2003年6月1日号

Last updated on May 22, 2003

特報

 セガ社の新社長に開発担当の小口久雄氏が抜擢され、佐藤秀樹社長は会長に就任することになった。

 ナムコの04年3月期はゲーム場の収益が回復、家庭用も好調で増収減益となった。

海外

 SCEは米国E3を機に、来年暮れまでにハンドヘルド機市場に参入すると発表した。

 米国グラスゴウ社はAMOAショーとASIの統合問題でアンケート調査を開始した。

国内

 カプコンの開発担当、岡本吉起専務が6月に退任することになった。

 セガ社は東京、福岡、大阪でプライベートショーを開催、「アヴァロンの鍵」など紹介した。


2003年6月1日号のニュースダイジェスト

上の写真は世界最大の家庭用TVゲーム機関連ショー、米国E3(5月14−16日、ロサンゼルス)のようすを示すもの。E3−2003には約400社が52万平方フィートに出展し、1,350タイトルの新作が披露された。この展示会は(日本の東京ゲームショーなどと異なり)一般の入場を禁止する、完全な業者だけの登録入場制をとっているが、今回は約62,000人が登録入場する密度の濃い展示会となった。


10年前の主なニュース


 AOUは風営法の解釈・運営に関する陳情書を警察庁に提出した。米国ALG社は似たようなLDゲーム機を出しているスペインのピクマチック社を訴えた。米国で「スーパーマリオ」の実写映画が制作され、公開の見込みとなった。タイトーはキャラクター景品「クレヨンしんちゃん」の偽者が出回っていると警告した。ユニバーサルと同系列のユニバーサル販売が合併、ユニバーサル販売となった。(1993年6月1日号)。

20年前の主なニュース


 米国ミッドウェー社対アーチック社事件で連邦控訴裁判所は、TVゲームは視聴覚著作物であり、そのスピードアップキットは無断改変に当たると断じて、予備的禁止命令を出した地裁決定を支持した。セガ社は家庭用TVゲーム機ともなるPC「SC3000」を7月に発売すると発表した。ナムコはハンドヘルドゲーム「パクパクマン」を販売したエポック社を提訴した。ロジテックが倒産した。(1983年6月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ社は5月19日、「ダービーオーナーズクラブ」で貢献した開発子会社、ヒットメーカーの社長でセガ社常務執行役員の小口久雄氏(43歳)が6月27日付で新社長に就任するとのトップ役員の異動を発表した。01年3月以来セガ社再建に取り組んできた佐藤秀樹社長は先ほどのM&A白紙撤回の責任を取って代表権のない会長となり、福島吉治会長は相談役に退く。また代表取締役だった香山哲COOと、永井明専務執行役員の二人は単に取締役となる。その結果代表取締役は小口社長ただひとりとなる。執行役員は02年6月の18名から11名に削減される予定で、中村俊一、上原武、兼安時紀、白土良一、中川昌浩、森下英昭の6名は退任するか、すでに退任しているもよう。社長に就任予定の小口久雄(おぐち・ひさお)氏は84年中央大理工卒でセガ社入社、93年第3AM研究開発部長を経て、00年執行役員兼ヒットメーカー社長、02年6月から常務執行役員。長野県出身。

 2.セガ社は5月19日、03年3月期連結決算を発表。5月8日の業績予想上方修正どおり、売上高は前年比4.4%減の197,223百万円、経常利益は37.6%減の7,783百万円、最終利益は3,054百万円(前年は17,829百万円の赤字)と6年ぶりに黒字回復した。部門別では業務用販売で売上高が16.5%増の61,343百万円、営業利益が約5.6倍の10,892百万円と回復、ゲーム場運営の売上高は1.2%増の69,330百万円、営業利益は0.9%減の8,049百万円と堅調だったが、家庭用ゲームソフトは売上高が21.8%減の66,549百万円、営業損失は8,570百万円(前年は5,578百万円の利益)だった。業務用は国内で好調だったが、海外は改革中のため赤字だった。ゲーム場ではカードを使ったサッカーゲーム「WCCF」などが貢献、直営店は26店増27店減で498店となった。家庭用は特に米国で計画を下回った。04年3月期は控えめに売上高1,930億円、経常利益105億円、最終利益75億円と減収増益を予想している。

