2001年5月1日号

Last updated on April 23, 2001

特報

 アルゼの子会社、SNKが特定調停に入る前に第1回不渡りを出し、民事再生を申請した。

 東京、大阪の高裁判決は大量販売、消尽原則を理由にメーカー側の頒布権を認めなかった。

海外

 米国インディアナポリス市条例の施行を連邦控訴裁は禁止した。

 春の米国展、ASI2001は出展社、来場者とも一段と少なくなった。

国内

 アトラスは業績予想の修正とともに、トップの異動を発表した。 テクモは家庭用ソフト不振で業績を下方修正。

 PCCWジャパンは業務用からの撤退を発表した。


2001年5月1日号のニュースダイジェスト

ASI2001で上は展示会場の左側半分を上から眺めた光景。業者向けで密度が高い。下はセガUSA社の小間で「ワイルドライダーズ」を試す業者のようす。

ベストヒットゲームズ

TVゲームソフトウェア1位はカプコンの「機動戦士ガンダム・連邦vsジオン」、完成品タイプではナムコの「太鼓の達人」。

10年前の主なニュース

 米国連邦地裁はテンゲン社に対し、同社製NES用カートリッジは任天堂の著作権を侵害しているとして販売を予備的に禁止する命令を出した。役員2名が遊技機賭博で摘発された富山県OP協会は解散を決議した。経営難の米国バリー社はホテル部門を手放した。サノヤスは明昌特殊産業を吸収、サノヤス・ヒシノ明昌に社名変更した(1991年5月1日号)。

20年前の主なニュース

 タイトーは京都の直営ゲーム場で、業界初のカードシステムの実験を開始した。新日本企画は日本セミコン、マイクロデバイスによる海外への不当オファーを排除することに成功した。サンリツ技研はTVゲーム「ジャンピューター」でセガ社など四社に許諾した。NAOは大筋で承認を受けている定款についてさらに検討を加えることにした(1981年5月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.アルゼの子会社でパチンコ遊技機開発メーカーへ事業転換中の鰍rNK(本社東京、岡田和生会長、北野一成社長)が4月2日、大阪地裁に民事再生手続き開始を申請した。資産約209億円に対し、負債は約436億円とのこと。78年設立の業務用TVゲーム開発メーカーで、90年以来「ネオジオ」システムを展開、業績を伸ばしてきたが、株式公開目的で99年に開始した家庭用「ネオジオポケット」と屋内テーマパーク「ネオジオワールド東京ベイサイド」が失敗した上、業務用市場の後退が重なり経営危機に陥ったため、2000年2月にアルゼが第三者割当増資で50億円出資し50.8%所有する親会社となっていた。

 2.アルゼ子会社としてSNKは、パチンコ・パチスロ遊技機事業に参入する一方、業務用「ネオジオ」とゲーム場を縮小(家庭用は継続。ネオジオワールドは3月末で閉鎖)、その結果損失は大きく膨らみ、今年3月期は大幅な債務超過になることから、3月9日大阪簡裁に特定調停を申請していた。大部分の金融機関などはこれに応じる見通しになっていたが、一部の債権者が応じず、さらに3月30日に第1回不渡りを出したため民事再生の手続きを取った、とアルゼ/SNKは説明している。SNKは事業を継続するが、裁判所による保全命令の下で民事再生のための手続きが進められる。アルゼは「SNKが再建を果たし収益性の高い会社に生まれ変わると確信している」と述べている。

 3.家庭用TVゲームソフトの中古品売買が「映画の著作物」の「頒布権」を侵害するかどうかで争われてきた二つの控訴審で、東京高裁は3月27日に、大阪高裁は3月29日にそれぞれ、ゲームソフトは「映画の著作物」に該当するが、中古品売買は「頒布権」の侵害にはならないとする判決を出した。東京高裁判決は、大量に複製物が製造されその一つ一つが少数の者によって視聴されるものなので「頒布権」の対象とならないと示した。大阪高裁は、「頒布権」はあるが、商品取引の自由原則から「ゲームソフトに認められる頒布権は第一譲渡によって消尽される」ので頒布禁止などできないと示した。メーカー側は上告した。

