1999年5月1日号

Last updated on April 22, 1999

特報

 中国広東省広州市で初めて、業務用TVゲームソフトのコピー工場が当局によって摘発された。

海外

 イタリアの春のショー、ENADA Spring’99は、市場での違法なTVポーカーゲーム機の氾濫により混乱した。
 米国の春のショー、ASI’99は規模など小さくなったが、新傾向の多い充実したものとなった。

国内

 新風営法でゲーム場が午前1時まで営業を延長できる地域は、東京が最も多く23区、10市で指定、大阪は2ヶ所と少なくなっている。


1999年5月1日号のニュースダイジェスト

広州市工商行政管理局に摘発された大華高科電子の入口付近(上)とコピー工場の内部

ベストヒットゲームズ

 TVゲームソフトウェア1位はセガ社「バーチャストライカー2ver.99」、完成品タイプではコナミ「ダンスダンスレボリューション」。

10年前の主なニュース

 任天堂はゲームソフト「テトリス」の家庭用について世界的な独占権を獲得した、と発表した。業務用「テトリス」はアタリゲームズ社を通じて許諾を受けたセガ社がヒットさせており、新たな紛争の火種となった。AOUの健全娯楽委員会はゲーミング機の使用制限を検討し始めた(1989年5月1日号)。

20年前の主なニュース

 ブームを巻き起こしたタイトー「スペースインベーダー」に対抗し、セガ社は「ヘッドオン」と「スペースアタック」の2ゲーム内蔵型「スペシャル・デュアル」を新作展で発表した。アイピーエム(後のアイレム、アピエス)は大阪国際ビルに本社を移転した(1979年5月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1. 中国広東省広州市の工商行政管理局(AIC)は3月11日、SNK「ネオジオ」ゲームソフトを無断コピーしていた大華高科電子(98年12月に粤武科教器廠から社名変更した)を商標権侵害で強制捜査し、コピー品と生産計画表などの記録を押収した。同社では「ラストブレード」(月華の剣士)などSNKのゲームソフトの無断コピー品を量産していたことが判明した。SNKがAICに訴えていたもので、中国では初のコピー工場摘発となった。同じ日、広州駅前のコピー品販売業者、通利電子遊戯機も摘発された。SNKでは昨年6月以降、広東省でのコピーヤー摘発を連続して進めてきている。

 2. 米国の春のショー、ASI’99(3月10-12日、ラスベガス)は規模、登録業者数とも減少したが、新傾向に富む充実した展示会になった。日本製TVゲーム機はセガ社、ナムコ、コナミ、SNK、カプコンのそれぞれ子会社から、タイトー製品は米国ICE社から出品された。米国製品はミッドウェー社、アタリゲームズ社、IT社など。目立ったのは米国イルージョン社の3Dシミュレーター「パラシュート・ターゲット」、PCゲームを業務用化した米国IL社の「サベッジクエスト」、ベンチマーク社のプライズ機「ドリル・オ・マチック」など。IT社はデジタルジュークへの参入を明らかにした。

 3. イタリアの春のショー、ENADA Spring(3月11-14日、リミニ)は、違法なゲーミング機の氾濫で混乱している市場を反映し、混乱したものになった。イタリアではゲーミング機の使用は禁止されているが、リデムプションゲームを許した95年10月の法改正に伴い違法なTVポーカーゲーム機が増え続け、凶悪犯罪の原因となって社会問題化している。リデムプションゲームというのは、簡単なアーケードゲーム機(もぐら叩きのようなスキルを要するゲーム機で、偶然の賭け事を内容とするゲーミング機は使えない)で獲得したチケットを集めると景品がもらえるというシステムで、米国などで放任されている。違法業者は自分の都合で勝手に法解釈しているにすぎない。

 4. 新風営法の改正に伴い、風俗営業でふだん午前1時まで営業できる「営業延長許容地域」が都道府県の施行条例で定められ、4月1日に施行された。うち「8号営業」(ゲームセンター等)に適用されるのは、東京、神奈川、大阪、福岡など。適用のないのは北海道、愛知、岐阜、京都、兵庫など。東京では全23区と10市で許容地域を指定、大変な熱の入れ方を示した。大阪はキタ、ミナミの2ヶ所、福岡は3市の6ヶ所のみ。「8号営業」にはゲームセンターのほか、いわゆるカジノバーも含まれている。指定地域にあるゲーム場のうち、「メリットがない」などの理由で営業時間を延長しないゲーム場も多い。

 5. マイカルクリエイトは3月11日、大規模複合施設「マイカル小樽」内にAM施設「ダイナレックス」(4,260u)をオープンした。「ダイナコースター」、「ワイルドリバー」、「ロストワールドスペシャル」など5機種のアトラクションをセガ社から買い取り設置しており、270台のAM機を設置したゲームコーナー(8号営業)などがある。営業時間は10時から23時まで。マイカルグループが開設した複合施設としては5ヶ所目で、それぞれエンタテインメントパークとして「ダイナレックス」が設けられている。

 6. カプコンは、入場料制でゲーム料金を無料または格安にするなど新しい実験店として、4ヶ所のゲーム場をリニューアルした。いずれも複合施設「ニッケルシティ」の中にあり、新潟県三条市、大阪市平野区、富山県魚津市、茨城県取手市にある。入場料は200円。無料コーナーもあるが、有料ゲーム機ではトークン(4枚100円)1-2枚を投入してプレイする。入場の際係員が、問題を起こしそうな客を締め出すなどチェックする。店内でのトラブルはなくなり、お金の使い過ぎということもなく、収入は増加した−−と同社では説明している。カプコンは米国でも4年前から実験営業している。

 7. アトラスは3月31日、米国に家庭用子会社、アトラスUSA社(カリフォルニア州アーバイン、山本純社長)を設立したと発表した。85.7%をアトラスが出資し、残りを原野直也社長らが出資した。アトラスは91年1月に米国家庭用子会社アトラスソフトウェアを設立したが、96年3月に解散、代わりに米国支社を設置していた。しかし米国での家庭用ソフト販売業務を進める上で、子会社のほうが有利なことから改めて設立したもの。欧州での販売も担当する。なお米国には、「プリント倶楽部」を展開するための子会社、アトラス・ドリーム・エンタテインメント(ADE)がある。

 8. 「ゲームマシン」チャートから。TVゲーム・ソフトウェア部門……1位はセガ社のCGサッカーゲーム「バーチャストライカー2ver.98」(5回目)、2位はセガ社「クレイジータクシー」。 TVゲーム・完成品部門……1位はコナミのダンスシミュレーションゲーム「ダンスダンスレボリューション」(10回目)、2位は同じく「ダンスダンスリボリューション・セカンドミックス」。 TVゲーム機以外のアーケードゲーム機部門……1位はメイクソフトウェアの写真シール機「エル」(3回目)、2位はアイエムエスの「デカプリ」。

 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきました。