2006年5月15日号

Last updated on May 9, 2006

特報

 タイトーは業務用カラオケ事業を7月に売却することを決めた。

 ソニーの07年3月期は「PS3」発売による大幅赤字が見込まれている。

海外

 米国グローバルVR社は積極的にゲーム開発を進めている。

 米国ではジュークボックスも個人の家庭で楽しまれている。

国内

 タイトーは4月東西で新作展を開催、大型タイトルを予告した。

 アトラスは06年3月期業績をさらに下方修正した。


2006年5月15日号のニュースダイジェスト
写真上はギリシャのアテネで開かれたゲームマシン&ネットエキスポで、ギリシャ選出のEU議会員がオーストリアのファンワールド社「フォトプレイ」の説明を受けているようす。ギリシャではゲーミング機だけでなく、あらゆるTVゲームが4年前から禁止されており、欧州裁判所でその法律の是非が審理されている。下はドイツで開かれた「フォトプレイ」技術講習会のようす。

10年前の主なニュース


 セガ社は米国セガゲームワークス社の設立と英国のフルーツマシンメーカー、JPM社グループの買収を発表した。ナムコはオリンパスとVR用ヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を共同開発した。東京ディズニーランドの「トゥーンタウン」が開園した。旭精工の米国子会社が新社屋に移転した。(1996年5月15日号)

20年前の主なニュース


 米国AMOAは並行輸入問題に関し、発売時期をずらすなど5つの提案をまとめた。セガ社はCSK総研の全面協力を得て家庭用CSI開発を発表した。ラスベガスのMGMホテルが所有者移転でバリーグランドホテルに改称した。フォルテ電子破産により、子会社の日本アミューズも倒産した。(1986年5月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.タイトーは4月27日、業務用カラオケ事業を7月1日付でエクシング(本社名古屋、土岐高広社長)に売却することで合意したと発表した。「X2000」と「ラブカ」を中心とした同事業を分社化したうえで、その全株式を譲渡する方式だが、譲渡価格は明らかにしていない。ブラザー工業の子会社であるエクシングは92年の設立以来、「ジョイサウンド」ブランドで業務用通信カラオケを展開しており、市場占有率は10%で業界3位。このため、「孫悟空」ブランドのビクターレジャーシステムを4月1日付で取得、さらにスナック・バー市場に強いタイトーからも事業取得することになったもの。タイトーでは家庭用・携帯電話用カラオケ配信をこれまでどおり継続する。

 2.ソニーは4月27日、06年3月期連結決算(米国基準)を発表、液晶テレビの販売で増収大幅増益となった。しかし子会社のSCEが担当するゲーム部門の売上高は前年比31.4%増の9,586億円だったものの、営業利益は79.7%減の87億円と大幅減益になった。「PSP」は年間1,406万台出荷し、世界的に伸ばしたが、「PS2」は1,622万台と前年並みで、ゲームソフトも「PSP」用が4,160万枚と伸ばしたが、「PS2」用は前年以下の22,300万枚にとどまった。発売を延期した「PS3」の開発費により大幅減益になった。07年3月期は「PS3」発売による大幅増収と、その発売費用により大幅赤字を見込んでいる。

 3.アトラスは4月24日、06年3月期連結業績をさらに下方修正した。それによると売上高は167億3千万円(昨年12月の前回予想では175億8千万円)、経常利益は変わらず3億円、最終損失は27億6千万円(5億5千5百万円)が見込まれている。売上高では遊技球式パチスロの「パロット」が計画を下回ったが、6月開設のゲーム場「ゲームパニック三郷」での売り上げが計画を上回った。特別損失は36億円で、内訳は家庭用・業務用の開発仕掛品の廃棄損14億円、業務用在庫の評価減6億円、投資有価証券の評価損6億円、保有固定資産の現存処理2億円、整理した海外子会社株式の評価損2億円などとなっている。

 4.タイトーは4月25日大阪で、27日東京で新作展を開催し、開発中のTVゲーム「バトルファンタジア」を予告した。「バトルファンタジア」はアークシステムワークスが開発している、「タイプX+」使用のネットワークゲームだが、新作展ではタイトルとイラストのパネル展示にとどまっている。同様に「タイプX+」使用で開発が一段と進んだ「ハーフライフ2サバイバー」は、実物展示された。むしろこの新作展は、メイクソフトウェアの写真シール機「クラッシュ」がメインとなったと言える。また景品取り機の「カプリチオスター」や子ども用のカードゲーム機、メダルゲーム機が紹介された。

 5.札幌・すすき野に観覧車付きの複合商業施設「ノルベサ」が、5月3日オープンした。うち屋上に設けられた観覧車「ノリア」は直径約45.5mで、最高部は地上から約78mもあり、石狩湾まで見ることのできる眺望が楽しめるほか、夜間は観覧車に設けられたイルミネーションが人目を引く。4人乗りのゴンドラ32台を備え、利用料は1人600円から4人2,000円まで。泉陽興業製。地元の言葉で「乗るべし」を意味することになる「ノルベサ」は、地上7階地下1階の建物で、不動産ディベロッパーのゼファーが開発した。5−6階にスガイ・エンタテインメントの「ディノスノルベサ」(ボウリング場とゲーム場)が設けられ、4階から地階には飲食・小売・サービス店が入っている。

 6.友栄は4月30日付で、三精輸送機の子会社サンエースが運営してきた29ヵ所すべてのSCロケ事業を7億9千5百万円で取得した。3月28日に合意したもので、これまでの年間売上高は17億円程度とされている。サンエースはこのSCロケ事業を手放したが、三精輸送機が遊園地に設置してきた遊園施設の運営をしてきており、それは継続していく。なお、山崎屋が日邦産業と2月15日に合意し、2月末に取得した旧・日邦アミューズメントでは、奥村保営業統括部長が社長に昇格し、また5月8日付で日邦アミューズメントは「エーツーレジャー」に改称、新事務所で業務を開始することになった。

 7.愛知県は4月25日、家庭用ゲームソフトのレイティング(使用年齢別区分審査)を実施しているCEROを団体指定し、CEROが成人用と指定したゲームソフトを同県青少年保護育成条例でいう有害図書類とみなすことを告示した。5月末に施行する予定。これらを青少年に販売した場合は、青少年保護育成条例の規定に基づき、6月以下の懲役または50万円以下の罰金を課される。同県では有害図書類の指定について、これまでビデオ関係のNEVA、PCソフトウェア関係のECOSを団体指定しているが、この方式では全国で初めてCREOが家庭用TVゲーム関係として指定されることになった。

 8.米国で開催された国際ビリヤード・家庭用娯楽品展(4月6−8日、ヒューストン)に、シカゴゲーミング社がロッコーラ社アンチークにそっくりのCDジュークボックス「デジタルラブラー」を出品したが、これは業務用ではなく、個人が購入し自宅の娯楽室で楽しむものだという。業界誌「リプレイ」によると、この製品はCD600枚分の音楽ソフトをハードディスクに収め、4つのスピーカーで出力するが、業務用として出荷する予定はないとのこと。シカゴゲーミング社は同様に個人向けに、フリッパー(業務用ではない「バケーション・アメリカ」)やエアーホッケー、それにウルトラケード社「アーケードレジェンド」などのTVゲーム機も販売している。

 9.ウルトラケード社を傘下に収めた米国グローバルVR社は今春、有力な家庭用ソフトメーカーならびに映画制作会社と次々に提携しており、積極的に展開する予定である。まず家庭用最大手のエレクトリックアーツ社(EA)とは、一連のNASCARレースゲームを業務用にすることで提携。またユービーソフト社とは、追跡型ガンゲーム「ファークライ・インスティンクト」を業務用にすることで提携した。さらに20世紀フォックス社とは、映画「エイリアン」に基づく業務用TVゲーム「エイリアン・イクスターミネーション」を、プレイメカニックス社と組んで開発することで提携した。 



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。