 4.米国業務用AM機展、ASI2001(3月29―31日、ラスベガス、主催AAMA)は出展社が前年比14%減、登録入場者が7.5%減と、さらに規模が小さくなった。米国市場の縮小を反映するもので、ミッドウェー社からは新作披露がなく、カプコン・コインオプ社は出展を取りやめた。セガ社、ナムコ、コナミ、サミーのそれぞれ米国子会社は比較的安定して新作を紹介したが、出品される基板タイプはめっきり減った。SNK製品は代理店のアップルフォト社が紹介した。これらに対しアンダミロ社など韓国系は勢いを強めている。

 5.米国インディアナポリス市が暴力シーンのあるTVゲームを未成年者に触れさせないよう隔離させるとした条例について、合衆国憲法修正第1条に違反するので施行してはならないとする決定を、連邦控訴裁判所が3月23日に出した。この条例は昨年7月に可決し、9月から施行予定になっていたが、業者側が8月に予備的禁止命令を申請していた。これに対し連邦地裁は10月に業者側の申請を却下したため、さらに連邦控訴裁に控訴していた。AMOA、AAMAなど業者側は全面的かつ終局的勝利だとしているが、インディアナポリス州議会では同じ趣旨の州法を可決しており、さらに前途多難となっている。

 6.米国フォトファンタジー社は3月23日、同社「ポートレイトスタジオ」の特許を侵害したとして、韓国・ソウルのクンヤン社とその米国代理店を相手取って連邦地裁に提訴した。「ポートレイトスタジオ」は写真シールと同じ要領で、自動的に似顔絵を作成、プリントするもの。韓国クンヤン社の「ゴッホズ・ワークルーム」は同じコンセプトの製品で、違うのは元がモノクロなのにこれはカラーということぐらい。フォトファンタジー社はすでに米国特許を取得、また日本や欧州でも特許申請しており、特許侵害に対して追及する姿勢だ。

 7.アトラスは3月30日、3月期業績予想を最終損失41億円(昨年11月の予想では10億円)と大幅修正し、法定準備金を取り崩す予定だとした。これに伴いアトラスは、家庭用ゲームソフト優先などの経営改革プランを発表、4月1日付けで原野社長は代表権のない会長になり、岩田松雄副社長が社長になるとのトップ異動を明らかにした。3月期連結業績は売上高227億円、経常損失3.3億円となっているが、これは業務用機器の評価損、関係子会社の貸し倒れ引当金が増え、さらに業務用の在庫整理、子会社整理で赤字を増やすことになったためだ、としている。

 8.テクモは4月12日、今年3月期業績予想を大幅下方修正した。家庭用部門によるもので、PS2用「UNiSON」が見込みを下回り「モンスターファーム」も半分に修正することになったため。一方、PCCWジャパンはジャレコ時代からの都内5ヵ所のゲーム場を一時閉鎖し新たに展開すると発表し、業務用部門を事実上閉鎖した。大分工場は3月までに閉鎖した。ゲームソフト開発はオンラインゲームに絞るとしている。これに伴い現在300人のうち150人について希望退職を募るとしている。

 9.「ゲームマシン」チャートから。TVゲームソフトウェア部門……1位はカプコンの格闘ゲーム「機動戦士ガンダム・連邦vsジオン」(初登場)、2位はカプコンの「ストリートファイターZERO3アッパー」。 TVゲーム完成品部門……1位はナムコの太鼓叩き音楽ゲーム機「太鼓の達人」(2回目)、2位はセガ社の「ダービーオーナーズクラブ2000」。 TVゲーム機以外のアーケードゲーム機部門……1位は日立ソフトウェアの写真シール機「劇的美写」(2回目)、2位はアトラスの「めちゃキレイ!」。

 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきました。