2004年9月1日号

Last updated on August 23, 2004

特報

第1・四半期でソニーのゲーム部門は減収赤字だが、任天堂は減収でも利益を伸ばしている。

 サミーはパチスロ機のヒットで大幅増収増益だが、アルゼは大幅減収で赤字となっている。

海外

 セガ社は英国のAWP機メーカー、JPM社グループを経営陣に売却した。

 米国ウォルトディズニー社の業績は好調に推移している。

国内

 タカラアミューズメントのゲーム場運営事業が売却されることになった。

 ネクストジャパンの株式が上場され、エスケイジャパンは大証1部に指定替えとなる。


2004年9月1日号のニュースダイジェスト

写真は、国立科学博物館で開催中の「テレビゲームとデジタル科学展」で。アタリ社「ポン」、セガ社「ハングオン」などとともに展示された、上はタイトー「スペースインベーダー」のテーブル型、アップライト、開発のためのデザインなど。下はナムコ「パックマン」のアップライト、「ギャラクシアン」の基板、キャビネットのデザイン模型など。


10年前の主なニュース


 ナムコは「ワンダーエッグ」に隣接する都市型テーマパーク「たまご帝国」をオープンした。セガ社は横浜ジョイポリスをオープンした。タカラはタカラアミューズメントを完全子会社にして、役員を大幅異動した。SNKは飛行船「ネオジオ号」を運航した。大阪レジャー機器協同組合が解散した。(1994年9月1日号)

20年前の主なニュース


 ゲーム場の風営化を盛り込む風営法改正案が参議院・地方行政委員会で、ゲーム機規制について引き続き検討する小委員会を設置して可決、本会議でも可決成立して、公布された。84年版警察白書で「少年のたまり場」の状況が初めて取り上げられた。米国アタリ社は家庭用がアタリコープ社となったため、業務用はアタリゲームズ社となった。(1984年9月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.ソニーの第1・四半期(4−6月期)業績のうち、ゲーム部門は売上高が15.9%減の1,054億円、営業損失が29億円(前年同期は18億円の利益)だった。コンソールの販売が減少しており、「PS」用ソフトも後退しているが、「PS2」用ソフトが伸ばしているとのこと。コンソール販売減少と自社製ゲームソフトの減少、それに研究開発費負担のため、赤字となった。一方、任天堂の第1・四半期業績は売上高が2.0%減の821億円、経常利益が106.1%増の365億円と、減益にもかかわらず大幅増益だった。「ゲームボーイアドバンスSP」と「ゲームキューブ」が好調だったが、コンソール全体では減収となった。ゲームソフトは好調だったので、利益が大幅改善された。任天堂は次世代ハンドヘルド機の正式名称を「ニンテンドーDS」と決め、年末発売する予定であるが、SCEも同じ時期に、ハンドヘルド機「プレイステーション・ポータブル」の投入を予定しており、ここでも両社の激突が予想されている。

 2.サミーの第1・四半期業績はパチスロ遊技機「北斗の拳」のヒットで大幅増収増益と大きく伸ばし、業績予想も上方修正したが、アルゼは液晶パチンコ機「CR雀帝倶楽部」を伸ばすことができず大幅減収で赤字という結果になり、大幅に下方修正した。遊技機以外の部門別業績を見ると、サミーの業務用AM機は「レボリューションU」が好調で、売上高が73%増の2,946百万円、営業利益は254百万円と黒字転換したが、家庭用はパチスロシミュレーションソフトが売れて売上高が206%増の2,044百万円となったものの、営業損失は466百万円といぜん赤字だった。これに対しアルゼでは部門別の業績を、まだ示していない。修正後の9月中間期予想は、サミーが売上高1,900億円、経常利益660億円としているのに対し、アルゼは売上高574億円、経常利益58億円としており、かなり差が開く見通しになった。

 3.セガ社は英国のAWP機メーカーグループ、JPM社を売却した。JPM社が8月4日付けで発表したもので、JPM社グループの財務を担当するトニー・ジョーンズ氏ら経営陣が、セガ社から株式を買い取った。JPM社グループにはJPMインターナショナル社、エースコイン社、クリスタルレジャー社というAWP機メーカー3社が含まれており、セガ社は96年4月に買収、連結子会社にしていたが、セガ社による買収目的は不明確だったこともあり、00年以後売却交渉がしばしば話題になっていた。JPM社グループの業績は悪くないとされているが、セガ社がいくらで売却したのかという点を含め、セガ社はあえて発表しない考えを示している。いずれにせよ、セガ社の本業とは性格を異にするAWP機ビジネスを手放したことは、本業に集中できることを意味しており、明るい材料になっているのは確かと言えよう。

 4.タカラは子会社のタカラアミューズメントのゲーム場運営事業を、9月30日付でオリックス・ピーアイ(東京都港区、木村司社長)に譲渡することになった、と8月20日に発表した。38ヵ所あるゲーム場運営事業をまず新会社に移転した上で、新会社の株式を全部オリックス・ピーアイに売却するという方式で、約20億円の事業譲渡益が発生すると見込まれている。タカラグループとしては、ゲーム場運営が売り上げ利益に貢献しているとはいえ、本業の玩具事業との関連性が乏しいと判断し、売却することにしたもの。ただしタカラアミューズメントは同時に、タカラ子会社のドリーム・カム・トゥルーからバラエティ雑貨と玩具事業の営業譲渡を受けることになり、棚卸資産等評価損16億円と営業縮小に伴う営業損失6億円が発生するので、ゲーム場売却益はその穴埋めに使われることになる。

 5.入場時間制ゲーム場を経営するネクストジャパン(本社大阪、長江芳実社長)が9月1日付で、東証マザーズに株式を上場することになった。2000年12月に時間制レジャー施設「JJクラブ100」の1号店を大阪・長居に開設し、今年6月までに直営9店、フランチャイズ32店を展開している。ゲーム機、ビリヤード台、ボウリング場設備などが主な設備で、これらの中古品を安く仕入れて、15分100円の料金で遊び放題にするというもの。いわゆる「10%以内」など規定範囲内にすることにより、風営法の適用を受けていないという特徴がある。03年7月期の連結売上高は3,649百万円、経常利益は135百万円、最終利益は71百万円。今年1月の中間期では、売上高2,359百万円、経常利益151百万円、中間利益39百万円となっている。なお、ゲーム場向け景品メーカーのエスケイジャパンが、9月1日付で東証1部と大証1部に指定替えになることが決まった。

 6.アドアーズは8月13日に第1・四半期業績を発表、売上高が前年同期比4.4%減の4,661百万円、経常利益が52.5%減の352百万円、純利益が139百万円と、減収で大幅減益だった。部門別の詳細な売上高は示されていないが、ゲーム場運営が0.8%増、パチスロ機・周辺機器のレンタルが減少、店舗の設計・施工が減少、となっている。ゲーム場は亀戸店を開設、中野店を増床し、吉祥寺店と川越店を閉鎖した。第2・四半期では3店開設と1店増床を予定している。スガイ・エンタテインメントも同日、第1・四半期業績を発表、売上高が4.1%増の1,519百万円、経常損失が36百万円、純損失が30百万円と、増収ながら赤字となった。売上高のうち、ゲーム場運営は3.0%増の1,292百万円、映画興行は25.8%増の168百万円、CDレンタルなどは17.2%減の55百万円だった。

 7.シチエは7月29日、6月中間期決算を発表、売上高は前年比6.8%増の5,394百万円、経常利益は24.6%増の1,119百万円、中間利益は32.3%増の611百万円と増収で大幅増益だった。部門別売上高は、ビデオ・CDレンタルが2.8%減の2,669百万円、ゲーム場運営が18.3%増の2,725百万円。レンタルの「ウェアハウス」は26店、ゲーム場の「アミューズメントパークウェアハウス」は4月に市川店を加え、9店運営している(うち2店はボウリングを併設)。レンタル店ではDVDへの移行期にあり、DVDは増収増益だが、CDの落ち込みが続いている。ゲーム場は他店とのネットワーク化が進んでいる。

 8.社会経済生産性本部による今年の「レジャー白書04」によると、03年の余暇市場は前年比1.2%減の約82兆円で、いぜんとして長期の低調傾向にある。市場別では、ゲーム場が4.8%増の5,870億円で、3年連続して増加した。反対にカラオケボックスは、前年比9.4%減の3,760億円で6年連続減少しており、遊園地は0.3%減の6,570億円にとどまった。一方、家庭用TVゲームは11.0%減の4,460億円で、3年連続現象のマイナス成長となっている。ゲーム場の参加人口は50万人減少して2,400万人となり、増加にストップがかかっているが、売り上げ自体は伸びている。ゲーム場ではトレーディングカードやネットワーク型のゲームが多数登場して、人気を呼び、ゲーム離れしていたプレイヤーが戻ってきた、と同白書は指摘している。なお、これまで毎年示してきた業種別の景気判断については、今回掲載していない。

 9.米国ウォルトディズニー社は8月10日に第3・四半期(4−6月期)業績を発表、売上高は前年同期比17%増の7,471百万ドル、純利益は20%増の604百万ドルと大幅な増収増益になった。9ヵ月間の業績でも、売上高が16%増の23,209百万ドル、純利益が115%増の1,829百万ドルと好調となっている。第3・四半期の部門別で、遊園地とホテルの売上高は32%増の2,288百万ドル、営業利益は20%増の421百万ドルで、テーマパーク関係は順調に回復している。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。