 3.ナムコは5月21日、03年3月期連結決算を発表。売上高は前年比1.7%増の154,777百万円、経常利益は88.2%増の8,777百万円、最終利益は102.2%増の4,115百万円だった。部門別では、業務用販売で新作を絞り込んだことから売上高が11.2%減の16,254百万円で営業利益は21.1%減の1,180百万円と後退したが、家庭用は売上高が19.5%増の42,475百万円で営業利益が18.6%増の9,196百万円と伸ばし、ゲーム場運営は売上高が1.7%減の75,900百万円で営業利益が128.8%増の4,773百万円で利益急回復となった。また飲食は売上高が9.6%減の3,826百万円で営業利益は34百万円だったが、映画・映像は売上高が2.3%増の10,131百万円で411百万円の営業赤字などとなっている。ゲーム場は北米で40店を閉鎖するなどリストラを実施、国内ではリストラ効果が出てきて既存店で好調の上、新規出店も順調だった。04年3月期はさらに収益力を高める予定で、売上高1,648億円、経常利益107億円、最終利益58億円と増収で大幅増益を見込んでいる。

 4.カプコンは5月12日、03年3月期決算を発表するとともに、開発最高執行責任者兼COOの岡本吉起専務が退任することを明らかにした。連結決算は4月18日発表の業績下方修正どおりで、売上高が前年比1.1%減の62,036百万円、経常利益が26.6%減の6,797百万円、最終損失が19,598百万円(前年は4,912百万円の利益)だった。部門別では主力の家庭用の売上高が0.7%増の48,090百万円、営業利益が39.9%減の6,760百万円と大幅減益となり、反対にゲーム場運営は売上高が11.0%増の9,242百万円、営業利益が82.3%増の2,141百万円と大幅増益となったが、業務用販売は売上高が71.8%減の1,113百万円、営業損失が534百万円と赤字転落した。ゲーム場はプラサカプコンの大分店と八千代店を増やし、不採算の9店を閉鎖した。業務用は景品取りゲーム機のみで、自社開発の新作TVゲームはない。岡本専務は82年にコナミ入社、83年にカプコン入社、96年に取締役開発本部長、97年常務を経て01年から専務。カプコンでは業績悪化のため開発部員削減を進めるとしている。

 5.テクモは5月15日、03年3月期連結決算を発表。4月1日の業績予想下方修正どおり、売上高は前年比4.5%減の10,516百万円、経常利益は22.5%減の1,720百万円、最終利益は17.4%減の1,011百万円と大幅減益となった。部門別では家庭用の売上高が11.6%減の6,561百万円、営業利益が8.9%減の1,919百万円、ゲーム場運営の売上高が6.0%増の3,712百万円、営業利益が38.0%減の356百万円、そして同社がパチンコ向け液晶画面ソフト制作に特化したと説明する「業務用」では売上高が171.2%増の242百万円、営業利益が75百万円(前年は44百万円の損失)となっている。主力の家庭用で発売を予定していたXbox用「ニンジャガイデン」など2タイトルは今期に延期した。今期は携帯電話向けも本格化するとしており、増収増益を見込んでいる。

 6.ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は5月14日、ハンドヘルドTVゲーム機「PSP」を04年10−12月期に世界同時に発売する、と発表した。今年の米国E3(ロサンゼルス)開催に伴う発表で、任天堂が圧倒的なシェアを持つハンドヘルド機市場にSCEが「PSP」を引っさげて参入、追撃する構えとなった。SCEによると「PSP」はゲームソフトを収納するメディアに、直径6センチで1.6Gの容量を持つ新開発の光ディスク、UMD(ユニバーサル・メディア・ディスク)を採用、読み込み時間を短縮するとともに、低コストも実現、コピー対策も施される。また480x272ドットのワイド画面のバックライト付きTFT液晶画面を使用し、高性能画像処理チップにより3次元映像も表現するほか、サウンドチップで3D音響も実現する。メモリースティック、USB2.0端子も標準装備し、電源は充電型リチウムイオン電池を使用する。しかし価格、ゲームソフトなどについては触れられていない。

 7.オリエンタルランドは5月8日、03年3月期連結決算を発表。売上高は前年比18.0%増の331,753百万円、経常利益は42.6%増の33,908百万円、最終利益は48.8%増の18,931百万円と、極めて好調だった。テーマパーク部門では東京ディズニーシー(TDS)がフル稼働となり、二つのテーマパークの合計入園者数は12.6%増の24,820千人と増え、売上高が11.5%増の280,689百万円、営業利益は3.7%増の30,816百万円になった。04年3月期には25百万人の入園、281,800百万円の売上高を見込んでいる。なお、「イクスピアリ」など複合商業施設部門の売上高は6.7%減の21,700百万円、営業利益は5.8%減の2,424百万円だった。同社では04年3月期の業績を売上高3,324億円、経常利益344億円、最終利益169億円と予想している。なお、会社更生手続き中のハウステンボスに対する支援は見送られることになった。

 8.セガ社は5月13日に東京でプライベートショーを開催し、カードを使用する多人数用ロールプレーイングゲーム機「アヴァロンの鍵」など紹介した。16日に福岡で、20日に大阪でも開催された。「アヴァロンの鍵」はすでにAOUショーで出品され、東京・渋谷の直営店でロケテストが行なわれている話題作。TVゲーム機ではこのほか映像で「激闘プロ野球」と「WCCF2002−2003」が紹介された。その他のAM機では高画質の写真シール機「美楽」、プライズゲーム機「UFOあらかるとUまたまたイタダキ!」など。またメダルゲーム機では新作「ドラゴントレジャー」と「お祈り大明神・祭」が紹介された。東京会場には800名、大阪会場には500名、福岡会場には250名の業者が詰め掛けた。

 9.プレイモアは5月16日、アルゼが同社のゲーム場向けパチスロ機「ソロシアム・イレグイ」でもプレイモアの所有する著作権を侵害しているとして、大阪地検への刑事告訴に告訴事実を追加したことを明らかにした。プレイモアはSNKが破産宣告を受けた01年10月にSNKの知的財産を引き継いでいるが、その一つである「ネオジオ」ゲームソフトのキャラクターを、その後もアルゼが同社のパチスロ機「イレグイ」で無断使用しているとして、プレイモアは02年10月に損害賠償を求める民事訴訟を提起するとともに、03年2月には著作権侵害などを理由にアルゼを刑事告訴した。今回追加したのは、アルゼが8号営業用にパチスロ機「イレグイ」を使用した機械についても、同様の著作権侵害が行なわれているとするもの。プレイモアはアルゼに対する処罰を求めている。

 10.米国業務用の総合的な展示会は、遊園地関係のIAAPAショーを別として、春のASI(アミューズメントショーケース・インターナショナル)と秋のAMOAエキスポの二つがあり、それぞれメーカー協会のAAMAとオペレーター協会のAMOAが主催しているが、市場が小さくなっており、年に2回開催されるこれらの展示会を一回にまとめてはどうかという意見が少なくない。この考えに基づき有力出展社のインクレディブル・テクノロジー(IT)社は今年ASIに出展しなかったほどで、いずれは決着が迫られると見られている。このため両方の展示会の運営を引き受けているWTグラスゴウ社は5月初旬、出展社らに対するアンケート調査を開始した。展示会を統合するということについて、AAMAとAMOAは協会運営のための財源が絡むため、いずれも慎重な姿勢を示しており、このためWTグラスゴウ社による調査は両協会とは無関係の立場で行なわれている。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。