円、営業損失は前年同期の59億円から209億円へと拡大した。これは11月にも発売される家庭用TVゲーム機「PS3」の開発費や立ち上げ費用などが大きいためで、07年3月通期では約1,000億円の営業赤字を見込んでいる。なお第1・四半期で「PS2」の出荷台数は254万台、「PSP」は202万台で、いずれも前年を下回った。

 4.バンプレストは7月20日東京で(21日大阪で)新作展を開催し、ビデオゲーム2作を披露した。9月発売予定の「バトルオブ幽遊白書」は、システム256に基づきディンプスが開発した3D格闘ゲームで、基板キットのOP価格は約30万円。12月発売予定の「機動戦士ガンダム・スピリッツオブジオン」はTX+システムに基づき、ポリゴンマジックが開発したガンゲームで、協力プレイ可能な2人用。独特のマシンガンは無制限連射可能で、OP価格178万円。またキャビネットのスリム化に成功した「コンビニキャッチャーコンパクト」(11月予定、42万円)なども紹介した。

 5.富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)で7月19に営業運転を開始した究極のローラーコースター、「ええじゃないか」が大きな関心を集めている。これは「フジヤマ」(96年)、「ドドンパ」(01年)に続くギネス世界記録コースターで、米国ロサンゼルス郊外のテーマパーク「マジックマウンテン」にある「エックス」コースター(02年)の車両だけ導入し、コースは国産化したもの(コースはサノヤス・ヒシノ明昌製、車両はS&S社製)。車両がコース上を走行しつつ、車両上の座席が回転するというもので、ハーネスで固定された座席ながら予想外のスリルを味わうことになる。コースの長さ1,153m、最高部高さ76m、車両の最高速度毎時126kmで、1回約2分間。利用料1,000円。富士急はこの遊園施設導入に約36億円を投資した。

 6.米国メリット・エンタテイメント社が進めている国際的なコピー対策が着実に成果をもたらしつつある。同社が明らかにしたところによると、シンガポールの取締り当局IPRBは7月12日、市内でコピー品を押収した。またそれより前に、南アフリカの税務当局SARSはダーバンでコピー品を押収したが、この貨物は中国・広東省広州市の業者から出荷されたものだった。メリット社のボブ・フェイ法務部長は、コピー品の国際的な流れを指摘しながら、コピー対策は困難だった以前と異なり、各国での取締り体制がずいぶん整備されたと説明している。しかし、メーカー側が手を抜けば、いくらでもコピーヤーがはびこる、という事態は変わっていない。

 7.時間制娯楽施設「JJクラブ」を展開するネクストジャパンは7月25日、上席副社長の渡辺一正(わたなべ・かずまさ)氏が社長に昇格し、創業者の長江芳実社長は代表権のない会長になるとのトップ異動を明らかにした。10月下旬に開催予定の定時株主総会などを経て実施する。渡辺一正氏は91年京都大経卒、リクルートコスモス入社。03年ネクストジャパンに入社し、常務。05年10月から上席副社長。兵庫県出身。37歳。ネクストジャパンは00年12月に「JJクラブ」を開始して業績を伸ばしたが、競合店の増加に伴って業績は悪化、提携先のリヴァンプによる経営の建て直しを進めている。

 8.近畿日本鉄道は7月25日、「志摩スペイン村」にあるテーマパーク「パルケエスパーニャ」と周辺ホテルの経営を、子会社の志摩スペイン村(近く志摩スペイン村土地建物に改称する予定)などから、同じく子会社の近鉄レジャーサービス(大阪、丸山隆司社長)に10月1日付で移管、再編することを明らかにした。生駒山上遊園地や近鉄花園ラグビー場など経営している近鉄レジャーサービスは、新たに設立する子会社志摩スペイン村を通じて、志摩スペイン村のテーマパークとホテルを経営することにより、近鉄レジャー事業の中核会社となる。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。